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第4章(終章)
番外編 巣作り②
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案内された部屋は、魔王の趣味とは思えないほどの柔らかく優しい部屋だ。
──泣かすな。
そう言われているようで、視線が痛かった。魔族の力を分からないようにしたのに……サフィア様の面影を残すライラが可愛くて構ってくるのだから、厄介だ。
奥へと進むと、もう一つの扉があった。厳重に守られた部屋。ヒートが始まっているなら、なおのことだ。
「ライラ」
返答はない。扉に触れると、吸い込まれるように中へと移動した。
甘く香る、ライラのフェロモン。響く水音。
グチュ、グチュという音の間に、可愛い声が聞こえる。
「あ……ン、あ」
なのに姿が見えない。シャツやローブ、俺のだよな?
ギシギシと音を立てるベッド。少しづつ剥がしていくと、引っ張り返される。
「いやだ……取るな」
紫銀の髪が乱れ、頬は薄く桃色に染まり俺のシャツを着ている。サイズが大きい上に胸元が開いているので胸先がハッキリと見えてしまう。
可愛い。
俺のものを大切にかき集め、取られまいと涙目でこちらを見つめてくる。
「取らないよ。でも、一人じゃ嫌だろ?」
両手でかき集めた服を抱きしめてベッドの隅へと移動してしまう。自分で解かしたのだろう太ももが濡れているようだ。
「──我慢するから大丈夫……か、帰って。くすり……」
ベッド横に蓋が外れて倒れている薬瓶と水差しが置いてあった。
「ライラ……どれだけ薬を飲んだんだ?」
「のんでない……ちょっと、だけ。だから平気。帰って、仕事して。外交は侯爵令嬢がしてくれるはず。俺ここに残る」
たどたどしく、涙目で話すライラが愛しくて堪らない。ずっと、押さえ込んでたのか?
「大丈夫だ。ライラの体調は最優先だよ」
そう声をかけても、首を振り手を伸ばして薬を取ろうする。その手を掴もうとした瞬間にパシッとはたかれた。
「足ひっぱるの……嫌だ。一人にして、まだヒートじゃないから」
こんなにフェロモンがでてるのに?
ベッドの上に乗って、ライラの方へと近づくと太ももを擦り合わせ始めた。一人で後ろを慰めていたんだった。色々と我慢の限界だろう。
抱えたシャツごと抱きしめて頬を寄せるとおずおずと俺の首筋を甘噛みする。
自分をまたぐようにして向かい合わせになるように抱える。
ライラは、そのまま俺の首筋を噛んだりキスしたり、少し匂いを確かめるような仕草を繰り返す。
愛しい。
少し引き剥がすと、涙をこぼした。
「ごめんなさい……だいじょうぶ……だから」
その口を塞ぎ、口内に舌を差し込んだ。
「う……ンン、あ」
逃がさないよ。一人で、抱え込ませてごめん。後孔に指を差し込むと背中が少し仰け反って反応する。倒れないように片手で支えて胸の方へ抱き寄せた。少し浮いた双丘に指をさらに一本増やして探っていく。
溢れる蜜に解していく指の動きが、加速していく。
唇を噛んで、しがみついてくるから……
「俺を噛んで、ライラ。唇を噛んだら駄目だよ。心配しなくても、外交も準備も問題ないよ」
「ここに、じぇい……いたらだめ」
「主役は第二王子なんだよ。あいつの婚約前の外交なんだ。顔合わせの意味合いのね。だから遅れて行っても平気」
「じかん……ある?」
「あるよ。こんなことなら、あいつの手伝いを断れば良かった。弟だから……つい心配でね」
満面の笑みを浮べたライラが、キスをしてきた。
ゆっくりと押し倒した。本当に最強だな。俺のシャツが大き過ぎて愛しさが増すばかりだ。その肢体を眺めようと少し引くと、また泣きそうな顔をした。
両足を広げて、指でここだと示してくる。
「ここに、きて」
その誘いに、理性が崩壊する。両足の膝裏を持ち上げ、質量の増したソレを一気に打ち付けた。
「あああ……」
ライラが精を吐きだす。小刻みに震え、快感に染まる肌。うっとりと俺を見ている。
俺の唯一の人。愛おしいのに壊してしまいたい。めちゃくちゃに乱して啼かせたい。優しく出来なくてごめん。もっと、俺を求めて欲しい。
腰を掴み激しく揺さぶる。
「あ、あ……イッたばっかりな、の……ン」
美しい紫銀の髪が乱れていく。
「──さわって」
胸の突起を摘んでお強請りをされる。指を搦めてシーツに縫いつける。チロチロと舐めるとまた、ビクンと身体が反応する。
「ほかの、令嬢なんて見たら嫌だ」
「どれだけ求めても、足りない。ライラしか要らない」
今度は、優しくゆっくりと抽挿を繰り返す。ライラの両足が俺の腰に巻き付いて動きを止められた。
なら、ば……最奥へと押し入った。
「ああああああ」
「一緒にイこう」
愛しくて、堪らないんだ。
他の誰も要らないんだよ。
ライラ……番の出来たオメガは、番のアルファしか受け入れられない。アルファは番が出来てもオメガを抱ける。
だが、俺は君だけなんだよ。こんなに可愛い巣を作ってくれてありがとう。俺を受け入れてくれてありがとう。
だから、もっと甘えて欲しい。
───ライラ愛してる。
「ジェイ……愛してる」
だから──誰にも渡さない。
終
◇◇◇
お付き合いありがとうございました。
感謝を込めて。
──泣かすな。
そう言われているようで、視線が痛かった。魔族の力を分からないようにしたのに……サフィア様の面影を残すライラが可愛くて構ってくるのだから、厄介だ。
奥へと進むと、もう一つの扉があった。厳重に守られた部屋。ヒートが始まっているなら、なおのことだ。
「ライラ」
返答はない。扉に触れると、吸い込まれるように中へと移動した。
甘く香る、ライラのフェロモン。響く水音。
グチュ、グチュという音の間に、可愛い声が聞こえる。
「あ……ン、あ」
なのに姿が見えない。シャツやローブ、俺のだよな?
ギシギシと音を立てるベッド。少しづつ剥がしていくと、引っ張り返される。
「いやだ……取るな」
紫銀の髪が乱れ、頬は薄く桃色に染まり俺のシャツを着ている。サイズが大きい上に胸元が開いているので胸先がハッキリと見えてしまう。
可愛い。
俺のものを大切にかき集め、取られまいと涙目でこちらを見つめてくる。
「取らないよ。でも、一人じゃ嫌だろ?」
両手でかき集めた服を抱きしめてベッドの隅へと移動してしまう。自分で解かしたのだろう太ももが濡れているようだ。
「──我慢するから大丈夫……か、帰って。くすり……」
ベッド横に蓋が外れて倒れている薬瓶と水差しが置いてあった。
「ライラ……どれだけ薬を飲んだんだ?」
「のんでない……ちょっと、だけ。だから平気。帰って、仕事して。外交は侯爵令嬢がしてくれるはず。俺ここに残る」
たどたどしく、涙目で話すライラが愛しくて堪らない。ずっと、押さえ込んでたのか?
「大丈夫だ。ライラの体調は最優先だよ」
そう声をかけても、首を振り手を伸ばして薬を取ろうする。その手を掴もうとした瞬間にパシッとはたかれた。
「足ひっぱるの……嫌だ。一人にして、まだヒートじゃないから」
こんなにフェロモンがでてるのに?
ベッドの上に乗って、ライラの方へと近づくと太ももを擦り合わせ始めた。一人で後ろを慰めていたんだった。色々と我慢の限界だろう。
抱えたシャツごと抱きしめて頬を寄せるとおずおずと俺の首筋を甘噛みする。
自分をまたぐようにして向かい合わせになるように抱える。
ライラは、そのまま俺の首筋を噛んだりキスしたり、少し匂いを確かめるような仕草を繰り返す。
愛しい。
少し引き剥がすと、涙をこぼした。
「ごめんなさい……だいじょうぶ……だから」
その口を塞ぎ、口内に舌を差し込んだ。
「う……ンン、あ」
逃がさないよ。一人で、抱え込ませてごめん。後孔に指を差し込むと背中が少し仰け反って反応する。倒れないように片手で支えて胸の方へ抱き寄せた。少し浮いた双丘に指をさらに一本増やして探っていく。
溢れる蜜に解していく指の動きが、加速していく。
唇を噛んで、しがみついてくるから……
「俺を噛んで、ライラ。唇を噛んだら駄目だよ。心配しなくても、外交も準備も問題ないよ」
「ここに、じぇい……いたらだめ」
「主役は第二王子なんだよ。あいつの婚約前の外交なんだ。顔合わせの意味合いのね。だから遅れて行っても平気」
「じかん……ある?」
「あるよ。こんなことなら、あいつの手伝いを断れば良かった。弟だから……つい心配でね」
満面の笑みを浮べたライラが、キスをしてきた。
ゆっくりと押し倒した。本当に最強だな。俺のシャツが大き過ぎて愛しさが増すばかりだ。その肢体を眺めようと少し引くと、また泣きそうな顔をした。
両足を広げて、指でここだと示してくる。
「ここに、きて」
その誘いに、理性が崩壊する。両足の膝裏を持ち上げ、質量の増したソレを一気に打ち付けた。
「あああ……」
ライラが精を吐きだす。小刻みに震え、快感に染まる肌。うっとりと俺を見ている。
俺の唯一の人。愛おしいのに壊してしまいたい。めちゃくちゃに乱して啼かせたい。優しく出来なくてごめん。もっと、俺を求めて欲しい。
腰を掴み激しく揺さぶる。
「あ、あ……イッたばっかりな、の……ン」
美しい紫銀の髪が乱れていく。
「──さわって」
胸の突起を摘んでお強請りをされる。指を搦めてシーツに縫いつける。チロチロと舐めるとまた、ビクンと身体が反応する。
「ほかの、令嬢なんて見たら嫌だ」
「どれだけ求めても、足りない。ライラしか要らない」
今度は、優しくゆっくりと抽挿を繰り返す。ライラの両足が俺の腰に巻き付いて動きを止められた。
なら、ば……最奥へと押し入った。
「ああああああ」
「一緒にイこう」
愛しくて、堪らないんだ。
他の誰も要らないんだよ。
ライラ……番の出来たオメガは、番のアルファしか受け入れられない。アルファは番が出来てもオメガを抱ける。
だが、俺は君だけなんだよ。こんなに可愛い巣を作ってくれてありがとう。俺を受け入れてくれてありがとう。
だから、もっと甘えて欲しい。
───ライラ愛してる。
「ジェイ……愛してる」
だから──誰にも渡さない。
終
◇◇◇
お付き合いありがとうございました。
感謝を込めて。
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番外編も素敵でした✨
ライラの子供見られたら嬉しいなぁなんて笑
素敵なお話ありがとうございました😊
こちらにまで、感想ありがとうございます。子供……可愛いですよねきっと😍
本当に、たくさん読んでくださって感謝しかありません。
励みになります。ありがとうございました🥰
あまねちゃん
素敵なライラを描いてくれてありがとう😊💕巣作り、可愛く書けてたでしょうか?
何とか、完結まで来れました。いつか番外編書けたらいいなと思っています。
いつも応援してくれて感謝しかありません。本当にありがとう。
番外編までお疲れ様でした✨
巣作りって可愛いですよね(´﹃`)
ライラが身篭ったら教えてください ( ◜ω◝ )ꉂ笑
いつでも読みに来ます📖🚗³₃
子育て編……可愛いかもですね。
魔王様が活躍するかもです。
最後までありがとうございました🙏😊