14 / 60
推しと王子様
しおりを挟む
「やっぱりお姉様はすごいです!」
一緒に過ごすことで改めてアネットはクロエの実力を思い知らされていた。
出来ていると思っていた貴族の振る舞いもクロエを見ていると、自分の拙さがよく分かる。滲み出る気品は一朝一夕で身に付くものではないのだ。
賞賛の眼差しで見つめていると、クロエが僅かに眉をひそめて言った。
「そんなに見ないでちょうだい。……恥ずかしいわ」
怒っているわけではなく、ただ照れている時の表情だと気づいた時には「尊い!!」と心の中で絶叫したものだ。
「お姉様の所作が美しくて見惚れてしまいました。丁寧で上品な佇まいで本当に素晴らしいです!」
「……ありがとう」
ぽそりと小さな声でお礼を言うクロエの耳が真っ赤に染まっている。
(お、お姉様がデレたーーーーーーー!!可愛いすぎです!!!)
アネットが感動で打ち震えていると、クロエがポケットから何かを取り出した。
「まだ練習中だけど、良かったらあげるわ」
それは小さな一輪の花が縫い付けられたハンカチだった。
刺繍も貴族令嬢の嗜みだが、アネットはまだ習っていない。大体8歳頃から習うものだと聞いていたのに、もうそこまで習っているのかと感心するとともに、詰め込み教育ではないかと不安になる。
だがそれよりも――。
「ほ、本当に頂いていいんですか?!お姉様の手作りの品を頂けるなんて、一生大事にします!!」
「…ハンカチなんだから使ってちょうだい。――それと……アネットが作った栞はまだあるかしら?」
ぎゅっと両手を握り締めた仕草から緊張が伝わってくる。気にしてくれていたのだとアネットは心が温かくなるのを感じた。
「はい、あります。明日持ってまいりますね」
嬉しくて満面の笑みを浮かべたアネットにクロエは僅かに口元を綻ばせた。
「明日はセルジュ殿下がいらっしゃるの」
目を伏せてクロエはそう教えてくれた。数日前から邸内がそわそわした雰囲気なのは察していたが、誰からも聞かされていない以上、義母は恐らく自分を第二王子殿下に合わせるつもりはないのだろう。
謹慎が解けたあともミリーの協力を得て、一緒にお茶をしたり図書館で勉強することも多くなった。デルフィーヌが快く思わないためこっそりとだが、クロエとの仲は良好といえるだろう。
「お姉様の婚約者の方ですよね。どんな方なのですか?」
「そうね。紳士的でとてもお優しい方だわ。初めは緊張したけれど、お茶会の時に何かと気遣ってくれたの」
頬に赤みが差していつもは凛とした瞳が今はどこか溶けたように甘い。
(お姉様は殿下のことをお慕いしているのね。これが意に沿わない結婚だったら何としてでも阻止するところだったけど、安心したわ)
王族との婚約をどうにかしようなど無謀にも程があるが、クロエが関わっているのなら何とかしようと思ってしまう。
「やあ、君がクロエの妹だね」
陽光が反射して眩い金色の髪に翡翠色の瞳がアネットを見た。
「アネットと申します。お目にかかれて光栄です」
「楽にしていいよ。子供だけのお茶会なのだからね」
柔らかい笑みは確かにクロエが言っていたように優しく穏やかな人柄を感じられる。
(だけど王族に対するマナーはまだ習ってないんですよねー)
突如巻き込まれたお茶会にアネットは笑顔を貼りつけたまま、内心焦っていた。
「今日は第二王子殿下がいらっしゃるの。部屋から一歩も出ることは許しません」
目覚めて早々デルフィーヌがアネットの部屋に押しかけ、言いたいことだけ言ってすぐに出て行った。
特に王子に会いたいとも思わないし、むしろ面倒だと思っていたのでアネットはあっさりとそれを受け入れる。だがジョゼは納得のいかないようだ。
「アネット様もルヴィエ侯爵令嬢ですのに…」
「お姉様の婚約者なのだから、私は会えなくても平気よ」
まだ幼いこともあって、月に1度面会の機会を設けている。12歳ごろに正式な婚約を交わせば王城でしっかりと教育を受けることになるそうだ。
アネットとしてはクロエと過ごす時間が短くなるので、今ぐらいのペースでちょうど良いのだと内心思っている。
