78 / 100
漆拾捌 鮭の大助
しおりを挟む
その河原は、絶好のバーベキュースポットとして有名だった。
そう、だった、
有名ゆえに、多くの客が押し寄せた。
多くの客が押し寄せれば、マナーのない客も紛れ込む。
河原にゴミが散らかった。
河の中にゴミが積もった。
昼夜を問わずに人と車の音が暴れ回った。
結果、近隣住民からの苦情という形で、バーベキューでの使用が禁止された。
が、マナーのない客には関係ない。
使用禁止となった河原には、常識という概念が脳からすっぽり抜け落ちた人々だけが残った。
景観がいいのに人が少ない穴場スポットとして、河原は有名になり続けた。
より、河原にゴミが散らかった。
より、河の中にゴミが積もった。
より、昼夜を問わずに人と車の音が暴れ回った。
客と、警察と、近隣住民の追いかけっこが続いていた。
今日もまた、使用禁止の看板を蹴倒して、マナーの悪い人々が、河原でバーベキューを楽しむ。
「うぇーい!」
「うぇーい!」
心地よい風の音。
風が運ぶ肉の香り。
食欲を誘う肉が焼ける音。
人々の興奮は最高潮。
だから、河を泳ぐそれに気づけなかった。
鮭の大助は、河からぴょんと飛び跳ねて、コンロを囲む十数人の人々を丸飲みにした。
そして、河原をピチピチ跳ねて、河へと戻り、下流へ下流へと泳いでいった。
今日も河原は、ゴミ一つない綺麗な状態が保たれている。
そう、だった、
有名ゆえに、多くの客が押し寄せた。
多くの客が押し寄せれば、マナーのない客も紛れ込む。
河原にゴミが散らかった。
河の中にゴミが積もった。
昼夜を問わずに人と車の音が暴れ回った。
結果、近隣住民からの苦情という形で、バーベキューでの使用が禁止された。
が、マナーのない客には関係ない。
使用禁止となった河原には、常識という概念が脳からすっぽり抜け落ちた人々だけが残った。
景観がいいのに人が少ない穴場スポットとして、河原は有名になり続けた。
より、河原にゴミが散らかった。
より、河の中にゴミが積もった。
より、昼夜を問わずに人と車の音が暴れ回った。
客と、警察と、近隣住民の追いかけっこが続いていた。
今日もまた、使用禁止の看板を蹴倒して、マナーの悪い人々が、河原でバーベキューを楽しむ。
「うぇーい!」
「うぇーい!」
心地よい風の音。
風が運ぶ肉の香り。
食欲を誘う肉が焼ける音。
人々の興奮は最高潮。
だから、河を泳ぐそれに気づけなかった。
鮭の大助は、河からぴょんと飛び跳ねて、コンロを囲む十数人の人々を丸飲みにした。
そして、河原をピチピチ跳ねて、河へと戻り、下流へ下流へと泳いでいった。
今日も河原は、ゴミ一つない綺麗な状態が保たれている。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる