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憧れと勘違い
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微かに甘く華やかな、大人っぽさを感じさせる香りに憧れていた。
『ハルちゃんの18歳の誕生日にプレゼントするわ。薔薇以外にも種類はたくさんあるから、一緒にお店に行ってお気に入りの香りを探しましょうね』
手の平で小壜を転がしながら、在りし日の会話をそっと噛みしめる。
アンリから薔薇の花束を差し出された時、母のお気に入りだった香水が脳裏によぎった。同じ香りではないのに、視覚と嗅覚から呼び起こされた記憶に心が揺らぐ。
生活に必要なもの以外を受け取るつもりはなかったのに、突き返すことが出来ず適当に誤魔化したが、アンリは嬉しそうに微笑んでいた。
言い出した以上作らざるを得ず、記憶を頼りにソニアと二人で黙々と作業をした。
それほど量が取れると思っていなかったが、出来上がった物を取り分けると小さな壜に3つ分と何とも中途半端な数で迷いが生じた。
一つは自分用、もう一つは手伝いの報酬としてソニアに、残りをどうしようかと考えていたところにエタンから難癖を付けられたのだ。
小壜が壊れてしまった時は落胆を覚えたが、結果的にはそれで良かったのだと思う。アンリにあげてもあげなくても面倒なことになっていた気がしたのだ。
蓋を開ければ上品で存在感のある香りがふわりと漂う。初めて作った薔薇水は、量も少なく素人が作ったものなので香りもさほど長持ちしないだろう。
だけどそれで良かった。
好きや弱さを見せればつけ込まれるだけだから、感傷に浸る時間は少ない方がいい。
(だから、これも今夜だけ)
小さなグラスに昨日購入した果実酒を注ぐ。お酒の種類はよく分からないので目に付いたものを選んだだけだ。
甘さと僅かな酸味は思ったよりも飲みやすいが、喉を通るときには熱が滑り落ちていくように感じる。意外と度数が高いのかもしれない。
一緒に買ったジャーキーのような乾燥肉を齧りながら、陽香は暗い室内で煌々と輝く月を見ていた。
「お団子、食べたいな……」
月を見ながら酒を楽しむよりも、やっぱりお月見と言えばお団子が浮かぶ。一つの記憶が別の記憶に紐づいてくるりくるりと光景が変わり、陽香は立ち上がってバルコニーに続く窓をそっと開けた。
穏やかな夜風が火照った頬に心地よい。手すりにもたれかかって辺りを見渡せば、遠くに月の光を受けて輝く小さな池が見える。
「あ、そうだ。いいこと考えた」
室内にいるよりも外のほうが眺めも良く、過ごしやすい気温だった。だから残りのお酒は外で飲もう、そう思ったのだ。
お誂え向きに適度な幅があり平たい手すりにお酒とおつまみやお菓子を載せてから、陽香は両腕に力を込めて手すりに上ろうとしたが、急に強い力が掛かってバランスを崩す。
「馬鹿なことを考えるな!」
頭上から降ってきた怒声に反論しようと顔を上げて、言葉を失った。必死な形相の中に怒りではなく悲愴感を浮かべている。
まるで本当に陽香のことを心配しているかのような表情に呆然としていると、メルヴィンは何かに気づいたように眉を顰めた。
「子供が酒なんて飲むんじゃない。こんなことなら早々に没収しておくべきだったな……」
「は?この国の成人年齢には達してるし、勝手なことしないでよ。っていうか、離せ、邪魔するな」
陽香が身体を起こそうとすれば、腕の力が弱まるどころか強くなる。バランスを崩したのもメルヴィンに後ろから引き倒されたからだと気づいて、苛立ちながらもジタバタともがくがびくともしない。
「落ち着け。早まってもいいことないぞ。酒のせいで冷静になれないだろうが、今日はもうこのまま休むんだ」
折角のいい気分が台無しだと不機嫌さを隠さずにいた陽香だが、メルヴィンの言葉に違和感を抱く。先ほどから何か会話がかみ合っていないような気がする。
アルコールでぼんやりする頭で記憶を反芻した結果、陽香は頭を抱えたくなった。
「ちっ、違う!変な勘違いしないでよ。私はただ座ってお酒を飲もうと思っただけで、飛び降りるつもりなんてないから!」
まったくの見当違いであったが、手すりに腰掛けようとする姿だけ見ればそう見えなくもない。
「だからお酒とおつまみも置いてるでしょ!分かったら出て行って」
「……酔った状態で放置できるわけがないでしょう。大体出て行ったら同じことをするつもりですよね。判断力と運動機能が低下しているのにそんな危険な真似をさせられません」
