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第4章 Jewelry Pupil 狩り
55.悪魔のような男 I
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PM.14:13 泉病院地下室
CASE 七海
ズキズキ、ズキンッ!!
「痛った…。」
首の皮膚が突っ張ってる感じがするな…。
目を開けると、僕の体が宙にぶら下がっていた。
いや、正確に言えば吊るされているのだろう。
目線を天井に向けると、頑丈そうな大きな鎖が見
え、天井から何個かぶら下がっていた。
ポタッ、ポタッ、ポタッ。
赤い血が滴る音が、薄暗い部屋の中に響き渡る。
ここは、どこだ…?
身体中が痛い、ふわふわする。
ガチャッ。
「っ!!」
ビクッ!!
突然、扉が開かれ体がビクッと跳ね上がる。
「やぁ、おはよう。」
現れたのは、作り笑顔を浮かべた胡散臭い医者だった。
「君の首に付いていたGPSは切除させて貰ったよ。居場所を知られてしまったら、まずいからね。」
この赤い血は僕のだったのか。
「今から血を摂取させて貰うよ。大丈夫、すぐには殺さないよ。君は大事な薬の材料だからね。」
カツカツカツ。
男は注射器を持ったまま、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
そうか、ここは泉病院の地下室…か?
じゃあ、この男は院長の泉淳だ。
僕は近付いて来た泉淳の腹に向かって、ギミック付きの靴の足の爪先を突き刺す。
グサッ!!
泉淳の腹の部分に仕込んでおいた刃が腹に食い込み、刃を伝って血が流れ落ちた。
「グッ!?こんの…、ガキ!!」
ガッ!!
ブチッ!!
ガジャンガシャンガジャンガシャン!!
泉淳が僕の手を強く引っ張り、首の皮膚が破れる音がした。
鎖が大きく揺れ、その瞬間、首から血が吹き出す感覚がした。
ブシャアアアア!!
皮膚が破れた所為で、傷口から血が吹き出したのだ。
泉淳は近くにあったバケツを持って来て、僕の首の傷に近付けさせた。
ボタボタボタボタボタボタ。
バケツの中に僕の血溜まりが出来始め、泉淳は満足
そうな笑みを浮かべた。
「あははは!!血が大量だ。これで薬の製造が捗るなぁ。」
ポタッ、ポタッ。
ガッ!!
勢いよく流れ落ちた血が止まると、泉淳は僕の髪を乱暴に掴み、床に投げ捨てた。
ドサッ!!
「ッチ、これだけかよ。」
シュルッ、シュルッ。
舌打ちをしながら、泉淳は手慣れた手付きで治療を程し始めた。
「お前に死なれたら、こっちは大損だ。おら、腕だせ。」
「離…せ。」
「あ?点滴だよ。」
プスッと針を腕に刺し、点滴パックから液体が体の中に流れ込んだ。
クラクラして、気持ちが悪い。
「お前の食事はこの点滴パック達だ。安心しろ、点滴パックは嫌程ある。」
「…。」
「アルビノは傷の治りが早いのなぁ。また、5時間後に来る。」
カツカツカツ。
バンッ!!
勢いよく閉じられた扉の衝撃で、僕の体がゆっくりと床に倒れた。
足に力が入らない、貧血を起こしてるな。
天音、ノア…。
僕は君達を信じていたのに、椿の言葉に惑わされてしまった。
支配力のある椿の話し方…、あれはJewelry Wordsの力なのか。
カチ、カチッ。
小さな豆電球がチカッと点滅し、自分の足首が少し照らされた。
「アキレス腱が…、斬られてる?」
両足のアキレス腱の部分が、パックリと傷口が開いていた。
「最悪だ…。」
手当されていないと言う事は、この傷を治療しないと判断したのか。
僕はHero Of Justiceの中っだったら、戦闘力の一員にはは入れない。
皆んなより経験が無いのは勿論の事、体力が生まれ付き無いのだ。
いや、寧ろ病弱だと言って良い。
仕掛けておいたGPSも抜き取られてしまい、居場所を伝える手段が無くなってしまった。
どうしたら…、良いんだ。
部屋に充満している甘い香りの所為で、判断力が鈍くなっている。
もしかして、この煙は薬物のキャンディか?
泉淳は、キャンディを嗅がせ薬物中毒にさせようとしているのか。
まずいな、この部屋に窓などない。
恐らく、目の前にある大きな扉は施錠されている。
とりあえず、このタオルで鼻と口を抑えて…。
そう思い、無造作に置かれているタオルに、手を伸ばそうとした時だった。
ガチャッ。
突然、扉が開かれ、部屋の中に外の空気が勢い良く入る。
「あー、かなりやられてやすね。大丈夫ッスかー?」
ボサボサの髪をした17歳くらいの男の子が、パソコンを持って入って来た。
この怠そうな話し方…、どこかで聞いた事が…。
「覚えてねーですか、弥助(やすけ)と言うえば分かりやすかね。」
「弥助…。お前、僕のセキュリティに入って来た奴か!?」
「そうッスよ。まぁ、直ぐに弾かれましたがね。」
「な、何でここに…?」
僕はそう言って、弥助に尋ねる。
「あー、俺はアンタさんの事を助けに来たって言ったら、信じてくれやすか?」
「は…?助けに…って、お前は敵だろ?椿側の人間だろ!?ちゃんと説明を…、ゴホッ!!」
喉がカラカラに乾いて、咳が止まらなくなった。
「大丈夫ッスか?」
弥助はペットボトルに入ったミネラルウォータの蓋を開け、僕に飲ませてくれた。
ゴク、ゴク、ゴク。
水が喉から胃に伝って行くのが分かる。
「はぁ、はぁ…。」
「ったく、酷い事しますねぇ。アンタさん、もう歩けないでしょ。」
「まぁ、お陰様でね。この部屋の監視カメラに映っ
てるんじゃないの?大丈夫なわけ?」
「あー、大丈夫ッスよ。今、モニターには別の映像を流してあるんで。」
弥助が映っていない映像を流しているのか。
じゃなかったら、ここに来れる訳がない。
「俺はアンタさんの事を知ってんですよ。まぁ、アンタさんは覚えてないでしょうけど。」
「会った事が…?」
「それから、俺がこの部屋の監視役になりましたんで。ある程度の食料は確保出来やすが…、まだアンタさんを外に出す訳にはいかねーんですよ。」
「ど、どう言う事?」
弥助は持っていた袋からクリームパンを取り出し、僕に渡した。
「俺達のチームの奴等は、ボスに弱みを握られてる奴等の集まりなんですよ。佐助も伊助も喜助も、ボスに逆らえねーんです。」
「アンタも椿に脅されてんじゃねーのか?」
クリームパンを頬張りながら、弥助に尋ねる。
「俺は、目の前で家族を殺されましたね。まぁ…、俺の失態でしたよ。自分の能力を過剰評価し過ぎて、ボスのPCにハッキングしたんで。あ、依頼を受けてしたんですけどね。」
「ハッキングされたとしても、どこの誰かまでは分からないでしょ?」
「いやー、裏社会の情報網を甘く見てましたよ。俺に依頼して来た奴を脅した後にし殺して、住所がバレて。そこからはあっと言う間でしたよ。」
「そ、それは…、ご愁傷様…。」
「それと、アンタさんとのバトル。あれは、久しぶ
りに燃えました。」
そう言って、弥助はふにゃっと笑った。
「バトル?あー、ハッキングの事か。いや、あれは
弥助も凄かったよ。よく、あのセキュリティを突破したね。」
「いやいや、あれを作ったアンタさんの方が凄げーですよ。あ、そろそろ映像が切り替わる時間ですね。俺、外に出ますんで…。また、直ぐに来やす。」
「あ、うん。ありがとう、パンとか水とか。」
「良いんですよ、それぐらいは。アンタさん、少しの間だけ耐えてくだせぇ。」
パソコンを手で開き、キーボードを触りながら弥助は部屋を出て行った。
弥助が部屋を出て行った瞬間、自分の中で罪悪感が生まれた。
椿側の人間に気を許してしまった。
少しの食料と水を与えられただけで、アイツの言葉を信用してしまった。
嘘を言っているようには見えなかったけど、相手は敵だ。
だけど、偽の映像を流してまで、僕と話す機会が欲しかったのか?
だとしても、理由は?
昔、僕と会った事があるだけで、ここに来るか?
僕の作ったセキュリティを楽しそうに話す?
分からない、弥助の考えが。
椿が弥助達を脅して、自分の作った組織に入れた可能性は高いな。
「本当に…、アンタを信頼して良いのか。」
初めて、メンバー以外の人から技術を褒められて嬉しかったんだ。
だから、君の事を信じても良い証拠が欲しい。
僕の足元にガラスの破片が落ちている事に気付き、ソッとタオルで拾う。
もし、弥助がおかしな行動をしたら刺す。
自分の身は自分で守らないと、メンバーに迷惑を掛ける事は避けたい。
タオルを小さく折り畳み、後ろに隠した。
地下室を出た弥助は、1階に繋がる階段で芦間啓成とリンと出会(でくわ)した。
「あれぇ?頭の所の…、弥助だっけぇ?何しにここに居んの?」
「アンタさん、ボスから聞いてません?俺、監視役に選ばれたって。」
「あ?あー、そう言えばそんな事を言ってたような。んで、監視もせずに、何処行くの。」
「エナジードリンク買いに行くだけッスよ。直ぐに戻りますで。」
タンタンタンタンッ。
弥助が階段を上がって行く後ろ姿をジッと、芦間啓成は見つめ口を開く。
「へぇー。服に血なんか付けて、七海君でも拷問したのー?」
芦間啓成は、弥助のグレーのパーカーに付着していた血を見つけていた。
弥助は表情も変えずに、芦間啓成の問いに答える。
「あー、そんな所ッスね。結構、暴れてたんで。」
「ふーん。」
「じゃあ、俺は行きますんで。」
タンタンタンタンッ。
「啓成?どうしたの?」
「なーんか、俺の勘が動いてんだよねぇ。」
「僕の力、使う?」
「んー、体調は良いのかぁ?」
芦間啓成は膝を下ろし、リンと目線を合わせる。
「大丈夫だよ!!僕、啓成の役に立ちたいんだ!!ちょっと待ってて!!」
タタタタタタタッ!!
勢いよく階段を駆け降りたリンは、七海の閉じ込められている地下室のドアに触れた。
すると、リンの周りに小さなモニター達が出現し、
先程の映像が流れた。
スフェーンの宝石言葉の1つで、気付かなかった事に気付くと言う意味がある。
なので、リンが物体に触れると、物体に宿った出現したモニター達に記憶が流れ出すのだ。
「へぇー。弥助君、七海君の事を助けたいんだ。しかも、頭の従えてるガキ共は脅迫されていたと…。」
「や、やっぱり。椿さん、怖いもん…。ぼ、僕、苦手だな…。た、叩いてく、来るし。」
そう言って、リンは体をカタカタと震わせた。
芦間啓成はソッと、リンの体に触れ、自分の方に抱き寄せた。
「大丈夫だ、リン。もう、頭に手を出されないようにしてある。前みたいな事には絶対にしない。」
「ほ、本当?」
「あぁ、俺が嘘付いた事あるかぁ?」
「な、ない!!」
「だろぉ?だから、お前は安心してれば良いさ。」
リンを抱き締めたまま芦間啓成は、スマホを取り出した。
スマホを操作し、芦間啓成は誰かに電話を掛ける。
プルルッ、プルルッ、プルルッ。
プッ。
3コール目で通話に出たのは、椿だった。
「お疲れ様です、頭。」
「芦間か?どうした。」
「いやー、弥助君が独断で動いてるみたいなんですけど。」
「どう言う意味だ、芦間。」
「今、リンのJewelry Wordsを使ったんですけど。どうやら、七海君の事を助けたいみたいで。」
その言葉を聞いた椿は、声を低くし、言葉を続けた。
「どうやら、少し喝を入れる必要があるな。芦間、弥助を拘束しておけ。俺が行くまで、死なせんなよ。」
「分かりました。」
「七海君の部屋に放り込んどけ。」
「分かりました。」
ピッ。
通話を終わらせた芦間啓成は、リンの体を解放する。
「リーン、お仕事の時間だ。さっきのお兄さんにな?これを刺して来てくれ。」
そう言って、芦間啓成がリンに渡したのは注射器だった。
注射器の中には何か、透明の液体が既に入ってるの
が見える。
「これ?注射器?」
「あぁ、この中には速効性の痺れ薬を入れてある。そうだなぁ、太ももに刺してくれれば良い。気配の消し方は覚えてるよなぁ?」
「うん!!覚えてる!!」
「よぉーし、良い子だ。」
ポンポンッと、芦間啓成は優しくリンの頭を撫でる。
「へへ、行ってくるね!!」
「あぁ、頼んだぞ。」
タタタタタタタッ!!
走り行くの後ろ姿を見て、芦間啓成は壁に背を付けた。
PM.14:45 泉病院内の売店
CASE 弥助
「ありがとうございましたー。」
売店の店員から、購入した商品を受け取り、売店を後にした。
俺はパソコンを操作する為、近くに設置されていた椅子に腰を下ろした。
プシッ。
エナジードリンクを開け、口に流し込む。
カタカタカタカタ。
パソコン画面に映し出されたのは、七海君のいる地下室周辺の映像であった。
「な、何だ…?あの子供がドアに触れたら、モニターが出て来た?それに…、芦間啓成がボスに電話してる。」
額には、冷や汗が流れ始める。
「こ、これがJewelry Wordsの能力?甘く見過ぎた!!ボスが来る前に、ここを出ないとっ…。」
バッ!!
カチャッ。
病院の裏側に止めてあるバイクの鍵を取り出す。
急いで立ち上がった俺は、非常口のドアの方に行こうと足を踏み出そうとした時だった。
プスッ。
チクッ!!
太ももにチクッと軽い痛みが走る。
「いっ?!」
よく見て見ると、太ももに注射器がブッ刺さっていた。
「何処に行くの?お兄ちゃん。」
注射器を刺したのは、芦間啓成が連れていた子供だった。
まずい、注射器の中に何が入ってる。
ブチッ!!
ドンッ!!
「うわっ!?」
太ももから注射器を抜き、子供を押し除け、非常口のドアを開ける。
バンッ!!
タタタタタタタッ!!
急いで長い廊下を走り続けるが、太ももに強い痺れを感じた。
ドサッ!!
足がもつれ、俺は顔から床に倒れ込んだ。
「痛っ…、ゔ!?」
ビリビリビリッ!!
全身に強い痺れが走り、ガタガタと震え出す。
「は、あ、はあ、あ!!?あ、!?」
呼吸が上手く出来ない、震えが止まらない。
注射器を刺されて、そんなに時間は経ってはない筈
なのに。
カツカツカツ。
カランッ、カランッ、カランッ。
鉄パイプを引きずる音と、足音が誰もいない廊下に響く。
「あっれー?どうしたの、こんな所で寝ちゃって。」
「あ、しま…。」
「おら、起きろ!!」
ブンッ!!
ゴンッ!!
「ゔっ!?」
芦間啓成が俺の腹を思いっきり、鉄パイプで殴って来た。
ビチャ!!
胃から込み上げて来たものを吐き出す。
ブンッ!!
ゴンッ!!
鉄パイプは容赦無く、俺の顔目掛けて振るわれた。
殴られた衝撃で口の中が切れ、血が噴き出す。
「おーら、帰るぞぉ。頭が来る前に、お前を拘束しねーといけねぇんだよぉ。」
遠くなる意識の中、芦間啓成が鉄パイプを振るう姿だけが見えた。
ゴンッ!!
鉄パイプが弥助の右頬に当たると、弥助の意識が無くなった。
「ッチ、面倒掛けやがって。」
芦間啓成はガッと弥助の髪を掴み、引き摺るように
非常口のドアに向かって歩き出した。
カツカツカツ。
「日本のヤクザは、虐めみたいな事するんだな。」
「あの少年は、椿側の人間らしいけど…。揉めてるようだったな。」
「まぁ、俺達の存在は勘付かれてないし、良いんじゃない。」
「僕達の目的はただ、1つだけだ。」
弥助と芦間啓成の事を物陰から2人の人物が見ていた。
パタンッ。
非常口のドアが閉まるのを確認した2人は、スッと物陰から姿を出した。
現れたのは、清掃員の制服を着ていた天音とノアだった。
「さーてと、行きますか。マスターが居るのは、地下室だったね。」
「あぁ、行くぞ。」
「了解。」
清掃道具を持った2人は非常口のドアを開けた後、
一般人に紛れて、病院内の潜入を完了させたのだった。
CASE 七海
ズキズキ、ズキンッ!!
「痛った…。」
首の皮膚が突っ張ってる感じがするな…。
目を開けると、僕の体が宙にぶら下がっていた。
いや、正確に言えば吊るされているのだろう。
目線を天井に向けると、頑丈そうな大きな鎖が見
え、天井から何個かぶら下がっていた。
ポタッ、ポタッ、ポタッ。
赤い血が滴る音が、薄暗い部屋の中に響き渡る。
ここは、どこだ…?
身体中が痛い、ふわふわする。
ガチャッ。
「っ!!」
ビクッ!!
突然、扉が開かれ体がビクッと跳ね上がる。
「やぁ、おはよう。」
現れたのは、作り笑顔を浮かべた胡散臭い医者だった。
「君の首に付いていたGPSは切除させて貰ったよ。居場所を知られてしまったら、まずいからね。」
この赤い血は僕のだったのか。
「今から血を摂取させて貰うよ。大丈夫、すぐには殺さないよ。君は大事な薬の材料だからね。」
カツカツカツ。
男は注射器を持ったまま、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
そうか、ここは泉病院の地下室…か?
じゃあ、この男は院長の泉淳だ。
僕は近付いて来た泉淳の腹に向かって、ギミック付きの靴の足の爪先を突き刺す。
グサッ!!
泉淳の腹の部分に仕込んでおいた刃が腹に食い込み、刃を伝って血が流れ落ちた。
「グッ!?こんの…、ガキ!!」
ガッ!!
ブチッ!!
ガジャンガシャンガジャンガシャン!!
泉淳が僕の手を強く引っ張り、首の皮膚が破れる音がした。
鎖が大きく揺れ、その瞬間、首から血が吹き出す感覚がした。
ブシャアアアア!!
皮膚が破れた所為で、傷口から血が吹き出したのだ。
泉淳は近くにあったバケツを持って来て、僕の首の傷に近付けさせた。
ボタボタボタボタボタボタ。
バケツの中に僕の血溜まりが出来始め、泉淳は満足
そうな笑みを浮かべた。
「あははは!!血が大量だ。これで薬の製造が捗るなぁ。」
ポタッ、ポタッ。
ガッ!!
勢いよく流れ落ちた血が止まると、泉淳は僕の髪を乱暴に掴み、床に投げ捨てた。
ドサッ!!
「ッチ、これだけかよ。」
シュルッ、シュルッ。
舌打ちをしながら、泉淳は手慣れた手付きで治療を程し始めた。
「お前に死なれたら、こっちは大損だ。おら、腕だせ。」
「離…せ。」
「あ?点滴だよ。」
プスッと針を腕に刺し、点滴パックから液体が体の中に流れ込んだ。
クラクラして、気持ちが悪い。
「お前の食事はこの点滴パック達だ。安心しろ、点滴パックは嫌程ある。」
「…。」
「アルビノは傷の治りが早いのなぁ。また、5時間後に来る。」
カツカツカツ。
バンッ!!
勢いよく閉じられた扉の衝撃で、僕の体がゆっくりと床に倒れた。
足に力が入らない、貧血を起こしてるな。
天音、ノア…。
僕は君達を信じていたのに、椿の言葉に惑わされてしまった。
支配力のある椿の話し方…、あれはJewelry Wordsの力なのか。
カチ、カチッ。
小さな豆電球がチカッと点滅し、自分の足首が少し照らされた。
「アキレス腱が…、斬られてる?」
両足のアキレス腱の部分が、パックリと傷口が開いていた。
「最悪だ…。」
手当されていないと言う事は、この傷を治療しないと判断したのか。
僕はHero Of Justiceの中っだったら、戦闘力の一員にはは入れない。
皆んなより経験が無いのは勿論の事、体力が生まれ付き無いのだ。
いや、寧ろ病弱だと言って良い。
仕掛けておいたGPSも抜き取られてしまい、居場所を伝える手段が無くなってしまった。
どうしたら…、良いんだ。
部屋に充満している甘い香りの所為で、判断力が鈍くなっている。
もしかして、この煙は薬物のキャンディか?
泉淳は、キャンディを嗅がせ薬物中毒にさせようとしているのか。
まずいな、この部屋に窓などない。
恐らく、目の前にある大きな扉は施錠されている。
とりあえず、このタオルで鼻と口を抑えて…。
そう思い、無造作に置かれているタオルに、手を伸ばそうとした時だった。
ガチャッ。
突然、扉が開かれ、部屋の中に外の空気が勢い良く入る。
「あー、かなりやられてやすね。大丈夫ッスかー?」
ボサボサの髪をした17歳くらいの男の子が、パソコンを持って入って来た。
この怠そうな話し方…、どこかで聞いた事が…。
「覚えてねーですか、弥助(やすけ)と言うえば分かりやすかね。」
「弥助…。お前、僕のセキュリティに入って来た奴か!?」
「そうッスよ。まぁ、直ぐに弾かれましたがね。」
「な、何でここに…?」
僕はそう言って、弥助に尋ねる。
「あー、俺はアンタさんの事を助けに来たって言ったら、信じてくれやすか?」
「は…?助けに…って、お前は敵だろ?椿側の人間だろ!?ちゃんと説明を…、ゴホッ!!」
喉がカラカラに乾いて、咳が止まらなくなった。
「大丈夫ッスか?」
弥助はペットボトルに入ったミネラルウォータの蓋を開け、僕に飲ませてくれた。
ゴク、ゴク、ゴク。
水が喉から胃に伝って行くのが分かる。
「はぁ、はぁ…。」
「ったく、酷い事しますねぇ。アンタさん、もう歩けないでしょ。」
「まぁ、お陰様でね。この部屋の監視カメラに映っ
てるんじゃないの?大丈夫なわけ?」
「あー、大丈夫ッスよ。今、モニターには別の映像を流してあるんで。」
弥助が映っていない映像を流しているのか。
じゃなかったら、ここに来れる訳がない。
「俺はアンタさんの事を知ってんですよ。まぁ、アンタさんは覚えてないでしょうけど。」
「会った事が…?」
「それから、俺がこの部屋の監視役になりましたんで。ある程度の食料は確保出来やすが…、まだアンタさんを外に出す訳にはいかねーんですよ。」
「ど、どう言う事?」
弥助は持っていた袋からクリームパンを取り出し、僕に渡した。
「俺達のチームの奴等は、ボスに弱みを握られてる奴等の集まりなんですよ。佐助も伊助も喜助も、ボスに逆らえねーんです。」
「アンタも椿に脅されてんじゃねーのか?」
クリームパンを頬張りながら、弥助に尋ねる。
「俺は、目の前で家族を殺されましたね。まぁ…、俺の失態でしたよ。自分の能力を過剰評価し過ぎて、ボスのPCにハッキングしたんで。あ、依頼を受けてしたんですけどね。」
「ハッキングされたとしても、どこの誰かまでは分からないでしょ?」
「いやー、裏社会の情報網を甘く見てましたよ。俺に依頼して来た奴を脅した後にし殺して、住所がバレて。そこからはあっと言う間でしたよ。」
「そ、それは…、ご愁傷様…。」
「それと、アンタさんとのバトル。あれは、久しぶ
りに燃えました。」
そう言って、弥助はふにゃっと笑った。
「バトル?あー、ハッキングの事か。いや、あれは
弥助も凄かったよ。よく、あのセキュリティを突破したね。」
「いやいや、あれを作ったアンタさんの方が凄げーですよ。あ、そろそろ映像が切り替わる時間ですね。俺、外に出ますんで…。また、直ぐに来やす。」
「あ、うん。ありがとう、パンとか水とか。」
「良いんですよ、それぐらいは。アンタさん、少しの間だけ耐えてくだせぇ。」
パソコンを手で開き、キーボードを触りながら弥助は部屋を出て行った。
弥助が部屋を出て行った瞬間、自分の中で罪悪感が生まれた。
椿側の人間に気を許してしまった。
少しの食料と水を与えられただけで、アイツの言葉を信用してしまった。
嘘を言っているようには見えなかったけど、相手は敵だ。
だけど、偽の映像を流してまで、僕と話す機会が欲しかったのか?
だとしても、理由は?
昔、僕と会った事があるだけで、ここに来るか?
僕の作ったセキュリティを楽しそうに話す?
分からない、弥助の考えが。
椿が弥助達を脅して、自分の作った組織に入れた可能性は高いな。
「本当に…、アンタを信頼して良いのか。」
初めて、メンバー以外の人から技術を褒められて嬉しかったんだ。
だから、君の事を信じても良い証拠が欲しい。
僕の足元にガラスの破片が落ちている事に気付き、ソッとタオルで拾う。
もし、弥助がおかしな行動をしたら刺す。
自分の身は自分で守らないと、メンバーに迷惑を掛ける事は避けたい。
タオルを小さく折り畳み、後ろに隠した。
地下室を出た弥助は、1階に繋がる階段で芦間啓成とリンと出会(でくわ)した。
「あれぇ?頭の所の…、弥助だっけぇ?何しにここに居んの?」
「アンタさん、ボスから聞いてません?俺、監視役に選ばれたって。」
「あ?あー、そう言えばそんな事を言ってたような。んで、監視もせずに、何処行くの。」
「エナジードリンク買いに行くだけッスよ。直ぐに戻りますで。」
タンタンタンタンッ。
弥助が階段を上がって行く後ろ姿をジッと、芦間啓成は見つめ口を開く。
「へぇー。服に血なんか付けて、七海君でも拷問したのー?」
芦間啓成は、弥助のグレーのパーカーに付着していた血を見つけていた。
弥助は表情も変えずに、芦間啓成の問いに答える。
「あー、そんな所ッスね。結構、暴れてたんで。」
「ふーん。」
「じゃあ、俺は行きますんで。」
タンタンタンタンッ。
「啓成?どうしたの?」
「なーんか、俺の勘が動いてんだよねぇ。」
「僕の力、使う?」
「んー、体調は良いのかぁ?」
芦間啓成は膝を下ろし、リンと目線を合わせる。
「大丈夫だよ!!僕、啓成の役に立ちたいんだ!!ちょっと待ってて!!」
タタタタタタタッ!!
勢いよく階段を駆け降りたリンは、七海の閉じ込められている地下室のドアに触れた。
すると、リンの周りに小さなモニター達が出現し、
先程の映像が流れた。
スフェーンの宝石言葉の1つで、気付かなかった事に気付くと言う意味がある。
なので、リンが物体に触れると、物体に宿った出現したモニター達に記憶が流れ出すのだ。
「へぇー。弥助君、七海君の事を助けたいんだ。しかも、頭の従えてるガキ共は脅迫されていたと…。」
「や、やっぱり。椿さん、怖いもん…。ぼ、僕、苦手だな…。た、叩いてく、来るし。」
そう言って、リンは体をカタカタと震わせた。
芦間啓成はソッと、リンの体に触れ、自分の方に抱き寄せた。
「大丈夫だ、リン。もう、頭に手を出されないようにしてある。前みたいな事には絶対にしない。」
「ほ、本当?」
「あぁ、俺が嘘付いた事あるかぁ?」
「な、ない!!」
「だろぉ?だから、お前は安心してれば良いさ。」
リンを抱き締めたまま芦間啓成は、スマホを取り出した。
スマホを操作し、芦間啓成は誰かに電話を掛ける。
プルルッ、プルルッ、プルルッ。
プッ。
3コール目で通話に出たのは、椿だった。
「お疲れ様です、頭。」
「芦間か?どうした。」
「いやー、弥助君が独断で動いてるみたいなんですけど。」
「どう言う意味だ、芦間。」
「今、リンのJewelry Wordsを使ったんですけど。どうやら、七海君の事を助けたいみたいで。」
その言葉を聞いた椿は、声を低くし、言葉を続けた。
「どうやら、少し喝を入れる必要があるな。芦間、弥助を拘束しておけ。俺が行くまで、死なせんなよ。」
「分かりました。」
「七海君の部屋に放り込んどけ。」
「分かりました。」
ピッ。
通話を終わらせた芦間啓成は、リンの体を解放する。
「リーン、お仕事の時間だ。さっきのお兄さんにな?これを刺して来てくれ。」
そう言って、芦間啓成がリンに渡したのは注射器だった。
注射器の中には何か、透明の液体が既に入ってるの
が見える。
「これ?注射器?」
「あぁ、この中には速効性の痺れ薬を入れてある。そうだなぁ、太ももに刺してくれれば良い。気配の消し方は覚えてるよなぁ?」
「うん!!覚えてる!!」
「よぉーし、良い子だ。」
ポンポンッと、芦間啓成は優しくリンの頭を撫でる。
「へへ、行ってくるね!!」
「あぁ、頼んだぞ。」
タタタタタタタッ!!
走り行くの後ろ姿を見て、芦間啓成は壁に背を付けた。
PM.14:45 泉病院内の売店
CASE 弥助
「ありがとうございましたー。」
売店の店員から、購入した商品を受け取り、売店を後にした。
俺はパソコンを操作する為、近くに設置されていた椅子に腰を下ろした。
プシッ。
エナジードリンクを開け、口に流し込む。
カタカタカタカタ。
パソコン画面に映し出されたのは、七海君のいる地下室周辺の映像であった。
「な、何だ…?あの子供がドアに触れたら、モニターが出て来た?それに…、芦間啓成がボスに電話してる。」
額には、冷や汗が流れ始める。
「こ、これがJewelry Wordsの能力?甘く見過ぎた!!ボスが来る前に、ここを出ないとっ…。」
バッ!!
カチャッ。
病院の裏側に止めてあるバイクの鍵を取り出す。
急いで立ち上がった俺は、非常口のドアの方に行こうと足を踏み出そうとした時だった。
プスッ。
チクッ!!
太ももにチクッと軽い痛みが走る。
「いっ?!」
よく見て見ると、太ももに注射器がブッ刺さっていた。
「何処に行くの?お兄ちゃん。」
注射器を刺したのは、芦間啓成が連れていた子供だった。
まずい、注射器の中に何が入ってる。
ブチッ!!
ドンッ!!
「うわっ!?」
太ももから注射器を抜き、子供を押し除け、非常口のドアを開ける。
バンッ!!
タタタタタタタッ!!
急いで長い廊下を走り続けるが、太ももに強い痺れを感じた。
ドサッ!!
足がもつれ、俺は顔から床に倒れ込んだ。
「痛っ…、ゔ!?」
ビリビリビリッ!!
全身に強い痺れが走り、ガタガタと震え出す。
「は、あ、はあ、あ!!?あ、!?」
呼吸が上手く出来ない、震えが止まらない。
注射器を刺されて、そんなに時間は経ってはない筈
なのに。
カツカツカツ。
カランッ、カランッ、カランッ。
鉄パイプを引きずる音と、足音が誰もいない廊下に響く。
「あっれー?どうしたの、こんな所で寝ちゃって。」
「あ、しま…。」
「おら、起きろ!!」
ブンッ!!
ゴンッ!!
「ゔっ!?」
芦間啓成が俺の腹を思いっきり、鉄パイプで殴って来た。
ビチャ!!
胃から込み上げて来たものを吐き出す。
ブンッ!!
ゴンッ!!
鉄パイプは容赦無く、俺の顔目掛けて振るわれた。
殴られた衝撃で口の中が切れ、血が噴き出す。
「おーら、帰るぞぉ。頭が来る前に、お前を拘束しねーといけねぇんだよぉ。」
遠くなる意識の中、芦間啓成が鉄パイプを振るう姿だけが見えた。
ゴンッ!!
鉄パイプが弥助の右頬に当たると、弥助の意識が無くなった。
「ッチ、面倒掛けやがって。」
芦間啓成はガッと弥助の髪を掴み、引き摺るように
非常口のドアに向かって歩き出した。
カツカツカツ。
「日本のヤクザは、虐めみたいな事するんだな。」
「あの少年は、椿側の人間らしいけど…。揉めてるようだったな。」
「まぁ、俺達の存在は勘付かれてないし、良いんじゃない。」
「僕達の目的はただ、1つだけだ。」
弥助と芦間啓成の事を物陰から2人の人物が見ていた。
パタンッ。
非常口のドアが閉まるのを確認した2人は、スッと物陰から姿を出した。
現れたのは、清掃員の制服を着ていた天音とノアだった。
「さーてと、行きますか。マスターが居るのは、地下室だったね。」
「あぁ、行くぞ。」
「了解。」
清掃道具を持った2人は非常口のドアを開けた後、
一般人に紛れて、病院内の潜入を完了させたのだった。
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