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20歳
しおりを挟む全身が震えてる
それほど精一杯の笑顔
ぎこちなくうつってないだろうか
「親が決めた結婚でさ。俺も彼女ももう31だし身を固めろってさ」
煙草の灰を落としながら
落ち着いた声で彼は言う
「あ、紗理奈ちゃーん!悪いんだけど煙草買ってきてくれない?」
遠くの席からママの声がする
この場から逃げれる
助かった
立ち上がった私の腕を彼は掴む
「俺も一緒に行くよ」
辺りは暗い
近場のコンビニまで約1分
とても長く感じる
「うまくいってる?あの彼とは」
お酒のせいか
身体は熱いまま
彼の言葉が目頭を熱くさせる
「うん」
「よくママから話聞いてたんだ。優しい奴でよかったな」
「…っ、ぅ…うん」
顔を上げれない
お店の中で呟いた彼の言葉だけ
頭の中でクルクル回ってる
「…紗理奈」
彼の声が
私の涙腺を弱くする
「…やだっ!結婚なんかしないで…お願いっ…しないでえ!」
初めて彼にすがった
ママに頼まれた煙草は
私の涙で濡れる
「俺だってしたくないさ!」
初めて聞いた彼の本音
怒鳴る声と共に
私の身体は彼の腕の中
「…好きなんだ、本当は今日言うの辞めようかとも思った…」
大きく暖かな彼の胸の中で
悲しみと同じくらいの幸せを感じてる
震える手で確かめるように
彼の背中を摩った
「一回りも違うお前を今一番大切に思ってる」
耳元で聞こえた彼の声は
少し震えてた
「わ、…私も!…結婚しないで…」
浮かれ上がってた
彼の言葉に
結婚なんかしない
彼女とは別れる
そう言ってくれると思ってた
「……………。ごめん」
抱きしめてくれた腕は
スルリと離れ
私の涙を指で摩りながら彼は言う
「婚約は解消できない…」
そっと私の手を解き
彼は店へと戻る
「紗理奈!おつかれ、もう終わったの?ちょっと早いけど…」
一人立ち尽くす私を見て
崇は駆け寄る
私の涙に気づいた崇は
顔を歪め言葉をなくした。
「崇…ごめんなさい、私…。す、すきな人が…」
「知ってるよ!でも別れねーから!俺が忘れさせてやるよ。忘れるまで絶対離れない!…だからもう同棲しよう」
溢れ出る私の言葉に
崇は耳を貸さない
力強く抱きしめて
私の涙にキスをする
「ん…。」
他に好きな人がいる事に
崇はとっくに気付いてた
それでもこんな私を好きだと言う
…へんなの。
私別れるはずだったのに
また崇に逃げてる
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