27 / 47
第2章
忌避される存在
しおりを挟む
部屋に戻ると手付かずの朝食が食卓に残されていた。昨日から丸一日何も口にしていないはずだ。
(これも抗議の一種なのだろうか……)
無意識にため息が漏れた。寝室のドアを開けると、ユナは昨日と同じく部屋の隅で顔を伏せたまま膝を抱えている。
「ユナ、食事の時間だ」
声を掛けるとわずかに顔をあげ、首を横に振った。いい加減食事をさせないと体に障る。抱きかかえようとすると身を捩って抗おうとする。
「自分で席につくか、我に運ばれるかどちらか選べ」
そう言うとしぶしぶといったように立ち上がる。相変わらずこちらに視線を向けないが、目が赤く腫れているため泣いていたことは明白だ。
新しい侍女がテーブルの上に、ポタージュと数種類のサンドイッチ、それから果物を並べている。いずれもユナの好物ばかりだ。それでもスープに申し訳程度に口をつけただけで、ユナは席を立とうとする。
(っ……それほどに——)
ミアを追放したのがそんなに堪えているのだろうか。
ユナは食事が大好きだったはずだ。初めての料理や好きな物を出せば目を輝かせるし、喜びを表現するように時折小さく弾む。そんな様子が可愛らしくていつまでも見ていたくなるので、お茶の時間には必ず戻るようにしていた。
だが今のユナは食事を楽しむどころか、まるで苦痛で仕方がないと言わんばかりの表情だ。
内心の落胆を隠し、果物を小さく切ってからユナの口元に差し出すと、暫くためらったあと口を開ける。だが数回繰り返すともう要らないというように首を横に振られた。もっと食べて欲しいと思うがこれ以上無理強いはしたくない。
ふと顔を上げれば新しい侍女が驚愕の表情を浮かべてこちらを見ていたが、目が合うと慌てたように逸らす。
(ユナがこの娘を気に入れば機嫌を直してくれるだろうか?)
食卓には彼女のお気に入りのはずのお茶が手付かずのまま残っていた。
日が傾きかけたころ、アーベルが休憩のために部屋に戻ってきた。随分疲れている様子だったので、ミアはリラックス効果のあるお茶を手早く入れる。
「ああ、お前のこの茶も久しぶりだな」
しみじみと懐かしむ様子のアーベルに覚えてくれていたのだと、ミアは嬉しくなった。
拾われてまだ間もない頃、何か役に立てることがないかと考えたことの一つがお茶を入れることだった。器用ではないため、きちんとした食事を作ることはできなかったがお茶ならば大丈夫ではないかと思ったのだ。もっとも最初に淹れたお茶は渋すぎて、アーベルから怒られてしまったのだが――。それからお茶の種類や淹れ方にも興味を覚え、今ではすっかり趣味を兼ねた特技になってしまった。
「姫は一日中誰とも口を利かず、食事もほとんど摂られていないそうだ」
おかげで陛下がずっと落ち着かず機嫌も芳しくないのだとアーベルが嘆息する。
「まさか体調がよろしくないのですか!?」
「だったら、そう伝えるだろう。姫もよほど怒っているようだな」
自分にも原因があるため、いたたまれない気分になる。今は大丈夫でもこのままだと姫様の体調が心配だ。でもミアが会いに行くことはできない。代わりにどうにか元気づけることはできないだろうか。
必死に自分にできることを考え続けていると、一つアイデアが浮かんだ。
「アーベル様、お願いしたいことがございます」
効果があるかどうかも分からないけど、自分に出来るのはこれぐらいしかない。
翌朝、エルザが不機嫌な様子で現れて、不満をまくし立てた。
「何だって陛下はあんな女をお気に召したのかしら。口も利かないし、自分で食事もしないし、偉そうにして。第一顔だって平凡じゃない。全然理解できないわ」
「いつもはそんな方じゃないの。今は色々あってそう見えるのかもしれないけど…」
ミアの言葉にエルザは馬鹿にしたように口の端を上げる。
「あんたはいい子だからね。それで、お姫様に持って行くのはこれでいいの?」
エルザの視線はティーセットに向けられている。
「うん。お湯を入れたらこの砂時計をひっくり返して、砂が全部落ちたらお茶を注いでほしいの」
このお茶は姫様が元気のない時に出したらとても喜んでくれたものだ。早起きして作った焼き菓子との相性もよいはずだ。姫様が気づいてくれるかは分からないが、少しでも口にしてくれれば嬉しい。
「はいはい。まったく手間のかかること」
文句を言いながらもエルザはティーセットを片手に部屋から出て行く。
この様子ではエルザが姫様の話し相手になるのは難しそうだ。エルザからしてみれば、主たる陛下を蔑ろにしているように見える姫様が不快なのだろう。
ふと先ほどのエルザの言葉とアーベルから聞いた話を思い出す。陛下に対して口を利かないのは怒っているからだとしても、初対面であるエルザにも声をかけないのは姫様の性格からして違和感がある。
話さないのは、何か理由があるのではないだろうか。
部屋に入りかけたとき、何かが割れるような音が聞こえた。
ドアを開けると呆気に取られたようなユナの表情が目に入った。彼女の前には床に座り込んだエルザの姿があり、そばにはティーカップの残骸が散らばっていた。
「陛下!」
エルザが立ち上がって、こちらに向かってくる。
「申し訳ございません。姫様のお気に召さなかったらしく…」
言葉と状況だけ切り取れば、まるでユナがティーカップを投げつけたかのように聞こえる。彼女がそんな風に癇癪を起こすとは思えないが、いずれにせよ問題なのはそこではない。
「ユナ、怪我はないか?」
なおも言葉を発しようとするエルザを無視して、ユナの元に向かう。全身を確認するが茶も陶器の欠片も届かなかったようで、安心する。
俯いたままのユナの手を引いてソファーに座らせると、先ほどアーベルから受け取った菓子を取り出す。一口大の柔らかい菓子で、以前好んで口にしていたため用意させた。手に取って口元に運ぶが、ユナは視線を合わさぬまま口元を引き結んでいる。
「一つだけで良い。好きだっただろう?」
そう声を掛けてみるが、ユナは立ち上がって寝室へと逃げてしまった。無理強いをしすぎたのかもしれない。
「あの、陛下——」
振り向くとエルザがそばに立っていた。視線だけで続きを促す。
「どうして姫様にそこまでされるのですか?あの方は陛下のことをよく思っていらっしゃらないのに」
質問に答える気はなかったが、最後の言葉が引っかかった。
「何故分かる」
そう聞くと躊躇う素振りを見せながらも、おずおずと答えた。
「姫様がそうおっしゃったからです。……陛下が悲しまれると思って口にできませんでしたが、ひどいことを…」
(我とは口を利かないが、この娘とは話すのか……)
嫉妬に似た気持ちを抑えながら、続きを促すため声を掛けた。
「ユナは何と言った」
「……そばに寄られるのも汚らわしい、と」
ゆっくりとシュルツの腕に手を伸ばしながら、エルザは続ける。
「おいたわしい限りですわ。私が出来ることでしたら、何なりと――」
「片づけが済んだのならさっさと出ていけ」
冷ややかに見下ろすと硬直したように動きが止まった。それから顔を背けると慌てて部屋から出て行くエルザに何の関心も払わずに、シュルツはソファーに身を沈める。
ユナに嫌われても仕方がない。人間で魔物を忌避し嫌悪する、そんな当たり前のことをすっかり忘れていたのは、これまでユナは決してそんな態度を取らなかったからだ。
だが彼女を想うあまりに自分が気づかないだけだったのかもしれない。街で生き生きとした表情を浮かべていた彼女の姿を思い出し、胸の苦しさが増した気がした。
(これも抗議の一種なのだろうか……)
無意識にため息が漏れた。寝室のドアを開けると、ユナは昨日と同じく部屋の隅で顔を伏せたまま膝を抱えている。
「ユナ、食事の時間だ」
声を掛けるとわずかに顔をあげ、首を横に振った。いい加減食事をさせないと体に障る。抱きかかえようとすると身を捩って抗おうとする。
「自分で席につくか、我に運ばれるかどちらか選べ」
そう言うとしぶしぶといったように立ち上がる。相変わらずこちらに視線を向けないが、目が赤く腫れているため泣いていたことは明白だ。
