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婚約者候補
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安息日の本日、陽香は自室でのんびり過ごす予定だった。少しずつ新しい仕事に慣れてきたが、まだまだ不勉強なことも多い。見識を広げようとエディットから借りたトルドベール王国の家庭料理などが載った料理本を一人で読み込むつもりだったのだ。
ブラック企業かというほど休みなしで常時側にいるメルヴィンを、何とか休ませることに成功した陽香が気兼ねなく過ごそうとしていたところにアンリがやってきた。
メルヴィンが不在かつ急病のため護衛の人員が不足したこともあり、一ヶ所にいた方が安全だという理由で陽香の部屋で過ごしたいと言うのだ。思わず睨んでしまったのは不可抗力だろう。
押し問答の末、廊下で待機すると言うアンリの主張に護衛全員から懇願するような眼差しを向けられた陽香は折れた。無視したところで色々と横槍を入れられるぐらいなら、部屋でそれぞれ過ごしたほうがまだましだと思ったのだ。
だがそんな判断も空しく、結局本を読むどころではない事態となることをその時の陽香は知らなかった。
小さなノックの後に、部屋の前に立っていたはずのアッシュがアンリに何やら囁いている。急な仕事でも入ったのだろうかと期待した陽香だったが、アンリから思わぬ提案を告げられた。
「ジゼル・バゼーヌ侯爵令嬢がハルカに会いたいそうだ。あまり近づいて欲しくない相手だが、彼女が良からぬことを企んでいたのなら未然に防ぐ好機なのだと思う。アッシュと私も控えているから、ハルカさえ良ければ少し時間を取ってもらえないかな?」
迷惑、面倒という言葉がよぎったが、一度会えば次回訪ねてきても断る理由にはなるだろう。
アッシュは陽香の背後に、自分がいては本音を引き出せないとアンリはクローゼットに隠れて見守ることになった。アンリの行動にアッシュは唖然としていたが、躊躇うことなくクローゼットを閉めたため止める暇もなかったようだ。
「お初にお目にかかります。ジゼル・バゼーヌと申します。ハルカ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「お好きにどうぞ」
淡々と答えながら、陽香はジゼルの様子を意外に思った。アンリの言い方からもっと性格の悪い相手なのかと思っていたが、今のところは嫌悪感も浮かべず上品かつ丁寧な対応である。伯爵令嬢のジスレーヌたちが浅はか過ぎただけかもしれないが。
「貴重なお時間を頂いておりますので、端的にお尋ねしますが、ハルカ様はアンリ王太子殿下を避けておられるというのは本当でしょうか?」
婉曲な表現だが、言いたいことは何となく伝わる。
「事実ですね」
率直に告げるとジゼルは悲しげに眉を下げた。
「今はそうかもしれませんが、殿下はお優しく聡明な方ですわ。何より運命の相手であるハルカ様を生涯大切になさるでしょう。あまり早く結論を出さなくても良いのではありませんか?」
「ジゼル様は私を説得するために来たのですか?」
それならば随分と余計なお世話だし、これ以上続けたところで平行線だ。
「いえ、もしハルカ様の御心が定まっているようであれば折り入ってお話したいことがございますの」
ジゼルは少しだけ陽香の背後に控えているアッシュを気にするように視線を向けたが、意を決したように口を開いた。
「ハルカ様が望む環境で過ごせるよう私が責任を持って手配いたしますわ。その代わりに私がアンリ殿下の婚約者になることをお許しいただきたいのです」
「それ、私の許可いります?」
最初に思ったことをそのまま口に出せば、ジゼルは当然だと言わんばかりに大きく頷く。
「お気持ちはどうあれ、そのために召喚されたハルカ様の居場所を奪うことになりますから。それにアンリ殿下にとってハルカ様が大切な方であることに変わりはありませんもの。ご不興を買うような真似は出来ませんわ」
真っ直ぐな瞳と淀みのない話し方、凛とした佇まいに本物の令嬢とはこういうものなのだなと思う。だけどジゼルの言葉を鵜呑みにするほど陽香は楽観的ではない。
「綺麗事はもういいよ。そんな手間暇かけるより処分したほうが楽じゃない?」
何でそうしないの、と軽い口調で告げればジゼルの瞳が僅かに震える。そこに同情の色を感じ取って陽香は逸らしたくなるのを堪えた。
「……そう考える方もいらっしゃるようだけど、私はしないわ。アンリ殿下が悲しまれるもの」
その一言で陽香はジゼルを信用して良い気がした。人殺しはいけないことだとか、そんな恐ろしいことは出来ない、なんて言われるよりよほど本音らしい。
(この子はきっと殿下のことが好きなんだ……)
アンリの名を口にするたびに少しだけ違う雰囲気が混じる。自分で体験したことはなかったが、恋をした友人たちが同じような眼差しや気配を相手に向けるのを目にしていたから。
「私がいる限り、殿下は貴女に好意を抱かないかもしれないのに?」
何だかもやもやとした感情が込み上げて、少しだけ意地悪な気分で訊ねたハルカに対し、ジゼルは淡い微笑みを浮かべて答えた。
「他の令嬢だったら我慢できなかったかもしれませんが、運命のお相手であるハルカ様は特別な存在ですもの。仕方がないことですわ」
運命の相手であれば仕方ない、という考え方が陽香は嫌いだ。片方が好意を抱いていない状態で、そんなものに何の価値もない。
「すぐに信用して頂けるとは思っておりませんわ。本日は急な申し出にも関わらず、お時間を頂きましてありがとうございます。何かございましたら、いつでもご連絡くださいませ」
しらけた陽香の気分を察したのか、ジゼルはさらりと切り上げてあっさりと帰っていった。引き際もスマートで頭もよく気配りの出来る令嬢だ。陽香が感心していると、アンリがクローゼットから出て来た。
「ハルカ、ジゼル嬢が言ったことは気にしなくていいから。時間を無駄にさせてしまってごめんね」
「大丈夫です。思っていたよりずっと有意義でした」
ジゼルの言うことを全面的に信用したわけではないが、ジゼルがアンリの婚約者になれば大多数の関心はそちらに寄せられるだろう。運命の相手ではなく真実の愛という形にすれば上手く収まりそうな気がする。
王室としても無知な異世界の平民よりも有力な貴族と縁を結んだほうが有益だろう。
ただしそうなるとますます陽香の存在が邪魔になるが、遠い他国まで逃げてしまえばそこに必要な労力と天秤に掛けて諦めてくれないだろうか。
「……ハルカは、ジゼル嬢が私の婚約者になることに賛成なのかい?」
「反対する理由はありません」
そんなことを考えていると、アンリが思い詰めたような表情で尋ねてきたため一蹴した。途端に落胆を浮かべるアンリの様子にささくれた気分が込み上げてくる。
「ハルカ、私の気持ちはこれからもずっとハルカだけ――」
「そのせいで私は命を狙われているのですが?大体あんな美人で聡明な上に性格も良さそうな女性を婚約者に出来る立場にいるのに、信じられない」
自分でも意外なほどに冷ややかな声が出て焦ったものの、一度出た言葉は取り消せない。傷ついたようなアンリの表情に苛立ちが増していく。
「……済まない。だが彼女の言うことを額面通りに受け取るのは危険だ。彼女本人に悪意はなくともバゼール侯爵らがどう考えているか分からない」
「そんなことも理解できないほど愚かだと思っているんですね。殿下は運命の相手だから私のことが好きだと思い込んでいるだけです。相手のことを何も知らないのに好意を寄せるなんて、そんなの間違ってます」
そう何もかも間違いなのだ。陽香がこの世界にいることも、アンリが陽香を望むことも、本来であれば起こりえないことだったのに、ルール違反を犯したのはアンリなのに、絶望感に襲われたような顔をするのはおかしい。
「間違いなんかじゃない!私は心からハルカを愛しているんだ」
「自分の気持ちを勝手に押し付けないでください!殿下の気持ちなんて私にはどうでもいい!」
