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第2章 異世界幼少期編(オリヴァー)
第6話【魔導×奇跡×ゴーレム】
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ウィンスター家の屋敷の別館にはこの時代では珍しく、非常に広い図書館を備えており、希少で高価な羊皮紙の本が幾多も貯蔵されていた。
図書館は全体がコロッセオのように円形の建屋となっており、内壁に沿うように本棚が幾層に並び、建屋中央には人の背ほどの高さがある円形の窪みがあった。
その窪みは短弓の試射が行えるほど広く、窪みの周囲を松明が等間隔に並び照らしていた。
そして、父アーサーはその図書館の窪みの中心でオリヴァーに魔導の指南を行っていた。
「オリー、この世の中には『魔力』を扱うことで使える力があって、この力を『魔導』というんだ
この魔導の種類には大きく分けて3つあって『魔術』、『魔法』、『奇跡』がある、今日はこれらの魔導について軽く教えよう」
父アーサーは魔術や魔法を実演しながらオリヴァーに大まかな説明をしていくと体が淡く光を帯びて、オリヴァーに手の平を見せるように手を胸元まで上げた。
「父さんの体から流れる光が見えるだろ?これが魔力だ
魔力は人類や魔族が発する力で、体全体から生まれる魔力をまとめ上げ、集中して制御することで体の力が強くなったり体を丈夫にしたり、魔力を変換して放つことで魔術や魔法が扱えるようになる
そして、人が発する魔力には個性があって、生まれながらに得意な魔導が決まってしまうんだ、人それぞれの魔力の特徴のことを”魔紋”と言って、同じ魔紋を持つ人はいないと言われているんだ・・・、
例えそれが兄弟であってもね」
父アーサーはそう言い終えると火の付いたランプを左手に持っていた。
「では、まずは魔術について教えようか・・・、魔術は魔力を使って自然現象を制御する技術だ」
反対の右手をランプの火の上にかざすとその火は指を広げると大きく、握ると小さく火力が変化していた。
「魔術でランプの火を制御しているんだ・・・、火の魔術は魔力で火を大きくしたり・・・、小さくしたり出来るが・・・」
かざした右手が掌を返しながら握られるとランプの火はそれに合わせるように消え、ランプの口から白い一筋の煙が舞った。
「だが、魔術では火を起こすことが出来ない、ではどうするか? ここで魔法を用いるんだ」
父アーサーがそう言うと掌の上の一点に光が集まり、赤い光を発する様になるとそこには陽炎のような揺らめきを纏った小さな火が燻っていた。
「オリー、これが魔法だよ 」
「凄い、何も無い所から火が出た!」
「『魔法』は魔力で自身が望む現象を具現化する魔導で、例えば火の魔法であれば魔力で火を具現化することができる
ただ、使う魔力は魔術とは比べ物にならない程多くて集中力が必要になるんだ」
そう言ってアーサーは手の平に生じた陽炎を帯びた火をランプの口に近づけて移し、火を灯した。
「魔力で火を扱う場合は種火だけ魔法を使って発火させて、魔術で火を制御したほうが楽だ
いいかいオリー、魔導を扱う術者の器量や才能は如何に『魔法』の使用を抑え、『魔術』で目的の現象を作り出すのかが問われるんだ 」
ランプの火は陽炎が無い状態となり、真ん丸の球体へと滑らかに変わっていた。
「もし、魔法に頼った魔導しかできなければ、周りからその未熟さを蔑まれて『魔法使い』と呼ばれてしまう
だから、魔術もしっかり学んで魔導を扱える『魔導使い』になってほしい」
父アーサーは球状の火を鳥の形にして飛ばした。 火の鳥は輝きながら羽ばたき、空へ目掛けて融けるように消えていったが、オリヴァーの輝く瞳にはその光が残り続けた。
「オリー、魔術や魔法は今見せた火の魔導だけじゃなく、水の魔導、風の魔導、土の魔導があるけど知っているかい?」
オリヴァーは神話に関わる単語が出たことで意気揚々と答えた。
「はい!! 魔神の力ですね!!」
「そう、神話でも語られる魔導だ、この4つの魔導の分け方を魔導系統と言って、人それぞれ得意な魔導系統が分かれるんだ」
この世界には4系統の魔導が存在し、それぞれ特徴を持ち、人それぞれ生まれながらにして得意な魔導系統が決まっていた。
つまるところ、血統によって扱えやすい魔導が決まっており、当時の人類はこの理由をよく理解していなかったが母親の魔導系統が子供に遺伝することは経験則的に分かっていた。
そして各魔導系統毎に扱える細かな魔導が定まっており、
火の魔導系統であれば、物を加熱したり火を操作できる『炎熱魔導』、
身体能力や手に持った武具を頑丈に、鋭く、力強く強化できる『強化魔導』、
自身の魅力を相手に錯覚させる『魅了魔導』が扱えた。
水の魔導系統であれば、流れる液体を操作できる『水流魔導』、
魔力を与えたものを脆くさせる『揖斐魔導』、
金属の様な個体を流体に変化させ操作する『冶金魔導』が扱えた。
風の魔導であれば、周囲の風を操る『疾風魔導』、
魔力を与えれば生命を癒やす『回復魔導』、
周囲の音を操る『音響魔導』が扱えた。
土の魔導であれば、大地の土石を操る『土石魔導』、
死霊を治め、祓い、使役できる『死霊魔導』、
神へ供物を捧げることで神力を別けてもらえるとされる『神働魔導』が扱えた。
これらは代表的な魔導の一端であり、時代を経る毎に新たな魔導が見つかることもあった。
「父上、僕の魔導はどうなのでしょうか? 父上の様な火の魔導を扱えますか?」
「そうだね、母さんの魔導系統は土だから・・・、多分オリーは土の魔導系統になるだろうね」
オリヴァーは自らの魔導系統が輝かしい火ではなく地味な土であることに少しがっかりした。
「土ですか・・・」
「いや、土の魔導もガッカリするものではないよ、系統以外の魔導も修練すれば扱えるからね?」
それでもオリヴァーのガッカリしたふくれっ面を晴らすことが出来なかったアーサーは一つ提案する。
「そうだ、今度知り合いの祓魔師に合わせてあげよう」
「祓魔師?」
オリヴァーは聞き慣れない言葉にキョトンとした。
「そうだ、祓魔師は土の魔導系統の死霊魔導でアンデットを祓う専門家で、いつも父さんの領内で現れるアンデットを倒してもらっているんだ
ついでにオリーの土の魔導系統の指南も頼んでみよう、あの人は父さんが知る中で屈指の祓魔師だ・・・、いい勉強になるだろう」
辺境伯ウィンスター家の領地には辺境伯故に境界を維持してきた数だけ戦があり、その領地には古戦場も含まれており、月夜の古戦場では戦死者達のアンデットが出没していた。
このアンデットが出没する地域は生者を許さず、領民の居住にも農地としても適さぬ地が広大に広がっており、王によって定められた領地の広さによって収める税の足しにもならなかった。
ウィンスター家はこの問題に一番頭を抱えていたため、有効活用できる領地を増やすべくアンデットを放逐するために代々領主は腕の良い祓魔師を雇っていたのだった。
そして、この時丁度、領主であるアーサーは国外にいる昔馴染みのある祓魔師に依頼を掛けようとしていたところだった。
「さて、依頼するには・・・、そうだな久々にアレを使うか・・・」
アーサーは手紙を一筆書くと図書館の片隅に置かれ、布が被せられた物を取り出し、オリヴァーの前で布を取り払うと、木彫りの鳥が現れた。
木彫りの鳥は鳩のような大きさで胸の部分には球状の赤い宝石が埋め込まれ、各所に細かな文字の刻印が施されていた。
その木彫りの鳥にアーサーは膨大な魔力を送り始めると木彫りの鳥が動きはじめ、首の根元周りに魚のエラのような穴が空き空気を取り込み始めた。
「父上、これは一体何ですか?! たくさんの魔力を送ったらまるで生き物の様に動いてますよ!」
