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漆拾陸 縊鬼
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「皆さん、お早う御座います!」
とある学校の教室。
教壇に立つのは縊鬼。
教団の前に広がる、三十の席に座るのは人間たち。
彼らは同士。
全員が、同じ志を持つ。
縊鬼は点呼をとった後、両手を叩いて笑顔で言う。
「えー、ようこそ皆さん。ここにお集まりいただいたということは、そう言うことですよね? 大丈夫です。最初から最期まで、この私がサポートいたします!」
縊鬼は、全員に目の前のテキストを読むように促した。
第一章。
正しい首の吊り方。
これから、人間たちがどうやって首を吊るか、その詳細な方法が書かれていた。
もちろん、可愛らしいイラストによる図解付きだ。
第二章。
死にきれなかった場合の対応。
万一、縊鬼の指示する方法で死ねなかった場合のアフター保証について書かれていた。
要約すると、ちゃんと痛みのない方法で、縊鬼が責任を持って絶命させると言う物だった。
第三章。
死後の段取り。
人間たちが死んだ後の、お金の流れについて書かれていた。
まず、首吊りが当人たちの意思でなく、縊鬼による殺害であることを公的機関に認識させる。
次に、生命保険会社の『保険金目当ての自殺では保険金が下りない』という条文にあてはまらないことを、生命保険会社に伝え、確実に保険金を受取人に受け取らせる。
最後に、降りた保険金の内、五割が縊鬼へ贈与され、残りを保険金の受取人の手元に残す。
これで契約が終了。
人間たちは、最後の希望にすがるような瞳でテキストを読み終え満足感と共にテキストを閉じた。
「さ、では、ご納得いただいた方は、この契約書に署名と血判を」
人間たちは、次々に署名と血判を行う。
縊鬼は、集まった三十枚の契約書を数え、大切そうに保管する。
「では、契約が終わりました。部屋を移動して、さっそく首を吊りましょう! ちゃんと、専用の薬で意識を飛ばすので、恐怖もないですよ! 借金がなくなった、残された人々の輝かしい未来を想像してください! 皆さんのおかげで、彼らは救われるのです! 皆さんは、救世主です!」
一人。
また一人。
首が吊られる。
三十人の人間が、教室の中でゆらゆらと揺れている。
とある学校の教室。
教壇に立つのは縊鬼。
教団の前に広がる、三十の席に座るのは人間たち。
彼らは同士。
全員が、同じ志を持つ。
縊鬼は点呼をとった後、両手を叩いて笑顔で言う。
「えー、ようこそ皆さん。ここにお集まりいただいたということは、そう言うことですよね? 大丈夫です。最初から最期まで、この私がサポートいたします!」
縊鬼は、全員に目の前のテキストを読むように促した。
第一章。
正しい首の吊り方。
これから、人間たちがどうやって首を吊るか、その詳細な方法が書かれていた。
もちろん、可愛らしいイラストによる図解付きだ。
第二章。
死にきれなかった場合の対応。
万一、縊鬼の指示する方法で死ねなかった場合のアフター保証について書かれていた。
要約すると、ちゃんと痛みのない方法で、縊鬼が責任を持って絶命させると言う物だった。
第三章。
死後の段取り。
人間たちが死んだ後の、お金の流れについて書かれていた。
まず、首吊りが当人たちの意思でなく、縊鬼による殺害であることを公的機関に認識させる。
次に、生命保険会社の『保険金目当ての自殺では保険金が下りない』という条文にあてはまらないことを、生命保険会社に伝え、確実に保険金を受取人に受け取らせる。
最後に、降りた保険金の内、五割が縊鬼へ贈与され、残りを保険金の受取人の手元に残す。
これで契約が終了。
人間たちは、最後の希望にすがるような瞳でテキストを読み終え満足感と共にテキストを閉じた。
「さ、では、ご納得いただいた方は、この契約書に署名と血判を」
人間たちは、次々に署名と血判を行う。
縊鬼は、集まった三十枚の契約書を数え、大切そうに保管する。
「では、契約が終わりました。部屋を移動して、さっそく首を吊りましょう! ちゃんと、専用の薬で意識を飛ばすので、恐怖もないですよ! 借金がなくなった、残された人々の輝かしい未来を想像してください! 皆さんのおかげで、彼らは救われるのです! 皆さんは、救世主です!」
一人。
また一人。
首が吊られる。
三十人の人間が、教室の中でゆらゆらと揺れている。
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