これ以上アンリと一緒にいたくなくて、陽香は一人になれる洗面室に駆け込んだ。だからアンリがどんな表情を浮かべているのか見ることはなかった。
ブラック企業かというほど休みなしで常時側にいるメルヴィンを、何とか休ませることに成功した陽香が気兼ねなく過ごそうとしていたところにアンリがやってきた。
メルヴィンが不在かつ急病のため護衛の人員が不足したこともあり、一ヶ所にいた方が安全だという理由で陽香の部屋で過ごしたいと言うのだ。思わず睨んでしまったのは不可抗力だろう。
押し問答の末、廊下で待機すると言うアンリの主張に護衛全員から懇願するような眼差しを向けられた陽香は折れた。無視したところで色々と横槍を入れられるぐらいなら、部屋でそれぞれ過ごしたほうがまだましだと思ったのだ。
だがそんな判断も空しく、結局本を読むどころではない事態となることをその時の陽香は知らなかった。
小さなノックの後に、部屋の前に立っていたはずのアッシュがアンリに何やら囁いている。急な仕事でも入ったのだろうかと期待した陽香だったが、アンリから思わぬ提案を告げられた。
「ジゼル・バゼーヌ侯爵令嬢がハルカに会いたいそうだ。あまり近づいて欲しくない相手だが、彼女が良からぬことを企んでいたのなら未然に防ぐ好機なのだと思う。アッシュと私も控えているから、ハルカさえ良ければ少し時間を取ってもらえないかな?」
迷惑、面倒という言葉がよぎったが、一度会えば次回訪ねてきても断る理由にはなるだろう。
アッシュは陽香の背後に、自分がいては本音を引き出せないとアンリはクローゼットに隠れて見守ることになった。アンリの行動にアッシュは唖然としていたが、躊躇うことなくクローゼットを閉めたため止める暇もなかったようだ。
「お初にお目にかかります。ジゼル・バゼーヌと申します。ハルカ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「お好きにどうぞ」
淡々と答えながら、陽香はジゼルの様子を意外に思った。アンリの言い方からもっと性格の悪い相手なのかと思っていたが、今のところは嫌悪感も浮かべず上品かつ丁寧な対応である。伯爵令嬢のジスレーヌたちが浅はか過ぎただけかもしれないが。
「貴重なお時間を頂いておりますので、端的にお尋ねしますが、ハルカ様はアンリ王太子殿下を避けておられるというのは本当でしょうか?」
婉曲な表現だが、言いたいことは何となく伝わる。
「事実ですね」
率直に告げるとジゼルは悲しげに眉を下げた。
「今はそうかもしれませんが、殿下はお優しく聡明な方ですわ。何より運命の相手であるハルカ様を生涯大切になさるでしょう。あまり早く結論を出さなくても良いのではありませんか?」
「ジゼル様は私を説得するために来たのですか?」
それならば随分と余計なお世話だし、これ以上続けたところで平行線だ。
「いえ、もしハルカ様の御心が定まっているようであれば折り入ってお話したいことがございますの」
ジゼルは少しだけ陽香の背後に控えているアッシュを気にするように視線を向けたが、意を決したように口を開いた。
「ハルカ様が望む環境で過ごせるよう私が責任を持って手配いたしますわ。その代わりに私がアンリ殿下の婚約者になることをお許しいただきたいのです」
「それ、私の許可いります?」
最初に思ったことをそのまま口に出せば、ジゼルは当然だと言わんばかりに大きく頷く。
「お気持ちはどうあれ、そのために召喚されたハルカ様の居場所を奪うことになりますから。それにアンリ殿下にとってハルカ様が大切な方であることに変わりはありませんもの。ご不興を買うような真似は出来ませんわ」
真っ直ぐな瞳と淀みのない話し方、凛とした佇まいに本物の令嬢とはこういうものなのだなと思う。だけどジゼルの言葉を鵜呑みにするほど陽香は楽観的ではない。
「綺麗事はもういいよ。そんな手間暇かけるより処分したほうが楽じゃない?」
