令和百物語 ~妖怪小話~

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漆拾漆 七人ミサキ

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 七人ミサキは、死んだ人間の零七人組。
 
 溺死した人間の魂が七つ集まり、一組の妖怪となる。
 死んだ時と同じ、ずぶ濡れの恰好で歩き回っている。
 
 七人ミサキに会った人間は、高熱が出て死んでしまう。
 七人ミサキの一人に憑りつかれて死んでしまう。
 
 憑りついた一人は成仏して、天に召される。
 取り殺された人間は、新たな七人ミサキとして、列に加わる。
 それゆえ、七人ミサキの旅は、永遠に終わらない。
 
 何故、そんな旅をしているのかは、本人にもわからない。
 
 一説によると、溺死し、海底に沈み、周囲に誰もいな孤独感から、道連れを求めているのではないかと言わrている。
 事実、七人ミサキは、常に仲間と話している。
 
「ここ、めっちゃ景色いいねー!」
 
「なー! 俺、山育ちだから、こういう景色めっちゃ憧れるわー!」
 
 先頭の二人が、楽しそうに話している。
 
「生前モテたでしょー? 死んで顔が青白くなっててもわかるわー」
 
「えー、そんなことないよー」
 
 その後ろの二人が、楽しそうに話している。
 
「また、母さんの手料理、食べたいなー」
 
「そだねー。生前、もっと親孝行しとくべきだったよねー」
 
 その後ろの二人が、寂しそうに話している。
 
 最後尾の一人は、楽しそうに話す六人を見ながら、とぼとぼと歩いている。
 
「会話に入るコミュ力……欲しかったな……」
 
 最近、七人ミサキの最後尾の一人から神に対し、七人ミサキを八人ミサキにしてはどうかという提案が送られている。
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