41 / 45
別行動
しおりを挟む
「今日からは馬で移動するぞ」
朝食の席でメルヴィンからさらりとした口調で告げられたが、陽香に乗馬の経験はない。
「一緒に乗るから大丈夫だ」
思わず眉を下げた陽香を安心させるようにメルヴィンは小さく笑って言った。普段通りの声、普段通りの表情だからこそ、そのことに違和感を覚えた。
「うん、分かった」
心に芽生えた小さな予感を口にすることなく、陽香もまたいつも通りの態度を心掛けながら答えたのだった。
宿の裏手には既に馬が用意されていた。黒い毛並みは艶やかで美しいが、どっしりと大きな体躯は威圧感があり、少々気圧されてしまいそうだ。
落ち着かないのか足踏みをする馬にメルヴィンが声を掛けながら触れると、すぐに甘えるように頭を擦りつけている。
馬の扱いが巧みなこともあるが、きっと頭が良く優秀な馬なのだろう。
不安要素が一つ消えたことで、陽香は小さく安堵の息を漏らした。
メルヴィンに抱えられて馬に乗ると、随分と視界が高い。陽香の身長とほぼ同じ高さなのだから当然といえば当然だが、見慣れた景色なのに随分と印象が変わって見える。
鐙に足を掛け危うげなく飛び乗ったメルヴィンに感心していたが、背後から抱き込まれるような体勢であることに気づいた途端に落ち着かない。
(一人で乗れないし、危なくないようにっていう配慮なんだろうけど……)
伝わってくる体温や、耳元で響く声に逃げ出したくなる衝動をぐっと堪える。
恥ずかしいと思うのは、まるで異性として意識しているようではないか。
「身体が辛かったり下りたくなったらすぐに言うんだぞ」
(ただの護衛で、保護者代わりだから。そう、お父さんやお兄ちゃんにドキドキするのはおかしいよね!)
手綱を握りながらも両腕で器用に身体を支えてくれるメルヴィンに、陽香は無言で頷いたのだった。
「ここで一旦休憩にしよう」
馬が小川の水を勢いよく飲んでいる音を聞きながら、陽香は背筋を伸ばす。耐えられないほどではないが、お尻や背中が辛くなってきたところで、まるで見計らったかのような声掛けだった。
(以前にも女性と馬に乗ったことがあるのかな……)
筋肉量や体力が違う男性では気づきにくい点だと思うのに、さり気ない気遣いは過去の体験に基づくものだと考えるのは自然だろう。
公爵令息なのだから婚約者がいてもおかしくない。
(そういう相手がいるのに、こんなとこまで連れ回しては駄目だよね)
メルヴィンに頼りっぱなしの自分が情けなくて、申し訳なくて、気分が沈んでいくのが分かる。
「ハルカ、念のためだ」
覗き込むように視線を合わされて、一瞬何のことだと混乱しかけたが、ようやく二人だけで移動することになった理由を明かしてくれたのだと思い至った。俯いていたせいで思い悩んでいるのだと勘違いされたようだ。
「エディットさんとジェイさんは大丈夫?」
「ああ、あっちにも町に着くまで別の護衛を付けているから心配いらない」
二人が安全ならば陽香に異論はない。メルヴィンのすることにはきちんとした理由があるのだと思ったから、何も聞かないことにしたのだ。
(ごめんね……)
心の中でそう呟く。たくさん迷惑をかけているからこそ、口にしてはいけない言葉だった。謝るのは自分の中の罪悪感を減らしたいからで、相手のためではない。
「ほら、少し酸っぱいがうまいぞ」
そう言ってメルヴィンは小さな赤紫の実をぱらぱらと陽香の手の平に載せた。一粒食べるとすっきりとした甘さと疲れに聞きそうな酸味が癖になりそうだ。
「美味しいね。ありがとう」
不安がらせないように、気分転換になるように、そんなメルヴィンの優しさが伝わってくる。嬉しくて素直に感謝すれば、温かい陽だまりのような笑みが返ってきた。
(優しくて穏やかな時間なのに何故か苦しくて……とても幸せに感じるなんて)
矛盾だらけの思考の中で、陽香はこの光景を覚えておこうと強く思った。平穏なひと時はいつだって突然ひっくり返されてしまうのだから。
怒声に混じって悲鳴が聞こえてくるたびに肩が震える。荒々しい物音や金属がぶつかり合う音は本能的な恐怖を呼び起こす。奴隷時代に慣れたと思っていた荒事とは比べ物にならないほどの激しさに、ただ蹲っていることしかできない。
そのことがやるせなくて、惨めで、不安なのに、陽香に出来るのはメルヴィンの邪魔をしないことだけだ。
潮が引くように辺りに静けさが戻ると、小さな足音が近づいてきた。
「ハルカ」
名前を呼ばれてようやく呼吸ができるようになった気がしたが、顔を上げた途端に鼻につく濃厚な血の臭いに吐き気が込み上げる。
分かっていたことなのに、反射的に胃がぎゅっと縮こまるのを止められない。
「無理をしなくていい。慣れていない方が当たり前だからな」
何でもない振りをしたいのに、メルヴィンにはあっさりと見抜かれてしまう。自分を護るための結果なのに、そんなことを言わせてしまったことが悔しくて、だけどどうしていいか分からない。
「……メル、怪我は?」
薄闇の中でも目につく鮮やかな深紅の色は返り血だと聞いて、ほっとする。
「バゼーヌ侯爵の手の者じゃない。……恐らくは王妃だろう」
安堵した途端に、ざらりとした嫌な予感を覚える。
「……気づかれたってこと?アンリは……」
大丈夫なのかとは聞けなかった。陽香に言われずともメルヴィンが考えないわけがない。
「疑念は抱かれているようだが、確証は得られてないはずだ。アンリの側を離れたことで、邪魔な俺を排除するいい機会だと刺客を放った。そこにハルカがいれば尚良しといったところだろう」
淡々とした口調で告げたメルヴィンの言葉に陽香は思わず目を瞠った。王妃に命を狙われることを当然のように捉えていたからだ。
「何で……王妃が」
「ああ……。もう亡くなったが俺の母は現王の姉なんだ。母に心酔している王は俺が王位継承権の放棄することを認めない。だから王妃は何かにつけて俺を排除しようとしているんだ。巻き込んでしまってすまないな」
何故アンリと気安い間柄なのか、王太子の立場に言及した時ジゼルが反応した理由など、色々な事が一気に腑に落ちた。
過去を反芻するのに忙しく無言になった陽香をどう捉えたのか、突然メルヴィンが膝を付き深々と頭を下げた。
「そのような立場にありながらハルカの召喚を止められなかった。そんな俺に護られるのは不快かもしれないが、もう少しだけ我慢してほしい」
「嫌じゃないよ!むしろメルヴィンじゃないと………困る」
メルヴィンじゃないと嫌だ。そう口にしかけて慌てて別の言葉を選んだが、あまり大差がない気がする。
自分が思っていた以上にメルヴィンを信頼していたことに気づかされた。
(信頼できて優しくて側にいてくれるのが心地よくて――私、もしかしてメルヴィンに………依存しちゃってる?!)
「そうだな。俺はハルカの専属騎士だもんな」
ショックを受ける陽香をよそに表情を緩めて安堵を浮かべるメルヴィンに、陽香は頷くのが精一杯だった。
朝食の席でメルヴィンからさらりとした口調で告げられたが、陽香に乗馬の経験はない。
「一緒に乗るから大丈夫だ」
思わず眉を下げた陽香を安心させるようにメルヴィンは小さく笑って言った。普段通りの声、普段通りの表情だからこそ、そのことに違和感を覚えた。
「うん、分かった」
心に芽生えた小さな予感を口にすることなく、陽香もまたいつも通りの態度を心掛けながら答えたのだった。
宿の裏手には既に馬が用意されていた。黒い毛並みは艶やかで美しいが、どっしりと大きな体躯は威圧感があり、少々気圧されてしまいそうだ。
落ち着かないのか足踏みをする馬にメルヴィンが声を掛けながら触れると、すぐに甘えるように頭を擦りつけている。
馬の扱いが巧みなこともあるが、きっと頭が良く優秀な馬なのだろう。
不安要素が一つ消えたことで、陽香は小さく安堵の息を漏らした。
メルヴィンに抱えられて馬に乗ると、随分と視界が高い。陽香の身長とほぼ同じ高さなのだから当然といえば当然だが、見慣れた景色なのに随分と印象が変わって見える。
鐙に足を掛け危うげなく飛び乗ったメルヴィンに感心していたが、背後から抱き込まれるような体勢であることに気づいた途端に落ち着かない。
(一人で乗れないし、危なくないようにっていう配慮なんだろうけど……)
伝わってくる体温や、耳元で響く声に逃げ出したくなる衝動をぐっと堪える。
恥ずかしいと思うのは、まるで異性として意識しているようではないか。
「身体が辛かったり下りたくなったらすぐに言うんだぞ」
(ただの護衛で、保護者代わりだから。そう、お父さんやお兄ちゃんにドキドキするのはおかしいよね!)
手綱を握りながらも両腕で器用に身体を支えてくれるメルヴィンに、陽香は無言で頷いたのだった。
「ここで一旦休憩にしよう」
馬が小川の水を勢いよく飲んでいる音を聞きながら、陽香は背筋を伸ばす。耐えられないほどではないが、お尻や背中が辛くなってきたところで、まるで見計らったかのような声掛けだった。
(以前にも女性と馬に乗ったことがあるのかな……)
筋肉量や体力が違う男性では気づきにくい点だと思うのに、さり気ない気遣いは過去の体験に基づくものだと考えるのは自然だろう。
公爵令息なのだから婚約者がいてもおかしくない。
(そういう相手がいるのに、こんなとこまで連れ回しては駄目だよね)
メルヴィンに頼りっぱなしの自分が情けなくて、申し訳なくて、気分が沈んでいくのが分かる。
「ハルカ、念のためだ」
覗き込むように視線を合わされて、一瞬何のことだと混乱しかけたが、ようやく二人だけで移動することになった理由を明かしてくれたのだと思い至った。俯いていたせいで思い悩んでいるのだと勘違いされたようだ。
「エディットさんとジェイさんは大丈夫?」
「ああ、あっちにも町に着くまで別の護衛を付けているから心配いらない」
二人が安全ならば陽香に異論はない。メルヴィンのすることにはきちんとした理由があるのだと思ったから、何も聞かないことにしたのだ。
(ごめんね……)
心の中でそう呟く。たくさん迷惑をかけているからこそ、口にしてはいけない言葉だった。謝るのは自分の中の罪悪感を減らしたいからで、相手のためではない。
「ほら、少し酸っぱいがうまいぞ」
そう言ってメルヴィンは小さな赤紫の実をぱらぱらと陽香の手の平に載せた。一粒食べるとすっきりとした甘さと疲れに聞きそうな酸味が癖になりそうだ。
「美味しいね。ありがとう」
不安がらせないように、気分転換になるように、そんなメルヴィンの優しさが伝わってくる。嬉しくて素直に感謝すれば、温かい陽だまりのような笑みが返ってきた。
(優しくて穏やかな時間なのに何故か苦しくて……とても幸せに感じるなんて)
矛盾だらけの思考の中で、陽香はこの光景を覚えておこうと強く思った。平穏なひと時はいつだって突然ひっくり返されてしまうのだから。
怒声に混じって悲鳴が聞こえてくるたびに肩が震える。荒々しい物音や金属がぶつかり合う音は本能的な恐怖を呼び起こす。奴隷時代に慣れたと思っていた荒事とは比べ物にならないほどの激しさに、ただ蹲っていることしかできない。
そのことがやるせなくて、惨めで、不安なのに、陽香に出来るのはメルヴィンの邪魔をしないことだけだ。
潮が引くように辺りに静けさが戻ると、小さな足音が近づいてきた。
「ハルカ」
名前を呼ばれてようやく呼吸ができるようになった気がしたが、顔を上げた途端に鼻につく濃厚な血の臭いに吐き気が込み上げる。
分かっていたことなのに、反射的に胃がぎゅっと縮こまるのを止められない。
「無理をしなくていい。慣れていない方が当たり前だからな」
何でもない振りをしたいのに、メルヴィンにはあっさりと見抜かれてしまう。自分を護るための結果なのに、そんなことを言わせてしまったことが悔しくて、だけどどうしていいか分からない。
「……メル、怪我は?」
薄闇の中でも目につく鮮やかな深紅の色は返り血だと聞いて、ほっとする。
「バゼーヌ侯爵の手の者じゃない。……恐らくは王妃だろう」
安堵した途端に、ざらりとした嫌な予感を覚える。
「……気づかれたってこと?アンリは……」
大丈夫なのかとは聞けなかった。陽香に言われずともメルヴィンが考えないわけがない。
「疑念は抱かれているようだが、確証は得られてないはずだ。アンリの側を離れたことで、邪魔な俺を排除するいい機会だと刺客を放った。そこにハルカがいれば尚良しといったところだろう」
淡々とした口調で告げたメルヴィンの言葉に陽香は思わず目を瞠った。王妃に命を狙われることを当然のように捉えていたからだ。
