虫けらのアニメ・特撮雑史

柚緒駆

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プロローグ(~1971年まで)

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 虫けらは虫けらであるものの、それ相応の時間を生きて来ているので余計な知識も頭に溜まっている。普段は別のエッセイというかコラムというか、その辺で吐き出しているのだが、もういい歳だしな、思い出話を垂れ流したい気持ちがある。特にアニメや特撮に関しては、自身の成長と日本のアニメ・特撮界隈の成長がある程度重なっているために、それなりの思い入れもあるのだ。

 ただ大前提として、ここでマニアックな知識を披露することはまずない。そういうのを期待している方には何の価値もない文章の羅列である。いまはWikipediaであれニコニコ大百科であれ、マニアックな情報なら覚えきれないほど大量に見つけることができる。これはただの雑文だ。オッサンの独り言だと思ってもらいたい。

 前置きはこんなものでいいか。さて、では書き始めるとしよう。始まり始まり。

◇ ◇ ◇ ◇

 うちにテレビがやって来たときのことは、うっすらと覚えている。確か父親が知り合いから、故障した中古の白黒テレビをもらってきたのだ。当時のテレビはいまのようなブラックボックスではなく、ハンダ付けの技術と部品に関する知識があれば、素人でも修理できた。そんな訳で父親はそれを修理し、虫けらは無事テレビっ子(死語だな)となったのだ。

 その当時のアニメといえば、鉄腕アトム、鉄人28号、エイトマンなどか。もちろんリアルタイム組ではないはずだ。あの頃のテレビはアホほど再放送を繰り返していたからな。本放送と再放送の違いを考えるのも馬鹿馬鹿しいレベルだったし、そもそもそんなにキチンとテレビを観ていたのは、一部のマニアだけだったろう。虫けらはボーッとテレビを観ているだけの、ただの子供だった。アニメ・特撮雑史と銘打っておきながらいきなりアレだが、この時代のアニメはほぼ印象にない。

 その後、これはまったく記憶にないのだが、いつの頃からか家のテレビがカラーになった。ちなみに日本にカラーテレビが一気に普及したのは皇太子殿下(現在の上皇陛下)のご成婚のときらしいが、さすがにその時代に虫けらは生まれていない。テレビ画面にはいろんな色がついた映像が流れ始めたものの、まだアニメはほとんど白黒のままだった。カラーアニメで記憶にあるといえば「ジャングル大帝」くらいのものか。それを不思議に思ったこともあるのかも知れないが、じきにそういうものだと慣れてしまったようだ。

 いま虫けらの頭に残っている僅かな記憶の中で、カラー画面にある種の感動を覚えたのは、おそらく特撮ドラマ「魔神バンダー」だろうと思う。推察するに、これの放映時期の途中で家のテレビがカラーテレビに置き換わったのではないか。もっとも上記の通り、この魔神バンダーを観ていたのが本放送のときか再放送なのかは定かでない。

 ちょっとググってみたら、いま魔神バンダーの映像がYouTubeで見られるのだな。えらい時代だ。

 この頃、円谷プロのウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンはすでに再放送されていた。虫けらが本放送で観たウルトラシリーズは、1971年の「帰ってきたウルトラマン」が最初だろう。同じく1971年には「仮面ライダー」も放送が開始されている。虫けらがずーっとテレビにかじりついていたのは当然と言えば当然か。

 当時の小さな子供たちの中には、決して明確ではなかったものの、何となく「ウルトラマン派」と「仮面ライダー派」の派閥があったように思う。怪獣ごっこに参加するメンバーが違っていた気がするのだ。虫けらはもちろんどちらも大好きだったのだが、そもそも自ら積極的に怪獣ごっこに参加できるようなメンタルの子供ではなかったので、たまにグループの端っこに、名無しの怪獣とか戦闘員その1で参加していたような記憶がある。

 でもどちらか一方をあえて選ぶとしたら、仮面ライダー派だったかも知れない。ウルトラマンは子供心に、どこか超然(無論、当時そんな単語は知らないが)とし過ぎているような思いがあった。仮面ライダーはその点、泥臭く(当然、こんな言葉も知らない)て親しみを感じていたように記憶している。まあ昔の記憶なので、後々の体験で上書きされている可能性もあるのだが。

 1971年と言えば「ルパン三世」の放送が始まっている。これはインパクトが強かった。第1話で峰不二子がスコーピオンに捕まり、着ている服が胸元からへそ辺りまでビリッと裂かれたシーンに、「テレビで凄いエッチなことをやってる!」とドキドキしたものだ。そういう面では、かなりマセた子供だったのだな。

 あと「宇宙猿人ゴリ」(後のスペクトルマン)も1971年だ。「シルバー仮面」と「ミラーマン」も放送が開始されている。特撮史においてはかなりエポックメイキングな年の1つだろう。ただ、宇宙猿人ゴリとシルバー仮面のコンセプトはうろうろと迷走したし、ミラーマンも「ウルトラマンっぽい何か」から抜け出すことはできなかった。子供心にもウルトラ&ライダーの2大巨頭の間で、当時から影が薄かった感は否めない。

 まあスペクトルマンは後の「ライオン丸」シリーズ、「鉄人タイガーセブン」などとひとまとめに「ピー・プロ作品」として後年カルト的な人気を得るのだが、それはまた別の話。シルバー仮面もニコ動でちょっと人気になったりはしたが、それもまた別の話。

 アニメでは「天才バカボン」、「オバケのQ太郎」、「ゲゲゲの鬼太郎(2期)」なども1971年らしいのだが、正直なところ、これらの番組に強い印象はない。再放送では確実に観ているものの、果たして本放送を見ていたのかどうか。夕方の食事時のチャンネル権(これも死語か)は親にあったので、観ていなくても別に不思議はない。子供たちに必須の「一般教養」としては、ウルトラマンと仮面ライダーがあれば困らなかった。そんな時代だったのだ。

 だが、この状況は翌年、1972年に一変する。
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