何でそうしないの、と軽い口調で告げればジゼルの瞳が僅かに震える。そこに同情の色を感じ取って陽香は逸らしたくなるのを堪えた。
「……そう考える方もいらっしゃるようだけど、私はしないわ。アンリ殿下が悲しまれるもの」
その一言で陽香はジゼルを信用して良い気がした。人殺しはいけないことだとか、そんな恐ろしいことは出来ない、なんて言われるよりよほど本音らしい。
(この子はきっと殿下のことが好きなんだ……)
アンリの名を口にするたびに少しだけ違う雰囲気が混じる。自分で体験したことはなかったが、恋をした友人たちが同じような眼差しや気配を相手に向けるのを目にしていたから。
「私がいる限り、殿下は貴女に好意を抱かないかもしれないのに?」
何だかもやもやとした感情が込み上げて、少しだけ意地悪な気分で訊ねたハルカに対し、ジゼルは淡い微笑みを浮かべて答えた。
「他の令嬢だったら我慢できなかったかもしれませんが、運命のお相手であるハルカ様は特別な存在ですもの。仕方がないことですわ」
運命の相手であれば仕方ない、という考え方が陽香は嫌いだ。片方が好意を抱いていない状態で、そんなものに何の価値もない。
「すぐに信用して頂けるとは思っておりませんわ。本日は急な申し出にも関わらず、お時間を頂きましてありがとうございます。何かございましたら、いつでもご連絡くださいませ」
しらけた陽香の気分を察したのか、ジゼルはさらりと切り上げてあっさりと帰っていった。引き際もスマートで頭もよく気配りの出来る令嬢だ。陽香が感心していると、アンリがクローゼットから出て来た。
「ハルカ、ジゼル嬢が言ったことは気にしなくていいから。時間を無駄にさせてしまってごめんね」
「大丈夫です。思っていたよりずっと有意義でした」
ジゼルの言うことを全面的に信用したわけではないが、ジゼルがアンリの婚約者になれば大多数の関心はそちらに寄せられるだろう。運命の相手ではなく真実の愛という形にすれば上手く収まりそうな気がする。
王室としても無知な異世界の平民よりも有力な貴族と縁を結んだほうが有益だろう。
ただしそうなるとますます陽香の存在が邪魔になるが、遠い他国まで逃げてしまえばそこに必要な労力と天秤に掛けて諦めてくれないだろうか。
「……ハルカは、ジゼル嬢が私の婚約者になることに賛成なのかい?」
「反対する理由はありません」
そんなことを考えていると、アンリが思い詰めたような表情で尋ねてきたため一蹴した。途端に落胆を浮かべるアンリの様子にささくれた気分が込み上げてくる。
「ハルカ、私の気持ちはこれからもずっとハルカだけ――」
「そのせいで私は命を狙われているのですが?大体あんな美人で聡明な上に性格も良さそうな女性を婚約者に出来る立場にいるのに、信じられない」
自分でも意外なほどに冷ややかな声が出て焦ったものの、一度出た言葉は取り消せない。傷ついたようなアンリの表情に苛立ちが増していく。
「……済まない。だが彼女の言うことを額面通りに受け取るのは危険だ。彼女本人に悪意はなくともバゼール侯爵らがどう考えているか分からない」
「そんなことも理解できないほど愚かだと思っているんですね。殿下は運命の相手だから私のことが好きだと思い込んでいるだけです。相手のことを何も知らないのに好意を寄せるなんて、そんなの間違ってます」
そう何もかも間違いなのだ。陽香がこの世界にいることも、アンリが陽香を望むことも、本来であれば起こりえないことだったのに、ルール違反を犯したのはアンリなのに、絶望感に襲われたような顔をするのはおかしい。
「間違いなんかじゃない!私は心からハルカを愛しているんだ」
「自分の気持ちを勝手に押し付けないでください!殿下の気持ちなんて私にはどうでもいい!」
これ以上アンリと一緒にいたくなくて、陽香は一人になれる洗面室に駆け込んだ。だからアンリがどんな表情を浮かべているのか見ることはなかった。
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