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Main Story
スクラップヤードの少女②
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「わたしはマリィ!」
にっこり微笑むと、今度はマリィが続ける番でした。
「昨日の夜、ここに来たの!」
「昨日……」
マリィが一歩近づくので、リリシーは一歩後ずさりしました。
「ずーっと遠くから来たのよ!」
「遠く……」
また一歩。二人の距離は変わりません。
「寝ている間に知らない車に乗せられたんだけど、積み荷を降ろしている間に逃げ出したの。ドキドキしたわ!」
「車……」
昨日猛スピードで峠をぬけていった車は、都合の悪い物を捨てて、オーシーを連れ去っただけではなかったのでした。
「ふふっ、面白いわ。あなたペンギンなのに、オウム返しばかりするのね!」
「お…お、オレは……」
マリィが前のめりになって喋るたび、リリシーは少しずつ下がっていくのでした。
リリシーは威厳を取り戻そうと、ハトのように胸をそらして、スピーカーのボリュームをあげました。
「お、俺の名はリリシー!このスクラップヤードいちの古株だ!勝手にペラペラ喋んじゃねぇ!」
「……」
マリィは言われた通り、口を閉じました。
リリシーはマリィを上から下まで品定めしました。
言葉は通じますし、それなりに利口な様子です。
自分より背は大きいですが、それも利用できる場面があると計算しました。
「よし、新入り!お前マリィって言ったな?」
マリィは自分の口を指でトントン軽く叩きました。
「あぁ、喋っていいぞ」
「わたしはマリィよ!あなたはリリシーって名前なの?
ねぇ、抱っこしていい?」
「言い訳あるか……って、おいっ」
マリィは断られる前にサッと翼の下に手を入れて、リリシーを持ち上げました。
「かるーい!あなた、ペンギンのロボットでしょう?はじめて見たわ!」
「やめろ!降ろせ!」
リリシーは翼をバタバタ動かしますが、力ではマリィにかないません。
「あれ?名前が書いてある……ペ、ン、た?」
「くぉらああ!離せーー!」
ビシッビシッ!
くちばしで突くと、マリィはリリシーの体を降ろしました。
「なんてヤツだ」
「あなた、ペン太っていうのね」
「俺の名はリ・リ・シーだ!このポンコツが!」
リリシーは背を向けて去ろうとしましたが、すぐにこのまま置いて行っても危険であると判断し直しました。
「ついてこい!」
「ついて、ってどこに?」
マリィは首をかしげました。
「俺のねぐら……スクラップヤードの中心さ」
にっこり微笑むと、今度はマリィが続ける番でした。
「昨日の夜、ここに来たの!」
「昨日……」
マリィが一歩近づくので、リリシーは一歩後ずさりしました。
「ずーっと遠くから来たのよ!」
「遠く……」
また一歩。二人の距離は変わりません。
「寝ている間に知らない車に乗せられたんだけど、積み荷を降ろしている間に逃げ出したの。ドキドキしたわ!」
「車……」
昨日猛スピードで峠をぬけていった車は、都合の悪い物を捨てて、オーシーを連れ去っただけではなかったのでした。
「ふふっ、面白いわ。あなたペンギンなのに、オウム返しばかりするのね!」
「お…お、オレは……」
マリィが前のめりになって喋るたび、リリシーは少しずつ下がっていくのでした。
リリシーは威厳を取り戻そうと、ハトのように胸をそらして、スピーカーのボリュームをあげました。
「お、俺の名はリリシー!このスクラップヤードいちの古株だ!勝手にペラペラ喋んじゃねぇ!」
「……」
マリィは言われた通り、口を閉じました。
リリシーはマリィを上から下まで品定めしました。
言葉は通じますし、それなりに利口な様子です。
自分より背は大きいですが、それも利用できる場面があると計算しました。
「よし、新入り!お前マリィって言ったな?」
マリィは自分の口を指でトントン軽く叩きました。
「あぁ、喋っていいぞ」
「わたしはマリィよ!あなたはリリシーって名前なの?
ねぇ、抱っこしていい?」
「言い訳あるか……って、おいっ」
マリィは断られる前にサッと翼の下に手を入れて、リリシーを持ち上げました。
「かるーい!あなた、ペンギンのロボットでしょう?はじめて見たわ!」
「やめろ!降ろせ!」
リリシーは翼をバタバタ動かしますが、力ではマリィにかないません。
「あれ?名前が書いてある……ペ、ン、た?」
「くぉらああ!離せーー!」
ビシッビシッ!
くちばしで突くと、マリィはリリシーの体を降ろしました。
「なんてヤツだ」
「あなた、ペン太っていうのね」
「俺の名はリ・リ・シーだ!このポンコツが!」
リリシーは背を向けて去ろうとしましたが、すぐにこのまま置いて行っても危険であると判断し直しました。
「ついてこい!」
「ついて、ってどこに?」
マリィは首をかしげました。
「俺のねぐら……スクラップヤードの中心さ」
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