新しい侍女がテーブルの上に、ポタージュと数種類のサンドイッチ、それから果物を並べている。いずれもユナの好物ばかりだ。それでもスープに申し訳程度に口をつけただけで、ユナは席を立とうとする。
(っ……それほどに——)
ミアを追放したのがそんなに堪えているのだろうか。
ユナは食事が大好きだったはずだ。初めての料理や好きな物を出せば目を輝かせるし、喜びを表現するように時折小さく弾む。そんな様子が可愛らしくていつまでも見ていたくなるので、お茶の時間には必ず戻るようにしていた。
だが今のユナは食事を楽しむどころか、まるで苦痛で仕方がないと言わんばかりの表情だ。
内心の落胆を隠し、果物を小さく切ってからユナの口元に差し出すと、暫くためらったあと口を開ける。だが数回繰り返すともう要らないというように首を横に振られた。もっと食べて欲しいと思うがこれ以上無理強いはしたくない。
ふと顔を上げれば新しい侍女が驚愕の表情を浮かべてこちらを見ていたが、目が合うと慌てたように逸らす。
(ユナがこの娘を気に入れば機嫌を直してくれるだろうか?)
食卓には彼女のお気に入りのはずのお茶が手付かずのまま残っていた。
日が傾きかけたころ、アーベルが休憩のために部屋に戻ってきた。随分疲れている様子だったので、ミアはリラックス効果のあるお茶を手早く入れる。
「ああ、お前のこの茶も久しぶりだな」
しみじみと懐かしむ様子のアーベルに覚えてくれていたのだと、ミアは嬉しくなった。
拾われてまだ間もない頃、何か役に立てることがないかと考えたことの一つがお茶を入れることだった。器用ではないため、きちんとした食事を作ることはできなかったがお茶ならば大丈夫ではないかと思ったのだ。もっとも最初に淹れたお茶は渋すぎて、アーベルから怒られてしまったのだが――。それからお茶の種類や淹れ方にも興味を覚え、今ではすっかり趣味を兼ねた特技になってしまった。
「姫は一日中誰とも口を利かず、食事もほとんど摂られていないそうだ」
おかげで陛下がずっと落ち着かず機嫌も芳しくないのだとアーベルが嘆息する。
「まさか体調がよろしくないのですか!?」
「だったら、そう伝えるだろう。姫もよほど怒っているようだな」
自分にも原因があるため、いたたまれない気分になる。今は大丈夫でもこのままだと姫様の体調が心配だ。でもミアが会いに行くことはできない。代わりにどうにか元気づけることはできないだろうか。
必死に自分にできることを考え続けていると、一つアイデアが浮かんだ。
「アーベル様、お願いしたいことがございます」
効果があるかどうかも分からないけど、自分に出来るのはこれぐらいしかない。
翌朝、エルザが不機嫌な様子で現れて、不満をまくし立てた。
「何だって陛下はあんな女をお気に召したのかしら。口も利かないし、自分で食事もしないし、偉そうにして。第一顔だって平凡じゃない。全然理解できないわ」
「いつもはそんな方じゃないの。今は色々あってそう見えるのかもしれないけど…」
ミアの言葉にエルザは馬鹿にしたように口の端を上げる。
「あんたはいい子だからね。それで、お姫様に持って行くのはこれでいいの?」
エルザの視線はティーセットに向けられている。
「うん。お湯を入れたらこの砂時計をひっくり返して、砂が全部落ちたらお茶を注いでほしいの」
このお茶は姫様が元気のない時に出したらとても喜んでくれたものだ。早起きして作った焼き菓子との相性もよいはずだ。姫様が気づいてくれるかは分からないが、少しでも口にしてくれれば嬉しい。
「はいはい。まったく手間のかかること」
文句を言いながらもエルザはティーセットを片手に部屋から出て行く。
この様子ではエルザが姫様の話し相手になるのは難しそうだ。エルザからしてみれば、主たる陛下を蔑ろにしているように見える姫様が不快なのだろう。
ふと先ほどのエルザの言葉とアーベルから聞いた話を思い出す。陛下に対して口を利かないのは怒っているからだとしても、初対面であるエルザにも声をかけないのは姫様の性格からして違和感がある。
話さないのは、何か理由があるのではないだろうか。
