6 / 10
番外編1 藤堂陽介の身勝手な妄執
番外編1-3
しおりを挟む
「僕、好きな人が出来ちゃった」
「は!?」
出会って第一声、ニコニコと笑って恭弥に告げた。
大学のベンチに座っていた彼は虚を突かれたような顔で僕を見返してきた。
「天地がひっくり返ってもありえない。槍どころか太陽が降ってくるだろ」
驚愕の表情を浮かべたまま彼は言い、スマホを持ったままの姿勢で固まっている。
「そのことわざ、使い方間違ってない? 晴天の霹靂みたいな意味じゃなかったはずだよ」
「そんな事はどうでもいい。お前が? ありえないだろ!!だいたいお前にそんな感情あったのか?」
「失礼だなぁ。初恋なんだから応援してほしいな。それでさ……協力してほしい事があるんだよね」
僕は、彼の横に腰を下ろすと、多少の脚色を交えながら彼との出会いから僕が感じたこと、そして今回立てた計画の内容を恭弥に語って聞かせた。
だが、彼の仄暗い感情については、恭弥に告げる事はしなかった。
それは僕だけが知っていればいいことだから。
僕の観察の結果、彼は被虐性癖を持っていて自分からよくトラブルを起こしている。なので、集団で性的暴行を働いてやれば、きっと彼は喜ぶはずだ。と彼に言った。
普通の高校生であれば駅のトイレでロストヴァージンなんてそうそうあることではないだろう。
「それが嘘だか本当だかは知らねぇが、まぁ付き合ってやってもいいぜ。それでお前の『初恋』は実るのか?」
「さぁ……どうだろうね」
実るわけがない。そう思ったが曖昧に誤魔化した。
所詮、恭弥も僕の初恋が実ることを本当に望んでいるわけでもないし、僕も本来の目的は別のところにあるわけだから意味のない質問だ。
「2人だとちょっと人数が足りないから……あと、2、3人必要かな?睦月はどうかな?あと、水無瀬の2人。」
「睦月はいいんじゃねぇか?そういうの好きそうだし。でも、水無瀬兄弟はタチ悪くね?お前の『好きな人』とやらは後々困るんじゃねぇの?」
睦月とは、僕と恭弥の共通の友人でオタク気質のある神経質な人物だ。顔は悪くないがあまり身なりを整えるタイプではない。
美少女陵辱ものが好きらしく、最近は電子書籍でいくらでも買えると喜んでおり、内容について詳しく語られることが増えていた。
実際に自分が行動する場合についても詳細な計画を考えているらしい。
恭弥曰く、もうやってる。だそうだ。彼は何かを知っているらしい。
趣味や性格の違いはあれど、犯罪行為に忌避感がないという点では僕たち3人は同類だった。
一方、水無瀬兄弟は大学では有名人で、兄の水無瀬拓也と弟の水無瀬真也は1歳違いの年子だ。
彼らの親は裏社会の住人で、兄弟自身も大学生でありながらよからぬ集団に所属しているようだった。
兄の拓也は、一見すると普通の大学生だったが、鋭い頭脳を駆使して、違法なビジネスや詐欺行為に手を染めている、という噂がある人物だった。
弟の真也は、兄とは対照的に、表立って暴力を振るうタイプで、喧嘩っ早く、力を誇示することに躊躇がなかった。
彼ら2人とはあまり親しい間柄ではなかったが、恭弥を通してある程度の面識はあった。
この手の事に関しては恭弥を通して依頼すれば了承を得られるだろう。
「困るかもね。でも、僕はそれでいいと思ってる」
笑みを浮かべたまま首をかしげるようにして答えた。
後に水無瀬兄弟がその件で彼に何かをしたとしても、僕の楽しみが増すだけなような気がした。
「ちょっと待ってろ」
彼はどこかに電話を掛けると、何か指示を出していた。
「直接は関与しねぇけど、周りを固めて貰う依頼をした。ガチで輪姦すだけならその道のプロに依頼すればもっと簡単だと思うぜ。頼んでやろうか?」
「やだよ。僕の知らないところで彼にそんな目にあってほしくない。僕は彼が好きなんだから。というか、なんだかんだ言って、恭弥もノリノリじゃない?」
「ああ、面白そうだからな。最近退屈していたし」
「やっぱり金と権力があるとダメ人間まっしぐらなのかな」
「ははっ、金と権力を持ってるのは俺の親だけどな。子供の育て方に失敗してんだよ。つうか、人格が破綻してるお前に言われたくねぇっつの!」
彼は軽快な笑い声をあげて応えた。
彼の言うように、彼の親は恭弥の起こした軽犯罪を軽く握りつぶせるくらいの権力と金を持っている。
恭弥は気に入った女が居れば、強引に身体を奪ったり使い潰して捨てたり、好きなように扱っていた。
それは女だけではなく男も含まれて居た。
「しっかし、睦月は男相手に勃つかねぇ。まぁ、勃たなくても賑やかしに居てもらうだけでいっか。面白くなってきたなぁ。」
恭弥はニヤニヤとしながらスマホを操作し、立ち上がって僕を促した。
「じゃあ、睦月と水無瀬兄弟に声掛けに行こうぜ」
こうして計画は実行された。
「は!?」
出会って第一声、ニコニコと笑って恭弥に告げた。
大学のベンチに座っていた彼は虚を突かれたような顔で僕を見返してきた。
「天地がひっくり返ってもありえない。槍どころか太陽が降ってくるだろ」
驚愕の表情を浮かべたまま彼は言い、スマホを持ったままの姿勢で固まっている。
「そのことわざ、使い方間違ってない? 晴天の霹靂みたいな意味じゃなかったはずだよ」
「そんな事はどうでもいい。お前が? ありえないだろ!!だいたいお前にそんな感情あったのか?」
「失礼だなぁ。初恋なんだから応援してほしいな。それでさ……協力してほしい事があるんだよね」
僕は、彼の横に腰を下ろすと、多少の脚色を交えながら彼との出会いから僕が感じたこと、そして今回立てた計画の内容を恭弥に語って聞かせた。
だが、彼の仄暗い感情については、恭弥に告げる事はしなかった。
それは僕だけが知っていればいいことだから。
僕の観察の結果、彼は被虐性癖を持っていて自分からよくトラブルを起こしている。なので、集団で性的暴行を働いてやれば、きっと彼は喜ぶはずだ。と彼に言った。
普通の高校生であれば駅のトイレでロストヴァージンなんてそうそうあることではないだろう。
「それが嘘だか本当だかは知らねぇが、まぁ付き合ってやってもいいぜ。それでお前の『初恋』は実るのか?」
「さぁ……どうだろうね」
実るわけがない。そう思ったが曖昧に誤魔化した。
所詮、恭弥も僕の初恋が実ることを本当に望んでいるわけでもないし、僕も本来の目的は別のところにあるわけだから意味のない質問だ。
「2人だとちょっと人数が足りないから……あと、2、3人必要かな?睦月はどうかな?あと、水無瀬の2人。」
「睦月はいいんじゃねぇか?そういうの好きそうだし。でも、水無瀬兄弟はタチ悪くね?お前の『好きな人』とやらは後々困るんじゃねぇの?」
睦月とは、僕と恭弥の共通の友人でオタク気質のある神経質な人物だ。顔は悪くないがあまり身なりを整えるタイプではない。
美少女陵辱ものが好きらしく、最近は電子書籍でいくらでも買えると喜んでおり、内容について詳しく語られることが増えていた。
実際に自分が行動する場合についても詳細な計画を考えているらしい。
恭弥曰く、もうやってる。だそうだ。彼は何かを知っているらしい。
趣味や性格の違いはあれど、犯罪行為に忌避感がないという点では僕たち3人は同類だった。
一方、水無瀬兄弟は大学では有名人で、兄の水無瀬拓也と弟の水無瀬真也は1歳違いの年子だ。
彼らの親は裏社会の住人で、兄弟自身も大学生でありながらよからぬ集団に所属しているようだった。
兄の拓也は、一見すると普通の大学生だったが、鋭い頭脳を駆使して、違法なビジネスや詐欺行為に手を染めている、という噂がある人物だった。
弟の真也は、兄とは対照的に、表立って暴力を振るうタイプで、喧嘩っ早く、力を誇示することに躊躇がなかった。
彼ら2人とはあまり親しい間柄ではなかったが、恭弥を通してある程度の面識はあった。
この手の事に関しては恭弥を通して依頼すれば了承を得られるだろう。
「困るかもね。でも、僕はそれでいいと思ってる」
笑みを浮かべたまま首をかしげるようにして答えた。
後に水無瀬兄弟がその件で彼に何かをしたとしても、僕の楽しみが増すだけなような気がした。
「ちょっと待ってろ」
彼はどこかに電話を掛けると、何か指示を出していた。
「直接は関与しねぇけど、周りを固めて貰う依頼をした。ガチで輪姦すだけならその道のプロに依頼すればもっと簡単だと思うぜ。頼んでやろうか?」
「やだよ。僕の知らないところで彼にそんな目にあってほしくない。僕は彼が好きなんだから。というか、なんだかんだ言って、恭弥もノリノリじゃない?」
「ああ、面白そうだからな。最近退屈していたし」
「やっぱり金と権力があるとダメ人間まっしぐらなのかな」
「ははっ、金と権力を持ってるのは俺の親だけどな。子供の育て方に失敗してんだよ。つうか、人格が破綻してるお前に言われたくねぇっつの!」
彼は軽快な笑い声をあげて応えた。
彼の言うように、彼の親は恭弥の起こした軽犯罪を軽く握りつぶせるくらいの権力と金を持っている。
恭弥は気に入った女が居れば、強引に身体を奪ったり使い潰して捨てたり、好きなように扱っていた。
それは女だけではなく男も含まれて居た。
「しっかし、睦月は男相手に勃つかねぇ。まぁ、勃たなくても賑やかしに居てもらうだけでいっか。面白くなってきたなぁ。」
恭弥はニヤニヤとしながらスマホを操作し、立ち上がって僕を促した。
「じゃあ、睦月と水無瀬兄弟に声掛けに行こうぜ」
こうして計画は実行された。
54
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる