MOMO

百はな

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第4章 Jewelry Pupil 狩り

39.狩られる者達

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さぁ、狩の始まりだー

CASE 四郎

ハッと目が覚めた。

隣にはモモが小さな寝息を立てて寝ている。

「嫌な目覚めだな。」

俺はそう言って、ベットを降りる。

心が落ち着かねぇ、何だ?

妙な感じがする。

トカレフTT-33を取り出し、メンテナンスの準備をした。

シリコンスプレー、ウェポンクイック、クリーニングロッドをテーブルに置く。

あとは、汚れを拭くティッシュペーパーとを綿棒を

数本用意した後は分解をする。

カチャカチャカチャカチャ。

スライドのフレームが擦れる部分にシリコンスプレーを掛け、綿棒で掃除をする。

汚れ溜まってんな…、メンテナンスして正解だった。

スライドのフレームの掃除を終え、次にガスルート
部分にシリコンスプレーを掛ける。

スプリングガイドは、軽くティッシュで拭き取りシリコンスプレーを掛ける。

次々に掃除をして、組み立て直す。

カチャッ。

トカレフTT-33に銃弾を入れて、完了だ。

「起きたのか。」

「四郎(しろう)後ろに目があるの?」

「あ?」

「だって、声掛けずに見てたし…。起きたの分かったの凄い。」

モモはそう言って、後ろから抱き付いてきた。

後ろから近付かれるのは好きじゃなかった。

だが、何故かモモだと嫌じゃない。

こうされる事が当たり前になったからか?

それとも、コイツだから良いのか?

分からない、だけど嫌じゃないからモモの手に触れる。

バタバタバタバタ!!!

バン!!!

「四郎!!起きてる!?」

「七海(ななみ)?慌ててどうした。」

「ごめん、今回の件は僕の責任だ。」

七海のこの慌てようは、もしかして…。

最悪な事態が起きているのは間違いない。

「もしかして、バレたのか。ここが。」

俺の言葉を聞いた七海の体がビクッと動いた。

「ごめん、すぐにセキュリティを掛けたんだけど…。僕の所為だ。」

「七海、ボスに連絡しろ。」

俺はそう言って立ち上がった。

「二郎(じろう)と五郎(ごろう)には俺から言う。七海はボスに連絡して、カメラを見てくれ。いずれはバレる事だ。」

「う、うん。本当に…。」

「大丈夫だ、心配するな。」

七海の頭を撫でながら言葉を放つ。

「うん、分かった。」

「モモ、薬と日焼け止めに目薬を鞄に入れろ。」

「分かった。」
 
モモを部屋に残してリビングに向かった。

ガチャッ。

リビングに入ると、二郎と五郎は話をしている様子はなかった。

「2人共、どこかの組織に俺達のアジトの場所がバレた。」

「はぁ!?マジかよ!?どこの組織だよ!!」

「そんなの知らねぇ、戦える準備しとけよ。」

「おいおい、マジかよ。ここがバレる日が来るとはな…。」

「今までは運が良かったんだよ。おら、自分の部屋に行け。」

五郎は急いで自分の部屋に戻って行った。

「どこの組織か大体は予想は付いてるよね?四郎。」

「あぁ、椿会だと俺は思ってる。モモの事を狙って来ているって確信してる。」

「そう、分かった。」

ブー、ブー。

スマホが振動した。

着信相手はボスからだった。

「もしもし、ボス。七海から聞きましたか。」

「あぁ、ここを出て兵頭会の本家に来い。モモちゃ
んに怪我をさせずにだ。」

「分かってますよ、ボス。」

「必要な物だけを持ってここを出ろ。バイクに乗って移動した方が良いだろう。今から九条(くじょう)組に行く。光臣(みつおみ)さんが襲撃に遭ってるそうだ。」

このタイミングで九条組に襲撃、椿(つばき)が本格的に動き出した証拠だ。

美雨(みう)を狙っての行動か?

だったら襲撃して来た理由にはピッタリだ。

「分かりました。」

「伊織(いおり)と星影(ほしかげ)を既に向かわせている。あと、10分後に到着する予定だ。」

「了解です。」

「モモちゃんは絶対に死守しろ、頼んだ。」

ボスはそう言って通話を切った。

「どうやら、俺の読みは当たってるみたいだ。モモを死守しろとの御命令だ。九条組が襲撃に遭ってる
そうだ。10分後に伊織と星影が到着する。」

「九条組が?と言う事は…、Jewelry Pupil(ジュエリーピューピル)狙いか。」

「だろうな。」

「皆んな、入り口にマッシュの男と薄ピンク色の髪の女が立ってる。それと数人、ガラの悪い奴等がいるよ。」

パソコンを持った七海がリビングに入って来た。

その後ろから大きな鞄を持ったモモがいて、俺の隣に来た。

モモが持っていた鞄は、俺の武器が全て入ってる物だった。

「お前、自分の荷物はどうした。」

「この中にいれた。四郎、私は何をすれば良い?」

「二郎、一郎(いちろう)と六郎(ろくろう)の武器鞄を持って来てくれ。アイツ等も戻って来たら必要だろ。モモ、ここから出たらお前は俺から離れんな。」

俺の言葉を聞いたモモは顔を真っ赤にした。

「四郎、君の指示で動くよ。」

「助かる。七海、お前はモモの護衛に当たってく
れ。入り口にいる奴等は椿会の人間だ。五郎、動けんだろうな。」

「誰に言ってんだ。」

五郎はそう言って、ハンドガンを手にしていた。

「伊織にモモを渡すまで、頑張れよ七海。久しぶりに動けるだろ。それで、チャラだ。」

「四郎…、分かった。モモちゃんは僕が守るよ。」

ビー!!ビー!!

