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第1章 惑星ルーテシア編
23. アレフさん登場
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翌朝、私はこの星に来てから聞いたことがない音で目が覚めた。何だこの音は? 強風が木立を吹き抜ける時の様なヒューという感じの音。 窓から外を見ると、屋敷の前に不思議な形の乗り物が止ろうとしているところだった。2メートル x 4メートルの板の周囲に柵を巡らし、下部にスカートを付けた様な形だ。後部には大型扇風機の様なものが後ろ向きについているが扇風機の羽の部分はプロペラ型ではなく板状で何かの魔法陣が描かれている。
乗り物には5~6人の人が乗り込んでいた、椅子はないので立ったまま柵につかまっている。乗り物が停止すると先ほどからの騒音も嘘のように静かになり、地上1メートルくらいの高さにあった板の部分が地面まで下降して行く。
まさか? これホバークラフト??? 驚いていると、扉から男爵様が飛び出してきた。やはり音に驚いたのだろう。
「マンゼート男爵、久しぶりだな。 ご令嬢が攫われたと聞いて駆け付けたぞ。」
「これは、ポルトフ様。遠路ご足労いただきありがとうございます。」
ポルトフと呼ばれたのは、騎士の鎧を着たたくましい男性だった。ポルトフさんの後からやせ気味の男が降りてきて男爵様に挨拶した。
「だ、男爵様。ご、ご無沙汰しております。」
「アレフ子爵殿! どうしてここへ?」
「も、もちろん、カ、カトリーナ嬢をお助けするためです。わ、我々の開発した魔道具がきっとお役に立つはずです。」
「しかし、あなたとカトリーナのご縁談はお断りしたはずですが。」
「わ、分かっております。い、いまさらカトリーナ嬢とのえ、縁談を持ち出すつもりはありません。ただただ、カトリーナ嬢を救出するお手伝いがしたくて参ったしだいです。」
なんと、探していたアレフさんが向うからやって来た。アレフさんが乗っているということは、あのホバークラフトも魔道具なんだろうな。
私達も挨拶をと思ったが、このタイミングで一介の冒険者が出て行っても相手にされない可能性があるので、王太子殿下が来られるまで待つことにした。ハルちゃんの話ではポルトフと呼ばれた男性はエタルナ伯爵の長男らしい。伯爵の跡継ぎである。恐らくエタルナ領に殿下が来られていることを聞いて、殿下に近づくチャンスだと考えたのではとのこと。
しばらく待っていると殿下一行が到着し、食堂に入ってきた。さっそくポトルフさんが進み出て殿下に挨拶する。
「エタルナ伯爵の長男ポトルフです。殿下が我が領のカトリーナ嬢の救出に尽力されているとお聞きし、是非ご助力させていただきたいと駆け付けました。」
「エタルナ伯の息子か。戦いの心得はあるか?」
「もちろんでございます。」
「よし、我が配下に加わることを許す。」
「ありがたき幸せでございます。」
「ところで、そこに控えているのはその方の部下か? 兵士ではなさそうだが。」
「直接の部下ではございません。我が領の魔道具開発部の者たちです。」
「なぜその様な者がここに居る?」
「我が領で開発している魔道具が、カトリーナ嬢をお探しするお役に立てるのではと考えまして。」
「魔道具とはどのようなものだ。」
「アレフ説明を。」
ポトルフさんは説明をアレフさんに振った。アレフさんは突然話を振られたことと相手が王太子殿下であることから、しどろもどろになる。
「こ、こ、これは、た、た、対象者のま、魔力パターンを、に、に、入力することにより、た、た、対象者を探し出す、ま、魔道具で....」
バーン!!!
突然、殿下はテーブルを思いっきり平手で叩いた。大きな音がし、驚いたアレフさんはそのまま腰が抜けた様に座り込んだ。
「もう良い! お前の様な軟弱者は足でまといだ。とっとと帰るが良い。」
アレフさんは殿下の逆鱗に触れてしまった様だ。その時アレフさんの後ろにいた若い男性が進み出た。簡単であるが鎧を身に着けている。
「お許しいただければ、私から説明させていただきます。」
「許す。」
「この魔道具は対象者の魔力パターンを登録させることにより、半径300メートルの範囲で対象者を探索することが出来ます。魔力パターンの登録には対象者の一部、例えば髪の毛などが残っていれば可能です。一台に登録すれば、魔力パターンは同型の魔道具に複写することが可能です。すなわち、カトリーナ様の髪の毛が1本あれば、ここにある魔道具100台にカトリーナ様の魔力パターンを登録し、探索者がこれをひとつずつ所持することで広範囲の探索が可能になります。」
「よし、分かった。お前は戦いの心得があるか?」
「騎士ではありませんが、鍛練は日々欠かしたことがありません。」
「よし、お前は気に入った。それ以外の者は不要だ帰れ!」
アレフさんを初めとする残りの4名の人々は逃げる様に退室した。殿下が相当怖い様だ。
乗り物には5~6人の人が乗り込んでいた、椅子はないので立ったまま柵につかまっている。乗り物が停止すると先ほどからの騒音も嘘のように静かになり、地上1メートルくらいの高さにあった板の部分が地面まで下降して行く。
まさか? これホバークラフト??? 驚いていると、扉から男爵様が飛び出してきた。やはり音に驚いたのだろう。
「マンゼート男爵、久しぶりだな。 ご令嬢が攫われたと聞いて駆け付けたぞ。」
「これは、ポルトフ様。遠路ご足労いただきありがとうございます。」
ポルトフと呼ばれたのは、騎士の鎧を着たたくましい男性だった。ポルトフさんの後からやせ気味の男が降りてきて男爵様に挨拶した。
「だ、男爵様。ご、ご無沙汰しております。」
「アレフ子爵殿! どうしてここへ?」
「も、もちろん、カ、カトリーナ嬢をお助けするためです。わ、我々の開発した魔道具がきっとお役に立つはずです。」
「しかし、あなたとカトリーナのご縁談はお断りしたはずですが。」
「わ、分かっております。い、いまさらカトリーナ嬢とのえ、縁談を持ち出すつもりはありません。ただただ、カトリーナ嬢を救出するお手伝いがしたくて参ったしだいです。」
なんと、探していたアレフさんが向うからやって来た。アレフさんが乗っているということは、あのホバークラフトも魔道具なんだろうな。
私達も挨拶をと思ったが、このタイミングで一介の冒険者が出て行っても相手にされない可能性があるので、王太子殿下が来られるまで待つことにした。ハルちゃんの話ではポルトフと呼ばれた男性はエタルナ伯爵の長男らしい。伯爵の跡継ぎである。恐らくエタルナ領に殿下が来られていることを聞いて、殿下に近づくチャンスだと考えたのではとのこと。
しばらく待っていると殿下一行が到着し、食堂に入ってきた。さっそくポトルフさんが進み出て殿下に挨拶する。
「エタルナ伯爵の長男ポトルフです。殿下が我が領のカトリーナ嬢の救出に尽力されているとお聞きし、是非ご助力させていただきたいと駆け付けました。」
「エタルナ伯の息子か。戦いの心得はあるか?」
「もちろんでございます。」
「よし、我が配下に加わることを許す。」
「ありがたき幸せでございます。」
「ところで、そこに控えているのはその方の部下か? 兵士ではなさそうだが。」
「直接の部下ではございません。我が領の魔道具開発部の者たちです。」
「なぜその様な者がここに居る?」
「我が領で開発している魔道具が、カトリーナ嬢をお探しするお役に立てるのではと考えまして。」
「魔道具とはどのようなものだ。」
「アレフ説明を。」
ポトルフさんは説明をアレフさんに振った。アレフさんは突然話を振られたことと相手が王太子殿下であることから、しどろもどろになる。
「こ、こ、これは、た、た、対象者のま、魔力パターンを、に、に、入力することにより、た、た、対象者を探し出す、ま、魔道具で....」
バーン!!!
突然、殿下はテーブルを思いっきり平手で叩いた。大きな音がし、驚いたアレフさんはそのまま腰が抜けた様に座り込んだ。
「もう良い! お前の様な軟弱者は足でまといだ。とっとと帰るが良い。」
アレフさんは殿下の逆鱗に触れてしまった様だ。その時アレフさんの後ろにいた若い男性が進み出た。簡単であるが鎧を身に着けている。
「お許しいただければ、私から説明させていただきます。」
「許す。」
「この魔道具は対象者の魔力パターンを登録させることにより、半径300メートルの範囲で対象者を探索することが出来ます。魔力パターンの登録には対象者の一部、例えば髪の毛などが残っていれば可能です。一台に登録すれば、魔力パターンは同型の魔道具に複写することが可能です。すなわち、カトリーナ様の髪の毛が1本あれば、ここにある魔道具100台にカトリーナ様の魔力パターンを登録し、探索者がこれをひとつずつ所持することで広範囲の探索が可能になります。」
「よし、分かった。お前は戦いの心得があるか?」
「騎士ではありませんが、鍛練は日々欠かしたことがありません。」
「よし、お前は気に入った。それ以外の者は不要だ帰れ!」
アレフさんを初めとする残りの4名の人々は逃げる様に退室した。殿下が相当怖い様だ。
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