メルヴィンは陽香を抱き上げるとそのまま室内へと進んでいく。抵抗したところで無駄だろうと大人しくしておいたが、不完全燃焼のようでもやもやする。
「少し待っていてください」
室内を見渡したメルヴィンが窓際に置かれた机を持ちあげ、バルコニーへと運ぶ。訝しむ陽香にメルヴィンは事も無げに告げた。
「同じぐらいの高さですし、これなら安全ですよ」
月明りに照らされた池も涼やかな夜風も先ほどと変わらないのに、気分は全く違う。
「……視線がうるさい」
「出来る限り注視しないよう心掛けておりますので、ご容赦ください」
グラスになみなみとお酒を注ぐと、陽香はバルコニーの入口に佇むメルヴィンに酒瓶を突き出した。
「一人だけ飲んでるのも何か嫌だから。飲まないなら一晩掛けて飲むからいいけど」
「一晩で飲む量ではありませんよ。何日かに分けて飲めばいいでしょう」
「開封した物を取っておいても飲まないよ」
腕が疲れたので隣に置いておく。陽香がグラスに口を付けていると押し黙ったメルヴィンが瓶に手を伸ばし直接口を付けた。
「……これは水で割って飲むものですよ。そのまま飲むには少し強すぎると思うのですが、大丈夫ですか?」
「さあ?っていうか敬語止めて。さっきは普通に話してたでしょ。何か馬鹿にされてる気になるから」
そう言いながら乾燥肉を一切れ放ると、反射なのか取り敢えず受け取ったメルヴィンは何とも言えない顔をしていた。
別に会話をしなくても支障はないため、陽香は構うことなく自分の分の乾燥肉をがしがしと噛みしめる。
「あ、そういえば随分とタイミングが良かったけど、何処かでこっそり部屋でも覗いてたの?」
忍者のように天井裏に潜んでいる様子を思い浮かべてしまったが、こんな図体のでかい男が小さくなりながらも見張っていると思うと笑える。本当にやっていたら笑うどころか、ストーカーか変態と呼ぶべきだろうが。
「外で警備中の騎士がバルコニーにいるハルカ様を見つけて、俺に知らせてきたんだ……。駆けつけた途端に身を乗り出しているから流石に肝が冷えた」
「呼び捨てでいいよ。それはわざわざご苦労様……どうせ短い命なのにね」
ぽろりと本音が漏れたが、既にこちらが色々と警戒していることを知られている。どうでもいいやと投げ遣りな気分でまた一口お酒を飲む。
「……何をどう思っているかは分からないが、殿下は全力で君を護ろうとしている。だから――」
「ふふっ、そんなの無理に決まってるじゃない」
城に到着する前なら、そう考えたこともあるが陽香の存在が確認された時点でもうどうしようもなかったのだと考えて、諦めた。
アンリへの恨みは一生消えないが、最初に会った時ほどに激しい憎悪を募らせることはないだろう。運命の相手を盲目的に信じることは愚かだったが、自分の行動が招いた結果に向き合い償おうとする姿は狡いと思いながらも、責め続けることは出来なかった。
その一方で、運命の相手という立場は非常に厄介なものである。
アンリの言う通り、国として召喚した以上そのまま手放してしまえば国の威信にも関わるのだろう。伝承通りに王子と運命の相手が結ばれることで、王室への求心力を高め国の繁栄へと繋ぐことを期待していたのだ。
また反対派にとっても運命の相手が王子に興味を持たないことが朗報かといえばそうではない。王子の執着が異世界から召喚された運命の相手に寄せられている状況では、いくら他の娘をあてがっても断られることが目に見えている。
結局のところ陽香の存在は誰にとっても邪魔でしかないのだ。
「絶対にあり得ないけど殿下の嫁になったところで状況は変わらないし、子供を産んだ時点で用済みとして処分されてもおかしくないわー。ははっ、最悪過ぎる」
運命の相手に対するアンリの態度を見て、詰んだなと思った。それでも何とかならないかと足掻いてみたものの、色々な思惑や状況を改めて自分の立場を実感したのだ。
だから残り少ない人生はせめて自由に生きていたい。
「……そんなことをさせないために俺たち護衛がいるんだ。それに王族相当になれば安全は格段に高くなる」
「あり得ないって言ったよね?殿下だけは絶対に嫌だ。たとえそのせいで殺されたとしても絶対に」
怒りを宥めるように勢いよくお酒を飲みほした。全身がかっと熱くなり、身体がふらふらと揺れている気がする。
「俺に出来る事なら何でもしよう。だからあまり自棄にならないでくれ」
懇願するような響きに顔を向けると、メルヴィンは膝を突いて真剣な表情で陽香を見上げていた。
(責任感が高くてまじめ……だけど嘘吐きだね)
あくまでもメルヴィンはアンリの護衛騎士であって、決して陽香を優先することはない。
「それならさ、――」