「これは鳩型のウッドゴーレム、名前は確かシェールアミュだったな、しばらく使っていなかったから動かすのに大量の魔力が必要なんだ・・・、きちんと動いてくれれば自動的に風から魔力を取り込んでくれるようになる・・・、
よし、そろそろ頃合いだな」
アーサーはそう言うと鳩型ゴーレムことシェールアミュへの魔力供給を止め、活き活きと動くシェールアミュについさっきしたためたばかりの手紙を首にくくりつけた。
手紙を受け取ったシェールアミュはその場から飛び立ち、図書館の開いた窓から外へ飛び去っていった。
シェールアミュはコーネリアの祖母が作ったものであり、覚え記憶させた場所目掛けて飛ばすことが出来た。
シェールアミュはとても便利なものであり、飛脚や船や馬車を用いた郵便と比べ文通速度に雲泥の差があった。
しかし、シェールアミュは非常に貴重な物であり、普段使いの出来ない代物だったために大切に保管されていくうちに仕舞い込まれていったのだった。
そして、仕舞い込まれたシェールアミュを動かすのに大量の魔力を放出したアーサーはやや疲れていた。
「父上、シェールアミュは何処へ飛んでいったのでしょうか?」
「祓魔師のところだよ、シェールアミュは祓魔師の場所を知っているから手紙を届けてくれるんだ・・・
さて、魔術や魔法の次は『奇跡』について教えようか」
そう言うと父アーサーはオリヴァーに魔導の奇跡について語った。
「今まで魔術と魔法について説明したが今から言う『奇跡』は魔力を伴う力だが全く違うものになる」
「どう違うのですか?」
「魔術と魔法は魔力の注ぎ方や注いだ魔力の質と量が同じであれば誰がやっても同じ現象が生まれるが、奇跡というものは神様がその人の魂や努力をお認めになって初めて人に授けるもので、人によって様々な異能や複雑な現象を引き起こすんだ」
「神様がくれた奇跡は魔術や魔法よりも強力なの?」
「そうだね、確かに奇跡は強力で複雑な事が出来る
ただ、奇跡が得られるチャンスは人生に一度だけだ、願いの強さと魔力量が多ければ多いほど強力で複雑な奇跡を得ることができるらしい 」
「うーん、神様は認めてくれるかな?」
「そうだね、だいたい15歳位になったら皆奇跡を授かるが人それぞれだ・・・」
オリヴァーは不安だった。 もし、神様に認められず、奇跡を授かれなかったら。
そんな人間は冒険など出来ないと。
不安な顔を浮かべたオリヴァーにアーサーはにこやかに答えた。
「大丈夫、きっと神様はオリーの努力を見ていて下さる、必ず奇跡は授かれるさ
そうだね、どんな奇跡を願うのかちゃんと考えるんだよ
奇跡は魔術や魔法じゃ出来ないこと、努力を積み重ねても出来ないことが成し遂げられる
だから、努力で出来ることを奇跡にしたら後悔することになるよ」
神が授ける奇跡は身分を問わず人生を一変させる。
だから、人生で一度きりのチャンスを最大限活かすために、数多の魔導を知ることで自らの願いが魔術や魔法で代用できるか否かを知るのは非常に重要だった。 そのため、王族や貴族といったエリート層が自らの後継者に対して15歳迄の教育や自己啓発に余念がなく、衣食住を共にする傾向が強かった。
祓魔師の到着を待つ傍ら、ある日オリヴァーは屋敷の図書館で分厚く古びた羊皮紙の書籍を見つけた。
書籍のタイトルは『ゴーレムの製作極意 著:ジュリア・フレール』
その書籍を手に取りパラパラと捲りながら内容を確認していくとゴーレムについて書かれていた。
「ゴーレムについてか・・・」
オリヴァーの脳裏には先日見たシェールアミュがまるで生き物のように飛び立つ様が思い浮かんだ。
そして、自ら造形し、魔力を注ぎ込んで動いてくれる存在を作れたら面白そうだと思った。
幼いオリヴァーにとって冒険以外のことで興味を抱くのは初めてで、没頭し読み更けてしまっていた。
「専門用語とか多くて難しそうだ、探険家に必要な特技じゃないけど・・・
父さんは魔力を注いでゴーレムを動かしていたけど、ゴーレムについて知ってるかな?」
一向に読みきれない難解な書籍を自分の部屋に持ち込んで更に読み込むが幼いオリヴァーにとって理解できる範囲は少なく、行き詰まってしまった。
「(あぁ、こういう難しい本を理解できる魔導はないのかな・・・?)」
その日の夕食時、オリヴァーは父アーサーにゴーレムの書籍について聞いてみた。
「父上、今日ゴーレムについて書かれた書籍を見付けたんですけど何かご存知ありませんか? 僕、その、ゴーレムに興味があるんです」
父アーサーは我が子の冒険以外の興味が増えた事に喜びを抱きつつ、顎を触りながら思い出に耽るように思案し、ばつが悪そうに答えた。
「ふふふ、懐かしいね、それは恐らくオリーの曽祖母・・・、母さんのおばあちゃんの本だろうね
父さんは母さんのおばあちゃんがゴーレムを扱っていたのを覚えてるよ、あのシェールアミュもお母さんのおばあちゃんから貰ったものだ
・・・でもね、父さんはゴーレムに詳しくなくて、その魔導をオリーに教えてあげられないんだよ」
「そうですか・・・」
オリヴァーはがっかりしながらも修行の合間を縫って行える独学にどれだけ時間が捻出できるか心のなかで計算し始めた。
すると、父アーサーから思いがけない言葉が返ってきた。
「だがオリーがそれに興味があるとは意外だったね、父さんじゃ教えてあげられないけど詳しい人達を知ってるからその人達に会わせてあげようか?」
「本当!?」
オリヴァーの顔がみるみるうちに明るくなり、輝かしい視線をアーサーに向けていた。
「ああ、本当だよ、ただし、ゴーレムについて学んでいても父さん母さんの課題はちゃんとこなす事、いいね?」
「はい、頑張ります!」
こうしてシェールアミュは手紙を携えて再びウィンスター家の屋敷から飛び立ち、領地を飛び去り、海を越えた。
そして、連合王国の対岸に位置するエディアルト法王国の空を飛び、とある立派な屋敷にたどり着いた
シェールアミュは屋敷の2階の窓辺に留まり、当時では極めて珍しいガラス張りの窓を覗き込むと窓枠をノックするように突付いた。
コンコン・・・、コンコン・・・、コンコン・・・
「あら、あの子からなんて珍しいわ・・・」
部屋の奥から来た琥珀色の肌で黒い長髪の少女は窓を開けて、シェールアミュから手紙を受け取ると赤い瞳がその手紙の内容を追い、それが終わると少女はニッコリと笑った。
すると手紙を持った少女は黒髪をなびかせながら部屋を後にし、1階目掛けて階段を駆け下りると明るい声で誰かに伝えるように叫んだ。
「エリーザちゃん! エリーザちゃん! アーサーから手紙よ!! 出張の準備しましょ!!」
エリーザと呼ばれたミディアムロングの金髪に肌白な少女は階段を駆け下りた騒音や大声にビックリしながらニコニコ笑う黒髪の少女を見据えていた。
この時丁度、エリーザは作業台で作業しており、作業台の上にはいくつか人間大の大きさをした木製の人形のパーツが置かれ、それらのパーツに墨で模様のような文字を描いていた。
「ミーナ、びっくりしたわ・・・!! どうしたの?」
「だ・か・ら~、出張よ!出張~! アーサーの所へ行きましょ! さっさ!!」
ミーナと呼ばれた黒髪の少女はエリーザを囃し立てるように出張の準備を促した。
「えっ・・・、アーサーってコーネリアの!? 連合王国!?」
「そうそう! こんな陰気な場所にいても仕方がないわ! さっさと行きましょ!」
「えぇ・・・、でも馬車の手配はどうするの? そんな直ぐには・・・」
「大丈夫よ! ミュルタレもアーサーの所へ行くみたいよ? 彼女はいつもここに立ち寄るから彼女の馬車に乗っちゃえばいいわ!」
「ええ~!!」
「さぁ~急ぎましょ! エリーザ、今すぐにでもミュルタレは来るかもしれないわよ!
じゃあ、私は手紙のお返しを書いてくるわ!」
エリーザをその場に残して、ミーナは2階の部屋へ駆け戻っていった。
その場に取り残されたエリーザは碧い瞳で作業台に散らばるパーツを眺め、ため息交じりに胸中の言葉が漏れる。
「え~、まだ私作業中なのに・・・、でもコーネリアにアーサー、懐かしいわ」
こうして二人の少女は幼子のために連合王国へ向けて出張の準備を急いで始めたのだった。
図書館は全体がコロッセオのように円形の建屋となっており、内壁に沿うように本棚が幾層に並び、建屋中央には人の背ほどの高さがある円形の窪みがあった。
その窪みは短弓の試射が行えるほど広く、窪みの周囲を松明が等間隔に並び照らしていた。
そして、父アーサーはその図書館の窪みの中心でオリヴァーに魔導の指南を行っていた。
「オリー、この世の中には『魔力』を扱うことで使える力があって、この力を『魔導』というんだ
この魔導の種類には大きく分けて3つあって『魔術』、『魔法』、『奇跡』がある、今日はこれらの魔導について軽く教えよう」
父アーサーは魔術や魔法を実演しながらオリヴァーに大まかな説明をしていくと体が淡く光を帯びて、オリヴァーに手の平を見せるように手を胸元まで上げた。
「父さんの体から流れる光が見えるだろ?これが魔力だ
魔力は人類や魔族が発する力で、体全体から生まれる魔力をまとめ上げ、集中して制御することで体の力が強くなったり体を丈夫にしたり、魔力を変換して放つことで魔術や魔法が扱えるようになる
そして、人が発する魔力には個性があって、生まれながらに得意な魔導が決まってしまうんだ、人それぞれの魔力の特徴のことを”魔紋”と言って、同じ魔紋を持つ人はいないと言われているんだ・・・、
例えそれが兄弟であってもね」
父アーサーはそう言い終えると火の付いたランプを左手に持っていた。
「では、まずは魔術について教えようか・・・、魔術は魔力を使って自然現象を制御する技術だ」
反対の右手をランプの火の上にかざすとその火は指を広げると大きく、握ると小さく火力が変化していた。
「魔術でランプの火を制御しているんだ・・・、火の魔術は魔力で火を大きくしたり・・・、小さくしたり出来るが・・・」
かざした右手が掌を返しながら握られるとランプの火はそれに合わせるように消え、ランプの口から白い一筋の煙が舞った。
「だが、魔術では火を起こすことが出来ない、ではどうするか? ここで魔法を用いるんだ」
父アーサーがそう言うと掌の上の一点に光が集まり、赤い光を発する様になるとそこには陽炎のような揺らめきを纏った小さな火が燻っていた。
「オリー、これが魔法だよ 」
「凄い、何も無い所から火が出た!」
「『魔法』は魔力で自身が望む現象を具現化する魔導で、例えば火の魔法であれば魔力で火を具現化することができる
ただ、使う魔力は魔術とは比べ物にならない程多くて集中力が必要になるんだ」
そう言ってアーサーは手の平に生じた陽炎を帯びた火をランプの口に近づけて移し、火を灯した。
「魔力で火を扱う場合は種火だけ魔法を使って発火させて、魔術で火を制御したほうが楽だ
いいかいオリー、魔導を扱う術者の器量や才能は如何に『魔法』の使用を抑え、『魔術』で目的の現象を作り出すのかが問われるんだ 」
ランプの火は陽炎が無い状態となり、真ん丸の球体へと滑らかに変わっていた。
「もし、魔法に頼った魔導しかできなければ、周りからその未熟さを蔑まれて『魔法使い』と呼ばれてしまう
だから、魔術もしっかり学んで魔導を扱える『魔導使い』になってほしい」
父アーサーは球状の火を鳥の形にして飛ばした。 火の鳥は輝きながら羽ばたき、空へ目掛けて融けるように消えていったが、オリヴァーの輝く瞳にはその光が残り続けた。
「オリー、魔術や魔法は今見せた火の魔導だけじゃなく、水の魔導、風の魔導、土の魔導があるけど知っているかい?」
オリヴァーは神話に関わる単語が出たことで意気揚々と答えた。
「はい!! 魔神の力ですね!!」
