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第3章
13 魔力を継ぐ者
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クロさんに付いて行くと、それは立派な扉が現れた。
扉が重厚に見えるからか。圧がすごい。思わず、ゴクリと唾を飲みこんだ。
「入れ」
許可が降りて、中へと通された。
柔らかな日差しが差し込んでいて、統一されている家具はこの部屋にあっている。高級感が溢れていて、まるで貴族の屋敷みたいだ。
ここ、地下じゃないの?
「クロ……外で待て」
耳に心地良い、低音が黒兎を部屋の外へと促した。
「わかりました」
そう言ってドアから出て行ってしまう。ガチリ……結界か何かかけられたそんな音のような感覚を覚える。
「座ってくれ」
兄さんが先に、ソファの方へと向かい俺が後からついていく。
恐ろしく、綺麗な顔をした……男の人だ。年齢が分からない。300年前に滅んだ国の王と関わっていた本人なら、やはり人ではないはずだ。顔はあの時の2人の片割れだ。
ただ沈黙が流れる。
痺れを切らした兄さんが、質問をし始めた。
「ずっとここにいる訳にはいきません。要件を聞かせて下さい。始めに言いますが、ライラは連れて帰ります。貴方も、少し借りるだけだと言いました。例え、貴方がライラの身内だとしても」
彫像のように、座ったまま動かなかった魔族の眉がぴくりと反応した。
「──強気だな。お前にとって、大切なものであるように……こちらにとっても大切だ」
「は、今までライラのこと忘れてたのに?」
兄さんは魔族相手に動揺するどころか、向かっていく。動じることなく話している。怖くないのだろうか?
「──サフィアの願いだからな」
サフィア……?それは、エーベルハルトの王のこと?
「サフィアが望んだんだ。我が子には、人の世界の中で生きて欲しいと。成人した後は本人の意思にまかせるともね。今度は、俺の願いの為に呼んだんだ」
あまり表情の変わらない、この人……魔族の目元が微かに緩んだ気がした。何かを思い出したのだろうか?
「貴方の願いですか?」
「───そうだ」
2人とも視線を外さない。
「──ライラが叶えられることですか?命を捧げろとか、ここに残るようにとかではないですよね?」
「ライラにしか、出来ない」
「だから、ライラの命に関わることか聞いているんだ!!」
「300年……待ったんだ。その為にずっと準備をしてきた。我が最愛の為に、力を貸してくれてもいいだろう?」
いつもは冷静な兄さんが、感情的になっていて空気はピリピリとしたままだ。
「その為にライラをダンジョンに捨てたのか?最悪の根源が何を言ってる?ライラは渡さない」
「──ライラじゃない。エーベルハルト王家が特殊な魔力の持ち主であるように。欲しいのはセリオライトの王家の魔力だ」
ゾクリと背中に寒気を感じる。セリオライト王家の?
「運命なのに、逃げているのならば、奴は要らないのだろう?こちらに向かっているようだ。───たった1人の魔力で魔族が今後、人間界に手を出さないのなら安いと思わないか?ライラの頼みなら聞いてくれるだろう?」
「───何、言ってるの?」
理解が及ばない。セリオライト王家の魔力?
「ライラが番を拒むのなら……要らないだろうと言っている。それに」
「ふざけるな。あんたの最愛は、もう死んだんだろ?それなのに今生きてる人間を殺すのか?それもライラの!」
兄さんの発言は、手で止められた。
「王家というものは、特別な血統が多い。セリオライトの魔力は、天族の血に近い。エーベルハルトよりもね。死んだ……いや仮死状態のサフィアを目覚めさせるには彼の魔力が欲しいんだ」
「──なんで、今なの?」
300年、魔力が濃くなるのを待ってたって事?
「先読みが出来るサフィアが、ライラの運命の相手を見たからだ。彼なら受け入れてくれるのにと。サフィアが眠りに付いた後に、幼いライラを一緒に眠らせた。賭けだったが、サフィアは、まだ生きているんだ」
魔力を奪われてしまったら、ジェイは王になれない。それどころか、通常の生活だってままならない。生かされてるだけだ。
「──な、ら。俺の魔力でいいから。その天族の血……俺にもあるよね!ジェイを殺したら、絶対に許さない」
「ライラ……」
兄さんに腕を掴まれた。でも、その手を払う。
「半魔の……奴隷にしかなれない俺を殺せばいいだろう!」
その瞬間。
動悸が始まった。
香りが匂いたち……フェロモンが溢れ返った。
扉が重厚に見えるからか。圧がすごい。思わず、ゴクリと唾を飲みこんだ。
「入れ」
許可が降りて、中へと通された。
柔らかな日差しが差し込んでいて、統一されている家具はこの部屋にあっている。高級感が溢れていて、まるで貴族の屋敷みたいだ。
ここ、地下じゃないの?
「クロ……外で待て」
耳に心地良い、低音が黒兎を部屋の外へと促した。
「わかりました」
そう言ってドアから出て行ってしまう。ガチリ……結界か何かかけられたそんな音のような感覚を覚える。
「座ってくれ」
兄さんが先に、ソファの方へと向かい俺が後からついていく。
恐ろしく、綺麗な顔をした……男の人だ。年齢が分からない。300年前に滅んだ国の王と関わっていた本人なら、やはり人ではないはずだ。顔はあの時の2人の片割れだ。
ただ沈黙が流れる。
痺れを切らした兄さんが、質問をし始めた。
「ずっとここにいる訳にはいきません。要件を聞かせて下さい。始めに言いますが、ライラは連れて帰ります。貴方も、少し借りるだけだと言いました。例え、貴方がライラの身内だとしても」
彫像のように、座ったまま動かなかった魔族の眉がぴくりと反応した。
「──強気だな。お前にとって、大切なものであるように……こちらにとっても大切だ」
「は、今までライラのこと忘れてたのに?」
兄さんは魔族相手に動揺するどころか、向かっていく。動じることなく話している。怖くないのだろうか?
「──サフィアの願いだからな」
サフィア……?それは、エーベルハルトの王のこと?
「サフィアが望んだんだ。我が子には、人の世界の中で生きて欲しいと。成人した後は本人の意思にまかせるともね。今度は、俺の願いの為に呼んだんだ」
あまり表情の変わらない、この人……魔族の目元が微かに緩んだ気がした。何かを思い出したのだろうか?
「貴方の願いですか?」
「───そうだ」
2人とも視線を外さない。
「──ライラが叶えられることですか?命を捧げろとか、ここに残るようにとかではないですよね?」
「ライラにしか、出来ない」
「だから、ライラの命に関わることか聞いているんだ!!」
「300年……待ったんだ。その為にずっと準備をしてきた。我が最愛の為に、力を貸してくれてもいいだろう?」
いつもは冷静な兄さんが、感情的になっていて空気はピリピリとしたままだ。
「その為にライラをダンジョンに捨てたのか?最悪の根源が何を言ってる?ライラは渡さない」
「──ライラじゃない。エーベルハルト王家が特殊な魔力の持ち主であるように。欲しいのはセリオライトの王家の魔力だ」
ゾクリと背中に寒気を感じる。セリオライト王家の?
「運命なのに、逃げているのならば、奴は要らないのだろう?こちらに向かっているようだ。───たった1人の魔力で魔族が今後、人間界に手を出さないのなら安いと思わないか?ライラの頼みなら聞いてくれるだろう?」
「───何、言ってるの?」
理解が及ばない。セリオライト王家の魔力?
「ライラが番を拒むのなら……要らないだろうと言っている。それに」
「ふざけるな。あんたの最愛は、もう死んだんだろ?それなのに今生きてる人間を殺すのか?それもライラの!」
兄さんの発言は、手で止められた。
「王家というものは、特別な血統が多い。セリオライトの魔力は、天族の血に近い。エーベルハルトよりもね。死んだ……いや仮死状態のサフィアを目覚めさせるには彼の魔力が欲しいんだ」
「──なんで、今なの?」
300年、魔力が濃くなるのを待ってたって事?
「先読みが出来るサフィアが、ライラの運命の相手を見たからだ。彼なら受け入れてくれるのにと。サフィアが眠りに付いた後に、幼いライラを一緒に眠らせた。賭けだったが、サフィアは、まだ生きているんだ」
魔力を奪われてしまったら、ジェイは王になれない。それどころか、通常の生活だってままならない。生かされてるだけだ。
「──な、ら。俺の魔力でいいから。その天族の血……俺にもあるよね!ジェイを殺したら、絶対に許さない」
「ライラ……」
兄さんに腕を掴まれた。でも、その手を払う。
「半魔の……奴隷にしかなれない俺を殺せばいいだろう!」
その瞬間。
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