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第3章
14囚われのオメガ
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足が震え始めた。小刻みに身体が揺れる。体温が高くなってきたように思う。狂おしい程、彼を探し求めてしまう。
嫌だ。こんなの。
彼が来たら不味い。どうにかして追い返さないと。
意識が、理性が飛んでしまう。本能に負けたら助けられなくなる。
「ジェイは、渡さない」
レイピアを握り締めて、目の前の相手に構えた。
「何が出来るんだ?その小さな身体で。弱いオメガの身で」
馬鹿にするな。
「俺の魔力じゃ駄目なら、仮死状態の身内と一緒に俺が死ぬよ。あの人が母さんなら、誰かを犠牲にするとか絶対に喜ばない!」
一度目を瞑る。
そして───
『探索、瞬間移動』
「ライラ!!」
だけど、見えない何かに阻まれる。
「結界を突破出来ない……」
何か手があるはずだ。
「発情が、始まったんだろう?結界を破れば匂いに惹かれて、他の魔族が来るが……良いのか?なんなら、お前に相応しい者を選んでやろうか?」
父親じゃない。お前なんか。
意識を引き摺られない為にも、キュッと唇を噛んだ。鉄の味が口の中に広がっていく。
ここから、母さんの所にいけないのなら。構えを崩す。
「諦めたのか?」
誰が諦めるって?満面の笑みをみせて、レイピアを戻した。自称父親の魔族の顔が、その動きを不思議そうに見ていた。お前なんかにジェイは渡さない。眉間に皺を寄せたまま何かを呟こうとしている。
───させない。
魔術を使わせる前に……思いっきり胸に、取り出した短剣を突き立てた。
その刃先は、俺の胸に刺さった。
「ぐ……ぅ」
あいつの顔が歪んだのが見えた。手が伸びてきそうだ。後ろに下がりながら、更に手に力を入れて押し込む。
「い……あ、ぅ」
「ライラ!やめろ!!」
崩れ落ちていく時に、兄さんが俺の名前を叫んだのが分かった。
俺の血が特別ならきっと出来るだろう?魔力を込めて、結界を壊しにかかる。こんな弱い俺でも、大切な人を守ることが出来るんだ。
「兄さん。早くここから、逃げて。ジェイと合流して、早く……にげて」
「嫌だ。お前を護るって誓ったんだ……」
俺を抱きかかえるその腕に力が入る。駄目だ。兄さんも、逃がさないと。なのに、匂いが溢れていく。
大きな、魔力の塊を近くに感じる。
温かくて、ずっと会いたくて。目の前の魔族を睨み付けても何も変わらない。どうやったら止められる?突き立てた短剣を抜こうとした。その手を兄さんに阻まれる。
「抜いたら、死んでしまう!」
俺を人質にして、ジェイを従わせる気なら、これで可能性を潰せる。抜いてしまえば、助からないのだから。
これを抜いた後、せめて一矢を報いたい。勝手に親の振りをしないで欲しい。だけど次の瞬間に、目の前に父親の顔が見えた。兄さんが動けずにいる。兄さんから引き剥がされた。
「バカが……」
剣が抜けないように固定されてしまう。
「嫌だ。はな、せ」
簡単に抱きかかえられしまう。
「仕方がない。行くぞ」
「───ライラ!!」
この声……涙が溢れていく。
歯を食いしばる。
「───さよなら。王子様。俺は魔族だから、貴方とは相容れない」
そして、兄さん。後はお願い……
ボヤけた景色のせいでジェイがどんな顔をしてるか、分からない。居るだろう方向を見ないようにして、父親にしがみつく。
「行くぞ」
そして、転移陣が発動した。
嫌だ。こんなの。
彼が来たら不味い。どうにかして追い返さないと。
意識が、理性が飛んでしまう。本能に負けたら助けられなくなる。
「ジェイは、渡さない」
レイピアを握り締めて、目の前の相手に構えた。
「何が出来るんだ?その小さな身体で。弱いオメガの身で」
馬鹿にするな。
「俺の魔力じゃ駄目なら、仮死状態の身内と一緒に俺が死ぬよ。あの人が母さんなら、誰かを犠牲にするとか絶対に喜ばない!」
一度目を瞑る。
そして───
『探索、瞬間移動』
「ライラ!!」
だけど、見えない何かに阻まれる。
「結界を突破出来ない……」
何か手があるはずだ。
「発情が、始まったんだろう?結界を破れば匂いに惹かれて、他の魔族が来るが……良いのか?なんなら、お前に相応しい者を選んでやろうか?」
父親じゃない。お前なんか。
意識を引き摺られない為にも、キュッと唇を噛んだ。鉄の味が口の中に広がっていく。
ここから、母さんの所にいけないのなら。構えを崩す。
「諦めたのか?」
誰が諦めるって?満面の笑みをみせて、レイピアを戻した。自称父親の魔族の顔が、その動きを不思議そうに見ていた。お前なんかにジェイは渡さない。眉間に皺を寄せたまま何かを呟こうとしている。
───させない。
魔術を使わせる前に……思いっきり胸に、取り出した短剣を突き立てた。
その刃先は、俺の胸に刺さった。
「ぐ……ぅ」
あいつの顔が歪んだのが見えた。手が伸びてきそうだ。後ろに下がりながら、更に手に力を入れて押し込む。
「い……あ、ぅ」
「ライラ!やめろ!!」
崩れ落ちていく時に、兄さんが俺の名前を叫んだのが分かった。
俺の血が特別ならきっと出来るだろう?魔力を込めて、結界を壊しにかかる。こんな弱い俺でも、大切な人を守ることが出来るんだ。
「兄さん。早くここから、逃げて。ジェイと合流して、早く……にげて」
「嫌だ。お前を護るって誓ったんだ……」
俺を抱きかかえるその腕に力が入る。駄目だ。兄さんも、逃がさないと。なのに、匂いが溢れていく。
大きな、魔力の塊を近くに感じる。
温かくて、ずっと会いたくて。目の前の魔族を睨み付けても何も変わらない。どうやったら止められる?突き立てた短剣を抜こうとした。その手を兄さんに阻まれる。
「抜いたら、死んでしまう!」
俺を人質にして、ジェイを従わせる気なら、これで可能性を潰せる。抜いてしまえば、助からないのだから。
これを抜いた後、せめて一矢を報いたい。勝手に親の振りをしないで欲しい。だけど次の瞬間に、目の前に父親の顔が見えた。兄さんが動けずにいる。兄さんから引き剥がされた。
「バカが……」
剣が抜けないように固定されてしまう。
「嫌だ。はな、せ」
簡単に抱きかかえられしまう。
「仕方がない。行くぞ」
「───ライラ!!」
この声……涙が溢れていく。
歯を食いしばる。
「───さよなら。王子様。俺は魔族だから、貴方とは相容れない」
そして、兄さん。後はお願い……
ボヤけた景色のせいでジェイがどんな顔をしてるか、分からない。居るだろう方向を見ないようにして、父親にしがみつく。
「行くぞ」
そして、転移陣が発動した。
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