酔いが回って告げた言葉にメルヴィンがどんな反応を示したか、確認することもできないまま陽香の意識はぷっつりと途切れた。
『ハルちゃんの18歳の誕生日にプレゼントするわ。薔薇以外にも種類はたくさんあるから、一緒にお店に行ってお気に入りの香りを探しましょうね』
手の平で小壜を転がしながら、在りし日の会話をそっと噛みしめる。
アンリから薔薇の花束を差し出された時、母のお気に入りだった香水が脳裏によぎった。同じ香りではないのに、視覚と嗅覚から呼び起こされた記憶に心が揺らぐ。
生活に必要なもの以外を受け取るつもりはなかったのに、突き返すことが出来ず適当に誤魔化したが、アンリは嬉しそうに微笑んでいた。
言い出した以上作らざるを得ず、記憶を頼りにソニアと二人で黙々と作業をした。
それほど量が取れると思っていなかったが、出来上がった物を取り分けると小さな壜に3つ分と何とも中途半端な数で迷いが生じた。
一つは自分用、もう一つは手伝いの報酬としてソニアに、残りをどうしようかと考えていたところにエタンから難癖を付けられたのだ。
小壜が壊れてしまった時は落胆を覚えたが、結果的にはそれで良かったのだと思う。アンリにあげてもあげなくても面倒なことになっていた気がしたのだ。
蓋を開ければ上品で存在感のある香りがふわりと漂う。初めて作った薔薇水は、量も少なく素人が作ったものなので香りもさほど長持ちしないだろう。
だけどそれで良かった。
好きや弱さを見せればつけ込まれるだけだから、感傷に浸る時間は少ない方がいい。
(だから、これも今夜だけ)
小さなグラスに昨日購入した果実酒を注ぐ。お酒の種類はよく分からないので目に付いたものを選んだだけだ。
甘さと僅かな酸味は思ったよりも飲みやすいが、喉を通るときには熱が滑り落ちていくように感じる。意外と度数が高いのかもしれない。
一緒に買ったジャーキーのような乾燥肉を齧りながら、陽香は暗い室内で煌々と輝く月を見ていた。
「お団子、食べたいな……」
月を見ながら酒を楽しむよりも、やっぱりお月見と言えばお団子が浮かぶ。一つの記憶が別の記憶に紐づいてくるりくるりと光景が変わり、陽香は立ち上がってバルコニーに続く窓をそっと開けた。
穏やかな夜風が火照った頬に心地よい。手すりにもたれかかって辺りを見渡せば、遠くに月の光を受けて輝く小さな池が見える。
「あ、そうだ。いいこと考えた」
室内にいるよりも外のほうが眺めも良く、過ごしやすい気温だった。だから残りのお酒は外で飲もう、そう思ったのだ。
お誂え向きに適度な幅があり平たい手すりにお酒とおつまみやお菓子を載せてから、陽香は両腕に力を込めて手すりに上ろうとしたが、急に強い力が掛かってバランスを崩す。
「馬鹿なことを考えるな!」
頭上から降ってきた怒声に反論しようと顔を上げて、言葉を失った。必死な形相の中に怒りではなく悲愴感を浮かべている。
まるで本当に陽香のことを心配しているかのような表情に呆然としていると、メルヴィンは何かに気づいたように眉を顰めた。
「子供が酒なんて飲むんじゃない。こんなことなら早々に没収しておくべきだったな……」
「は?この国の成人年齢には達してるし、勝手なことしないでよ。っていうか、離せ、邪魔するな」
陽香が身体を起こそうとすれば、腕の力が弱まるどころか強くなる。バランスを崩したのもメルヴィンに後ろから引き倒されたからだと気づいて、苛立ちながらもジタバタともがくがびくともしない。
「落ち着け。早まってもいいことないぞ。酒のせいで冷静になれないだろうが、今日はもうこのまま休むんだ」
折角のいい気分が台無しだと不機嫌さを隠さずにいた陽香だが、メルヴィンの言葉に違和感を抱く。先ほどから何か会話がかみ合っていないような気がする。
アルコールでぼんやりする頭で記憶を反芻した結果、陽香は頭を抱えたくなった。
「ちっ、違う!変な勘違いしないでよ。私はただ座ってお酒を飲もうと思っただけで、飛び降りるつもりなんてないから!」
まったくの見当違いであったが、手すりに腰掛けようとする姿だけ見ればそう見えなくもない。
「だからお酒とおつまみも置いてるでしょ!分かったら出て行って」
「……酔った状態で放置できるわけがないでしょう。大体出て行ったら同じことをするつもりですよね。判断力と運動機能が低下しているのにそんな危険な真似をさせられません」
メルヴィンは陽香を抱き上げるとそのまま室内へと進んでいく。抵抗したところで無駄だろうと大人しくしておいたが、不完全燃焼のようでもやもやする。
「少し待っていてください」
室内を見渡したメルヴィンが窓際に置かれた机を持ちあげ、バルコニーへと運ぶ。訝しむ陽香にメルヴィンは事も無げに告げた。
「同じぐらいの高さですし、これなら安全ですよ」
月明りに照らされた池も涼やかな夜風も先ほどと変わらないのに、気分は全く違う。
「……視線がうるさい」
「出来る限り注視しないよう心掛けておりますので、ご容赦ください」
グラスになみなみとお酒を注ぐと、陽香はバルコニーの入口に佇むメルヴィンに酒瓶を突き出した。
「一人だけ飲んでるのも何か嫌だから。飲まないなら一晩掛けて飲むからいいけど」
「一晩で飲む量ではありませんよ。何日かに分けて飲めばいいでしょう」
「開封した物を取っておいても飲まないよ」
腕が疲れたので隣に置いておく。陽香がグラスに口を付けていると押し黙ったメルヴィンが瓶に手を伸ばし直接口を付けた。
「……これは水で割って飲むものですよ。そのまま飲むには少し強すぎると思うのですが、大丈夫ですか?」
「さあ?っていうか敬語止めて。さっきは普通に話してたでしょ。何か馬鹿にされてる気になるから」
そう言いながら乾燥肉を一切れ放ると、反射なのか取り敢えず受け取ったメルヴィンは何とも言えない顔をしていた。
別に会話をしなくても支障はないため、陽香は構うことなく自分の分の乾燥肉をがしがしと噛みしめる。
「あ、そういえば随分とタイミングが良かったけど、何処かでこっそり部屋でも覗いてたの?」
忍者のように天井裏に潜んでいる様子を思い浮かべてしまったが、こんな図体のでかい男が小さくなりながらも見張っていると思うと笑える。本当にやっていたら笑うどころか、ストーカーか変態と呼ぶべきだろうが。
「外で警備中の騎士がバルコニーにいるハルカ様を見つけて、俺に知らせてきたんだ……。駆けつけた途端に身を乗り出しているから流石に肝が冷えた」
「呼び捨てでいいよ。それはわざわざご苦労様……どうせ短い命なのにね」
ぽろりと本音が漏れたが、既にこちらが色々と警戒していることを知られている。どうでもいいやと投げ遣りな気分でまた一口お酒を飲む。
「……何をどう思っているかは分からないが、殿下は全力で君を護ろうとしている。だから――」
「ふふっ、そんなの無理に決まってるじゃない」
城に到着する前なら、そう考えたこともあるが陽香の存在が確認された時点でもうどうしようもなかったのだと考えて、諦めた。
アンリへの恨みは一生消えないが、最初に会った時ほどに激しい憎悪を募らせることはないだろう。運命の相手を盲目的に信じることは愚かだったが、自分の行動が招いた結果に向き合い償おうとする姿は狡いと思いながらも、責め続けることは出来なかった。
その一方で、運命の相手という立場は非常に厄介なものである。
アンリの言う通り、国として召喚した以上そのまま手放してしまえば国の威信にも関わるのだろう。伝承通りに王子と運命の相手が結ばれることで、王室への求心力を高め国の繁栄へと繋ぐことを期待していたのだ。
また反対派にとっても運命の相手が王子に興味を持たないことが朗報かといえばそうではない。王子の執着が異世界から召喚された運命の相手に寄せられている状況では、いくら他の娘をあてがっても断られることが目に見えている。
結局のところ陽香の存在は誰にとっても邪魔でしかないのだ。
「絶対にあり得ないけど殿下の嫁になったところで状況は変わらないし、子供を産んだ時点で用済みとして処分されてもおかしくないわー。ははっ、最悪過ぎる」
運命の相手に対するアンリの態度を見て、詰んだなと思った。それでも何とかならないかと足掻いてみたものの、色々な思惑や状況を改めて自分の立場を実感したのだ。
だから残り少ない人生はせめて自由に生きていたい。
「……そんなことをさせないために俺たち護衛がいるんだ。それに王族相当になれば安全は格段に高くなる」
「あり得ないって言ったよね?殿下だけは絶対に嫌だ。たとえそのせいで殺されたとしても絶対に」
怒りを宥めるように勢いよくお酒を飲みほした。全身がかっと熱くなり、身体がふらふらと揺れている気がする。
「俺に出来る事なら何でもしよう。だからあまり自棄にならないでくれ」
懇願するような響きに顔を向けると、メルヴィンは膝を突いて真剣な表情で陽香を見上げていた。
(責任感が高くてまじめ……だけど嘘吐きだね)
あくまでもメルヴィンはアンリの護衛騎士であって、決して陽香を優先することはない。
「それならさ、――」
酔いが回って告げた言葉にメルヴィンがどんな反応を示したか、確認することもできないまま陽香の意識はぷっつりと途切れた。
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