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5章 天界と下界
1.髪飾りの秘密①
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「白神様!お鎮まり下さい!」
シンが必死に、ラティアに頭を下げている。
「ユラを何処にやったんだ?」
「わ、分かりません」
「分からない?ここに来ていただろう?それにもう一つ聞きたい……ここから、黒い狐が運ばれたと聞いた。そいつは、何処に連れて行かれたんだ?本当に黒い狐だったのか?」
「───病を患ったのです」
アルルが、護衛のカイと共に現れた。
「病だと?」
「ええ。私の傍付きのアキは、薬師の一族ゆえに、信用しておりましたが……」
「恐れながら、白神様。発言しても宜しいでしょうか?」
「───なんだ?」
「堕天化の病ではないかとアキが、言っておりました。ですが、その者と一緒にアキの姿も消えてしまいました。恐らく……アキも感染したのだと思われます。それゆえ、2人でいなくなったのでしょう……追っ手を手配しましたが優秀な薬師であり、術者なので追えておりません」
「それでも、お前達は護衛なのか?」
ドン!!
カイが白壁へと飛ばされた。
「かはっ」
ボタボタと口と鼻から血が流れ落ちた。
「お前達が弱いから、簡単にユラは連れ去られたのか?それとも、アキと言う女狐と一緒にここから逃げたのか?」
シンがカイの横へと移動しようと動いた瞬間に、シンが砂状にサラサラと崩れ落ちていく。そして、その場には、砂だけが残された。
アルルが固まって微動たりとも出来ずにいる。カイが驚愕の表情で、アルルの元にも行けずに座り込んでいた。
「リン───探せ、ユラが嵌められたのか?逃げたのか……本人に聞けば分かるだろう?」
「はっ」
サラサラとした砂も、この場から消えてなくなる。
ラティアは、アルルの側へと歩みより、恐ろしく美しく微笑む。
「アルル、何が真実か分かるまでこの邸から出てはならない。逃げれば、殺す」
「───逃げたりなどしません。ラティア様に信じて貰えるように、ここにおります」
「───そう、か。行くぞ、リン」
ラティアが向きを変え一歩踏み出そうして、立ち止まった。また、アルルの方へ向きを変えた。
「アルル……お前は、私がユラに施した術を知っているか?それに髪飾りの魔石も私がユラを逃がさない為の物だと言うことに気がついていたか?」
アルルは、何も言わず頭を下げた。
氷のような冷ややかな瞳のまま、2人がアルルの邸から出て行く。
拳を握りしめて、アルルは、唇を強く噛んだ。
カイは、まだ動けずに、シンが砂にされた場所をただ眺め続けている。
アキが消えたのは、罪を被るためだろう。
「ラティア様。花の……印をなぜ私につけて下さらなかったのですか?それが呪いであったとしても、全てを捧げる覚悟はあったのです。私は、何のために存在しているのか!」
涙が流れ落ちて、ポタリポタリと床を湿らせていく。
カイが、ボロボロの体をひきずるようにして傍にやって来た。
「───アルル様」
「カイ、すまない」
「いいえ。最期まで共にいます」
「ああ。最期まで、共にいてくれ」
アルルが泣きながら笑った。
シンが必死に、ラティアに頭を下げている。
「ユラを何処にやったんだ?」
「わ、分かりません」
「分からない?ここに来ていただろう?それにもう一つ聞きたい……ここから、黒い狐が運ばれたと聞いた。そいつは、何処に連れて行かれたんだ?本当に黒い狐だったのか?」
「───病を患ったのです」
アルルが、護衛のカイと共に現れた。
「病だと?」
「ええ。私の傍付きのアキは、薬師の一族ゆえに、信用しておりましたが……」
「恐れながら、白神様。発言しても宜しいでしょうか?」
「───なんだ?」
「堕天化の病ではないかとアキが、言っておりました。ですが、その者と一緒にアキの姿も消えてしまいました。恐らく……アキも感染したのだと思われます。それゆえ、2人でいなくなったのでしょう……追っ手を手配しましたが優秀な薬師であり、術者なので追えておりません」
「それでも、お前達は護衛なのか?」
ドン!!
カイが白壁へと飛ばされた。
「かはっ」
ボタボタと口と鼻から血が流れ落ちた。
「お前達が弱いから、簡単にユラは連れ去られたのか?それとも、アキと言う女狐と一緒にここから逃げたのか?」
シンがカイの横へと移動しようと動いた瞬間に、シンが砂状にサラサラと崩れ落ちていく。そして、その場には、砂だけが残された。
アルルが固まって微動たりとも出来ずにいる。カイが驚愕の表情で、アルルの元にも行けずに座り込んでいた。
「リン───探せ、ユラが嵌められたのか?逃げたのか……本人に聞けば分かるだろう?」
「はっ」
サラサラとした砂も、この場から消えてなくなる。
ラティアは、アルルの側へと歩みより、恐ろしく美しく微笑む。
「アルル、何が真実か分かるまでこの邸から出てはならない。逃げれば、殺す」
「───逃げたりなどしません。ラティア様に信じて貰えるように、ここにおります」
「───そう、か。行くぞ、リン」
ラティアが向きを変え一歩踏み出そうして、立ち止まった。また、アルルの方へ向きを変えた。
「アルル……お前は、私がユラに施した術を知っているか?それに髪飾りの魔石も私がユラを逃がさない為の物だと言うことに気がついていたか?」
アルルは、何も言わず頭を下げた。
氷のような冷ややかな瞳のまま、2人がアルルの邸から出て行く。
拳を握りしめて、アルルは、唇を強く噛んだ。
カイは、まだ動けずに、シンが砂にされた場所をただ眺め続けている。
アキが消えたのは、罪を被るためだろう。
「ラティア様。花の……印をなぜ私につけて下さらなかったのですか?それが呪いであったとしても、全てを捧げる覚悟はあったのです。私は、何のために存在しているのか!」
涙が流れ落ちて、ポタリポタリと床を湿らせていく。
カイが、ボロボロの体をひきずるようにして傍にやって来た。
「───アルル様」
「カイ、すまない」
「いいえ。最期まで共にいます」
「ああ。最期まで、共にいてくれ」
アルルが泣きながら笑った。
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