16 / 19
第15話 カツレツ
しおりを挟む【Side テオ】
ーーーーこれであいつも、少しはマティアに優しくするだろうか?
そんなことを考えながら、テオは、マティアが待つ部屋に戻った。一日中、手紙を書き続けていたマティアは机に突っ伏して眠っている。
ーーーーさてと、慎重にいくかぁ。
テオは眠るマティアを抱き上げてベットに運ぼうとするも、マティアが目を覚ました。
「テオ……どこに行っていたの?」
トロンとした目で、マティアはテオに尋ねる。
ーーーー不安にさせたかな。
マティアがお風呂に入っている間に帰ってくるつもりが、思ったより時間がかかってしまった。
「明日の朝ごはんの調査してきたんだ。騎士たちに新入りのふりして聞いてきたんだよ。」
マティアは驚きの表情で口を開いたが、すぐに笑いだす。
「食いしん坊ね。」
ーーーーよし、信じた。
テオは大きくあくびをしながら言った。ポールに会ったと、マティアに伝えるつもりはない。マティアがポールの名前を聞くだけで、少し苦しい気持ちになることをテオは知っている。
「この城のごはん、うまいからな。」
メイドに変身作戦はすこぶる上手くいった。女王マティアがメイド服と黒縁眼鏡をかけて、図書館にいるとは思わないらしい。新人メイドと騎士のふりをして、難なく食事にありつくことができた。
ーーーーメイド服姿のマティア、かわいかったな。
ドレスを着て綺麗に着飾ったマティアよりも幼く見えて、ついいたずらをしたい衝動に耐えられなかった。
「テオ、今日はあなたがベットで寝てちょうだい。」
マティアがベットルームを指さしながら、テオにいう。
「お?誘ってるのか?」
にやりと笑ってテオがからかうと、マティアは顔を真っ赤にして否定する。
「違うわよ!私がソファーで寝るから、テオはベットで寝て!」
ーーーーそう慌てるな、俺はなんもしないよ。
「そりゃあできないな。俺はソファーが気に入ったんだ。この場所は譲らない!」
テオはソファーに倒れこみ、しがみつく。
「そんなこと言わないの。毎日ソファーで眠っていたら、体が痛くなっちゃうわよ。」
マティアは両手を腰に当てて、テオを見つめる。
ーーーーマティアをソファーで寝かすわけないだろ?
「じゃあ、ソファーで一緒に寝るか?」
「もうっ。そんなことしないでしょ……。」
頬を膨らませるマティアに構わず、テオは背中を押す。
「ほら、そろそろ眠りな。色々あって疲れてるだろうし。」
それからしばらく、どちらがベットで眠るか言い争いをしたが、ついにマティアが折れた。
「良いの?」とマティア。
「ああ。」
「本当にありがとう、テオ。お休みなさい。」
微笑みを浮かべて、マティアはベットルームに入っていた。
「おやすみ。」
ーーーー今日一日、よく頑張ったな。
心の中でマティアを褒めたたえながら、テオは手を振る。
マティアがベットルームに行ったのを確認したテオは、一枚の便箋を手に取り、そっと文字を走らせました。
【親愛なるリリー・ドントール様へ】
テオは少し考えながら、文字をつづっていく。
[ ひさしぶり。リリー。元気にしてるか?もちろん俺は元気だ。今はリックストン国で騎士をしているよ。リリーの姉ちゃんも大変そうだが、何とか元気そうだ。そんで1つ、リリーに提案がある。驚かないで聞いてほしいんだが……]
その日、テオは夜遅くまで手紙を書いていた。彼は、リックストン国とドントール国の友好関係が戻ることを心の底から願っている。
◇◇◇
ーーーーこれであいつも、少しはマティアに優しくするだろうか?
そんなことを考えながら、テオは、マティアが待つ部屋に戻った。一日中、手紙を書き続けていたマティアは机に突っ伏して眠っている。
ーーーーさてと、慎重にいくかぁ。
テオは眠るマティアを抱き上げてベットに運ぼうとするも、マティアが目を覚ました。
「テオ……どこに行っていたの?」
トロンとした目で、マティアはテオに尋ねる。
ーーーー不安にさせたかな。
マティアがお風呂に入っている間に帰ってくるつもりが、思ったより時間がかかってしまった。
「明日の朝ごはんの調査してきたんだ。騎士たちに新入りのふりして聞いてきたんだよ。」
マティアは驚きの表情で口を開いたが、すぐに笑いだす。
「食いしん坊ね。」
ーーーーよし、信じた。
テオは大きくあくびをしながら言った。ポールに会ったと、マティアに伝えるつもりはない。マティアがポールの名前を聞くだけで、少し苦しい気持ちになることをテオは知っている。
「この城のごはん、うまいからな。」
メイドに変身作戦はすこぶる上手くいった。女王マティアがメイド服と黒縁眼鏡をかけて、図書館にいるとは思わないらしい。新人メイドと騎士のふりをして、難なく食事にありつくことができた。
ーーーーメイド服姿のマティア、かわいかったな。
ドレスを着て綺麗に着飾ったマティアよりも幼く見えて、ついいたずらをしたい衝動に耐えられなかった。
「テオ、今日はあなたがベットで寝てちょうだい。」
マティアがベットルームを指さしながら、テオにいう。
「お?誘ってるのか?」
にやりと笑ってテオがからかうと、マティアは顔を真っ赤にして否定する。
「違うわよ!私がソファーで寝るから、テオはベットで寝て!」
ーーーーそう慌てるな、俺はなんもしないよ。
「そりゃあできないな。俺はソファーが気に入ったんだ。この場所は譲らない!」
テオはソファーに倒れこみ、しがみつく。
「そんなこと言わないの。毎日ソファーで眠っていたら、体が痛くなっちゃうわよ。」
マティアは両手を腰に当てて、テオを見つめる。
ーーーーマティアをソファーで寝かすわけないだろ?
「じゃあ、ソファーで一緒に寝るか?」
「もうっ。そんなことしないでしょ……。」
頬を膨らませるマティアに構わず、テオは背中を押す。
「ほら、そろそろ眠りな。色々あって疲れてるだろうし。」
それからしばらく、どちらがベットで眠るか言い争いをしたが、ついにマティアが折れた。
「良いの?」とマティア。
「ああ。」
「本当にありがとう、テオ。お休みなさい。」
微笑みを浮かべて、マティアはベットルームに入っていた。
「おやすみ。」
ーーーー今日一日、よく頑張ったな。
心の中でマティアを褒めたたえながら、テオは手を振る。
マティアがベットルームに行ったのを確認したテオは、一枚の便箋を手に取り、そっと文字を走らせました。
【親愛なるリリー・ドントール様へ】
テオは少し考えながら、文字をつづっていく。
[ ひさしぶり。リリー。元気にしてるか?もちろん俺は元気だ。今はリックストン国で騎士をしているよ。リリーの姉ちゃんも大変そうだが、何とか元気そうだ。そんで1つ、リリーに提案がある。驚かないで聞いてほしいんだが……]
その日、テオは夜遅くまで手紙を書いていた。彼は、リックストン国とドントール国の友好関係が戻ることを心の底から願っている。
◇◇◇
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる