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Vérité
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この世界は真紅の青年……レヴェという主役の為に産み出された運命の世界だったのだ。
それでも、この世界が停止したのは全て群青色の青年……モンドの為であり、自身の為でもあった。
二人は互いに幼馴染みであり子供の頃からの友でもあったが、次第に友とは違う愛情が芽生え始め、互いに惹かれあっていくうちに恋へと落ちていった。しかし、モンドの身体は運命の一冊によって死に行く定めを背負わされていたのだ。
誰の手によってこの世界が産み出されたのかは知るよしもないが、語り部と思われる神の気ままによってレヴェの物語を産み出すための最後の歯車としてモンドは生を受けた。
それを知ったキッカケはレヴェの夢から始まった。
夢の中で何度も同じ物語を繰り返すというのだ。互いに愛し合い、身体を重ね、口づけを交わす。そして最後は自身の手によってモンドが死に行く。まさに悪夢そのものであり、世界の全ての闇を見届ける悪魔の物語のようだった。しかし、鮮血に身を包み、消え行く光を瞳に懸命に宿し続けるモンドの柔らかな唇からは決まってこう告げられる。
『もう一度会えたら……今度こそ共に物語を歩みたいな……』
その願いはレヴェを愛しているからこその世界への呪詛でもあった。
その言葉と共に目覚める日々が続いたレヴェは気づいてしまったのだ。この世界は夢の物語通りに歩んでいることに。過ごす日々は、内容、風景、感触、そして感情さえも忠実に再現していた。
それに気づいてしまえば知らなかった頃には永遠に戻れない。だからこそ自身を犠牲にしてでもモンドを守りたかった、生きていてほしかった、そしていつまでも愛していたかった。
「俺の物語が止まっても……永遠に進歩むこと無く過去で生きることしか許されなくても……共にいられればそれで良かった……」
レヴェの言葉は胸中へと流れ込み、全ての愛が心を抱き寄せるかのように温もりを与えた。
しかし、隠れた感情さえも剥き出しにしてしまいモンドの想いへとイバラの弦を張り巡らせる。
「でも、本当は辛かったんだろ? 」
「…………」
「忘れられることが...…歩めないことが……そして……」
「気づいてたんだ……」
それでも、この世界が停止したのは全て群青色の青年……モンドの為であり、自身の為でもあった。
二人は互いに幼馴染みであり子供の頃からの友でもあったが、次第に友とは違う愛情が芽生え始め、互いに惹かれあっていくうちに恋へと落ちていった。しかし、モンドの身体は運命の一冊によって死に行く定めを背負わされていたのだ。
誰の手によってこの世界が産み出されたのかは知るよしもないが、語り部と思われる神の気ままによってレヴェの物語を産み出すための最後の歯車としてモンドは生を受けた。
それを知ったキッカケはレヴェの夢から始まった。
夢の中で何度も同じ物語を繰り返すというのだ。互いに愛し合い、身体を重ね、口づけを交わす。そして最後は自身の手によってモンドが死に行く。まさに悪夢そのものであり、世界の全ての闇を見届ける悪魔の物語のようだった。しかし、鮮血に身を包み、消え行く光を瞳に懸命に宿し続けるモンドの柔らかな唇からは決まってこう告げられる。
『もう一度会えたら……今度こそ共に物語を歩みたいな……』
その願いはレヴェを愛しているからこその世界への呪詛でもあった。
その言葉と共に目覚める日々が続いたレヴェは気づいてしまったのだ。この世界は夢の物語通りに歩んでいることに。過ごす日々は、内容、風景、感触、そして感情さえも忠実に再現していた。
それに気づいてしまえば知らなかった頃には永遠に戻れない。だからこそ自身を犠牲にしてでもモンドを守りたかった、生きていてほしかった、そしていつまでも愛していたかった。
「俺の物語が止まっても……永遠に進歩むこと無く過去で生きることしか許されなくても……共にいられればそれで良かった……」
レヴェの言葉は胸中へと流れ込み、全ての愛が心を抱き寄せるかのように温もりを与えた。
しかし、隠れた感情さえも剥き出しにしてしまいモンドの想いへとイバラの弦を張り巡らせる。
「でも、本当は辛かったんだろ? 」
「…………」
「忘れられることが...…歩めないことが……そして……」
「気づいてたんだ……」
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