部屋から出ないとはいえ、ダラダラ過ごすわけにもいかず大人しく本を読んでいるとノックの音が聞こえた。
「アネット様、第二王子殿下がお呼びですので中庭にお越し下さい」
急いできたのか、額に汗をにじませてミリーが言った。
「でもお義母様は部屋にいなさいと…」
「王子殿下のご要望のほうが優先されますので。――失礼いたします」
瞬く間にいつもより質の良いドレスとアクセサリーを準備されて、身嗜みを整えられると急き立てられるように部屋を出た。
「クロエとはあまり似ていないんだね」
(そりゃあ母親が違いますからね)
浮かんだ言葉は口にせず、別の言葉に変換して答えた。
「ええ、お姉様は妖精のように可憐で美しい方ですから」
アネットの言葉にセルジュは目を丸くして、クロエは恥ずかしげに顔を伏せた。
「……ああ、確かにクロエは美しいな」
「そうなんです!ですがお姉様は美しいだけでなく、凛とした雰囲気の中なのに時々見せる微笑みが妖精のように可愛らしくて、それにとても努力家で素晴らしい方ですわ!!」
我が意を得たとばかりに言葉を募らせるアネットを見かねたクロエが声を掛ける。
「アネット……やめてちょうだい。セルジュ殿下がお困りだわ」
「あはは、アネット嬢はクロエのことが大好きなんだね。クロエもいつもよりリラックスした雰囲気だし、何だか可愛らしいよ」
耳が真っ赤に染まっているのに気づいたセルジュが、そう告げるとクロエはますます身の置き所をなくして朱に染まった頬を隠すように俯いた。緊張していた王子との体面だったが、クロエに関することならすらすらと言葉が出てくる。
結果としてセルジュとも話が弾み、アネットは思いのほか楽しい時間を過ごしたのだった。
「あれ、来てたの?」
セルジュが侯爵邸から戻ってくると従弟である公爵令息のリシャールがやって来た。
「ああ、遊びに来たのにお前がいないから待っていたんだ」
王族の遊び相手はどうしても限られている。幸いセルジュには政略や家柄に気を遣わなくて良い同い年のリシャールがいた。顔を合わせているうちに自然と仲良くなり、頻繁にお互いの家を行き来している間柄のため、公的な時を除いて口調も堅苦しいものではない。
「何か楽しそうだな。婚約者に会いに行ったんだろう?」
訝しむリシャールにセルジュは苦笑いを浮かべた。これまでのお茶会は儀礼的な会話ばかりでどちらかといえば退屈だったのだ。
集められた候補者の中からクロエを婚約者に選んだのはセルジュだったが、隙のない様子にどう仲を深めていったらよいかと悩んでいたことをリシャールは知っている。
「うん、面白いことがあったんだ。クロエの妹に会ってね」
それを聞いたリシャールの眼差しが批判的なものに変わる。婚約者ではなく別の少女に惹かれたのかと問い詰められているようで、慌ててセルジュは言葉を継いだ。
「そういう意味じゃないよ。クロエのことが大好きすぎる子でちょっと嫉妬してしまうぐらいだったよ。でもそのおかげで普段と違うクロエが見れた」
「何だ、惚気か」
厳しい視線が弱まって、呆れたような声でリシャールが言った。
「そうなるのかな?でも僕ももっと素直に気持ちを伝えればよかったんだと反省したよ」
「それは仕方ないだろう。俺たちはどうしてもそういう教育を受けるのだから」
王族や高位貴族の家に生まれたのだから、弱点になってはならない。弱みを見せないために本音を口にすることよりも、心を隠すことを優先とするのは貴族としての嗜みでもある。
「同い年なんだろう?俺たちと同じかもな……」
平民に産ませた子供を引き取るのは珍しい話ではない。だがその子供の生まれた時期によっては余計な勘繰りをせざるを得ない。二人目の出産は難しいと言われながらも懐妊した王妃が悲しまないよう保険として、時期を合わせて生まれてきたのがリシャールだ。
何気ない呟きだったが、困ったような笑みを浮かべるセルジュを見てリシャールはすぐに謝罪した。
「悪い、失言だった」
「気にしてないよ。それよりあの子はリシャールと気が合いそうだった」
セルジュの言葉にリシャールは顔を顰める。
「俺は婚約者など要らない。そもそもルヴィエ侯爵は婿を取るために引き取ったんだろう。条件に合わない」
「一度会ってみたら?今度クロエと一緒に王宮に呼ぶからさ」
珍しく食い下がる様子のセルジュを不思議に思ったものの、リシャールにそんな気はなかった
「会わない。お前の婚約者とのお茶会に俺が行けば、邪推を抱く連中がいるだろう」
まだ7歳だから気が変わるかもしれないとセルジュの婚約者の座を狙う者たちは決して少なくない。我儘を言わず分け隔てない優しさを見せるセルジュだが、心から望んだものや事柄に対しては絶対に諦めない一途さと頑固さを併せ持つ。
初の顔合わせで婚約者を決めてしまったのは、セルジュがクロエを気に入った証拠に他ならない。
それから別の話で盛り上がる中で、すぐにクロエの妹について忘れてしまった。リシャールがそのことを激しく後悔するのは8年後のことである。
一緒に過ごすことで改めてアネットはクロエの実力を思い知らされていた。
出来ていると思っていた貴族の振る舞いもクロエを見ていると、自分の拙さがよく分かる。滲み出る気品は一朝一夕で身に付くものではないのだ。
賞賛の眼差しで見つめていると、クロエが僅かに眉をひそめて言った。
「そんなに見ないでちょうだい。……恥ずかしいわ」
怒っているわけではなく、ただ照れている時の表情だと気づいた時には「尊い!!」と心の中で絶叫したものだ。
「お姉様の所作が美しくて見惚れてしまいました。丁寧で上品な佇まいで本当に素晴らしいです!」
「……ありがとう」
ぽそりと小さな声でお礼を言うクロエの耳が真っ赤に染まっている。
(お、お姉様がデレたーーーーーーー!!可愛いすぎです!!!)
アネットが感動で打ち震えていると、クロエがポケットから何かを取り出した。
「まだ練習中だけど、良かったらあげるわ」
それは小さな一輪の花が縫い付けられたハンカチだった。
刺繍も貴族令嬢の嗜みだが、アネットはまだ習っていない。大体8歳頃から習うものだと聞いていたのに、もうそこまで習っているのかと感心するとともに、詰め込み教育ではないかと不安になる。
だがそれよりも――。
「ほ、本当に頂いていいんですか?!お姉様の手作りの品を頂けるなんて、一生大事にします!!」
「…ハンカチなんだから使ってちょうだい。――それと……アネットが作った栞はまだあるかしら?」
ぎゅっと両手を握り締めた仕草から緊張が伝わってくる。気にしてくれていたのだとアネットは心が温かくなるのを感じた。
「はい、あります。明日持ってまいりますね」
嬉しくて満面の笑みを浮かべたアネットにクロエは僅かに口元を綻ばせた。
「明日はセルジュ殿下がいらっしゃるの」
目を伏せてクロエはそう教えてくれた。数日前から邸内がそわそわした雰囲気なのは察していたが、誰からも聞かされていない以上、義母は恐らく自分を第二王子殿下に合わせるつもりはないのだろう。
謹慎が解けたあともミリーの協力を得て、一緒にお茶をしたり図書館で勉強することも多くなった。デルフィーヌが快く思わないためこっそりとだが、クロエとの仲は良好といえるだろう。
「お姉様の婚約者の方ですよね。どんな方なのですか?」
「そうね。紳士的でとてもお優しい方だわ。初めは緊張したけれど、お茶会の時に何かと気遣ってくれたの」
頬に赤みが差していつもは凛とした瞳が今はどこか溶けたように甘い。
(お姉様は殿下のことをお慕いしているのね。これが意に沿わない結婚だったら何としてでも阻止するところだったけど、安心したわ)
王族との婚約をどうにかしようなど無謀にも程があるが、クロエが関わっているのなら何とかしようと思ってしまう。
「やあ、君がクロエの妹だね」
陽光が反射して眩い金色の髪に翡翠色の瞳がアネットを見た。
「アネットと申します。お目にかかれて光栄です」
「楽にしていいよ。子供だけのお茶会なのだからね」
柔らかい笑みは確かにクロエが言っていたように優しく穏やかな人柄を感じられる。
