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過保護な二人と王太子
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「話をお伝えするだけだから、アネットはここで待っていてもいいのよ?」
今日は事件の顛末と当事者であるアネットの事情聴取ということで、クロエとアネットは呼び出しを受けて王宮にいる。
当初は年頃の令嬢が誘拐されたという話が広まれば、余計な憶測を招きかねないとアネットの立場を考慮して責任者であるカディオ伯爵のみとの面談だったが、何故か王太子であるマティアスが立ち会いたいと申し入れがあったことから、クロエが難色を示した。セルジュではなく兄のマティアスがわざわざ同席を希望したことに懸念を覚えたのだ。通常であれば断ることなど出来ないが、代理でも構わないかとクロエが確認し許可を得ている。
「いえ、私の話ですから大丈夫です。……でもそれがお姉様を困らせてしまうなら――」
我儘を言ってしまっただろうかと勢いを失くしたアネットに、クロエは少し困ったように微笑んだ。
「体調が問題ないなら良いの。まだ一晩しか経っていないから貴女が無理をしていないか心配しただけで、もう怒ってないわ」
あの後アネットはリシャールにナビエ公爵邸に送り届けられた。色々とやらねばならないことがあるからと、リシャールは王宮の次に安全な場所である公爵邸へアネットを預け、それから間もなくクロエが訊ねてきてくれたのだが――。
(あんなに激しく怒るお姉様、初めてだったわ……)
もちろんクロエはアネットの無事を、涙を零さんばかりに喜んでくれたのだが、事の次第を話した結果、みっちりと叱責されてしまった。ここにきて隠し続けるわけにもいかず、物語のことは伏せたまま前世について話すことになったものの、クロエの反応はあっさりしたものだった。
「道理でしっかりしていた訳ね。不思議ではあるけれど、アネットはアネットだもの」
内心びくびくしていたアネットは拍子抜けした気分だったが、クロエにとってアネットが誘拐されたことのほうが大事件だったようだ。
昨晩はリシャールの強い希望と公爵夫妻の厚意によって、アネットとクロエはナビエ公爵邸に滞在することになった。
「リシャール様、アネットの面倒は姉のわたくしが見ますからお気遣いなく」
「クロエ嬢の食事が進まないとアネット嬢も気にしてしまうだろう。それに二人は私の客人なのだからもてなす義務がある」
縛られていたことにより両手首には擦り傷が出来ていたが、丁寧過ぎるぐらいしっかりと手当てを受けていたし、食事はもちろん日常生活に差し障りはない。
「あの、お二人とも、食事ぐらい自分で取れますから――」
「駄目よ」
「駄目だ」
間髪入れずに二人から却下され、アネットは居たたまれない気持ちでいっぱいになり公爵夫妻の方に顔を向けられない。こっそり確認すれば夫人に至っては微笑ましいものを見るような温かい眼差しを向けられて、それが余計に罪悪感を刺激される。
年頃になっても女性不信気味の息子に気を揉んでいたのだろう。アネットを紹介した時にどこか安堵の表情を浮かべていたのだ。
(だからと言って公爵令息が格下の令嬢相手にすることではないわよね……)
もはや介護かなというレベルで一口大に切り分けられた食事を交互に与えられて、アネットは無心に口を動かすしかなかった。
「二人とも今日は呼び立てて悪かったな。アネット嬢も愚弟が迷惑を掛けた」
「勿体ないお言葉でございます」
緊張しながらもクロエに倣ってカーテシーを取れば、マティアスよりそんな声を掛けられアネットは内心首を傾げる。
「王太子殿下、その話はまた後ほど。アネット嬢に負担を掛けないよう彼女の話を優先してください」
後ろに控えていたリシャールが淡々とした口調で告げるが、昨日から続く過保護ぶりは王太子相手でも変わらないようで、アネットは少しはらはらしてしまう。
「ほう、話には聞いていたがお前も随分変わったものだな。その辺りについても興味はあるがまずは本題に移ろう。カディオ伯爵、私のことはいない者と思って進めてくれ」
概要については昨日のうちにリシャールからカディオ伯爵に情報共有されていたが、アネットは呼び出しから救出されるまでについて一通り説明を行う。転生について話すべきかどうか最後まで迷ったが、余計な詮索をされたり、アネットの知識を利用されるのも厄介だということになり、指摘されない限り伏せておこうとクロエと決めていた。
幸いなことに誰からも言及されることはなかったが、気掛かりなのはカディオ伯爵が硬い表情を崩さないことだ。何か問題があるのだろうかと様子を窺っていると、カディオ伯爵はマティアスと視線を交わしたあと、アネットに向きなおった。
「これは内密の話になるんだが――」
そう切り出したカディオ伯爵が告げたのはクラリスにも関わることだった。
一月ほど前にカディオ伯爵は領地で静養させている娘の主治医から、クラリスが薬物中毒の可能性があると聞かされた。普段は大人しいが、時折感情を爆発させて暴れる様子が以前担当していた患者に似ているのだと言う。
娘の周辺を再度調べたものの、そんな痕跡はなく判断が付きかねていたのだ。
そんな時エミリアの侍女の話が引っ掛かり、部屋から押収したポプリを調べると恐ろしいことが分かった。
ポプリにはブルグマンシアの花が使われており、そこから抽出したエキスで香りを高めたポプリや香水には精神に作用する効果が認められたのだ。植えられている花の香りを楽しむ程度なら問題ないが、心が弱っている状態では高濃度の成分を摂取すれば感情の起伏が激しくなったり、暗示にかかりやすくなる。
「それではクラリス様は……」
「だからと言ってあの子のしたことが許されるわけではない。だが父親として、君たちには知っていて欲しいと思ったんだ」
そのような効能があることが広まれば、悪用される危険性も出てくるため機密情報として取り扱うらしい。幸い国内にブルグマンシアの生息地はほとんどなく、意図的に育てなければ見かけることが少ない植物だ。
リシャールやアネットに思考の阻害や集中力の低下が起きたのは、エミリアが接触頻度を増やしたことで、知らないうちにブルグマンシアの成分を多く取り入れてしまったせいらしい。
「どこでそんな知識を得たのか少々気になるが、これ以上情報が漏れることはないのだから時間をかけて探り出すつもりはない」
そう言いながらマティアスはアネットに視線を投げかけるので、アネットは黙礼を返す。恐らくエミリアが転生について語った内容にアネットのことも含まれているのだろうが、これ以上深堀りをするつもりがないのだとマティアスは明言してくれたのだ。おかげで、少し肩の荷が下りた気がした。
(マティアス王太子殿下はこれを伝えるために同席してくれたのかもしれない)
カディオ伯爵だけでなくアネットも胸のつかえが取れたことで、どことなく和やかな空気が流れたが、マティアスの一言で空気が凍り付いた。
「さて、あとは愚弟の失態に関する賠償についてだ。あれがちゃんとこちらに報告していれば、アネット嬢が誘拐される前に手を打てただろうからな」
「……マティアス殿下、そのお話詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?」
氷の微笑を浮かべたクロエは美しかったが、前日の叱責を思い出したアネットはセルジュに同情の念を抱かずにはいられなかった。
今日は事件の顛末と当事者であるアネットの事情聴取ということで、クロエとアネットは呼び出しを受けて王宮にいる。
当初は年頃の令嬢が誘拐されたという話が広まれば、余計な憶測を招きかねないとアネットの立場を考慮して責任者であるカディオ伯爵のみとの面談だったが、何故か王太子であるマティアスが立ち会いたいと申し入れがあったことから、クロエが難色を示した。セルジュではなく兄のマティアスがわざわざ同席を希望したことに懸念を覚えたのだ。通常であれば断ることなど出来ないが、代理でも構わないかとクロエが確認し許可を得ている。
「いえ、私の話ですから大丈夫です。……でもそれがお姉様を困らせてしまうなら――」
我儘を言ってしまっただろうかと勢いを失くしたアネットに、クロエは少し困ったように微笑んだ。
「体調が問題ないなら良いの。まだ一晩しか経っていないから貴女が無理をしていないか心配しただけで、もう怒ってないわ」
あの後アネットはリシャールにナビエ公爵邸に送り届けられた。色々とやらねばならないことがあるからと、リシャールは王宮の次に安全な場所である公爵邸へアネットを預け、それから間もなくクロエが訊ねてきてくれたのだが――。
(あんなに激しく怒るお姉様、初めてだったわ……)
もちろんクロエはアネットの無事を、涙を零さんばかりに喜んでくれたのだが、事の次第を話した結果、みっちりと叱責されてしまった。ここにきて隠し続けるわけにもいかず、物語のことは伏せたまま前世について話すことになったものの、クロエの反応はあっさりしたものだった。
「道理でしっかりしていた訳ね。不思議ではあるけれど、アネットはアネットだもの」
内心びくびくしていたアネットは拍子抜けした気分だったが、クロエにとってアネットが誘拐されたことのほうが大事件だったようだ。
昨晩はリシャールの強い希望と公爵夫妻の厚意によって、アネットとクロエはナビエ公爵邸に滞在することになった。
「リシャール様、アネットの面倒は姉のわたくしが見ますからお気遣いなく」
「クロエ嬢の食事が進まないとアネット嬢も気にしてしまうだろう。それに二人は私の客人なのだからもてなす義務がある」
縛られていたことにより両手首には擦り傷が出来ていたが、丁寧過ぎるぐらいしっかりと手当てを受けていたし、食事はもちろん日常生活に差し障りはない。
「あの、お二人とも、食事ぐらい自分で取れますから――」
「駄目よ」
「駄目だ」
間髪入れずに二人から却下され、アネットは居たたまれない気持ちでいっぱいになり公爵夫妻の方に顔を向けられない。こっそり確認すれば夫人に至っては微笑ましいものを見るような温かい眼差しを向けられて、それが余計に罪悪感を刺激される。
年頃になっても女性不信気味の息子に気を揉んでいたのだろう。アネットを紹介した時にどこか安堵の表情を浮かべていたのだ。
(だからと言って公爵令息が格下の令嬢相手にすることではないわよね……)
もはや介護かなというレベルで一口大に切り分けられた食事を交互に与えられて、アネットは無心に口を動かすしかなかった。
「二人とも今日は呼び立てて悪かったな。アネット嬢も愚弟が迷惑を掛けた」
「勿体ないお言葉でございます」
緊張しながらもクロエに倣ってカーテシーを取れば、マティアスよりそんな声を掛けられアネットは内心首を傾げる。
「王太子殿下、その話はまた後ほど。アネット嬢に負担を掛けないよう彼女の話を優先してください」
後ろに控えていたリシャールが淡々とした口調で告げるが、昨日から続く過保護ぶりは王太子相手でも変わらないようで、アネットは少しはらはらしてしまう。
「ほう、話には聞いていたがお前も随分変わったものだな。その辺りについても興味はあるがまずは本題に移ろう。カディオ伯爵、私のことはいない者と思って進めてくれ」
概要については昨日のうちにリシャールからカディオ伯爵に情報共有されていたが、アネットは呼び出しから救出されるまでについて一通り説明を行う。転生について話すべきかどうか最後まで迷ったが、余計な詮索をされたり、アネットの知識を利用されるのも厄介だということになり、指摘されない限り伏せておこうとクロエと決めていた。
幸いなことに誰からも言及されることはなかったが、気掛かりなのはカディオ伯爵が硬い表情を崩さないことだ。何か問題があるのだろうかと様子を窺っていると、カディオ伯爵はマティアスと視線を交わしたあと、アネットに向きなおった。
「これは内密の話になるんだが――」
そう切り出したカディオ伯爵が告げたのはクラリスにも関わることだった。
一月ほど前にカディオ伯爵は領地で静養させている娘の主治医から、クラリスが薬物中毒の可能性があると聞かされた。普段は大人しいが、時折感情を爆発させて暴れる様子が以前担当していた患者に似ているのだと言う。
娘の周辺を再度調べたものの、そんな痕跡はなく判断が付きかねていたのだ。
そんな時エミリアの侍女の話が引っ掛かり、部屋から押収したポプリを調べると恐ろしいことが分かった。
ポプリにはブルグマンシアの花が使われており、そこから抽出したエキスで香りを高めたポプリや香水には精神に作用する効果が認められたのだ。植えられている花の香りを楽しむ程度なら問題ないが、心が弱っている状態では高濃度の成分を摂取すれば感情の起伏が激しくなったり、暗示にかかりやすくなる。
「それではクラリス様は……」
「だからと言ってあの子のしたことが許されるわけではない。だが父親として、君たちには知っていて欲しいと思ったんだ」
そのような効能があることが広まれば、悪用される危険性も出てくるため機密情報として取り扱うらしい。幸い国内にブルグマンシアの生息地はほとんどなく、意図的に育てなければ見かけることが少ない植物だ。
リシャールやアネットに思考の阻害や集中力の低下が起きたのは、エミリアが接触頻度を増やしたことで、知らないうちにブルグマンシアの成分を多く取り入れてしまったせいらしい。
「どこでそんな知識を得たのか少々気になるが、これ以上情報が漏れることはないのだから時間をかけて探り出すつもりはない」
そう言いながらマティアスはアネットに視線を投げかけるので、アネットは黙礼を返す。恐らくエミリアが転生について語った内容にアネットのことも含まれているのだろうが、これ以上深堀りをするつもりがないのだとマティアスは明言してくれたのだ。おかげで、少し肩の荷が下りた気がした。
(マティアス王太子殿下はこれを伝えるために同席してくれたのかもしれない)
カディオ伯爵だけでなくアネットも胸のつかえが取れたことで、どことなく和やかな空気が流れたが、マティアスの一言で空気が凍り付いた。
「さて、あとは愚弟の失態に関する賠償についてだ。あれがちゃんとこちらに報告していれば、アネット嬢が誘拐される前に手を打てただろうからな」
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