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73.終わりと始まり
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我は、敗北したのか。また敗れ去ったというのか。いいや、そんなことはない。まだだ。この命ある限り、まだ負けはしない。北へ、戦乱の地へ、あの場所にさえたどり着ければ。たどり着ければ……何をするのだ。戦の中で命をすすり、死を取り込み、力を蓄え、いつの日にか。いつか……それはいつだ。我は、いったい何のために生きようとしているのだろう。どう生きれば良かったのだろう。誰か、誰か正しい答を。
長い長い、延々と大河のように続くゴルッセムの行軍の列。その中央、長槍部隊に囲まれた辺りに兵士たちが担ぐ、移動式の指揮指令所があった。指揮指令所と言っても要は神輿であり、そもそも軍団に下された命令は「前進し、破壊し尽くせ」だけである。指揮もへったくれもないのだが、そこにはゴルッセムの前宰相タンペの姿があった。
ロン・ブラアクとの協議の場を持ったのもタンペなら、ゲンデウス三世からの申し出に手のひらを返し、政府に進軍を進言したのもタンペである。それ故に現場責任者を押しつけられたのだ。
半ば厄介払いではあったが、ここで戦功を上げれば宰相の座に返り咲く願いが叶うやも知れない。小さな可能性ではあっても皆無ではない。もう一度、あの権力の高みへと昇るのだ。そのためならば兵士の犠牲など物の数ではない。
「進め進めー! 破壊し略奪し蹂躙し、、ゴルッセムの恐怖を叩き込むのだ! 行けー!」
寡黙に前進するゴルッセム軍の中にあって、タンペ一人がうるさかった。
夕闇迫るリルデバルデ領の北限。四本槍を始めとする迎撃部隊の周囲には松明が燃やされ、総員臨戦態勢である。ほんの二時間ほど前までは境界の向こうに、サリオン伯爵軍の騎馬部隊がこちらに敵意を向けて対峙していたのだが、おそらくは事態が急変したのだろう、突然引き返してそれっきりだ。
四本槍の一人、朱赤のナインが徒歩で境界の柵に近付く。
「もうそろそろ来てもいいんじゃねえかなあ」
その背後でため息をつくのは蒼青のトンピー。馬上でメガネに触れると呆れたような言葉を放つ。
「敵が押し寄せてくることを願う馬鹿がいますか」
「でもどうせ来るんだぜ。早い方がいいじゃねえか」
ナインがそう文句を垂れると、離れた松明の下で白銀のシャザーンが笑う。
「勇ましいのは結構だが、相手はゴルッセムの猛者共だ。腕っ節だけで勝てると思うなよ」
しかしナインは平然と笑い返す。
「へん、こう見えておいらは頭脳派なんでね。爺さんみたいに力尽くの戦はしねえよ」
「ほう、そりゃ初耳じゃのう。戦の楽しみが増えたわい」
そんな騒ぎを余所に、墨黒のボクシーは一人暗くなって行く空を見つめていた。星は輝いている。雨が降る様子はない。足場の心配はしなくても良さそうだ。
と、そのとき、星が一つ流れた。
「ゴルッセム軍はサリオンの軍を破る?」
ミトラの問いにフロッテン・ベラルドは答えた。
「壊滅とまでは参りませんが、戦が続行不能な程度には打ち負かしましょうな」
「ゴルッセムはそのまま南下する」
「休むことなく進軍いたしましょう」
「何故、を占い師に問うても仕方ない、だよね」
「左様でございます」
ミトラはテーブルの上の戦略図をにらみながらたずねる。
「こちら側が次に会敵するのは、北側の境界線かな」
これにうなずきかけて、フロッテン・ベラルドはしばし固まった。そしてあの赤い十二面体が連なった数珠のような物を取り出し、何度も握っては開いて見る。
「どうしたの?」
「……ここでございます」
ミトラの問いに一拍置いたその声には焦りがあった。
「次に敵が出現するのは、この影屋敷にございます」
ミトラはテーブルの端に座る、この館の主の顔をうかがう。これにバレアナは笑顔を返し、扉の前で緊張している執事に向かってこう声をかけた。
「アルハン」
「はい、姫殿下」
「屋敷の者をただちに全員この引見室に集めなさい。食料と水も運び込めるだけ運ばせるのです。ただし慌てないで。スリングたちの戻るまでの一時的な措置ですから」
自分たちがフルデンスに運ばれて戻って来た際、ゼンチルダは首都に置き去りにされてしまった。あれが居れば少しは戦力になったのだが、居ない者はどうしようもない。ザンバが居てくれるだけマシだと考えよう。とにかくザンバを中心戦力とした体勢をミトラに組み立ててもらわねば。
バレアナがそう声を発しようとした瞬間、引見室に立ち込める虹色の輝き。
光を発しているのは、他ならぬバレアナの体。
「これ……は」
そこに突然、転移魔法で現われた人影は、ランシャ。
「遅かったか」
ランシャの手には白い魔剣レキンシェルの刃が伸びる。ミトラは慌ててバレアナの前に走り、両手を広げた。その前にかばうようにシャリティが立ちはだかり、さらにその前にはアルハンが立ち、ランシャの直前にはフロッテン・ベラルドが立った。
「剣を収められよ」
だがランシャの目はバレアナだけを見ている。
「どけ。無駄に被害を広げる気か」
しかし誰一人として道を空ける者は居ない。
――そうか、これが正解だったか
この場に居る者の頭の中に聞こえるのは、さっきまで世界樹であった存在の声。
――最初からこの解答にたどり着けてさえいれば
口惜しげな声は、しかしまだ歓喜する感情を残していたようだ。
――バレアナ・リルデバルデ、おまえに力を授けよう。さあ、望みを言うが良い
「望み?」
座ったまま眉を寄せるバレアナに、かつて世界樹であった存在は、せっつくように返答を求めた。
――おまえにも欲しい物があろう。望むが良い
――金でも権力でも、若さでも美貌でも、望みをすべて叶えてやろう
――さあ、さあ、さあ、この我と共に歩むのだ。世界樹として、この世界の中心として
そこに転移魔法で戻って来たのはリムレモ、フルデンス、そしてスリング。
バレアナは立ち上がり、笑顔で両手を広げる。
「一つだけ、望みを叶えていただけますか」
――望め、渇望せよ、どんなことでも叶えてやろう
歩み寄ったスリングはバレアナの腕の中に入り、互いに抱き締め合った。バレアナは言う。
「ならば、スリング・リルデバルデからの信頼を」
そのとき聞こえたのは、絶望的な悲鳴。
――すでに満ちているものを……与えることは……できな……
ふわり、逃げ出すようにバレアナから浮かび上がった虹色の輝きを、ランシャの魔剣が斬り裂いた。
人間ってここまで暖かいものだったか。いつの間にか忘れてたのかも知れない。
「俺が人生二回目って、話しましたっけ」
「まあ、そんなこともあるのですね」
抱き締めるバレアナ姫の言葉に揺らぎは感じられない。
「信じてもらえますか」
「疑う理由がありませんもの」
「できれば、ずっとこうしていたいんですけど」
俺が両腕を放すと、バレアナ姫は優しく笑った。
「あら、私はこのままで一向に構いませんが」
「とりあえず、面倒臭いのを先に片付けてきます」
俺は姫から離れ、ランシャに目を向けた。
「おまえはどうする。ここで暮らす気なら」
「いや」
ランシャは首を振った。
「あの世界樹が最後の株だとは限らない。もうしばらく旅を続けるつもりだ」
「だったら、また来てくれ。この体が朽ちる前にな」
引き留めはしない。生きてさえいれば、いつかまた会えるだろう。ランシャは表情も変えず、静かにうなずく。
「わかった。そうしよう」
それだけ言い残して姿を消した。
俺は部屋中をざっと見回す。
「シャリティ、フルデンスと一緒に来てくれ。初陣なんて言いたかないが、まあ社会勉強だ。ミトラ、フロッテン・ベラルドと話してゴルッセムに大打撃を与えられる場所を探して欲しい。リムレモはソジアン領の『掃除』を頼む」
あとこの戦いが終わったら国王のケツを叩いてゴルッセムと和平を結ばせて、周辺の王族貴族に一応話を通して、リルデバルデ領は公国として独立しなきゃならない。うわあ、やるべきことが山盛りだぞ。
でもこれでやっと慌ただしい毎日とオサラバ、この後には平穏無事な生活が待っている……なんて都合のいい展開にはならないんだろうな、きっと。パルテアにもフロッテン・ベラルドにも困難を予言されているし、俺の人生、まだまだイロイロありそうだ。
ミトラが呼んでいる。攻撃場所が決まったようだ。移動する指揮指令所があるらしい。バレアナ姫にうなずくと、姫も笑顔でうなずき返した。さて、とにかく目の前の難関を突破してきますか。
長い長い、延々と大河のように続くゴルッセムの行軍の列。その中央、長槍部隊に囲まれた辺りに兵士たちが担ぐ、移動式の指揮指令所があった。指揮指令所と言っても要は神輿であり、そもそも軍団に下された命令は「前進し、破壊し尽くせ」だけである。指揮もへったくれもないのだが、そこにはゴルッセムの前宰相タンペの姿があった。
ロン・ブラアクとの協議の場を持ったのもタンペなら、ゲンデウス三世からの申し出に手のひらを返し、政府に進軍を進言したのもタンペである。それ故に現場責任者を押しつけられたのだ。
半ば厄介払いではあったが、ここで戦功を上げれば宰相の座に返り咲く願いが叶うやも知れない。小さな可能性ではあっても皆無ではない。もう一度、あの権力の高みへと昇るのだ。そのためならば兵士の犠牲など物の数ではない。
「進め進めー! 破壊し略奪し蹂躙し、、ゴルッセムの恐怖を叩き込むのだ! 行けー!」
寡黙に前進するゴルッセム軍の中にあって、タンペ一人がうるさかった。
夕闇迫るリルデバルデ領の北限。四本槍を始めとする迎撃部隊の周囲には松明が燃やされ、総員臨戦態勢である。ほんの二時間ほど前までは境界の向こうに、サリオン伯爵軍の騎馬部隊がこちらに敵意を向けて対峙していたのだが、おそらくは事態が急変したのだろう、突然引き返してそれっきりだ。
四本槍の一人、朱赤のナインが徒歩で境界の柵に近付く。
「もうそろそろ来てもいいんじゃねえかなあ」
その背後でため息をつくのは蒼青のトンピー。馬上でメガネに触れると呆れたような言葉を放つ。
「敵が押し寄せてくることを願う馬鹿がいますか」
「でもどうせ来るんだぜ。早い方がいいじゃねえか」
ナインがそう文句を垂れると、離れた松明の下で白銀のシャザーンが笑う。
「勇ましいのは結構だが、相手はゴルッセムの猛者共だ。腕っ節だけで勝てると思うなよ」
しかしナインは平然と笑い返す。
「へん、こう見えておいらは頭脳派なんでね。爺さんみたいに力尽くの戦はしねえよ」
「ほう、そりゃ初耳じゃのう。戦の楽しみが増えたわい」
そんな騒ぎを余所に、墨黒のボクシーは一人暗くなって行く空を見つめていた。星は輝いている。雨が降る様子はない。足場の心配はしなくても良さそうだ。
と、そのとき、星が一つ流れた。
「ゴルッセム軍はサリオンの軍を破る?」
ミトラの問いにフロッテン・ベラルドは答えた。
「壊滅とまでは参りませんが、戦が続行不能な程度には打ち負かしましょうな」
「ゴルッセムはそのまま南下する」
「休むことなく進軍いたしましょう」
「何故、を占い師に問うても仕方ない、だよね」
「左様でございます」
ミトラはテーブルの上の戦略図をにらみながらたずねる。
「こちら側が次に会敵するのは、北側の境界線かな」
これにうなずきかけて、フロッテン・ベラルドはしばし固まった。そしてあの赤い十二面体が連なった数珠のような物を取り出し、何度も握っては開いて見る。
「どうしたの?」
「……ここでございます」
ミトラの問いに一拍置いたその声には焦りがあった。
「次に敵が出現するのは、この影屋敷にございます」
ミトラはテーブルの端に座る、この館の主の顔をうかがう。これにバレアナは笑顔を返し、扉の前で緊張している執事に向かってこう声をかけた。
「アルハン」
「はい、姫殿下」
「屋敷の者をただちに全員この引見室に集めなさい。食料と水も運び込めるだけ運ばせるのです。ただし慌てないで。スリングたちの戻るまでの一時的な措置ですから」
自分たちがフルデンスに運ばれて戻って来た際、ゼンチルダは首都に置き去りにされてしまった。あれが居れば少しは戦力になったのだが、居ない者はどうしようもない。ザンバが居てくれるだけマシだと考えよう。とにかくザンバを中心戦力とした体勢をミトラに組み立ててもらわねば。
バレアナがそう声を発しようとした瞬間、引見室に立ち込める虹色の輝き。
光を発しているのは、他ならぬバレアナの体。
「これ……は」
そこに突然、転移魔法で現われた人影は、ランシャ。
「遅かったか」
ランシャの手には白い魔剣レキンシェルの刃が伸びる。ミトラは慌ててバレアナの前に走り、両手を広げた。その前にかばうようにシャリティが立ちはだかり、さらにその前にはアルハンが立ち、ランシャの直前にはフロッテン・ベラルドが立った。
「剣を収められよ」
だがランシャの目はバレアナだけを見ている。
「どけ。無駄に被害を広げる気か」
しかし誰一人として道を空ける者は居ない。
――そうか、これが正解だったか
この場に居る者の頭の中に聞こえるのは、さっきまで世界樹であった存在の声。
――最初からこの解答にたどり着けてさえいれば
口惜しげな声は、しかしまだ歓喜する感情を残していたようだ。
――バレアナ・リルデバルデ、おまえに力を授けよう。さあ、望みを言うが良い
「望み?」
座ったまま眉を寄せるバレアナに、かつて世界樹であった存在は、せっつくように返答を求めた。
――おまえにも欲しい物があろう。望むが良い
――金でも権力でも、若さでも美貌でも、望みをすべて叶えてやろう
――さあ、さあ、さあ、この我と共に歩むのだ。世界樹として、この世界の中心として
そこに転移魔法で戻って来たのはリムレモ、フルデンス、そしてスリング。
バレアナは立ち上がり、笑顔で両手を広げる。
「一つだけ、望みを叶えていただけますか」
――望め、渇望せよ、どんなことでも叶えてやろう
歩み寄ったスリングはバレアナの腕の中に入り、互いに抱き締め合った。バレアナは言う。
「ならば、スリング・リルデバルデからの信頼を」
そのとき聞こえたのは、絶望的な悲鳴。
――すでに満ちているものを……与えることは……できな……
ふわり、逃げ出すようにバレアナから浮かび上がった虹色の輝きを、ランシャの魔剣が斬り裂いた。
人間ってここまで暖かいものだったか。いつの間にか忘れてたのかも知れない。
「俺が人生二回目って、話しましたっけ」
「まあ、そんなこともあるのですね」
抱き締めるバレアナ姫の言葉に揺らぎは感じられない。
「信じてもらえますか」
「疑う理由がありませんもの」
「できれば、ずっとこうしていたいんですけど」
俺が両腕を放すと、バレアナ姫は優しく笑った。
「あら、私はこのままで一向に構いませんが」
「とりあえず、面倒臭いのを先に片付けてきます」
俺は姫から離れ、ランシャに目を向けた。
「おまえはどうする。ここで暮らす気なら」
「いや」
ランシャは首を振った。
「あの世界樹が最後の株だとは限らない。もうしばらく旅を続けるつもりだ」
「だったら、また来てくれ。この体が朽ちる前にな」
引き留めはしない。生きてさえいれば、いつかまた会えるだろう。ランシャは表情も変えず、静かにうなずく。
「わかった。そうしよう」
それだけ言い残して姿を消した。
俺は部屋中をざっと見回す。
「シャリティ、フルデンスと一緒に来てくれ。初陣なんて言いたかないが、まあ社会勉強だ。ミトラ、フロッテン・ベラルドと話してゴルッセムに大打撃を与えられる場所を探して欲しい。リムレモはソジアン領の『掃除』を頼む」
あとこの戦いが終わったら国王のケツを叩いてゴルッセムと和平を結ばせて、周辺の王族貴族に一応話を通して、リルデバルデ領は公国として独立しなきゃならない。うわあ、やるべきことが山盛りだぞ。
でもこれでやっと慌ただしい毎日とオサラバ、この後には平穏無事な生活が待っている……なんて都合のいい展開にはならないんだろうな、きっと。パルテアにもフロッテン・ベラルドにも困難を予言されているし、俺の人生、まだまだイロイロありそうだ。
ミトラが呼んでいる。攻撃場所が決まったようだ。移動する指揮指令所があるらしい。バレアナ姫にうなずくと、姫も笑顔でうなずき返した。さて、とにかく目の前の難関を突破してきますか。
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読んでいただいてありがとうございます。
感想をいただけて、大変に感激しております。
アルファポリスで始めていただいた感想です。
またこれからもイロイロと書いてまいりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。