(だけど王族に対するマナーはまだ習ってないんですよねー)
突如巻き込まれたお茶会にアネットは笑顔を貼りつけたまま、内心焦っていた。
「今日は第二王子殿下がいらっしゃるの。部屋から一歩も出ることは許しません」
目覚めて早々デルフィーヌがアネットの部屋に押しかけ、言いたいことだけ言ってすぐに出て行った。
特に王子に会いたいとも思わないし、むしろ面倒だと思っていたのでアネットはあっさりとそれを受け入れる。だがジョゼは納得のいかないようだ。
「アネット様もルヴィエ侯爵令嬢ですのに…」
「お姉様の婚約者なのだから、私は会えなくても平気よ」
まだ幼いこともあって、月に1度面会の機会を設けている。12歳ごろに正式な婚約を交わせば王城でしっかりと教育を受けることになるそうだ。
アネットとしてはクロエと過ごす時間が短くなるので、今ぐらいのペースでちょうど良いのだと内心思っている。
部屋から出ないとはいえ、ダラダラ過ごすわけにもいかず大人しく本を読んでいるとノックの音が聞こえた。
「アネット様、第二王子殿下がお呼びですので中庭にお越し下さい」
急いできたのか、額に汗をにじませてミリーが言った。
「でもお義母様は部屋にいなさいと…」
「王子殿下のご要望のほうが優先されますので。――失礼いたします」
瞬く間にいつもより質の良いドレスとアクセサリーを準備されて、身嗜みを整えられると急き立てられるように部屋を出た。
「クロエとはあまり似ていないんだね」
(そりゃあ母親が違いますからね)
浮かんだ言葉は口にせず、別の言葉に変換して答えた。
「ええ、お姉様は妖精のように可憐で美しい方ですから」
アネットの言葉にセルジュは目を丸くして、クロエは恥ずかしげに顔を伏せた。
「……ああ、確かにクロエは美しいな」
「そうなんです!ですがお姉様は美しいだけでなく、凛とした雰囲気の中なのに時々見せる微笑みが妖精のように可愛らしくて、それにとても努力家で素晴らしい方ですわ!!」
我が意を得たとばかりに言葉を募らせるアネットを見かねたクロエが声を掛ける。
「アネット……やめてちょうだい。セルジュ殿下がお困りだわ」
「あはは、アネット嬢はクロエのことが大好きなんだね。クロエもいつもよりリラックスした雰囲気だし、何だか可愛らしいよ」
耳が真っ赤に染まっているのに気づいたセルジュが、そう告げるとクロエはますます身の置き所をなくして朱に染まった頬を隠すように俯いた。緊張していた王子との体面だったが、クロエに関することならすらすらと言葉が出てくる。
結果としてセルジュとも話が弾み、アネットは思いのほか楽しい時間を過ごしたのだった。
「あれ、来てたの?」
セルジュが侯爵邸から戻ってくると従弟である公爵令息のリシャールがやって来た。
「ああ、遊びに来たのにお前がいないから待っていたんだ」
王族の遊び相手はどうしても限られている。幸いセルジュには政略や家柄に気を遣わなくて良い同い年のリシャールがいた。顔を合わせているうちに自然と仲良くなり、頻繁にお互いの家を行き来している間柄のため、公的な時を除いて口調も堅苦しいものではない。
「何か楽しそうだな。婚約者に会いに行ったんだろう?」
訝しむリシャールにセルジュは苦笑いを浮かべた。これまでのお茶会は儀礼的な会話ばかりでどちらかといえば退屈だったのだ。
集められた候補者の中からクロエを婚約者に選んだのはセルジュだったが、隙のない様子にどう仲を深めていったらよいかと悩んでいたことをリシャールは知っている。
「うん、面白いことがあったんだ。クロエの妹に会ってね」
それを聞いたリシャールの眼差しが批判的なものに変わる。婚約者ではなく別の少女に惹かれたのかと問い詰められているようで、慌ててセルジュは言葉を継いだ。
「そういう意味じゃないよ。クロエのことが大好きすぎる子でちょっと嫉妬してしまうぐらいだったよ。でもそのおかげで普段と違うクロエが見れた」
「何だ、惚気か」
厳しい視線が弱まって、呆れたような声でリシャールが言った。
「そうなるのかな?でも僕ももっと素直に気持ちを伝えればよかったんだと反省したよ」
「それは仕方ないだろう。俺たちはどうしてもそういう教育を受けるのだから」
王族や高位貴族の家に生まれたのだから、弱点になってはならない。弱みを見せないために本音を口にすることよりも、心を隠すことを優先とするのは貴族としての嗜みでもある。
「同い年なんだろう?俺たちと同じかもな……」
平民に産ませた子供を引き取るのは珍しい話ではない。だがその子供の生まれた時期によっては余計な勘繰りをせざるを得ない。二人目の出産は難しいと言われながらも懐妊した王妃が悲しまないよう保険として、時期を合わせて生まれてきたのがリシャールだ。
何気ない呟きだったが、困ったような笑みを浮かべるセルジュを見てリシャールはすぐに謝罪した。
「悪い、失言だった」
「気にしてないよ。それよりあの子はリシャールと気が合いそうだった」
セルジュの言葉にリシャールは顔を顰める。
「俺は婚約者など要らない。そもそもルヴィエ侯爵は婿を取るために引き取ったんだろう。条件に合わない」
「一度会ってみたら?今度クロエと一緒に王宮に呼ぶからさ」
珍しく食い下がる様子のセルジュを不思議に思ったものの、リシャールにそんな気はなかった
「会わない。お前の婚約者とのお茶会に俺が行けば、邪推を抱く連中がいるだろう」
まだ7歳だから気が変わるかもしれないとセルジュの婚約者の座を狙う者たちは決して少なくない。我儘を言わず分け隔てない優しさを見せるセルジュだが、心から望んだものや事柄に対しては絶対に諦めない一途さと頑固さを併せ持つ。
初の顔合わせで婚約者を決めてしまったのは、セルジュがクロエを気に入った証拠に他ならない。
それから別の話で盛り上がる中で、すぐにクロエの妹について忘れてしまった。リシャールがそのことを激しく後悔するのは8年後のことである。
30
お気に入りに追加
2,120
あなたにおすすめの小説

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました
葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。
前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ!
だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます!
「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」
ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?
私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー!
※約六万字で完結するので、長編というより中編です。
※他サイトにも投稿しています。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
謀殺された悪役令嬢は、前世の護衛騎士の幸せを見届けたい
うづき
恋愛
「ロゼ。王太子妃の務めを果たせ」
前世楽しんでいた乙女ゲームの世界に悪役令嬢として異世界転生したのも束の間、生存ルートを必死に探すもののゲームの強制力によって汚名を着せられ、謀殺されてしまったロゼ。
だが、何の因果か、同じ世界の平民に直ぐに転生したロゼは、前世の護衛騎士が幸せになっているかどうかを探しに向かう。――のだが。
えっ、なんだか儚げになっていて今にも死にそうなんですけど!?
前世の前世の推し、兼ね、前世の護衛騎士が幸せになるのを見届けるまで、絶対に離れません!
相手は獣人(狼)、番的な要素も後々出てきます。
最終的には私が幸せにしてみせる!!!!という感じになります。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる