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41. シロム、神域へ
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(シロム視点)
前回と同じく神官長様の後を付いて行き供物の間に入った。入ったのは神官長様と僕とチーアルだ。チーアルは「私はシロムと契約しているのだから一心同体なのよ」と言って無理やり付いて来た。まあこんな奴でも神官長様と二人切りになるよりは気が休まる。
供物の間に入り、僕と神官長様は前回と同様聖なる岩の前で祈りを捧げる。チーアルは何を思ったか、僕の背中に回っておぶさってくる。
<< 聖なる山の神様、シロムです。只今帰還いたしました。>>
神様に念話を送るが、それに応えたのはアーシャ様だった。
<< シロムさん、御免なさい。父さまは今ちょっと取り込み中で.....。そうだ! 父さま、シロムさんよ。シロムさんに来てもらいましょう。>>
嫌な予感しかしない。来て欲しいって? まさか神域に? 冗談だよね.....。だが冗談ではなかった様で、聖なる山の神の野太い声が頭に響いた。
<< シロムか? 精霊も一緒だな? 済まんがちょっと手伝ってくれ。>>
<< ちょっとまって! >>
チーアルが緊迫した感じの念を送るが、次の瞬間目の前の景色が切り替わった。
*********************
供物の間に居た僕は、一瞬にして広大な石畳の広場に祈りの姿勢のまま片膝を立てて座っていた。
「シロム、聞いて! ここは神の気が強すぎる。絶対に私を離してはダメよ。」
「強すぎるって? 精霊は神気を吸収する必要があるんだろう。強いと問題なのか?」
「精霊にとって神気は強すぎてもダメなのよ。人間にとって濃すぎる酸素が有害なのと一緒よ。今シロムから離れたら契約が切れてしまう。」
契約が切れる? どちらかが死ぬまで契約は解除されないって言っていたじゃないか。
「違うわよ、契約の解除と契約が切れるのとは大違いなの。契約が切れたら私は妖精に分解して二度と元に戻れない。」
大変じゃないか! 僕は手を後ろに回して背中にぶら下がっているチーアルをしっかりとおんぶする。
「離すなよ。」
「あ~ら、やっぱり私と一緒に居たいんだ。」
この野郎と思った時、アーシャ様がこちらに走ってきた。後ろにはジャニス皇女もいる。
「シロムさん、びっくりしたでしょう、御免なさい。ちょっと厄介なお客さんがやって来てね。」
アーシャ様がそう言って指さす方を見ると、男性二人と女性二人の四人組が広場の反対側に立っていた。異様なのは女性のひとりが大きい事、背丈は常人の5倍は優にありそうだ。明らかに人ではない。
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供物の間に入り、僕と神官長様は前回と同様聖なる岩の前で祈りを捧げる。チーアルは何を思ったか、僕の背中に回っておぶさってくる。
<< 聖なる山の神様、シロムです。只今帰還いたしました。>>
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<< シロムさん、御免なさい。父さまは今ちょっと取り込み中で.....。そうだ! 父さま、シロムさんよ。シロムさんに来てもらいましょう。>>
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<< シロムか? 精霊も一緒だな? 済まんがちょっと手伝ってくれ。>>
<< ちょっとまって! >>
チーアルが緊迫した感じの念を送るが、次の瞬間目の前の景色が切り替わった。
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供物の間に居た僕は、一瞬にして広大な石畳の広場に祈りの姿勢のまま片膝を立てて座っていた。
「シロム、聞いて! ここは神の気が強すぎる。絶対に私を離してはダメよ。」
「強すぎるって? 精霊は神気を吸収する必要があるんだろう。強いと問題なのか?」
「精霊にとって神気は強すぎてもダメなのよ。人間にとって濃すぎる酸素が有害なのと一緒よ。今シロムから離れたら契約が切れてしまう。」
契約が切れる? どちらかが死ぬまで契約は解除されないって言っていたじゃないか。
「違うわよ、契約の解除と契約が切れるのとは大違いなの。契約が切れたら私は妖精に分解して二度と元に戻れない。」
大変じゃないか! 僕は手を後ろに回して背中にぶら下がっているチーアルをしっかりとおんぶする。
「離すなよ。」
「あ~ら、やっぱり私と一緒に居たいんだ。」
この野郎と思った時、アーシャ様がこちらに走ってきた。後ろにはジャニス皇女もいる。
「シロムさん、びっくりしたでしょう、御免なさい。ちょっと厄介なお客さんがやって来てね。」
アーシャ様がそう言って指さす方を見ると、男性二人と女性二人の四人組が広場の反対側に立っていた。異様なのは女性のひとりが大きい事、背丈は常人の5倍は優にありそうだ。明らかに人ではない。
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