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第1章 惑星ルーテシア編
29. 3年後
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私とアレフさんのお披露目から3年が経過した。神殿地下の自然災害防止のための魔道具を再稼働させてから自然災害は沈静化し、食糧難も回避できているので、大きな心配事は無く概ね平穏に過ごせている。
現在アレフさんは人間国の神殿に住んでいる。コルヒさん、トルクさんを始めとするアレフさんの元部下たちは、現在もアレフさんの秘書官として共に働いている。一方、私とハルちゃんは神殿に居ない。人間族の国、ドワーフ族の国、鱗族の国を結ぶ街道の三叉路に位置する交易都市ギネスに家を買って住んでいる。もちろん周りの人達は私が女神であることを知らない。ちょっと裕福な冒険者の夫婦と思っているはずだ。私達の家は高台の一軒家で、近くに家がないので秘密を守るのに都合が良い。実はここに住んでいると言ったが、ある理由でこの惑星の各地を旅して回っていることが多く、この家に滞在する頻度は多くない。それでも帰ってくる家があるのは良いものだと思う。
あれからいくつかの出来事があった。まずは大森林の中にあった正体不明の魔法陣であるが、アレフさんの調査でも大したことは分からなかった。ただ、魔法陣の地下に神殿にあるような巨大魔晶石があり、そこにこの惑星の魔力を蓄積する様設計されているとのこと。相当巨大な魔力を消費する魔術を使うための物らしい。神殿地下の魔晶石の魔力を枯渇させたのはこいつで間違いなさそうだ。アレフさんが測定用の魔道具を持ち込んで調べてくれたところ、すでに地下の魔晶石は満タンになっており、魔力の吸い上げは止まっているとのこと。気味が悪いので、現在この魔法陣は魔力遮断結界で周りを囲んで機能を封じている。破壊すべきかどうか悩んでいるところだ。
次に人間国の王太子キースタリア・モンドールのことである。最近彼は王太子の地位を弟君に譲り、自分は王族籍からも抜け一般人として暮らし始めた。今は王太子であったときの人脈や蓄積した資金をもとに、裕福な商人として暮らしているらしい。王太子の元部下の多くが彼に付いて行ったそうである(周りから慕われていたんだね)。カトリーさんも周りの反対を押し切り彼の元に参じ、ふたりは結婚したそうだ。
最後に私のお披露目の影響である。何せ女神の威光バリバリで人々の前に出たものだから、人々を強烈に魅了してしまったらしい。とくにドワーフ族の国と人間族の国で影響が大きかった。
ドワーフ族の国ではお披露目に出席した人達が私の体型や容姿を伝え、さらにそれに基づいて作成した私の姿絵が爆発的に広まった。彼らが言うには、ドワーフ族こそが神の似姿として作られた種族であることの何よりの証拠であるらしい。ルーテシア様はそれぞれの種族と話をするときは相手に合わせたアバターを使用していたから、どの種族も自分達こそが神の似姿として作られた種族であると主張して譲らなかった。ところが女神トモミの姿はひとつだけであり、それがドワーフ族そっくりであることからドワーフ族は自分達の主張が正しかったと勝利の歓喜に包まれているらしい。それって私の体型が寸胴で太目で背が低いってことだよね。何か複雑である。
人間族の国については更に深刻だ。人間族の国では、私の体型こそが美の極致であるとして、私の体型に近づくための努力をする女性が増えているらしい。要するに逆ダイエットである。女神トモミ様に近づくためにと、美しい女性達が日々努力をしている。ヤメロー! と声を大にして言いたいが、私は人と直接話をするのを止めたので、女神代理官のアレフさんに相談するしかない。彼は、「そんなつまらないことに女神が口を出すべきではありません、一時的な流行などすぐ廃れます。」と言って何もしてくれない。でも本当に一時的な流行なんだろうか。地球でも、昔どこかの国では太っていることが美人の条件だったという話を聞いたことがある。女性が男性に比べ太りやすいのは周知の事実だ。だったら太っていることは自然なことであり、それは美しいのだとならないだろうか。文化ってその程度のものかもしれないよ。いずれにしろ、私としては無理な過食により健康を害する人が続出しないかと心を痛めている。
現在アレフさんは人間国の神殿に住んでいる。コルヒさん、トルクさんを始めとするアレフさんの元部下たちは、現在もアレフさんの秘書官として共に働いている。一方、私とハルちゃんは神殿に居ない。人間族の国、ドワーフ族の国、鱗族の国を結ぶ街道の三叉路に位置する交易都市ギネスに家を買って住んでいる。もちろん周りの人達は私が女神であることを知らない。ちょっと裕福な冒険者の夫婦と思っているはずだ。私達の家は高台の一軒家で、近くに家がないので秘密を守るのに都合が良い。実はここに住んでいると言ったが、ある理由でこの惑星の各地を旅して回っていることが多く、この家に滞在する頻度は多くない。それでも帰ってくる家があるのは良いものだと思う。
あれからいくつかの出来事があった。まずは大森林の中にあった正体不明の魔法陣であるが、アレフさんの調査でも大したことは分からなかった。ただ、魔法陣の地下に神殿にあるような巨大魔晶石があり、そこにこの惑星の魔力を蓄積する様設計されているとのこと。相当巨大な魔力を消費する魔術を使うための物らしい。神殿地下の魔晶石の魔力を枯渇させたのはこいつで間違いなさそうだ。アレフさんが測定用の魔道具を持ち込んで調べてくれたところ、すでに地下の魔晶石は満タンになっており、魔力の吸い上げは止まっているとのこと。気味が悪いので、現在この魔法陣は魔力遮断結界で周りを囲んで機能を封じている。破壊すべきかどうか悩んでいるところだ。
次に人間国の王太子キースタリア・モンドールのことである。最近彼は王太子の地位を弟君に譲り、自分は王族籍からも抜け一般人として暮らし始めた。今は王太子であったときの人脈や蓄積した資金をもとに、裕福な商人として暮らしているらしい。王太子の元部下の多くが彼に付いて行ったそうである(周りから慕われていたんだね)。カトリーさんも周りの反対を押し切り彼の元に参じ、ふたりは結婚したそうだ。
最後に私のお披露目の影響である。何せ女神の威光バリバリで人々の前に出たものだから、人々を強烈に魅了してしまったらしい。とくにドワーフ族の国と人間族の国で影響が大きかった。
ドワーフ族の国ではお披露目に出席した人達が私の体型や容姿を伝え、さらにそれに基づいて作成した私の姿絵が爆発的に広まった。彼らが言うには、ドワーフ族こそが神の似姿として作られた種族であることの何よりの証拠であるらしい。ルーテシア様はそれぞれの種族と話をするときは相手に合わせたアバターを使用していたから、どの種族も自分達こそが神の似姿として作られた種族であると主張して譲らなかった。ところが女神トモミの姿はひとつだけであり、それがドワーフ族そっくりであることからドワーフ族は自分達の主張が正しかったと勝利の歓喜に包まれているらしい。それって私の体型が寸胴で太目で背が低いってことだよね。何か複雑である。
人間族の国については更に深刻だ。人間族の国では、私の体型こそが美の極致であるとして、私の体型に近づくための努力をする女性が増えているらしい。要するに逆ダイエットである。女神トモミ様に近づくためにと、美しい女性達が日々努力をしている。ヤメロー! と声を大にして言いたいが、私は人と直接話をするのを止めたので、女神代理官のアレフさんに相談するしかない。彼は、「そんなつまらないことに女神が口を出すべきではありません、一時的な流行などすぐ廃れます。」と言って何もしてくれない。でも本当に一時的な流行なんだろうか。地球でも、昔どこかの国では太っていることが美人の条件だったという話を聞いたことがある。女性が男性に比べ太りやすいのは周知の事実だ。だったら太っていることは自然なことであり、それは美しいのだとならないだろうか。文化ってその程度のものかもしれないよ。いずれにしろ、私としては無理な過食により健康を害する人が続出しないかと心を痛めている。
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