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第一章

第十一話 試練の塔の一階

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 五人の冒険家は山脈エリアへ移動していた。道中出てきたモンスターはすべてセノンが瞬殺していた。

「さて皆さんこれからこの山の頂上を目指すのですが、それまでにみんなにはどんなエリアを得意としているか聞いていきたいんですがいいですか? ちなみに僕の得意なエアはそのエリアが発展していようと、そうでなかろうと高いビルが並んでいたり、住宅街になっていたりなど現実世界にあるようなエリアが得意です。もう一つ言うと不得意なエリアは水中です」

「なるほどねー。私はここもそうだけど空中が有利になるエリアが得意かな~。まぁ、翼があるしわかると思うけど」

 ユリカは一度翼を小さく動かした。

「なるほど。それはよかった。ここを得意とする人に山頂までの道のりを護衛してもらおうと思っているんだけど、ほかにも山脈とか標高が高いところが得意って人はいるかな?」

 セノンが聞くと、三人は無言になった。

「そっか。ならここはユリカが護衛してくれればいいか。なら、ユリカ、お願いできるかな?」

「わかった! 任せといて! その代わりずっと飛んでるから会話には参加できないと思う」

「了解した。なら、登り始めようか」

 セノンが一歩踏み出すと。一香たちも大きな一歩を踏み出す。そして、ユリカはというと大きな翼を広げセノン達の数メートル上を飛ぶ。

 そのとき、政次はいいものを発見してしまう。そして、まじまじを頭上を見る。そのいいものとはユリカの装備のスカートの下であった。そこは男のロマンが詰まっていた。黒色のスパッツが顔をのぞかせており、その横には生の太ももまで見えていた。

 しかし、ユリカはまじまじとしたから自分を見つめている政次に気づき一瞬にして下におり、政次の目の前に泊まる。

「何見ていたの?」

 ユリカは堕天使のようね見た目をし、優しく声をかける。セノンは今気が付いたかのように足を止める。

 セノンが一香と瑠美を見ると、二人も足を止めて、政次の顔を伺っていた。

「……な、何も、見、見ていないで――」

「ほんとに?」

 ユリカはニコニコした表情を何一つ変えずにもう一度問う。

「――は、はい! 何も見ていません! 今後も何も見ません!」
 セノンは少し自分で墓穴を掘っているようにも聞こえたがユリカが気にしていなかったため、気にしないことにした。

「よろしい」

 ユリカは安心するとまた空に飛んでいく。

「全く、その変態は直らないの?」

 一香はあきれてものをいう。

「男はみんなこうなんだよ! でしょ? セノンさん!」

 セノンはなぜ自分に振る、と心の中で愚痴をこぼし言う。

「そんなことないよ。実際、生まれた瞬間の男の子はそんな感情ないと思うし」

 これにはさすがにきつい言い訳かと思ったが、実際はそうでもなかった。

「セノンさんの言う通り。なんで世の男とか言う大きなくくりにしてるの? 自分だけでしょ?」

 こういう時は女は強い。これにはさすがのセノンも戦いたくないと思う。そして、もっと怖いのは瑠美のように興味がないようなふりをされることだとも思った。

「は、はい。おっしゃる通りです」

 政次はこの時はしっかりと反省したようだ。

「さて、そろそろ、みんなの得意なエリアを聞きたいんだが、話せる人から話してくれていいよ」

「わたしはどこでも大丈夫です。理由はわたしが前には出ないってことですかね」

 瑠美はギスギスした空気を壊す。これにはセノンも感謝の気持ちは忘れたくない。

「なるほど。それは治療される側にしたらうれしい回答だね!」

「そうですか? ありがとうございます」

「ここでは治療したくないとかいう人たまにいるんだよね。ここには自分が行きたくないからって。まぁ、実のところ、僕はテルルのメンバーしか関わってこなかったからそんなことも噂でしか聞いたことないんだけどね」

「なんだ。そうなんですか。けどわたしはまもられている立場なので」

 瑠美が心優しいためセノンはもしこれで年が近かったらなどと考えてしまった。

「なるほどね。よく理解した。次は誰かな?」

 こうしている間にもユリカは空飛ぶモンスターと戦っていた。セノンはすこし空の様子も伺いつつユリカの様子も見ていた。

「私は得意なエリアはまだはっきりとはわからないんですけど、たぶんさっきみたいな平野とか広々としたところが戦いやすいです。理由は……棍を思い切り振り回せるから? ですかね」

「なるほど。ならさっき見た攻撃の方法が一番だったってことだね」

「はい! そうです!」

「わかった。最後に政次はどんなところが得意なんだい?」

「お、俺は基本どこでもいいです。自分が得意ではなく相手が苦手化得意かによって自分が決まります」

 セノンは少し考えたがこれはもっと戦いを経験させるべきだと思った。

「なるほど。それはまずいな。それはセカルドではほとんどの場合が対モンスターだから自分の得意なエリアを見つけるといいと思うよ」

「なるほど。わかりました」

「これで全員分聞けたね」

 四人は少しずつみんなのことを知っていった。

 そして、四人は足を進めているうちに山頂についた。

「みんなお疲れ! 話はどうだった?」

「ユリカちゃんお疲れ!」

「うんうん」

 ユリカはこの山頂に来るまで数十匹のモンスターと戦っていた。この戦闘を見たセノンはユリカは自分とは違う戦いだったためいいチームになりそうだと思っていた。

 セノンはここに来るまでの話を大きな岩に座りユリカに細かく話した。

 すると、ユリカはすべてを把握していった。

「わかった。なら今日やることはこの一階を少し見回ればいいね!」

 ユリカはギルドを引き連れて山脈を抜け森林エリアに向かった。

 そこからのモンスターの処理はすべてセノンに任せた。

「ここが森林エリアだよ。ここは大きな木がたくさんあって迷子になる人がい多いことで有名なんだよ。リアルで言えば富士の樹海が近いかな入ったら東西南北がわからなくなるとか……まぁ、セカルドで本当にプレイヤーが死ぬことはないから安心していいけどね!」

 セノンはそんな中、この中で絶えないモンスターと戦っている。が、ユリカはそんなことお構いなし。

「次はここ! 海のエリア。ここはきれいで見渡したらわかると思うけどカップルも多い。浅瀬は大丈夫だけど、深く潜っていくと一階にしては危険なモンスターもいるかな。けど所詮は一階って感じだね。あということは……夕日がきれいで、夏の夜は花火が上がるってことぐらいかな」

 こうして、ギルド[エンジェル・ハーツ]はユリカの案内により一階を見て回った。

 そのあとはというと試練の塔にある役場に戻った。

 そこではユリカが受付に寄り話をしていた。ユリカが帰ってくると今日の冒険での疲れはどこかへ飛んでいた。

「これからはギルド[エンジェル・ハーツ]試練の塔三階まで上がれるようになりました!」

 これにはギルドメンバー仁和の疲れが飛びみんながはねて喜んだ。

 セノンも順調にギルドのランクが上がっていることを身をもって実感することができとても喜ばしいことだと思った。

「なら、今日はゆっくり休んでね! 明日も昼から試練の塔に来ようか。ならまた昼に、ここの役場集合で。以上解散!」

 そうして、今日のギルドでのメニューはすべて終えた。

「セノンさん!」

 セノンが帰ろうとしたらユリカの声が聞こえた。

「今日の夜話があるっていうことちゃんと覚えていますよね?」

 セノンは一瞬何のことかと思ったが、はっと思い出し、

「覚えてます。覚えてます」

「よかった。なら、宿『BUFFALO』の酒場に集合ということでどうでしょう?」

「わかりました。そこにいつ行けばよいでしょう?」

 ユリカはコマンドメニューを開き時間を確認する。その徳の時刻は十六時頃だった。

「では、十八時でどうでしょう?」

「わかりました。その時間に向かいます」

 こうして、ギルドでの初めての試練の塔の冒険は幕を閉じた。
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