エミューの卵詰め合わせ

北瓜 彪

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2019年 11月の作品

迷作昔話 #3 三枚のお札

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 小僧は和尚から貰ったお札を急いで出し、その内の一枚に
「おらの代わりに返事してくれろ!」
と念じると、便所を抜け出し全速力で山を下っていった。
 鬼婆は何度聞いても用足しの終わらない小僧を怪しみ、綱を強く引っ張った。
 すると便所が崩れ、中から大量の蚊が飛んできた。鬼婆は蚊の媒介する黄熱に罹ってしまった。

 しかしそれでも鬼婆は追ってきた。
 小僧は二枚目のお札を取り出し、叫んだ。
「鳳凰さ、出ろ!」
 するとお札の裏の鳳凰の絵が実体化し、鬼婆に向かって火を吐いた。
 ところが鬼婆はその火を吸い込み、再び走り出した。

 小僧は最後のお札を取り出し、
「本の山さ出ろ!」
と叫んだ。
 すると小僧の後ろに山積みの本が現れ、鬼婆の行く手を阻んだ。
 しかし鬼婆は吸い込んだ火を吐き、本を焼き払ってしまった。

 その時、地面から守礼門が出現し、鬼婆は吹き飛んだ。

 小僧は言った。
「あっ、二千円札あったの忘れてただ。」
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