エミューの卵詰め合わせ

北瓜 彪

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2019年 2月の作品

出来心

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 夜の街の帰り道でも、記憶という名の明かりに照らされている。私はふとそこから外れてみようと思った。
 ここを左折ではなく直進。大丈夫、方向なら分かる。3番目の角で左折、2ブロック直進して、ここらで右折するかな。見かけないコンビニにでも入ってみる。
  「こんばんはー。」
中央にでかでかとクーラーボックスがあって、四方も全てアイスの棚だ。この寒い季節に…そういえば「いらっしゃいませー」じゃない挨拶も近所のコンビニでは聞かないなあ。試しに「ギムネマソフト」を買ってみた。
 風に吹かれてアイスを食べながら行く家路。遠くに海老を模した電波塔が見え、客もいないのに叩き売りの声が響く商店街を抜けると、無人の交番に電話が鳴っている。試しに取ると、息子の声で
「ガピー!プシュウゥゥ…」
帰宅という目的を思い出して元の道に戻る。
 呼び鈴を鳴らした。
「あなたー、お帰りー。」
妻ではない女に迎えられて、私はマフラーを脱いだ。
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