部屋に入りかけたとき、何かが割れるような音が聞こえた。
ドアを開けると呆気に取られたようなユナの表情が目に入った。彼女の前には床に座り込んだエルザの姿があり、そばにはティーカップの残骸が散らばっていた。
「陛下!」
エルザが立ち上がって、こちらに向かってくる。
「申し訳ございません。姫様のお気に召さなかったらしく…」
言葉と状況だけ切り取れば、まるでユナがティーカップを投げつけたかのように聞こえる。彼女がそんな風に癇癪を起こすとは思えないが、いずれにせよ問題なのはそこではない。
「ユナ、怪我はないか?」
なおも言葉を発しようとするエルザを無視して、ユナの元に向かう。全身を確認するが茶も陶器の欠片も届かなかったようで、安心する。
俯いたままのユナの手を引いてソファーに座らせると、先ほどアーベルから受け取った菓子を取り出す。一口大の柔らかい菓子で、以前好んで口にしていたため用意させた。手に取って口元に運ぶが、ユナは視線を合わさぬまま口元を引き結んでいる。
「一つだけで良い。好きだっただろう?」
そう声を掛けてみるが、ユナは立ち上がって寝室へと逃げてしまった。無理強いをしすぎたのかもしれない。
「あの、陛下——」
振り向くとエルザがそばに立っていた。視線だけで続きを促す。
「どうして姫様にそこまでされるのですか?あの方は陛下のことをよく思っていらっしゃらないのに」
質問に答える気はなかったが、最後の言葉が引っかかった。
「何故分かる」
そう聞くと躊躇う素振りを見せながらも、おずおずと答えた。
「姫様がそうおっしゃったからです。……陛下が悲しまれると思って口にできませんでしたが、ひどいことを…」
(我とは口を利かないが、この娘とは話すのか……)
嫉妬に似た気持ちを抑えながら、続きを促すため声を掛けた。
「ユナは何と言った」
「……そばに寄られるのも汚らわしい、と」
ゆっくりとシュルツの腕に手を伸ばしながら、エルザは続ける。
「おいたわしい限りですわ。私が出来ることでしたら、何なりと――」
「片づけが済んだのならさっさと出ていけ」
冷ややかに見下ろすと硬直したように動きが止まった。それから顔を背けると慌てて部屋から出て行くエルザに何の関心も払わずに、シュルツはソファーに身を沈める。
ユナに嫌われても仕方がない。人間で魔物を忌避し嫌悪する、そんな当たり前のことをすっかり忘れていたのは、これまでユナは決してそんな態度を取らなかったからだ。
だが彼女を想うあまりに自分が気づかないだけだったのかもしれない。街で生き生きとした表情を浮かべていた彼女の姿を思い出し、胸の苦しさが増した気がした。
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

心を病んだ魔術師さまに執着されてしまった
あーもんど
恋愛
“稀代の天才”と持て囃される魔術師さまの窮地を救ったことで、気に入られてしまった主人公グレイス。
本人は大して気にしていないものの、魔術師さまの言動は常軌を逸していて……?
例えば、子供のようにベッタリ後を付いてきたり……
異性との距離感やボディタッチについて、制限してきたり……
名前で呼んでほしい、と懇願してきたり……
とにかく、グレイスを独り占めしたくて堪らない様子。
さすがのグレイスも、仕事や生活に支障をきたすような要求は断ろうとするが……
「僕のこと、嫌い……?」
「そいつらの方がいいの……?」
「僕は君が居ないと、もう生きていけないのに……」
と、泣き縋られて結局承諾してしまう。
まだ魔術師さまを窮地に追いやったあの事件から日も浅く、かなり情緒不安定だったため。
「────私が魔術師さまをお支えしなければ」
と、グレイスはかなり気負っていた。
────これはメンタルよわよわなエリート魔術師さまを、主人公がひたすらヨシヨシするお話である。
*小説家になろう様にて、先行公開中*


騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる