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第3章 惑星マーカス編
7. ダンジョンの町到着
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「昨日は恥を掻かせてくれたからな。ちょっと冒険者のしきたりってやつを教えてやろうと思ってな。」
とニヤニヤ笑いながら言ってくる。根に持つタイプだったようだ。
「魔法使いは杖が無ければ手も足も出ないだろう。じっくり可愛がってやるよ。」
やれやれこの人は相当な困り者のようだ。それにしてもこの惑星の魔法使いは杖がないと魔法が使えないのだろうか?コトラルさんとアルトくんは私の後ろで蒼白な顔をしている。
「こんなものを振り回したら危ないじゃないですか。」
と言いながら剣の先を杖で突いてやる。トムさんは驚いて私の手にある杖と自分が叩き落として地面に転がっている杖を見比べている。
「どうかしましたか?」
と言ってトムさんの顔の前に杖を突き出す。
「うるせえ!!」
トムさんはそう言うなり杖に向かって剣を振り下ろした。だが今度はちゃんと杖まで結界で覆ってある。トムさんの剣はキン!と言う音ともに粉々に砕け散った。実は単に結界で弾くだけなら2つに折れる程度なのだが、脅しの意味も込めてちょっと破壊魔法を使った。
「あら、武器屋のおじさんが安物の剣は折れやすいと言ってましたけど本当ですね。」
トムさんは粉々になった自分の剣を信じられないという感じで眺めている。
「それで、ご用件は?」
トムさんの仲間のひとりが弓を構えてこちらを狙っているが、コトラルさんとアルトくんにも防御結界を張っているから心配は無い。
「お相手しましょうか?」
と言いつつ弓を持った仲間に杖の先端を向けると諦めたように弦を緩めた。
「くそ、生意気な女め!今度会うときは覚悟しとけ。」
捨て台詞を残しトムさん達はあわてて去っていった。トムさん達はが見えなくなると私は地面に落ちた杖を拾い上げる。少し傷が付いてしまったが十分使えそうだ。私は亜空間から取り出した杖を収納魔法で再び亜空間に仕舞う。ちなみに杖は消耗品なので常に亜空間に5~6本持参している。この惑星にきて1本売却したけれどまだまだ大丈夫だ。
「あの...。トモミさんは本物の聖女様なんですか? 剣を粉々に砕くなんてA級の冒険者でも聞いたことがありません。」
あちゃー、この星の魔法使いのレベルはかなり低いようだ。神がいなくたって長い時間が経つ影響だろうか。どおりで試験の的を砕いても経年劣化で片付けられた筈だ、人間ありえない事が起きると自分が納得できる説明に飛び付きやすいからね。サマンサさんは私を聖女だと思い込んでいる。このまま聖女に成りきるのが良いか、神だと明かすのがよいか、ただの魔法使いだと押し通すのが良いか悩みどころだ。一緒にダンジョンに入るとなるとただの魔法使いだと言えば心配されて単独行動が取れないだろうからこれは無し。聖女だと言えば魔王と対決しないといけない様だが魔王なんているのだろうか、超越者なら居るかもだけど。
「そうなの。でもわたしは聖女じゃ無いわよ。神だからね。」
「はい?」
「だから、聖女に特別な力を与えたって方の神よ。もっとも私はそんな事した事ないけどね。」
「はあ....。」
さすがのコトラルさんにも理解の範疇を超えているらしい。まあ無理もない、この惑星には2万年前から神がいなかったんだ。神って何?それおいしいの?という状況だろうか。
「神って言うのはね、世界を作って育てるのが仕事なの。この世界も神が作ったのよ。だからすごい力を持っているわ。もっともこの世界は充分に育ったから、ここを作った神は別の世界を作りに行っちゃったけどね。」
「言葉だけでは信じられないだろうから、今からちょっと私の力を見せるわね。でも他の人には秘密よ。」
私はコトラルさんとアルトくんを連れてひと気のない路地に入ると、一気に1,000メートル上空まで瞬間移動した。
「キャア~~~」「ギャア~~~」
コトラルさんとアルトくんの悲鳴が重なる。
「落ち着いて!大丈夫だから。」と何度も繰り返し、ようやく話が出来るようになった。
「分かりました、分かりましたから降ろしてください。お願いします。」
コトラルさんが涙ながらに言って来る。私の言うことを信じてもらうつもりでやったのだがやり過ぎたようだ。私は慌てて地上に瞬間移動した。ここは町から少し離れた草原、周りに人がいないから内密の話が出来るだろうと考えたが、ふたりは地面に蹲り「ああ、大地だ!」、「戻って来たぞ...」と言いながら放心状態だ。
「ごめんなさい。脅かしてしまったわね。」
「ヒッ、言いません!誰にも言いませんから勘弁してください。」
あ~、やり過ぎた。私の馬鹿め!普通の人間にとっては空を飛ぶのは恐怖でしかないんだ。我ながらどうも人間だった時の感覚を忘れつつあるようだ。
ふたりの家に向かいながら私がこの世界に来た目的について話した。ただし超越者に付いては伏せ、ダンジョンに怪しい動きがあるので調査に来たとしておいた。超越者のことを話しても怖がらせるだけだからね。サマンサさんとサーシャさんにも聖女ではなく神であることを打ち明けた方が良いかどうか相談したが、「私達にとっては聖女も女神も同じですよ、このままで良いのではないですか。」と言われたので適切な時期が来るまで何も言わないことにした。
その後はサマンサさん家族の家でダンジョン行きの打ち合わせをし、明日の朝出発することになった。瞬間移動の魔法で向かうので私が来るまで家で待っててもらうことにする。瞬間移動と聞いてコトラルさんとアルトくんが青ざめたが、「空は飛ばないから大丈夫」と言っておいた。サマンサさんとサーシャさんは訳が分からずキョトンとしている。それから聖女の伝説についても教えてもらった。この世界ではダンジョンには魔王がいると信じられているらしい。ダンジョンにモンスターが湧くのは魔王の魔力がダンジョンに漏れ出ているからだそうだ。魔王は普段は寝ているのだが数千年に一度目覚める。魔王が目覚めると魔力が増すためモンスターがダンジョンの外に溢れ出てくる。いわゆるスタンピードという奴だ。そうなるとダンジョンの町は全滅、近くの町々にも大変な被害が出る。その様な事態を防ぐ為に神が使わすのが聖女らしい。聖女は強い魔法が使えるだけでなく治癒の魔法に優れており、勇者と共にダンジョンを攻略し、荒ぶる魔王の心を癒して再び眠りにいざない人々を救うと言われているらしい。もちろん唯の伝説であり、過去に聖女が現れたと伝えられているのも1,000年以上前とされ、伝承以外に聖女が居たという証拠は残っていない。ちなみに聖女と共にダンジョンに入る勇者と言うのは単に勇敢な仲間という事で聖女の様な特別な存在ではないとのこと。また、この惑星にはダンジョンが5つあるが、次はどのダンジョンの魔王が目覚めるかは分からない。これではたとえ聖女が本当にいたとしてもどのダンジョンに向かえば良いか分からないだろう。かなり信憑性の薄い話と思われる。
その日は一旦宿に戻り、次の日の朝再びサマンサさん家族の家を訪ねた。
「それでは、今から瞬間移動で一番大きなダンジョンのある町オルネイに向かいますね。家の戸締まりは大丈夫ですか?」
準備ができていることを確認の上、家の中からオルネイの町の近くの草原に瞬間移動した。町の中に直接移動しなかったのは瞬間移動したところを誰かに見られるのを避けるためだ。サマンサさん達は一瞬で家の中から草原に着いたことに驚きを隠せないでいる。勿論前もって説明はしていたのだが、初めてでは驚くのも無理はない。
「着いたの?? 馬車でひと月かかるのよ。信じられない。」
「さすが聖女様だわ!」
「聖女じゃありませんから。」
「今は私達だけですから聖女と名乗っても大丈夫ですよ。」
「.................」
サマンサさんとサーシャさんは相変わらず私を聖女と勘違いしている。いくら否定しても正体を隠す為に言っていると信じて疑わない。もうどっちでも良いかと思えてきた。コトラルさんの言うように聖女も女神もとんでもない点ではよく似たものだ。
「ところで、ダンジョンにはすぐ潜りますか?それとも先に宿を取った方が良いですかね。」
「宿もそうですが、ダンジョンに潜るにはギルドで手続きをしないといけません。最初からダンジョン内で夜を明かすのは避けたいので、今日は入ったとしても様子見程度にして、明日は朝から夕方まで日帰りでの挑戦とするのは如何でしょう?」
とサマンサさんが提案してくれる。無理をしないということには私も賛成だ。そうすることに決まり、町に入るとまずは宿を1週間分確保し部屋に荷物を置いてから冒険者ギルドに向かった。ギルドでの手続きは簡単なもので、ダンジョンに入るメンバーの名前、この町での滞在予定日数を冒険者証と一緒に申請すると、ダンジョンへの侵入許可書を発行してくれる。ダンジョンに入る時は入り口にある窓口に侵入許可書を見せて再度許可を得る必要があるらしい。それと入る時に申請した予定日を1週間過ぎても出てこない場合は死亡したと見なされるとのこと。でもそれならダンジョンに入る時だけサマンサさん達に付き添ってもらって、中に入ったら私とはぐれたことにしてすぐに出てもらったら良いのではと思う。上層で待機とはいえ、何も危険なダンジョンで私を待っている必要はない。その様にサマンサさんに言ってみるが却下された。サマンサさんはAクラス、サーシャさんはBクラスで、上層であればモンスターが出ても対応可能だとのこと。むしろ目が見えなかった為に今まで出来なかったコトラルさんとアルトくんの訓練をする絶好の機会だと考えているそうだ。この機会にふたりにはEクラスに上がれるだけの実力と経験を身に付けさせたいらしい。そう言われれば無碍に否定もできないので、絶対に無理はしないことと予定の時間になっても私が戻らない場合は私を待ったり探したりせず、すみやかに外に出ることを約束してもらった。その後、ダンジョンの地図を買ってからギルドを後にした。地図はサーシャさんが既に1枚持っているが、私は別行動をとる可能性が高いから自分用に購入したのだ。ただ地図には地下7階層目までしか記載がない。これより下は未踏破らしいのだ。超越者が居るとすると8階層目以降の可能性が強いかもしれない。
とニヤニヤ笑いながら言ってくる。根に持つタイプだったようだ。
「魔法使いは杖が無ければ手も足も出ないだろう。じっくり可愛がってやるよ。」
やれやれこの人は相当な困り者のようだ。それにしてもこの惑星の魔法使いは杖がないと魔法が使えないのだろうか?コトラルさんとアルトくんは私の後ろで蒼白な顔をしている。
「こんなものを振り回したら危ないじゃないですか。」
と言いながら剣の先を杖で突いてやる。トムさんは驚いて私の手にある杖と自分が叩き落として地面に転がっている杖を見比べている。
「どうかしましたか?」
と言ってトムさんの顔の前に杖を突き出す。
「うるせえ!!」
トムさんはそう言うなり杖に向かって剣を振り下ろした。だが今度はちゃんと杖まで結界で覆ってある。トムさんの剣はキン!と言う音ともに粉々に砕け散った。実は単に結界で弾くだけなら2つに折れる程度なのだが、脅しの意味も込めてちょっと破壊魔法を使った。
「あら、武器屋のおじさんが安物の剣は折れやすいと言ってましたけど本当ですね。」
トムさんは粉々になった自分の剣を信じられないという感じで眺めている。
「それで、ご用件は?」
トムさんの仲間のひとりが弓を構えてこちらを狙っているが、コトラルさんとアルトくんにも防御結界を張っているから心配は無い。
「お相手しましょうか?」
と言いつつ弓を持った仲間に杖の先端を向けると諦めたように弦を緩めた。
「くそ、生意気な女め!今度会うときは覚悟しとけ。」
捨て台詞を残しトムさん達はあわてて去っていった。トムさん達はが見えなくなると私は地面に落ちた杖を拾い上げる。少し傷が付いてしまったが十分使えそうだ。私は亜空間から取り出した杖を収納魔法で再び亜空間に仕舞う。ちなみに杖は消耗品なので常に亜空間に5~6本持参している。この惑星にきて1本売却したけれどまだまだ大丈夫だ。
「あの...。トモミさんは本物の聖女様なんですか? 剣を粉々に砕くなんてA級の冒険者でも聞いたことがありません。」
あちゃー、この星の魔法使いのレベルはかなり低いようだ。神がいなくたって長い時間が経つ影響だろうか。どおりで試験の的を砕いても経年劣化で片付けられた筈だ、人間ありえない事が起きると自分が納得できる説明に飛び付きやすいからね。サマンサさんは私を聖女だと思い込んでいる。このまま聖女に成りきるのが良いか、神だと明かすのがよいか、ただの魔法使いだと押し通すのが良いか悩みどころだ。一緒にダンジョンに入るとなるとただの魔法使いだと言えば心配されて単独行動が取れないだろうからこれは無し。聖女だと言えば魔王と対決しないといけない様だが魔王なんているのだろうか、超越者なら居るかもだけど。
「そうなの。でもわたしは聖女じゃ無いわよ。神だからね。」
「はい?」
「だから、聖女に特別な力を与えたって方の神よ。もっとも私はそんな事した事ないけどね。」
「はあ....。」
さすがのコトラルさんにも理解の範疇を超えているらしい。まあ無理もない、この惑星には2万年前から神がいなかったんだ。神って何?それおいしいの?という状況だろうか。
「神って言うのはね、世界を作って育てるのが仕事なの。この世界も神が作ったのよ。だからすごい力を持っているわ。もっともこの世界は充分に育ったから、ここを作った神は別の世界を作りに行っちゃったけどね。」
「言葉だけでは信じられないだろうから、今からちょっと私の力を見せるわね。でも他の人には秘密よ。」
私はコトラルさんとアルトくんを連れてひと気のない路地に入ると、一気に1,000メートル上空まで瞬間移動した。
「キャア~~~」「ギャア~~~」
コトラルさんとアルトくんの悲鳴が重なる。
「落ち着いて!大丈夫だから。」と何度も繰り返し、ようやく話が出来るようになった。
「分かりました、分かりましたから降ろしてください。お願いします。」
コトラルさんが涙ながらに言って来る。私の言うことを信じてもらうつもりでやったのだがやり過ぎたようだ。私は慌てて地上に瞬間移動した。ここは町から少し離れた草原、周りに人がいないから内密の話が出来るだろうと考えたが、ふたりは地面に蹲り「ああ、大地だ!」、「戻って来たぞ...」と言いながら放心状態だ。
「ごめんなさい。脅かしてしまったわね。」
「ヒッ、言いません!誰にも言いませんから勘弁してください。」
あ~、やり過ぎた。私の馬鹿め!普通の人間にとっては空を飛ぶのは恐怖でしかないんだ。我ながらどうも人間だった時の感覚を忘れつつあるようだ。
ふたりの家に向かいながら私がこの世界に来た目的について話した。ただし超越者に付いては伏せ、ダンジョンに怪しい動きがあるので調査に来たとしておいた。超越者のことを話しても怖がらせるだけだからね。サマンサさんとサーシャさんにも聖女ではなく神であることを打ち明けた方が良いかどうか相談したが、「私達にとっては聖女も女神も同じですよ、このままで良いのではないですか。」と言われたので適切な時期が来るまで何も言わないことにした。
その後はサマンサさん家族の家でダンジョン行きの打ち合わせをし、明日の朝出発することになった。瞬間移動の魔法で向かうので私が来るまで家で待っててもらうことにする。瞬間移動と聞いてコトラルさんとアルトくんが青ざめたが、「空は飛ばないから大丈夫」と言っておいた。サマンサさんとサーシャさんは訳が分からずキョトンとしている。それから聖女の伝説についても教えてもらった。この世界ではダンジョンには魔王がいると信じられているらしい。ダンジョンにモンスターが湧くのは魔王の魔力がダンジョンに漏れ出ているからだそうだ。魔王は普段は寝ているのだが数千年に一度目覚める。魔王が目覚めると魔力が増すためモンスターがダンジョンの外に溢れ出てくる。いわゆるスタンピードという奴だ。そうなるとダンジョンの町は全滅、近くの町々にも大変な被害が出る。その様な事態を防ぐ為に神が使わすのが聖女らしい。聖女は強い魔法が使えるだけでなく治癒の魔法に優れており、勇者と共にダンジョンを攻略し、荒ぶる魔王の心を癒して再び眠りにいざない人々を救うと言われているらしい。もちろん唯の伝説であり、過去に聖女が現れたと伝えられているのも1,000年以上前とされ、伝承以外に聖女が居たという証拠は残っていない。ちなみに聖女と共にダンジョンに入る勇者と言うのは単に勇敢な仲間という事で聖女の様な特別な存在ではないとのこと。また、この惑星にはダンジョンが5つあるが、次はどのダンジョンの魔王が目覚めるかは分からない。これではたとえ聖女が本当にいたとしてもどのダンジョンに向かえば良いか分からないだろう。かなり信憑性の薄い話と思われる。
その日は一旦宿に戻り、次の日の朝再びサマンサさん家族の家を訪ねた。
「それでは、今から瞬間移動で一番大きなダンジョンのある町オルネイに向かいますね。家の戸締まりは大丈夫ですか?」
準備ができていることを確認の上、家の中からオルネイの町の近くの草原に瞬間移動した。町の中に直接移動しなかったのは瞬間移動したところを誰かに見られるのを避けるためだ。サマンサさん達は一瞬で家の中から草原に着いたことに驚きを隠せないでいる。勿論前もって説明はしていたのだが、初めてでは驚くのも無理はない。
「着いたの?? 馬車でひと月かかるのよ。信じられない。」
「さすが聖女様だわ!」
「聖女じゃありませんから。」
「今は私達だけですから聖女と名乗っても大丈夫ですよ。」
「.................」
サマンサさんとサーシャさんは相変わらず私を聖女と勘違いしている。いくら否定しても正体を隠す為に言っていると信じて疑わない。もうどっちでも良いかと思えてきた。コトラルさんの言うように聖女も女神もとんでもない点ではよく似たものだ。
「ところで、ダンジョンにはすぐ潜りますか?それとも先に宿を取った方が良いですかね。」
「宿もそうですが、ダンジョンに潜るにはギルドで手続きをしないといけません。最初からダンジョン内で夜を明かすのは避けたいので、今日は入ったとしても様子見程度にして、明日は朝から夕方まで日帰りでの挑戦とするのは如何でしょう?」
とサマンサさんが提案してくれる。無理をしないということには私も賛成だ。そうすることに決まり、町に入るとまずは宿を1週間分確保し部屋に荷物を置いてから冒険者ギルドに向かった。ギルドでの手続きは簡単なもので、ダンジョンに入るメンバーの名前、この町での滞在予定日数を冒険者証と一緒に申請すると、ダンジョンへの侵入許可書を発行してくれる。ダンジョンに入る時は入り口にある窓口に侵入許可書を見せて再度許可を得る必要があるらしい。それと入る時に申請した予定日を1週間過ぎても出てこない場合は死亡したと見なされるとのこと。でもそれならダンジョンに入る時だけサマンサさん達に付き添ってもらって、中に入ったら私とはぐれたことにしてすぐに出てもらったら良いのではと思う。上層で待機とはいえ、何も危険なダンジョンで私を待っている必要はない。その様にサマンサさんに言ってみるが却下された。サマンサさんはAクラス、サーシャさんはBクラスで、上層であればモンスターが出ても対応可能だとのこと。むしろ目が見えなかった為に今まで出来なかったコトラルさんとアルトくんの訓練をする絶好の機会だと考えているそうだ。この機会にふたりにはEクラスに上がれるだけの実力と経験を身に付けさせたいらしい。そう言われれば無碍に否定もできないので、絶対に無理はしないことと予定の時間になっても私が戻らない場合は私を待ったり探したりせず、すみやかに外に出ることを約束してもらった。その後、ダンジョンの地図を買ってからギルドを後にした。地図はサーシャさんが既に1枚持っているが、私は別行動をとる可能性が高いから自分用に購入したのだ。ただ地図には地下7階層目までしか記載がない。これより下は未踏破らしいのだ。超越者が居るとすると8階層目以降の可能性が強いかもしれない。
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