「そう、神話でも語られる魔導だ、この4つの魔導の分け方を魔導系統と言って、人それぞれ得意な魔導系統が分かれるんだ」
この世界には4系統の魔導が存在し、それぞれ特徴を持ち、人それぞれ生まれながらにして得意な魔導系統が決まっていた。
つまるところ、血統によって扱えやすい魔導が決まっており、当時の人類はこの理由をよく理解していなかったが母親の魔導系統が子供に遺伝することは経験則的に分かっていた。
そして各魔導系統毎に扱える細かな魔導が定まっており、
火の魔導系統であれば、物を加熱したり火を操作できる『炎熱魔導』、
身体能力や手に持った武具を頑丈に、鋭く、力強く強化できる『強化魔導』、
自身の魅力を相手に錯覚させる『魅了魔導』が扱えた。
水の魔導系統であれば、流れる液体を操作できる『水流魔導』、
魔力を与えたものを脆くさせる『揖斐魔導』、
金属の様な個体を流体に変化させ操作する『冶金魔導』が扱えた。
風の魔導であれば、周囲の風を操る『疾風魔導』、
魔力を与えれば生命を癒やす『回復魔導』、
周囲の音を操る『音響魔導』が扱えた。
土の魔導であれば、大地の土石を操る『土石魔導』、
死霊を治め、祓い、使役できる『死霊魔導』、
神へ供物を捧げることで神力を別けてもらえるとされる『神働魔導』が扱えた。
これらは代表的な魔導の一端であり、時代を経る毎に新たな魔導が見つかることもあった。
「父上、僕の魔導はどうなのでしょうか? 父上の様な火の魔導を扱えますか?」
「そうだね、母さんの魔導系統は土だから・・・、多分オリーは土の魔導系統になるだろうね」
オリヴァーは自らの魔導系統が輝かしい火ではなく地味な土であることに少しがっかりした。
「土ですか・・・」
「いや、土の魔導もガッカリするものではないよ、系統以外の魔導も修練すれば扱えるからね?」
それでもオリヴァーのガッカリしたふくれっ面を晴らすことが出来なかったアーサーは一つ提案する。
「そうだ、今度知り合いの祓魔師に合わせてあげよう」
「祓魔師?」
オリヴァーは聞き慣れない言葉にキョトンとした。
「そうだ、祓魔師は土の魔導系統の死霊魔導でアンデットを祓う専門家で、いつも父さんの領内で現れるアンデットを倒してもらっているんだ
ついでにオリーの土の魔導系統の指南も頼んでみよう、あの人は父さんが知る中で屈指の祓魔師だ・・・、いい勉強になるだろう」
辺境伯ウィンスター家の領地には辺境伯故に境界を維持してきた数だけ戦があり、その領地には古戦場も含まれており、月夜の古戦場では戦死者達のアンデットが出没していた。
このアンデットが出没する地域は生者を許さず、領民の居住にも農地としても適さぬ地が広大に広がっており、王によって定められた領地の広さによって収める税の足しにもならなかった。
ウィンスター家はこの問題に一番頭を抱えていたため、有効活用できる領地を増やすべくアンデットを放逐するために代々領主は腕の良い祓魔師を雇っていたのだった。
そして、この時丁度、領主であるアーサーは国外にいる昔馴染みのある祓魔師に依頼を掛けようとしていたところだった。
「さて、依頼するには・・・、そうだな久々にアレを使うか・・・」
アーサーは手紙を一筆書くと図書館の片隅に置かれ、布が被せられた物を取り出し、オリヴァーの前で布を取り払うと、木彫りの鳥が現れた。
木彫りの鳥は鳩のような大きさで胸の部分には球状の赤い宝石が埋め込まれ、各所に細かな文字の刻印が施されていた。
その木彫りの鳥にアーサーは膨大な魔力を送り始めると木彫りの鳥が動きはじめ、首の根元周りに魚のエラのような穴が空き空気を取り込み始めた。
「父上、これは一体何ですか?! たくさんの魔力を送ったらまるで生き物の様に動いてますよ!」
「これは鳩型のウッドゴーレム、名前は確かシェールアミュだったな、しばらく使っていなかったから動かすのに大量の魔力が必要なんだ・・・、きちんと動いてくれれば自動的に風から魔力を取り込んでくれるようになる・・・、
よし、そろそろ頃合いだな」
アーサーはそう言うと鳩型ゴーレムことシェールアミュへの魔力供給を止め、活き活きと動くシェールアミュについさっきしたためたばかりの手紙を首にくくりつけた。
手紙を受け取ったシェールアミュはその場から飛び立ち、図書館の開いた窓から外へ飛び去っていった。
シェールアミュはコーネリアの祖母が作ったものであり、覚え記憶させた場所目掛けて飛ばすことが出来た。
シェールアミュはとても便利なものであり、飛脚や船や馬車を用いた郵便と比べ文通速度に雲泥の差があった。
しかし、シェールアミュは非常に貴重な物であり、普段使いの出来ない代物だったために大切に保管されていくうちに仕舞い込まれていったのだった。
そして、仕舞い込まれたシェールアミュを動かすのに大量の魔力を放出したアーサーはやや疲れていた。
「父上、シェールアミュは何処へ飛んでいったのでしょうか?」
「祓魔師のところだよ、シェールアミュは祓魔師の場所を知っているから手紙を届けてくれるんだ・・・
さて、魔術や魔法の次は『奇跡』について教えようか」
そう言うと父アーサーはオリヴァーに魔導の奇跡について語った。
「今まで魔術と魔法について説明したが今から言う『奇跡』は魔力を伴う力だが全く違うものになる」
「どう違うのですか?」
「魔術と魔法は魔力の注ぎ方や注いだ魔力の質と量が同じであれば誰がやっても同じ現象が生まれるが、奇跡というものは神様がその人の魂や努力をお認めになって初めて人に授けるもので、人によって様々な異能や複雑な現象を引き起こすんだ」
「神様がくれた奇跡は魔術や魔法よりも強力なの?」
「そうだね、確かに奇跡は強力で複雑な事が出来る
ただ、奇跡が得られるチャンスは人生に一度だけだ、願いの強さと魔力量が多ければ多いほど強力で複雑な奇跡を得ることができるらしい 」
「うーん、神様は認めてくれるかな?」
「そうだね、だいたい15歳位になったら皆奇跡を授かるが人それぞれだ・・・」
オリヴァーは不安だった。 もし、神様に認められず、奇跡を授かれなかったら。
そんな人間は冒険など出来ないと。
不安な顔を浮かべたオリヴァーにアーサーはにこやかに答えた。
「大丈夫、きっと神様はオリーの努力を見ていて下さる、必ず奇跡は授かれるさ
そうだね、どんな奇跡を願うのかちゃんと考えるんだよ
奇跡は魔術や魔法じゃ出来ないこと、努力を積み重ねても出来ないことが成し遂げられる
だから、努力で出来ることを奇跡にしたら後悔することになるよ」
神が授ける奇跡は身分を問わず人生を一変させる。
だから、人生で一度きりのチャンスを最大限活かすために、数多の魔導を知ることで自らの願いが魔術や魔法で代用できるか否かを知るのは非常に重要だった。 そのため、王族や貴族といったエリート層が自らの後継者に対して15歳迄の教育や自己啓発に余念がなく、衣食住を共にする傾向が強かった。
祓魔師の到着を待つ傍ら、ある日オリヴァーは屋敷の図書館で分厚く古びた羊皮紙の書籍を見つけた。
書籍のタイトルは『ゴーレムの製作極意 著:ジュリア・フレール』
その書籍を手に取りパラパラと捲りながら内容を確認していくとゴーレムについて書かれていた。
「ゴーレムについてか・・・」
オリヴァーの脳裏には先日見たシェールアミュがまるで生き物のように飛び立つ様が思い浮かんだ。
そして、自ら造形し、魔力を注ぎ込んで動いてくれる存在を作れたら面白そうだと思った。
幼いオリヴァーにとって冒険以外のことで興味を抱くのは初めてで、没頭し読み更けてしまっていた。
「専門用語とか多くて難しそうだ、探険家に必要な特技じゃないけど・・・
父さんは魔力を注いでゴーレムを動かしていたけど、ゴーレムについて知ってるかな?」
一向に読みきれない難解な書籍を自分の部屋に持ち込んで更に読み込むが幼いオリヴァーにとって理解できる範囲は少なく、行き詰まってしまった。
「(あぁ、こういう難しい本を理解できる魔導はないのかな・・・?)」
その日の夕食時、オリヴァーは父アーサーにゴーレムの書籍について聞いてみた。
「父上、今日ゴーレムについて書かれた書籍を見付けたんですけど何かご存知ありませんか? 僕、その、ゴーレムに興味があるんです」
父アーサーは我が子の冒険以外の興味が増えた事に喜びを抱きつつ、顎を触りながら思い出に耽るように思案し、ばつが悪そうに答えた。
「ふふふ、懐かしいね、それは恐らくオリーの曽祖母・・・、母さんのおばあちゃんの本だろうね
父さんは母さんのおばあちゃんがゴーレムを扱っていたのを覚えてるよ、あのシェールアミュもお母さんのおばあちゃんから貰ったものだ
・・・でもね、父さんはゴーレムに詳しくなくて、その魔導をオリーに教えてあげられないんだよ」
「そうですか・・・」
オリヴァーはがっかりしながらも修行の合間を縫って行える独学にどれだけ時間が捻出できるか心のなかで計算し始めた。
すると、父アーサーから思いがけない言葉が返ってきた。
「だがオリーがそれに興味があるとは意外だったね、父さんじゃ教えてあげられないけど詳しい人達を知ってるからその人達に会わせてあげようか?」
「本当!?」
オリヴァーの顔がみるみるうちに明るくなり、輝かしい視線をアーサーに向けていた。
「ああ、本当だよ、ただし、ゴーレムについて学んでいても父さん母さんの課題はちゃんとこなす事、いいね?」
「はい、頑張ります!」
こうしてシェールアミュは手紙を携えて再びウィンスター家の屋敷から飛び立ち、領地を飛び去り、海を越えた。
そして、連合王国の対岸に位置するエディアルト法王国の空を飛び、とある立派な屋敷にたどり着いた
シェールアミュは屋敷の2階の窓辺に留まり、当時では極めて珍しいガラス張りの窓を覗き込むと窓枠をノックするように突付いた。
コンコン・・・、コンコン・・・、コンコン・・・
「あら、あの子からなんて珍しいわ・・・」
部屋の奥から来た琥珀色の肌で黒い長髪の少女は窓を開けて、シェールアミュから手紙を受け取ると赤い瞳がその手紙の内容を追い、それが終わると少女はニッコリと笑った。
すると手紙を持った少女は黒髪をなびかせながら部屋を後にし、1階目掛けて階段を駆け下りると明るい声で誰かに伝えるように叫んだ。
「エリーザちゃん! エリーザちゃん! アーサーから手紙よ!! 出張の準備しましょ!!」
エリーザと呼ばれたミディアムロングの金髪に肌白な少女は階段を駆け下りた騒音や大声にビックリしながらニコニコ笑う黒髪の少女を見据えていた。
この時丁度、エリーザは作業台で作業しており、作業台の上にはいくつか人間大の大きさをした木製の人形のパーツが置かれ、それらのパーツに墨で模様のような文字を描いていた。
「ミーナ、びっくりしたわ・・・!! どうしたの?」
「だ・か・ら~、出張よ!出張~! アーサーの所へ行きましょ! さっさ!!」
ミーナと呼ばれた黒髪の少女はエリーザを囃し立てるように出張の準備を促した。
「えっ・・・、アーサーってコーネリアの!? 連合王国!?」
「そうそう! こんな陰気な場所にいても仕方がないわ! さっさと行きましょ!」
「えぇ・・・、でも馬車の手配はどうするの? そんな直ぐには・・・」
「大丈夫よ! ミュルタレもアーサーの所へ行くみたいよ? 彼女はいつもここに立ち寄るから彼女の馬車に乗っちゃえばいいわ!」
「ええ~!!」
「さぁ~急ぎましょ! エリーザ、今すぐにでもミュルタレは来るかもしれないわよ!
じゃあ、私は手紙のお返しを書いてくるわ!」
エリーザをその場に残して、ミーナは2階の部屋へ駆け戻っていった。
その場に取り残されたエリーザは碧い瞳で作業台に散らばるパーツを眺め、ため息交じりに胸中の言葉が漏れる。
「え~、まだ私作業中なのに・・・、でもコーネリアにアーサー、懐かしいわ」
こうして二人の少女は幼子のために連合王国へ向けて出張の準備を急いで始めたのだった。
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