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36. 誘拐されるソフィア - 3
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(トーマス視点)
ソフィリアーヌ姫様の消息が不明だ。ギルドを訪れたソフィリアーヌ姫様をつけさせた部下の報告では、ソフィリアーヌ姫様のチームは軍の依頼を受注した農民達の護衛を引き受け魔族の国に向かったと言う。だが、それから半年経ってもこの町を再び訪れることは無かった。クーデターの首謀者ではあるギルドの支配人からは、何度もソフィリアーヌ姫様の消息について確認が来ている。ソフィリアーヌ姫様の協力が得られるかどうかでクーデターの成否が決まると言っても過言ではないからだ。
後悔の念が胸を過る。どうしてソフィリアーヌ姫様がギルドを訪れになった時に協力を願い出なかったのか...。慎重になり過ぎたのかもしれない。俺は一縷の望みをかけて魔族の国を訪れることにした。幸いにして魔族の国に行く商人達が護衛の冒険者を募集している。護衛になれば怪しまれずに魔族の国に入れるだろう。
魔族の国と言っても人間が訪れることが出来るのは開拓村までらしい。これではソフィリアーヌ様を見つけることは無理だろうと思ったが、念のために開拓村の村人にソフィリアーヌ様の居場所を尋ねてみた。案の定、そんな名前は聞いたことが無いと言う。だがソフィアと言う名で尋ねると、開拓村に住む冒険者でソフィアという女性が居ると分かった。こんなに簡単に見つかるわけが無いと思ったが、同じ家に住んでいる冒険者がケイト、マイケル、カラシンだと言う。これは間違いない!
意を決してソフィリアーヌ姫様の家を訪れた。俺の態度次第で国の未来がきまるかもしれないと思うと緊張する。ソフィリアーヌ姫様の家の扉をノックするが返事がない。しばらく待っていたが、扉に手をかけてみると鍵がかかっていない。扉を開けて呼びかけてみようと思い中を覗き込んで驚いた。扉の近くに男がひとり倒れており、床に沢山の血がながれている。おれは急いで家に飛び込んだ。血の跡が部屋の奥から続いているから、おそらくここまで這って来たのだろう。
「おい! しっかりしろ。」
とおれが呼びかけると、男が目を開いた。確かカラシンという魔法使いだ。俺に向かって何かつぶやくがはっきりとは聞き取れない。誰かに右肩から胸にかけて袈裟懸けに切られた様だ。
「ソ フ ィ .....さ ら わ れ.....」
なに!? はっきりとは聞き取れないが、ソフィリアーヌ姫様が攫われたと言いたいのか? だとしたら一大事だ。ソフィリアーヌ姫様を誘拐した犯人の後を追って、必死にここまで這って来たのかもしれない。状況を詳しく聞きだしたいが、カラシンは虫の息だ。おれは急いで荷物から回復薬を取り出した、B級回復薬だ。取って置きの品だが仕方がない、薬を飲ませると顔色が少し良くなったがそれだけだ。くそ、やはり効果が足りないか...。だが、飲ませた回復薬の所為か、カラシンの口調が少しはっきりした。
「右の....ポケット....回復薬が...」
という。ポケットに回復薬? 聞き間違えかと思いながら血まみれの上着のポケットを探ると、確かに何かの瓶が入っている。回復薬か? カラシンは右肩に酷い傷を負っているから自分では取り出せなかったのかもしれない。そういえばソフィリアーヌ姫様達がギルドで薬を売却していったと報告を受けている。すべてA級薬だったそうだ。薬を飲ませて驚いた。カラシンの身体が淡く輝き、光が収まった時には傷口が消えていたのだ。嘘だろう!? 傷跡すら残っていない! A級回復薬でもここまでの効果はないはずだ。
回復したカラシンは、「すまん、礼はあとでする。」と言って部屋の棚から先ほどとよく似た瓶を取り出しテーブルに駆け寄った。なんとテーブルには男と女がそれぞれひとり突っ伏している。たぶんケイトとマイケルだろう。意識が無い様だ。カラシンがふたりに薬を飲ませると、ふたりとも意識を取り戻した。
「カラシン! 何をしてるの、ライルを追いかけなさい。」
とケイトが叫ぶ。それを聞くと、カラシンは床に落ちていた剣を拾って一目散に外に駆け出した。
「ところで、あなたはだれ?」
カラシンが出て行った後、ケイトが緊張した声で俺に尋ねてくる。すでに弓矢を手にして戦闘準備が整っている様だ。おれの返答次第では一戦交えるつもりなのだろう。マイケルも槍をこちらに向けて構えている。
「説明は後でする。今はソフィリアーヌ姫様の救出が先だ。」
「ソフィリアーヌ姫様?」
と怪訝な顔をするケイト、まさか知らないのか??? 「ソフィア様だよ」と俺が追加すると、
「分かった。とりあえず信用するわ。いくわよ。」
と言ってマイケルと一緒に家の外に駆け出した。一瞬迷ったが俺も後に続く。
家の外に出たものの、どちらに行けば良いのか分からない様だ。
「村の入り口に向かうっス。あそこを通らないと村から出られないっス!」
と、マイケルが大きな声で叫ぶ。ケイトが合意すると、ふたりは全速力で駆けて行く。俺も後に続くことにする。ここは土地勘のあるふたりに従う方が良い。しばらく行くとカラシンが3人の男達と対峙しているのが目に入った。周りで見ている村人達の全員がカラシンに注目している、なにせカラシンの服は血だらけだ、見るだけで何かあったと分かる。
俺達が到着すると、カラシンが叫ぶ。
「ソフィアはあの馬車だ。追ってくれ!」
見ると大きな馬車が1台、村から出て行くところだった。ケイトとマイケルがすぐに追いかけようとするが、男達が立ち塞がる。
「ライル! よくも...。そこをどきなさい!」
「これは、これは、ケイトさんにマイケルさんまで、お早いお目覚めですね。確かに殺したはずのカラシンさんが生きているのに比べたら驚きは小さいですけどね。どんな魔法を使ったんですか?」
「話す必要はないわ!」
と言うなりケイトは矢を放つ。だが、至近距離から発射された矢をライルという男は手に持った剣で叩き落して見せた。他のふたりはともかく、こいつはとんでもなく強い...。低級冒険者の3人がかなう相手ではない。だが、ケイトに注意が向いている今がチャンスだ。
俺は、残りのふたりの男に駆け寄り、手にしていた短槍をひとりの胸に向かって一気に突き出す。次の瞬間、男は胸から血を吹き出しながら地面に転がった。あっけに取られているもう一人にナイフを投げると額に深々と突き刺さる。俺だって伊達でギルドマスターをしているわけでは無い。もとはA級の冒険者だ。俺の動きをみてライルの顔から余裕が消える。俺はライルと正面から向かい合いながら、ケイト達に言った。
「こいつは俺に任せて、お前達は馬車を追え。必ずソフィア様を取り戻せよ!」
「感謝するわ。」
とケイトが答え、3人は転がる様に馬車を追いかけて言った。
一方で俺はライルを睨んだまま動けないでいる。こいつの強さは本物だ。一瞬でも隙を見せたら遣られるだろう。もっとも相手も動かないのは同じ理由かもしれない。俺の武器は短槍、ライルのは長剣だ。リーチが長い分俺の方が有利のはずだが全く余裕は無い。久しぶりに対等の相手に出会えたようだ。
「お前は何者だ? なぜ邪魔をする?」
「さあね、そっちが先に話してくれたら、答えてあげよう。」
そう答えた途端、ナイフが俺の顔面目掛けて飛んできた。身を反らして躱すと、次の瞬間ライルの剣が迫る。それを槍の柄で受け止めると同時に蹴りを放つ。ライルは後ろにステップして躱すが、俺の槍が追いかける。槍先が胸に届くが刺さらない。服の下にチェーンメイルを着こんでいる様だ。その後、俺達は再び向かい合って相手の隙を伺う。仕切り直しだ。
「なかなかやりますね。」
とライルが話しかけて来る。
「お前こそな。殺すには惜しい腕だよ。」
と返す。戦いが長引けば魔族の兵士達がやって来るだろう。言葉の通じない異国で捕まりたくないが、それは相手も同じはずだ。必ずすぐに仕掛けて来る。
俺の予想は当たっていたが、情けないことにその方法は想定外だった。突然俺の足の甲を鋭い刃が貫いたのだ。アーススピア!? こいつは魔法使いか! 右足を地面に縫い付けられた俺は動けなくなった。今攻撃されたら負けると覚悟を決めたが、ライルは、
「あばよ!」
と言うなりケイト達が向かった方向に駆け出した。しまった! ケイト達の足止めをするつもりだ。アーススピアの刃から足を引き抜き追いかけるが、傷ついた足では走る事すら出来ない。ライルはみるみる遠ざかってゆく。
だが、ライルの悪運もそこまでだった。前方から魔族の兵士達が駆けて来たのだ。人間も何人か一緒の様だ。そしてその中に一際目立つ金髪がある。ソフィリアーヌ姫様に違いない! ケイト達は間に合った様だ。
ホッと胸をなでおろすが、次の瞬間、俺は自分の目を疑った。ソフィリアーヌ姫様が短剣を構えライルと1対1で向き合ったのだ。バカ野郎! なぜ誰も止めようとしない!?
勝負は一瞬だった。ソフィリアーヌ姫様が、目にも留まらぬ速度でライルに向かって駆けだし、ライルの剣を躱すと同時にその腕を切り落とした。腕を切り落とされたライルは悲鳴をあげながら、左手で傷口を押さえてのたうち回っていたが、ほどなくして魔族の兵士達に捕らえられた。それにしても、あのライルに危なげなく勝つとは恐れ入った。父王様の仇を討つために相当修練されたのだろう。
ソフィリアーヌ姫様の消息が不明だ。ギルドを訪れたソフィリアーヌ姫様をつけさせた部下の報告では、ソフィリアーヌ姫様のチームは軍の依頼を受注した農民達の護衛を引き受け魔族の国に向かったと言う。だが、それから半年経ってもこの町を再び訪れることは無かった。クーデターの首謀者ではあるギルドの支配人からは、何度もソフィリアーヌ姫様の消息について確認が来ている。ソフィリアーヌ姫様の協力が得られるかどうかでクーデターの成否が決まると言っても過言ではないからだ。
後悔の念が胸を過る。どうしてソフィリアーヌ姫様がギルドを訪れになった時に協力を願い出なかったのか...。慎重になり過ぎたのかもしれない。俺は一縷の望みをかけて魔族の国を訪れることにした。幸いにして魔族の国に行く商人達が護衛の冒険者を募集している。護衛になれば怪しまれずに魔族の国に入れるだろう。
魔族の国と言っても人間が訪れることが出来るのは開拓村までらしい。これではソフィリアーヌ様を見つけることは無理だろうと思ったが、念のために開拓村の村人にソフィリアーヌ様の居場所を尋ねてみた。案の定、そんな名前は聞いたことが無いと言う。だがソフィアと言う名で尋ねると、開拓村に住む冒険者でソフィアという女性が居ると分かった。こんなに簡単に見つかるわけが無いと思ったが、同じ家に住んでいる冒険者がケイト、マイケル、カラシンだと言う。これは間違いない!
意を決してソフィリアーヌ姫様の家を訪れた。俺の態度次第で国の未来がきまるかもしれないと思うと緊張する。ソフィリアーヌ姫様の家の扉をノックするが返事がない。しばらく待っていたが、扉に手をかけてみると鍵がかかっていない。扉を開けて呼びかけてみようと思い中を覗き込んで驚いた。扉の近くに男がひとり倒れており、床に沢山の血がながれている。おれは急いで家に飛び込んだ。血の跡が部屋の奥から続いているから、おそらくここまで這って来たのだろう。
「おい! しっかりしろ。」
とおれが呼びかけると、男が目を開いた。確かカラシンという魔法使いだ。俺に向かって何かつぶやくがはっきりとは聞き取れない。誰かに右肩から胸にかけて袈裟懸けに切られた様だ。
「ソ フ ィ .....さ ら わ れ.....」
なに!? はっきりとは聞き取れないが、ソフィリアーヌ姫様が攫われたと言いたいのか? だとしたら一大事だ。ソフィリアーヌ姫様を誘拐した犯人の後を追って、必死にここまで這って来たのかもしれない。状況を詳しく聞きだしたいが、カラシンは虫の息だ。おれは急いで荷物から回復薬を取り出した、B級回復薬だ。取って置きの品だが仕方がない、薬を飲ませると顔色が少し良くなったがそれだけだ。くそ、やはり効果が足りないか...。だが、飲ませた回復薬の所為か、カラシンの口調が少しはっきりした。
「右の....ポケット....回復薬が...」
という。ポケットに回復薬? 聞き間違えかと思いながら血まみれの上着のポケットを探ると、確かに何かの瓶が入っている。回復薬か? カラシンは右肩に酷い傷を負っているから自分では取り出せなかったのかもしれない。そういえばソフィリアーヌ姫様達がギルドで薬を売却していったと報告を受けている。すべてA級薬だったそうだ。薬を飲ませて驚いた。カラシンの身体が淡く輝き、光が収まった時には傷口が消えていたのだ。嘘だろう!? 傷跡すら残っていない! A級回復薬でもここまでの効果はないはずだ。
回復したカラシンは、「すまん、礼はあとでする。」と言って部屋の棚から先ほどとよく似た瓶を取り出しテーブルに駆け寄った。なんとテーブルには男と女がそれぞれひとり突っ伏している。たぶんケイトとマイケルだろう。意識が無い様だ。カラシンがふたりに薬を飲ませると、ふたりとも意識を取り戻した。
「カラシン! 何をしてるの、ライルを追いかけなさい。」
とケイトが叫ぶ。それを聞くと、カラシンは床に落ちていた剣を拾って一目散に外に駆け出した。
「ところで、あなたはだれ?」
カラシンが出て行った後、ケイトが緊張した声で俺に尋ねてくる。すでに弓矢を手にして戦闘準備が整っている様だ。おれの返答次第では一戦交えるつもりなのだろう。マイケルも槍をこちらに向けて構えている。
「説明は後でする。今はソフィリアーヌ姫様の救出が先だ。」
「ソフィリアーヌ姫様?」
と怪訝な顔をするケイト、まさか知らないのか??? 「ソフィア様だよ」と俺が追加すると、
「分かった。とりあえず信用するわ。いくわよ。」
と言ってマイケルと一緒に家の外に駆け出した。一瞬迷ったが俺も後に続く。
家の外に出たものの、どちらに行けば良いのか分からない様だ。
「村の入り口に向かうっス。あそこを通らないと村から出られないっス!」
と、マイケルが大きな声で叫ぶ。ケイトが合意すると、ふたりは全速力で駆けて行く。俺も後に続くことにする。ここは土地勘のあるふたりに従う方が良い。しばらく行くとカラシンが3人の男達と対峙しているのが目に入った。周りで見ている村人達の全員がカラシンに注目している、なにせカラシンの服は血だらけだ、見るだけで何かあったと分かる。
俺達が到着すると、カラシンが叫ぶ。
「ソフィアはあの馬車だ。追ってくれ!」
見ると大きな馬車が1台、村から出て行くところだった。ケイトとマイケルがすぐに追いかけようとするが、男達が立ち塞がる。
「ライル! よくも...。そこをどきなさい!」
「これは、これは、ケイトさんにマイケルさんまで、お早いお目覚めですね。確かに殺したはずのカラシンさんが生きているのに比べたら驚きは小さいですけどね。どんな魔法を使ったんですか?」
「話す必要はないわ!」
と言うなりケイトは矢を放つ。だが、至近距離から発射された矢をライルという男は手に持った剣で叩き落して見せた。他のふたりはともかく、こいつはとんでもなく強い...。低級冒険者の3人がかなう相手ではない。だが、ケイトに注意が向いている今がチャンスだ。
俺は、残りのふたりの男に駆け寄り、手にしていた短槍をひとりの胸に向かって一気に突き出す。次の瞬間、男は胸から血を吹き出しながら地面に転がった。あっけに取られているもう一人にナイフを投げると額に深々と突き刺さる。俺だって伊達でギルドマスターをしているわけでは無い。もとはA級の冒険者だ。俺の動きをみてライルの顔から余裕が消える。俺はライルと正面から向かい合いながら、ケイト達に言った。
「こいつは俺に任せて、お前達は馬車を追え。必ずソフィア様を取り戻せよ!」
「感謝するわ。」
とケイトが答え、3人は転がる様に馬車を追いかけて言った。
一方で俺はライルを睨んだまま動けないでいる。こいつの強さは本物だ。一瞬でも隙を見せたら遣られるだろう。もっとも相手も動かないのは同じ理由かもしれない。俺の武器は短槍、ライルのは長剣だ。リーチが長い分俺の方が有利のはずだが全く余裕は無い。久しぶりに対等の相手に出会えたようだ。
「お前は何者だ? なぜ邪魔をする?」
「さあね、そっちが先に話してくれたら、答えてあげよう。」
そう答えた途端、ナイフが俺の顔面目掛けて飛んできた。身を反らして躱すと、次の瞬間ライルの剣が迫る。それを槍の柄で受け止めると同時に蹴りを放つ。ライルは後ろにステップして躱すが、俺の槍が追いかける。槍先が胸に届くが刺さらない。服の下にチェーンメイルを着こんでいる様だ。その後、俺達は再び向かい合って相手の隙を伺う。仕切り直しだ。
「なかなかやりますね。」
とライルが話しかけて来る。
「お前こそな。殺すには惜しい腕だよ。」
と返す。戦いが長引けば魔族の兵士達がやって来るだろう。言葉の通じない異国で捕まりたくないが、それは相手も同じはずだ。必ずすぐに仕掛けて来る。
俺の予想は当たっていたが、情けないことにその方法は想定外だった。突然俺の足の甲を鋭い刃が貫いたのだ。アーススピア!? こいつは魔法使いか! 右足を地面に縫い付けられた俺は動けなくなった。今攻撃されたら負けると覚悟を決めたが、ライルは、
「あばよ!」
と言うなりケイト達が向かった方向に駆け出した。しまった! ケイト達の足止めをするつもりだ。アーススピアの刃から足を引き抜き追いかけるが、傷ついた足では走る事すら出来ない。ライルはみるみる遠ざかってゆく。
だが、ライルの悪運もそこまでだった。前方から魔族の兵士達が駆けて来たのだ。人間も何人か一緒の様だ。そしてその中に一際目立つ金髪がある。ソフィリアーヌ姫様に違いない! ケイト達は間に合った様だ。
ホッと胸をなでおろすが、次の瞬間、俺は自分の目を疑った。ソフィリアーヌ姫様が短剣を構えライルと1対1で向き合ったのだ。バカ野郎! なぜ誰も止めようとしない!?
勝負は一瞬だった。ソフィリアーヌ姫様が、目にも留まらぬ速度でライルに向かって駆けだし、ライルの剣を躱すと同時にその腕を切り落とした。腕を切り落とされたライルは悲鳴をあげながら、左手で傷口を押さえてのたうち回っていたが、ほどなくして魔族の兵士達に捕らえられた。それにしても、あのライルに危なげなく勝つとは恐れ入った。父王様の仇を討つために相当修練されたのだろう。
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