「何で……王妃が」
「ああ……。もう亡くなったが俺の母は現王の姉なんだ。母に心酔している王は俺が王位継承権の放棄することを認めない。だから王妃は何かにつけて俺を排除しようとしているんだ。巻き込んでしまってすまないな」
何故アンリと気安い間柄なのか、王太子の立場に言及した時ジゼルが反応した理由など、色々な事が一気に腑に落ちた。
過去を反芻するのに忙しく無言になった陽香をどう捉えたのか、突然メルヴィンが膝を付き深々と頭を下げた。
「そのような立場にありながらハルカの召喚を止められなかった。そんな俺に護られるのは不快かもしれないが、もう少しだけ我慢してほしい」
「嫌じゃないよ!むしろメルヴィンじゃないと………困る」
メルヴィンじゃないと嫌だ。そう口にしかけて慌てて別の言葉を選んだが、あまり大差がない気がする。
自分が思っていた以上にメルヴィンを信頼していたことに気づかされた。
(信頼できて優しくて側にいてくれるのが心地よくて――私、もしかしてメルヴィンに………依存しちゃってる?!)
「そうだな。俺はハルカの専属騎士だもんな」
ショックを受ける陽香をよそに表情を緩めて安堵を浮かべるメルヴィンに、陽香は頷くのが精一杯だった。
42
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
幼馴染に奪われそうな王子と公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
「王子様、本当に愛しているのは誰ですか???」
「私が愛しているのは君だけだ……」
「そんなウソ……これ以上は通用しませんよ???」
背後には幼馴染……どうして???
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
君はずっと、その目を閉ざしていればいい
瀬月 ゆな
恋愛
石畳の間に咲く小さな花を見た彼女が、その愛らしい顔を悲しそうに歪めて「儚くて綺麗ね」とそっと呟く。
一体何が儚くて綺麗なのか。
彼女が感じた想いを少しでも知りたくて、僕は目の前でその花を笑顔で踏みにじった。
「――ああ。本当に、儚いね」
兄の婚約者に横恋慕する第二王子の歪んだ恋の話。主人公の恋が成就することはありません。
また、作中に気分の悪くなるような描写が少しあります。ご注意下さい。
小説家になろう様でも公開しています。
大嫌いな令嬢
緑谷めい
恋愛
ボージェ侯爵家令嬢アンヌはアシャール侯爵家令嬢オレリアが大嫌いである。ほとんど「憎んでいる」と言っていい程に。
同家格の侯爵家に、たまたま同じ年、同じ性別で産まれたアンヌとオレリア。アンヌには5歳年上の兄がいてオレリアには1つ下の弟がいる、という点は少し違うが、ともに実家を継ぐ男兄弟がいて、自らは将来他家に嫁ぐ立場である、という事は同じだ。その為、幼い頃から何かにつけて、二人の令嬢は周囲から比較をされ続けて来た。
アンヌはうんざりしていた。
アンヌは可愛らしい容姿している。だが、オレリアは幼い頃から「可愛い」では表現しきれぬ、特別な美しさに恵まれた令嬢だった。そして、成長するにつれ、ますますその美貌に磨きがかかっている。
そんな二人は今年13歳になり、ともに王立貴族学園に入学した。
番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ
紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか?
何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。
12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる