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第2章 Jewelry Pupil Knight
20. Jewelry Pupil の賭博 II
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ハイエースの車内は大騒ぎになっていた。
「ちょ、ちょっと…?!何、勝手に始めてるわけ!?」
六郎が七海のパソコン画面を見て叫んだ。
「椿って野郎の考えてる事が分からねー。そもそも、自分の所にJewelry Pupil がいる事を明かすか?普通…。」
「んー、別に言っても良かったから言ったんじゃな
いの?その椿って男は辰巳さんやボスみたいにJewelry Pupil がいる事を隠す気はそもそもないじゃないの?」
五郎の言葉を聞いた三郎は、煙草の煙を吐きながら言葉を放った。
「三郎の言ってる事が正解かもね。何にせよ、相手が何か細工をしてる可能性は高いかも。」
二郎の言葉を聞いた一郎が口を開けた。
「じゃなかったら、椿から勝負の話は持ち出さないだろうな。」
「「四郎は大丈夫だよ。」」
三郎と七海の声が合わさった。
「四郎が耳が良い事を忘れたの?」
七海はそう言って、パソコン画面に視線を向けた。
CASE 四郎
「まずは、現金をチップに変えるんだけど…。現金は持って来た?」
椿の言葉に俺はハッとした。
そう言えば、現金を持って来てなかった。
元々、賭博をするつもりでここに来た訳ではなかっ
たから、現金を持って来てない。
現金がない以上、チップに変えれない。
「もしかして、持って来てないの?」
椿はキョトンとした顔で俺に尋ねて来た。
俺の様子を見た椿は、ディーラーにストップをかけた。
ディーラーは椿の指示に従い、一時中断した。
「俺の金を使え。」
辰巳さんはそう言って、持っていたアタッシュケースを開けた。
パカッ。
アタッシュケースの中に入っていたのは札束だった。
「ここに一千万ある、チップに両替してくれ。」
「辰巳さん、一千万も持って来ていたんですか…?」
「椿が四郎に何がして来ると思ってな。やっぱり、俺の考えは当たったみたいだな。」
「現金があるなら良かった。喜助、チップに両替して来て。」
辰巳さんと俺の会話を聞いて、椿が喜助を呼んだ。
「お前、こんな大金をどうしたんだ?」
「俺の金だから安心しろ。借金して持って来た訳じゃない。」
𣜿葉の言葉をサラッと流した辰巳さんは、喜助にア
タッシュケースを渡した。
「すぐに、返しますんで。」
「返してくれんなら、いつでも良いぞ。四郎はそう言う所はちゃんとしてるからな。」
「借りた物はすぐに返したいだけなんで。」
ここから出たら辰巳さんの口座に振り込んでおこう。
「四郎、一千万なんて大金を返せるのか?」
𣜿葉はそう言って、俺に尋ねて来た。
「仕事で稼いだ金なら貯めてあるんで。」
「案外、金を使わないんだな。」
「使う暇がない。」
ボスがスケジュールを詰め詰めに入れてくる所為で、稼いだ金を使えないでいた。
「椿様、チップに変えて来ました。」
喜助が俺の前にチップを置いた。
かなりの枚数がある。
「ありがとう。さ、これで出来るね。」
ディーラーに椿が指示し、ディーラーが球を投げた。
ガラガラガラガラ…。
球が転がる音が俺達の空間に響く。
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…。
カランッ。
僅かだが、何かに当たった音がした。
このディーラー、如何様(いかさま)したか?
*如何様とは、ペテンや詐欺と言う意味の「イカサマ」です*
変な音がしたのは、27の所だった。
そこに玉を誘導させるように細工をしている可能性が高い。
「君が賭けをするとは思わなかったな?Jewelry Pupilがやっぱり大切?」
椿は回る球を見ながら俺に問いた。
「大切とか言う前にアンタに、渡すのが癪なだけだ。」
「あれ、僕って嫌われてる?」
「好かれてる自信があったのか。」
「ん?雪哉さんの所にいる君に好かれても嬉しくないね。むしろ、好かれてなくて良かったよ。どこに賭ける?」
そう言って、椿は俺にチップをどこに賭けるのか聞いて来た。
いつの間にか、俺と椿の座る台に人が集まっていた。
主催者が誰とルーレットをしているのか気になるようだった。
「四郎、慎重にな。」
𣜿葉は俺の背中を軽く叩きながら言葉を放った。
ガラガラガラガラガラガラ…、カランッ。
やっぱり、27の所で変な音が小さくする。
俺は27に全部のチップを置いた。
「27にストレートアップで。」
ザワザワザワ…。
「おい、嘘だろ?一点賭けだと?」
「あははは!!面白いね?ストレートアップするって事はよっぽど自信があるんだね?」
椿はそう言って、チップを持った。
ハイエース車内ー
「おおおおおお!?四郎の奴、27に一点賭けしたぞ!?」
五郎はパソコン画面を見て叫んだ。
「五郎、うるさい。」
七海は耳を抑えながら五郎を睨み付けた。
「やっぱり、如何様してたみたいだねー。四郎が27にストレートアップしたなら、ここに球が止まるんだろうね。」
「何なのよ、椿って男は!!だから四郎に勝負を仕掛けて来たのね。四郎が耳が良くなかったら負けてたじゃない!!」
三郎と六郎が話している時、運転席に座っていた一郎がパーキングからドライブに変えた。
「え、え?どうしたの、一郎。」
二郎がそう呟いた瞬間、後ろからパトカーのサイレン音が響き渡った。
ウ、ゥゥゥゥゥゥ!!
「パトカーが向かって来てる、場所を変える。二郎はボスに連絡しろ、今すぐに。」
「わ、分かった!!」
二郎は素早くスマホを操作し電話を掛けた。
「ちょ、ちょっと!?一郎、四郎はどうするのよ!?」
「今、俺達の存在が警察にバレたらボスに迷惑を掛ける。」
六郎の言葉に返事をしながら一郎は運転を続けた。
「四郎を見捨てる気かよ、一郎?!」
五郎が叫ぶと三郎が刀を持ち、ドアを開けようとした。
「一郎、止めて。」
「駄目だ。」
「俺だけでも四郎を助けに行く。」
「駄目だって言ってるだろ。」
一郎の言葉を聞いた三郎は、Cz75の銃口を一郎に向けた。
「ちょ、ちょっと!?何してんのよアンタ!!」
「お、おい、三郎!!それはまずいって!!」
五郎と六郎は慌てて三郎を止めようとした。
「四郎が警察に捕まったらどうするの。」
「ボスから伝言、俺達はこのままモモちゃんを迎えに来いって。」
二郎の言葉を聞いた三郎は乱暴に車のドアを開けた。
バンッ!!
「俺、今回のボスの命令は聞けないわ。」
そう言って、三郎は車を飛び降りた。
「ちょ、三郎!!?」
六郎は三郎に手を伸ばしたが届かなかった。
「三郎の気持ちは分かるよ。今回のボスの命令はちょっと、四郎に対して冷たくない?」
七海はそう言って、二郎に視線を送った。
「俺達はモモちゃんを守る事が最優先事項だから…。」
「四郎の事は何も言ってないのか?ボスは。」
「うん、何も。」
「嘘だろ?ボスは四郎の事を捨てたのか?」
二郎と五郎の会話を聞いていた一郎は、口を開けた。
「ボスは四郎を捨てない。きっと、何か考えがあるんだろ。」
「そうよ、四郎を…。見捨てたりしないわ。」
六郎の言葉を聞いた後、一郎は二郎に話を振った。
「二郎、ボスに三郎の事を伝えろ。」
「分かった。」
兵頭会本家ー
ブー、ブー。
兵頭雪哉のスマホが再び振動した。
「もしもし、どうした。」
「何回もすみません。三郎が…、車から飛び出してしまいました。四郎の事を助けに行ったかと…。」
「…、今回の事は三郎が単独で動いても仕方がない。四郎に現状を伝えれない以上、警察がホテルに乗り込んで来るのと鉢合わせになる。」
「…。四郎をどうするんですか。」
「無論、見捨てるつもりはない。その為に二郎達にモモちゃんを迎えに来て欲しい。辰巳も関わる事だからな。俺と光臣さんとで現場のホテルに行き話を付けようと思ってる。」
「分かりました。」
二郎の言葉を聞いた後、兵頭雪哉は通話を切った。
モモと九条美雨は布団に包まり眠っていた。
「雪哉、察が勝ち込みするって本当か。」
「はい。一郎がすぐに気付きホテルから離れましたが、二郎と辰巳、𣜿葉はホテルの中にいます。」
「現状を知らせねー以上、捕まったら終わりだ。それは椿も同じだろ。」
「どうして、警察に情報が流れたんでしょうか…。椿会の中に警察に情報を流してる野郎がいるって事ですね。」
「雪哉、車を回させろ。早く行かねぇと、後が面倒になる。」
九条光臣の言葉を聞いた兵頭雪哉は、岡崎伊織を呼び車を手配させた。
CASE 三郎
ボスは四郎の事よりも、モモちゃんを優先させる気でいる。
警察に捕まったら四郎は終わりだ。
ウ、ゥゥゥゥゥゥ!!!
パトカー数十台がホテルに向かって走っている。
Jewelry Pupil 賭博の情報が警察に流れたって事?
じゃなかったら、ホテルに警察が集まらない。
椿会にも裏切り者がいるって事…か。
なら、その椿会の裏切り者をこっち側に引き摺り込んだ方が良いな。
俺がホテルに向かおうとする時、背後から気配を感じた。
俺は素早くCz75を構えた。
カチャッ。
そこにいた人物は見慣れない男だった。
男は俺にある話をして来た。
「っ!?その話は本当なのか。」
「あぁ、俺が何年も掛けて調べたんだ。信じて貰って良い。」
「それで?俺を誘った理由は?」
「君がある人物の事を調べていたから。それに、俺のやりたい事に君の力が必要になる。」
「…。」
「俺が今、言った情報はほんの一部だ。知りたいなら俺と一緒に来てくれ。」
俺はしばらく考え、答えを出した。
「分かった、アンタと手を組んであげる。その代わり情報は教えてよ。」
「あぁ、分かってる。さ、乗って。」
俺は男の車に乗り込んだ。
CASE 四郎
喜助が椿の耳元で何かを呟いた。
「へぇ、悪いけど。今回の賭けはお預けだ。」
椿はそう言って、立ち上がった。
「は?」
「お前、何を言ってんだ椿。」
俺と𣜿葉の言葉を無視して、椿は台から離れた。
「何なんだよ、アイツ…。」
ザワザワザワ…。
「椿様はどうしたの?」
「勝負を降りるなんて…。」
周りにいたギャラリーが騒ぎ出した。
「変だな…。」
「変って、何が?」
「椿がいきなり勝負を辞めて、奥に行った事だよ。」
「確かにそうだけど、あの野郎の考えてる事は分からないって。」
辰巳さんと𣜿葉が話している間、直感だが嫌な予感がした。
椿がフロアを颯爽と出て行った事。
招待した客には何も言わずに出て行った事。
まるで、自分だけ避難したみたいに。
…。
ん?
避難した?
「っ、そう言う事か。辰巳さん、𣜿葉。ここから出るぞ。」
俺はそう言って、立ち上がった。
「は?急にどうした?」
「歩きながら説明する。急げ。」
俺は𣜿葉に言葉を放った後、足早に歩き出した。
2人は俺の後を追うように歩き出した。
辰巳さんも俺の考えが分かったらしく、𣜿葉に説明した。
「𣜿葉、椿が俺達…いや、客達に何も言わずに出て言ったのは、ここから避難する為だ。」
「避難…って、嘘だろ?!まさか…!」
その瞬間だった。
バンッ!!
フロアの扉が勢いよく開いた。
「動くな、警察だ!!!!」
警察がフロアに乗り込んで来た。
「ちょ、ちょっと…?!何、勝手に始めてるわけ!?」
六郎が七海のパソコン画面を見て叫んだ。
「椿って野郎の考えてる事が分からねー。そもそも、自分の所にJewelry Pupil がいる事を明かすか?普通…。」
「んー、別に言っても良かったから言ったんじゃな
いの?その椿って男は辰巳さんやボスみたいにJewelry Pupil がいる事を隠す気はそもそもないじゃないの?」
五郎の言葉を聞いた三郎は、煙草の煙を吐きながら言葉を放った。
「三郎の言ってる事が正解かもね。何にせよ、相手が何か細工をしてる可能性は高いかも。」
二郎の言葉を聞いた一郎が口を開けた。
「じゃなかったら、椿から勝負の話は持ち出さないだろうな。」
「「四郎は大丈夫だよ。」」
三郎と七海の声が合わさった。
「四郎が耳が良い事を忘れたの?」
七海はそう言って、パソコン画面に視線を向けた。
CASE 四郎
「まずは、現金をチップに変えるんだけど…。現金は持って来た?」
椿の言葉に俺はハッとした。
そう言えば、現金を持って来てなかった。
元々、賭博をするつもりでここに来た訳ではなかっ
たから、現金を持って来てない。
現金がない以上、チップに変えれない。
「もしかして、持って来てないの?」
椿はキョトンとした顔で俺に尋ねて来た。
俺の様子を見た椿は、ディーラーにストップをかけた。
ディーラーは椿の指示に従い、一時中断した。
「俺の金を使え。」
辰巳さんはそう言って、持っていたアタッシュケースを開けた。
パカッ。
アタッシュケースの中に入っていたのは札束だった。
「ここに一千万ある、チップに両替してくれ。」
「辰巳さん、一千万も持って来ていたんですか…?」
「椿が四郎に何がして来ると思ってな。やっぱり、俺の考えは当たったみたいだな。」
「現金があるなら良かった。喜助、チップに両替して来て。」
辰巳さんと俺の会話を聞いて、椿が喜助を呼んだ。
「お前、こんな大金をどうしたんだ?」
「俺の金だから安心しろ。借金して持って来た訳じゃない。」
𣜿葉の言葉をサラッと流した辰巳さんは、喜助にア
タッシュケースを渡した。
「すぐに、返しますんで。」
「返してくれんなら、いつでも良いぞ。四郎はそう言う所はちゃんとしてるからな。」
「借りた物はすぐに返したいだけなんで。」
ここから出たら辰巳さんの口座に振り込んでおこう。
「四郎、一千万なんて大金を返せるのか?」
𣜿葉はそう言って、俺に尋ねて来た。
「仕事で稼いだ金なら貯めてあるんで。」
「案外、金を使わないんだな。」
「使う暇がない。」
ボスがスケジュールを詰め詰めに入れてくる所為で、稼いだ金を使えないでいた。
「椿様、チップに変えて来ました。」
喜助が俺の前にチップを置いた。
かなりの枚数がある。
「ありがとう。さ、これで出来るね。」
ディーラーに椿が指示し、ディーラーが球を投げた。
ガラガラガラガラ…。
球が転がる音が俺達の空間に響く。
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…。
カランッ。
僅かだが、何かに当たった音がした。
このディーラー、如何様(いかさま)したか?
*如何様とは、ペテンや詐欺と言う意味の「イカサマ」です*
変な音がしたのは、27の所だった。
そこに玉を誘導させるように細工をしている可能性が高い。
「君が賭けをするとは思わなかったな?Jewelry Pupilがやっぱり大切?」
椿は回る球を見ながら俺に問いた。
「大切とか言う前にアンタに、渡すのが癪なだけだ。」
「あれ、僕って嫌われてる?」
「好かれてる自信があったのか。」
「ん?雪哉さんの所にいる君に好かれても嬉しくないね。むしろ、好かれてなくて良かったよ。どこに賭ける?」
そう言って、椿は俺にチップをどこに賭けるのか聞いて来た。
いつの間にか、俺と椿の座る台に人が集まっていた。
主催者が誰とルーレットをしているのか気になるようだった。
「四郎、慎重にな。」
𣜿葉は俺の背中を軽く叩きながら言葉を放った。
ガラガラガラガラガラガラ…、カランッ。
やっぱり、27の所で変な音が小さくする。
俺は27に全部のチップを置いた。
「27にストレートアップで。」
ザワザワザワ…。
「おい、嘘だろ?一点賭けだと?」
「あははは!!面白いね?ストレートアップするって事はよっぽど自信があるんだね?」
椿はそう言って、チップを持った。
ハイエース車内ー
「おおおおおお!?四郎の奴、27に一点賭けしたぞ!?」
五郎はパソコン画面を見て叫んだ。
「五郎、うるさい。」
七海は耳を抑えながら五郎を睨み付けた。
「やっぱり、如何様してたみたいだねー。四郎が27にストレートアップしたなら、ここに球が止まるんだろうね。」
「何なのよ、椿って男は!!だから四郎に勝負を仕掛けて来たのね。四郎が耳が良くなかったら負けてたじゃない!!」
三郎と六郎が話している時、運転席に座っていた一郎がパーキングからドライブに変えた。
「え、え?どうしたの、一郎。」
二郎がそう呟いた瞬間、後ろからパトカーのサイレン音が響き渡った。
ウ、ゥゥゥゥゥゥ!!
「パトカーが向かって来てる、場所を変える。二郎はボスに連絡しろ、今すぐに。」
「わ、分かった!!」
二郎は素早くスマホを操作し電話を掛けた。
「ちょ、ちょっと!?一郎、四郎はどうするのよ!?」
「今、俺達の存在が警察にバレたらボスに迷惑を掛ける。」
六郎の言葉に返事をしながら一郎は運転を続けた。
「四郎を見捨てる気かよ、一郎?!」
五郎が叫ぶと三郎が刀を持ち、ドアを開けようとした。
「一郎、止めて。」
「駄目だ。」
「俺だけでも四郎を助けに行く。」
「駄目だって言ってるだろ。」
一郎の言葉を聞いた三郎は、Cz75の銃口を一郎に向けた。
「ちょ、ちょっと!?何してんのよアンタ!!」
「お、おい、三郎!!それはまずいって!!」
五郎と六郎は慌てて三郎を止めようとした。
「四郎が警察に捕まったらどうするの。」
「ボスから伝言、俺達はこのままモモちゃんを迎えに来いって。」
二郎の言葉を聞いた三郎は乱暴に車のドアを開けた。
バンッ!!
「俺、今回のボスの命令は聞けないわ。」
そう言って、三郎は車を飛び降りた。
「ちょ、三郎!!?」
六郎は三郎に手を伸ばしたが届かなかった。
「三郎の気持ちは分かるよ。今回のボスの命令はちょっと、四郎に対して冷たくない?」
七海はそう言って、二郎に視線を送った。
「俺達はモモちゃんを守る事が最優先事項だから…。」
「四郎の事は何も言ってないのか?ボスは。」
「うん、何も。」
「嘘だろ?ボスは四郎の事を捨てたのか?」
二郎と五郎の会話を聞いていた一郎は、口を開けた。
「ボスは四郎を捨てない。きっと、何か考えがあるんだろ。」
「そうよ、四郎を…。見捨てたりしないわ。」
六郎の言葉を聞いた後、一郎は二郎に話を振った。
「二郎、ボスに三郎の事を伝えろ。」
「分かった。」
兵頭会本家ー
ブー、ブー。
兵頭雪哉のスマホが再び振動した。
「もしもし、どうした。」
「何回もすみません。三郎が…、車から飛び出してしまいました。四郎の事を助けに行ったかと…。」
「…、今回の事は三郎が単独で動いても仕方がない。四郎に現状を伝えれない以上、警察がホテルに乗り込んで来るのと鉢合わせになる。」
「…。四郎をどうするんですか。」
「無論、見捨てるつもりはない。その為に二郎達にモモちゃんを迎えに来て欲しい。辰巳も関わる事だからな。俺と光臣さんとで現場のホテルに行き話を付けようと思ってる。」
「分かりました。」
二郎の言葉を聞いた後、兵頭雪哉は通話を切った。
モモと九条美雨は布団に包まり眠っていた。
「雪哉、察が勝ち込みするって本当か。」
「はい。一郎がすぐに気付きホテルから離れましたが、二郎と辰巳、𣜿葉はホテルの中にいます。」
「現状を知らせねー以上、捕まったら終わりだ。それは椿も同じだろ。」
「どうして、警察に情報が流れたんでしょうか…。椿会の中に警察に情報を流してる野郎がいるって事ですね。」
「雪哉、車を回させろ。早く行かねぇと、後が面倒になる。」
九条光臣の言葉を聞いた兵頭雪哉は、岡崎伊織を呼び車を手配させた。
CASE 三郎
ボスは四郎の事よりも、モモちゃんを優先させる気でいる。
警察に捕まったら四郎は終わりだ。
ウ、ゥゥゥゥゥゥ!!!
パトカー数十台がホテルに向かって走っている。
Jewelry Pupil 賭博の情報が警察に流れたって事?
じゃなかったら、ホテルに警察が集まらない。
椿会にも裏切り者がいるって事…か。
なら、その椿会の裏切り者をこっち側に引き摺り込んだ方が良いな。
俺がホテルに向かおうとする時、背後から気配を感じた。
俺は素早くCz75を構えた。
カチャッ。
そこにいた人物は見慣れない男だった。
男は俺にある話をして来た。
「っ!?その話は本当なのか。」
「あぁ、俺が何年も掛けて調べたんだ。信じて貰って良い。」
「それで?俺を誘った理由は?」
「君がある人物の事を調べていたから。それに、俺のやりたい事に君の力が必要になる。」
「…。」
「俺が今、言った情報はほんの一部だ。知りたいなら俺と一緒に来てくれ。」
俺はしばらく考え、答えを出した。
「分かった、アンタと手を組んであげる。その代わり情報は教えてよ。」
「あぁ、分かってる。さ、乗って。」
俺は男の車に乗り込んだ。
CASE 四郎
喜助が椿の耳元で何かを呟いた。
「へぇ、悪いけど。今回の賭けはお預けだ。」
椿はそう言って、立ち上がった。
「は?」
「お前、何を言ってんだ椿。」
俺と𣜿葉の言葉を無視して、椿は台から離れた。
「何なんだよ、アイツ…。」
ザワザワザワ…。
「椿様はどうしたの?」
「勝負を降りるなんて…。」
周りにいたギャラリーが騒ぎ出した。
「変だな…。」
「変って、何が?」
「椿がいきなり勝負を辞めて、奥に行った事だよ。」
「確かにそうだけど、あの野郎の考えてる事は分からないって。」
辰巳さんと𣜿葉が話している間、直感だが嫌な予感がした。
椿がフロアを颯爽と出て行った事。
招待した客には何も言わずに出て行った事。
まるで、自分だけ避難したみたいに。
…。
ん?
避難した?
「っ、そう言う事か。辰巳さん、𣜿葉。ここから出るぞ。」
俺はそう言って、立ち上がった。
「は?急にどうした?」
「歩きながら説明する。急げ。」
俺は𣜿葉に言葉を放った後、足早に歩き出した。
2人は俺の後を追うように歩き出した。
辰巳さんも俺の考えが分かったらしく、𣜿葉に説明した。
「𣜿葉、椿が俺達…いや、客達に何も言わずに出て言ったのは、ここから避難する為だ。」
「避難…って、嘘だろ?!まさか…!」
その瞬間だった。
バンッ!!
フロアの扉が勢いよく開いた。
「動くな、警察だ!!!!」
警察がフロアに乗り込んで来た。
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