警報が鳴り響いた。

「突破された、四郎。」

「あぁ、分かった。」

カチャッ。

七海の言葉を聞きながら、トカレフTT-33を構える。

来るなら来い、殺してやる。


バン!!!

乱暴に玄関が開かれ、乱暴な足音が聞こえて来た。

ドタドタ!!

足音からして、椿会の組員だな。

「どこにいやがる!!出て来やがれ!!」

パンパンパンッ!!

男は言葉を吐きながら銃弾を放った。

二郎がリビングのドアから視覚に入らない場所に待
機し、リビングに入って来た組員の首元をナイフで
掻き切った。

ブシャ!!

男の首元から血が吹き出す。

「ひ、ひぃ!?どこにいやがる!?ゔっ!?」

「うるさいよ、君達。」

二郎は叫んだ男の背後に近付き、首元をナイフで切る。

リビングがあっという間に血塗れになり、足元に血溜まりが出来た。

「うわぁぁあぁあ?!ガッ!?」

廊下の物陰に隠れていた五郎は次々に男達を撃つ。

パンパンパンッ!!!

撃たれる男達の後ろから、Canbon8M45CQP-CO2
を構えた伊助(いすけ)が姿を現した。

「そこにいるの五郎君でしょ、殺り合おうよ?」

「気色の悪い男だな、お前。」

「もうさ、どうでも良いんだよね。Jewelry Pupilなんか、僕はあの子が心配なだけだ。」

「はぁ?何言ってんだ、お前。」

パシュッ!!!

五郎の頬に銃弾が掠った。

「あ?」

「伊助、さっさとモモちゃんを連れて来て。椿様の命令は絶対。」

五郎に銃口を向けていたのは喜助(きすけ)だった。
 
「この糞女、上等じゃねぇか!!」

「誰が糞女だ、糞男が!!」

カチャッ!!

五郎と喜助は同時に銃口を向け、弾き金を引いた。

パンパンパンッ!!

「邪魔!!伊助、コイツはあたしが殺すから手を出さないでよね!!」

「はいはい。」

喜助は走りながら伊助に言葉を放ち、五郎との距離を詰める。

「がぁぁぁぁ!!」

伊助の目の前で大きな血飛沫が噴いた。

血飛沫の中から一筋の光が見えた瞬間、ナイフが伊助の前に現れた。

ドサッ!!

伊助の足を蹴り廊下に倒れさせたのは四郎だった。

「死ね。」

シュ!!

グサッ、ブシャ!!

「手でナイフの方向をずらしたか。」

「痛ってぇ…。あははは、アンタは強そうだ。」

 伊助は顔から逸らすように手でナイフを掴んでいた。

四郎はもう一つ、隠していたナイフを取り出し男の脇腹に突き刺さした。

グサッ!!

「ゔっ!!」

ズポッ!!

伊助の手からナイフを抜き、四郎はナイフを再び突き刺さす。

パンパンパンッ!!

「うがあああああああ!!」

四郎は後ろを向きながら近付いて男を撃った。
 
「嘘だろ、チート過ぎんだろ!?」

「椿の所の奴だろ、お前。目的はモモか。」

「Jewelry Pupil狩りの始まりだよ。きっと、九条組にも行ってるだろう。」

「美雨ちゃんに何したの。」

ガタガタガタガタ!!

アジトの中が大きく揺れた。

「お前、美雨ちゃんに何かしたの。」

髪の毛が浮き、伊助を睨み付けながらモモが歩いて来た。
 
「拐われたんじゃないかな。」

ブシャッ!!

伊助の耳から血が噴き出した。

「うわっ、鼓膜が逝ったなこれ。右耳潰したの、この子か。」

モモが伊助を指差しながら、言葉を放つ。

「お前等みたいなクズは消す、ここに来た奴等は全員消す。」

「モモ。」

「四郎…。」

「コイツは尋問する。だから殺すな。」

「命令?」

「あぁ。」
 
「分かった。」

モモがそう言うと、揺れが止まった。

「ハッ、僕をどうする気な訳?」

「さぁな、それを聞くのは俺じゃない。」

「は?ゔっ!?」

パンッ!!

伊助の体に銃弾を放ったのは、ボロボロの辰巳零士だった。


ガタガタガタガタ!!

廊下の奥で五郎と喜助は斬り合いをしていた。

お互いナイフを手に取り、お互いの体を傷付けていた。

「さっさと、死ねや。」

「アンタこそ、邪魔なんだよ。」

「お前、あの時のスナイパーだろ。俺を撃ちやがったのは。」

「へぇ、そんな顔してたんだね。まぁ、顔を見た所で何もないけど。」

ナイフを構え直した喜助は、五郎を睨み付ける。

「アンタ達は邪魔なんだ。椿様の道を壊すアンタ等は。」

「椿様、椿様ってうるせぇな。宗教かよ。」
 
「アンタには分からない。宗教?上等じゃん。あたしは教祖様の為にお前を殺す。殺し屋になった時から死は覚悟してる。」

「じゃあ、死んで貰おうか。」

「っ!?」

喜助の後ろにいたのは、ナイフを持った二郎だった。

ブシャッ!!

喜助が気付いた時には遅かった。

二郎が振り翳したナイフの方が早く、喜助の体から血が噴き出していた。

「じ、二郎…。」
 
「お前は甘いんだよ。この先、そんなんじゃ殺されるぞ。」

「ゔっ…。」

「僕に付いて来たいなら、しっかりしろ。」

「二郎、その女は俺に渡せ。」

そう言ったのは、辰巳零士だった。

「辰巳さん?どうして、ここに…?」

「美雨の居場所を吐かせる。こっちが狩る番だ、椿。」

辰巳零士は握った拳に力を入れた。
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