1 / 90
第1章 惑星ルーテシア編
1. お義母様へのご挨拶
しおりを挟む
なんでこうなった?
私はいままでの人生で最高に困惑していた。いやいや、だっておかしいでしょう。
今私は愛する旦那様のハルトことハルちゃんと一緒に、ハルちゃんのお母様に初めてのご挨拶に来ている。目の前にいるお義母様が、実は太陽系からはるか遠いところにある惑星ルーテシアの女神様で、ものすごく偉い人だということや、ハルちゃんのお母様なのにどう見ても二十歳前後にしか見えないスタイルの良い超絶美人というのはどうでも良い。いや、良くはないのだが、これらはあらかじめ聞いていたことだ。今問題なのはその偉くて美しい女神さまが私の前に跪いていることだろう。
<<上級神さまにお目にかかれるとは、このルーテシア身に余る光栄にございます。>>
女神様からとんでもないお言葉を賜った。よく見ると、かすかに全身が震えている。
私は絶賛混乱中の頭で、何か現状を打破するヒントはないかとここに至るまでの経緯を振り返っていた。
私がハルちゃんと出会ったのは大学生の時だった。私と同じぽっちゃりした体型に親近感を覚え、気が弱いけど誠実でやさしい人柄を気に入っていつの間にか付き合っていた。そのまま卒業後も交際は続き昨日ついに結婚式を挙げた。プロポーズしてくれた時、結婚するなら知っておいてもらった方が良いからとお義母様と惑星ルーテシアのことを話してくれたんだ。いや、もちろん最初は信じなかったよ。でもハルちゃんは冗談を言っている様に見えなかったし、嘘を言う人でないのは確信があった。かといってあまりに荒唐無稽な話なのでせいぜい半信半疑というところだったけど。お義母様への挨拶と新婚旅行を兼ねて、1週間の休暇をとって惑星ルーテシアにやって来たら信じざるを得ない。移動はハルちゃんが地球の神様にお願いした瞬間移動とやらで一瞬だった。驚いたけど、ハルちゃんを信じてよかったという安堵の方が大きかったかな。
到着したのは神殿を思わせる様な石壁の大きな部屋、すぐにタッタッタッという軽い駆け足の音が聞こえ、勢いよく扉を開いて部屋に入ってきたのがハルちゃんのお母様、女神ルーテシア様だった。なお、お義母様の名前と惑星の名前が同じなのは偶然ではない。女神ルーテシア様が管理されている惑星ということで、惑星の名前もルーテシアになったらしい。
「■■■■■■■■■■!!」
部屋に入るなり満面の笑顔で何かを叫んでハルちゃんに抱きつくルーテシア様。
そりゃ嬉しいよね。確か10年ぶりの再会らしいもの。女神様といっても案外気さくそうな方だと安堵したこともあり、笑顔でふたりを見つめる私。ハルちゃんも嬉しそうにルーテシア様をハグしていたが、しばらくして私を紹介しようとしたのかハグしていた腕を緩めて私の方を向いた。
ルーテシア様も一緒にこちらを向かれたのだが、その途端驚愕の目を見開いて笑顔が凍り付いた。その後冒頭の状況に戻る。
私はいままでの人生で最高に困惑していた。いやいや、だっておかしいでしょう。
今私は愛する旦那様のハルトことハルちゃんと一緒に、ハルちゃんのお母様に初めてのご挨拶に来ている。目の前にいるお義母様が、実は太陽系からはるか遠いところにある惑星ルーテシアの女神様で、ものすごく偉い人だということや、ハルちゃんのお母様なのにどう見ても二十歳前後にしか見えないスタイルの良い超絶美人というのはどうでも良い。いや、良くはないのだが、これらはあらかじめ聞いていたことだ。今問題なのはその偉くて美しい女神さまが私の前に跪いていることだろう。
<<上級神さまにお目にかかれるとは、このルーテシア身に余る光栄にございます。>>
女神様からとんでもないお言葉を賜った。よく見ると、かすかに全身が震えている。
私は絶賛混乱中の頭で、何か現状を打破するヒントはないかとここに至るまでの経緯を振り返っていた。
私がハルちゃんと出会ったのは大学生の時だった。私と同じぽっちゃりした体型に親近感を覚え、気が弱いけど誠実でやさしい人柄を気に入っていつの間にか付き合っていた。そのまま卒業後も交際は続き昨日ついに結婚式を挙げた。プロポーズしてくれた時、結婚するなら知っておいてもらった方が良いからとお義母様と惑星ルーテシアのことを話してくれたんだ。いや、もちろん最初は信じなかったよ。でもハルちゃんは冗談を言っている様に見えなかったし、嘘を言う人でないのは確信があった。かといってあまりに荒唐無稽な話なのでせいぜい半信半疑というところだったけど。お義母様への挨拶と新婚旅行を兼ねて、1週間の休暇をとって惑星ルーテシアにやって来たら信じざるを得ない。移動はハルちゃんが地球の神様にお願いした瞬間移動とやらで一瞬だった。驚いたけど、ハルちゃんを信じてよかったという安堵の方が大きかったかな。
到着したのは神殿を思わせる様な石壁の大きな部屋、すぐにタッタッタッという軽い駆け足の音が聞こえ、勢いよく扉を開いて部屋に入ってきたのがハルちゃんのお母様、女神ルーテシア様だった。なお、お義母様の名前と惑星の名前が同じなのは偶然ではない。女神ルーテシア様が管理されている惑星ということで、惑星の名前もルーテシアになったらしい。
「■■■■■■■■■■!!」
部屋に入るなり満面の笑顔で何かを叫んでハルちゃんに抱きつくルーテシア様。
そりゃ嬉しいよね。確か10年ぶりの再会らしいもの。女神様といっても案外気さくそうな方だと安堵したこともあり、笑顔でふたりを見つめる私。ハルちゃんも嬉しそうにルーテシア様をハグしていたが、しばらくして私を紹介しようとしたのかハグしていた腕を緩めて私の方を向いた。
ルーテシア様も一緒にこちらを向かれたのだが、その途端驚愕の目を見開いて笑顔が凍り付いた。その後冒頭の状況に戻る。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
【完結】獅子の威を借る子猫は爪を研ぐ
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
魔族の住むゲヘナ国の幼女エウリュアレは、魔力もほぼゼロの無能な皇帝だった。だが彼女が持つ価値は、唯一無二のもの。故に強者が集まり、彼女を守り支える。揺らぐことのない玉座の上で、幼女は最弱でありながら一番愛される存在だった。
「私ね、皆を守りたいの」
幼い彼女の望みは優しく柔らかく、他国を含む世界を包んでいく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/20……完結
2022/02/14……小説家になろう ハイファンタジー日間 81位
2022/02/14……アルファポリスHOT 62位
2022/02/14……連載開始

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる