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第3話 カツカレー
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「なんですかこれ? 動く家?」
「? 普通に車ですけど?」
玄関に回された自動車を、伸比のび田はポカンと口を開けて出迎えた。
のび田自身、自動車に興味がなく育ってきたが、そんなのび田でさえわかる圧倒的な高級感。
ボンネットの上に建つ銀色のエンブレムは、その高級感を象徴するがごとく、ギラリと輝いている。
軽自動車を餅のように引っ張って伸ばしたのではと疑うほど、長い車体。
視線を先頭から後方に何度も動かすのび田の前に、運転席から下りた烏川兆老がやってきて、後部座席の扉を開ける。
「正確には、ロールスロイスのファントムエクステンディードですね」
扉の開く音で我に返ったのび田は、圧倒されたまま後部座席に乗り込み、鳳凰院向晴が続く。
「そんなに珍しいのですか?」
「多分、人生で乗ったことのない人がほとんどじゃないですかね」
「そうなんですね。私は生まれた頃から、この車にしか乗ったことありませんので」
不思議そうな向晴の質問に、のび田は緊張で硬くなった声で応える。
後部座席の扉が閉められ、兆老が運転席へと戻る。
重厚な発車音と共に、自動車は走り出した。
動き出す窓の外の景色を見た後、向晴はのび田の方を見る。
「で、どこへ向かうの?」
「は、走ってる……。家が、走ってる……」
「車ですけど?」
緊張したのび田とは会話することができないと判断した向晴は、溜息を零して運転席の方を向く。
「爺や、これはどこへ向かっているのですか?」
「銀座です」
向晴にとって、どこに向かうかは重要だ。
高貴であることを義務付けられた向晴は、庶民と同じ場所に立つことなど許されない。
「銀座……ってどこですの?」
「知らねえのかよ!?」
故に、向晴は銀座を知らない。
思わぬ事実発覚に、のび田は緊張も忘れてツッコミを入れる。
が、向晴は澄ました顔だ。
「人間、知らないこともありますわよ」
「限度があるわ! 何年東京に住んでるんだよ!?」
「生まれも育ちも東京の、純粋な都民ですわ」
「返上しろその称号!」
「お嬢様は高貴な場所を好むため、基本は自宅にいます。人間ドッグを受ける時だけは、私の運転で移動しますが」
「引きこもりじゃねえか!」
「だ、誰が引きこもりですか!?」
「お前だよおおおおお!」
引きこもりと言う言葉に、向晴の眉がつり上がっていく。
言い過ぎたとのび田が気づいたときには、向晴は不機嫌な表情を隠そうともしていなかった。
向晴とのび田は、雇用主と従業員の関係。
向晴の一言で、のび田の首は簡単に飛んでいく。
明日の食費を稼ぐため、のび田は次の言葉を探す。
向晴の機嫌を直す言葉を。
「……」
「……」
「なんですかこれ? 動く家?」
「冒頭と同じことを言っても、なかったことにはできませんからね!?」
銀座。
東京都に存在する高級商業地。
高級クラブやバー、ハイブランドの商品を扱う店舗が所狭しとひしめき合っており、毎秒のように大金が動いている。
向晴は、窓越しに立ち並ぶハイブランドの店を見て、表情を緩める。
高級商業地に店を構える飲食店であれば、自身がわざわざ足を踏み入れる価値があると判断したのだ。
「へえ、まずまずの場所じゃない。で、私はなんのお店に連れていかれるのかしら? キャビア? トリュフ? フォアグラ?」
「連れて行きませんよ。と言うか、飽きてたんじゃないんですか?」
「小粋なジョークよ」
「ああ、ジョークが言えるくらいには頭が良かったんですね」
「そう、ジョークが言えるくらいには頭が……おいこら」
のび田が飲食店の情報を答えるより先に、目的地に着いた自動車が止まった。
兆老が後部座席の扉を開けると、向晴はハイヒールをカツンと鳴らし、外へ出た。
遅れてのび田も外に出て、向晴の後ろに立つ。
銀座ガス灯通り。
煉瓦造りの道路にガス灯型照明が並ぶ古風な造りの通りである。
かつて、東京ガスの協力の元、本物のガス灯を使用したこともあるという。
「へえ。雰囲気はいいじゃない」
向晴は周囲を見渡す。
北側を見れば、通りを見下ろすように巨大なビルが建っており、向晴はご機嫌な表情を浮かべる。
が、南側を見れば、二階建ての低い建物が一部に並び、複雑そうな表情に変わる。
北か南か。
どちらに向かうかで、向晴の機嫌が変わる局面を迎えた。
「ま、いいわ。で、私たちが行くお店はどこ?」
「こちらになります」
のび田が指をさした方向に、向晴の視線が動く。
「……ん?」
のび田が指差した方向にあったのは、人間二人が立てば隙間が無くなりそうな、縦長の入り口。
入り口の右側には同じく縦長の陳列窓があり、陳列窓の中にはメニューとして提供する料理の食品サンプルでが並べられていた。
また、入り口の上には赤と白のストライプ模様の軒先テントがかかっており、いずれも古き良き昭和を思い出す雰囲気が漂っている。
向晴は、ハイヒールを履いた足で、地面を思いっきり踏みつける。
カツンッと大きな音を出しながら、のび田を睨みつける。
「これはいったい、どういうこと?」
「どうとは?」
「なによ、この庶民的な店! 私に相応しくないわ!」
銀座という町は、向晴にとって合格点だった。
が、店のたたずまいは、向晴にとって不合格点だった。
「相応しいかどうかは、ここがどんなお店か聞いてから判断しても良いのでは?」
「……一応、聞いてあげます」
「ここは『銀座スイス 本店』。美味しいカツカレーを出す洋食屋さんです」
のび田の回答に、向晴は大きなため息をついた。
「カツカレー?」
「なにかご不満が?」
「不満しかないわ。カレーって、庶民の子供の食べ物じゃない。それに、カツってついてるって頃は、豚カツか何かが乗っているのでしょう? 庶民の中の庶民じゃない」
「……なるほど。お嬢様は、カレーをその様に思っていらっしゃるのですね」
カレー。
多種類の香辛料を使ったインド料理をルーツとし、世界各国で独自の進化を遂げた料理である。
日本では、一八六八年にイギリスの商船によって持ち込まれたのが始まりとされ、明治時代に西洋文化の取り込みが流行していたことや、安く食べ応えがあったため、普及・定着したと言われている。
現代の日本では、カレーをご飯にかけるカレーライスが主流である。
「……それに」
「はい?」
「……太るじゃない」
「なるほど。執事長からお嬢様が体重を気にされていることは聞いていますが、お嬢様は今のままでも十分スリムでいらっしゃると思いますよ?」
「そう? ありが……爺やあああああ!! 人が体重気にしていることペラペラ話してんじゃねええええええ!!」
「それに、この銀座スイスのカツカレーは一味違います。きっと、高貴なお嬢様にも納得いただけると思いますよ」
「へえ? なにが違うって言うのかしら?」
情報を見定めるような態度の向晴に、のび田は自信をもって言い放った。
「ここ、銀座スイスは、カツカレー発祥のお店です。お嬢様にはこれから、世界で初めて誕生したカツカレーを召し上がっていただきます」
「? 普通に車ですけど?」
玄関に回された自動車を、伸比のび田はポカンと口を開けて出迎えた。
のび田自身、自動車に興味がなく育ってきたが、そんなのび田でさえわかる圧倒的な高級感。
ボンネットの上に建つ銀色のエンブレムは、その高級感を象徴するがごとく、ギラリと輝いている。
軽自動車を餅のように引っ張って伸ばしたのではと疑うほど、長い車体。
視線を先頭から後方に何度も動かすのび田の前に、運転席から下りた烏川兆老がやってきて、後部座席の扉を開ける。
「正確には、ロールスロイスのファントムエクステンディードですね」
扉の開く音で我に返ったのび田は、圧倒されたまま後部座席に乗り込み、鳳凰院向晴が続く。
「そんなに珍しいのですか?」
「多分、人生で乗ったことのない人がほとんどじゃないですかね」
「そうなんですね。私は生まれた頃から、この車にしか乗ったことありませんので」
不思議そうな向晴の質問に、のび田は緊張で硬くなった声で応える。
後部座席の扉が閉められ、兆老が運転席へと戻る。
重厚な発車音と共に、自動車は走り出した。
動き出す窓の外の景色を見た後、向晴はのび田の方を見る。
「で、どこへ向かうの?」
「は、走ってる……。家が、走ってる……」
「車ですけど?」
緊張したのび田とは会話することができないと判断した向晴は、溜息を零して運転席の方を向く。
「爺や、これはどこへ向かっているのですか?」
「銀座です」
向晴にとって、どこに向かうかは重要だ。
高貴であることを義務付けられた向晴は、庶民と同じ場所に立つことなど許されない。
「銀座……ってどこですの?」
「知らねえのかよ!?」
故に、向晴は銀座を知らない。
思わぬ事実発覚に、のび田は緊張も忘れてツッコミを入れる。
が、向晴は澄ました顔だ。
「人間、知らないこともありますわよ」
「限度があるわ! 何年東京に住んでるんだよ!?」
「生まれも育ちも東京の、純粋な都民ですわ」
「返上しろその称号!」
「お嬢様は高貴な場所を好むため、基本は自宅にいます。人間ドッグを受ける時だけは、私の運転で移動しますが」
「引きこもりじゃねえか!」
「だ、誰が引きこもりですか!?」
「お前だよおおおおお!」
引きこもりと言う言葉に、向晴の眉がつり上がっていく。
言い過ぎたとのび田が気づいたときには、向晴は不機嫌な表情を隠そうともしていなかった。
向晴とのび田は、雇用主と従業員の関係。
向晴の一言で、のび田の首は簡単に飛んでいく。
明日の食費を稼ぐため、のび田は次の言葉を探す。
向晴の機嫌を直す言葉を。
「……」
「……」
「なんですかこれ? 動く家?」
「冒頭と同じことを言っても、なかったことにはできませんからね!?」
銀座。
東京都に存在する高級商業地。
高級クラブやバー、ハイブランドの商品を扱う店舗が所狭しとひしめき合っており、毎秒のように大金が動いている。
向晴は、窓越しに立ち並ぶハイブランドの店を見て、表情を緩める。
高級商業地に店を構える飲食店であれば、自身がわざわざ足を踏み入れる価値があると判断したのだ。
「へえ、まずまずの場所じゃない。で、私はなんのお店に連れていかれるのかしら? キャビア? トリュフ? フォアグラ?」
「連れて行きませんよ。と言うか、飽きてたんじゃないんですか?」
「小粋なジョークよ」
「ああ、ジョークが言えるくらいには頭が良かったんですね」
「そう、ジョークが言えるくらいには頭が……おいこら」
のび田が飲食店の情報を答えるより先に、目的地に着いた自動車が止まった。
兆老が後部座席の扉を開けると、向晴はハイヒールをカツンと鳴らし、外へ出た。
遅れてのび田も外に出て、向晴の後ろに立つ。
銀座ガス灯通り。
煉瓦造りの道路にガス灯型照明が並ぶ古風な造りの通りである。
かつて、東京ガスの協力の元、本物のガス灯を使用したこともあるという。
「へえ。雰囲気はいいじゃない」
向晴は周囲を見渡す。
北側を見れば、通りを見下ろすように巨大なビルが建っており、向晴はご機嫌な表情を浮かべる。
が、南側を見れば、二階建ての低い建物が一部に並び、複雑そうな表情に変わる。
北か南か。
どちらに向かうかで、向晴の機嫌が変わる局面を迎えた。
「ま、いいわ。で、私たちが行くお店はどこ?」
「こちらになります」
のび田が指をさした方向に、向晴の視線が動く。
「……ん?」
のび田が指差した方向にあったのは、人間二人が立てば隙間が無くなりそうな、縦長の入り口。
入り口の右側には同じく縦長の陳列窓があり、陳列窓の中にはメニューとして提供する料理の食品サンプルでが並べられていた。
また、入り口の上には赤と白のストライプ模様の軒先テントがかかっており、いずれも古き良き昭和を思い出す雰囲気が漂っている。
向晴は、ハイヒールを履いた足で、地面を思いっきり踏みつける。
カツンッと大きな音を出しながら、のび田を睨みつける。
「これはいったい、どういうこと?」
「どうとは?」
「なによ、この庶民的な店! 私に相応しくないわ!」
銀座という町は、向晴にとって合格点だった。
が、店のたたずまいは、向晴にとって不合格点だった。
「相応しいかどうかは、ここがどんなお店か聞いてから判断しても良いのでは?」
「……一応、聞いてあげます」
「ここは『銀座スイス 本店』。美味しいカツカレーを出す洋食屋さんです」
のび田の回答に、向晴は大きなため息をついた。
「カツカレー?」
「なにかご不満が?」
「不満しかないわ。カレーって、庶民の子供の食べ物じゃない。それに、カツってついてるって頃は、豚カツか何かが乗っているのでしょう? 庶民の中の庶民じゃない」
「……なるほど。お嬢様は、カレーをその様に思っていらっしゃるのですね」
カレー。
多種類の香辛料を使ったインド料理をルーツとし、世界各国で独自の進化を遂げた料理である。
日本では、一八六八年にイギリスの商船によって持ち込まれたのが始まりとされ、明治時代に西洋文化の取り込みが流行していたことや、安く食べ応えがあったため、普及・定着したと言われている。
現代の日本では、カレーをご飯にかけるカレーライスが主流である。
「……それに」
「はい?」
「……太るじゃない」
「なるほど。執事長からお嬢様が体重を気にされていることは聞いていますが、お嬢様は今のままでも十分スリムでいらっしゃると思いますよ?」
「そう? ありが……爺やあああああ!! 人が体重気にしていることペラペラ話してんじゃねええええええ!!」
「それに、この銀座スイスのカツカレーは一味違います。きっと、高貴なお嬢様にも納得いただけると思いますよ」
「へえ? なにが違うって言うのかしら?」
情報を見定めるような態度の向晴に、のび田は自信をもって言い放った。
「ここ、銀座スイスは、カツカレー発祥のお店です。お嬢様にはこれから、世界で初めて誕生したカツカレーを召し上がっていただきます」
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