【完結】うさぎ亭の看板娘♂は、第1王子の運命の人。

Shizukuru

文字の大きさ
上 下
45 / 58
第3章

11誰?

しおりを挟む
手を繋ぐ。
指を絡める。
魔族だけど、人型なのかな……?上位魔族。
そんなことが頭をよぎる。不思議と優しく触れてくれる。魔獣のせいで、だんだん感覚がおかしくなっていくみたいだ。
視界は遮られたままで、相手の顔もわからない。でも、ヒートの始まっている身体は興奮を覚えて乱れていく。もどかしい熱を持て余していく。

何か、口に押し込まれる。思わず吐き出そうとしたら、更に液体を流し込まれる。ゴホゴホと咳き込んだものの、多分その何かを飲んでしまった。優しく背中を摩り口元を拭いてくれた。

その後もただ抱きしめられて、顔にたまにキスが落とされるだけだ。身体を押さえられていて逃げられない。それなのに特に触れて来ないのでもどかしい。
思わず、片手を振りほどき自分のお尻の方へ持っていく。指で触れるとクチュリと音が聞こえそうな位溢れている。

『──ん』
姿勢のせいか、自分の指は上手く後孔に入らない。
せめて四つん這いになれたら、もう少し入る?
どうして、この人は触ってくれないんだろう?
もしかしたら、人嫌いなのかも知れない。ただ傍にいてくれるだけ?他の魔族から守るため、の手伝いをクロさんにたのまれたとか?
まさか、血族とか……?

『──お父さん?』


だから、視界も音も遮ってるの?

「──チガ……」

『え?──じゃあ、誰?魔族?』
馬鹿な質問をしている。あんな過去の映像に惑わさている。


視界が広がり、もやが晴れていく。
苦しそうな、表情の兄さんが目の前にいる。

「兄さん……なんで?」

俺、俺……

「ごめんな。王子じゃなくて。あの時、お前が連れ去られるのを見たんだ。間に合わなくて。ギルマスが駆けつけてくれてアイツは倒したよ」

また抱きしめられる。
「あの時、魔族が現れたんだ『──借りるが、殺しはしない。話をするだけだ』そう言って消えたんだ。ギルマスには、王子達が来るはずだから、セーフティポイントで待ってもらうように頼んだ。は絶対に来たがるだろうけど……一国の王子だからな。何かあったら問題になる。でも俺は待てなかった。お前に何かあったら、だめなんだ」

だから、ここに───?

兄さんが、苦しそうに笑った。

「そんな時に向こうから……俺に接触してきた。お前の番を知らないかって。王子を魔族に渡す訳にはいかないだろ?でも誰か魔族をあてがわれて、ライラが無理やり番にされても嫌だし。俺に会いに来た魔族は、話すうちに不思議と信用出来るって思ったんだ。でも他は分からない。もしかしたら、ライラが殺されるかも知れないし」

抱きしめられる。この腕にどれだけ助けてもらったんだろう。

「だから、俺ならをしてやれるって言ったんだよ」

「──兄さん」

「キスはもちろんしないし。抜いてやるだけだ。抑制剤をさっき一つだけ飲ませた。黒兎が、作った薬は、すごいよ。もう一つ飲めばもう少し楽なはずだ。これを飲んで、その後抜くから我慢して」

相手が魔族じゃなかった……良かった。でも、俺が半魔……だよ?

「俺、俺は……」

「ライラが何者でも俺はお前の味方だ。多分、アイツも。お前を探しに来るはずだ。アイツの執着心知ってるだろ?」

潰されそうなの心をいつも、助けてくれる。
「──兄さん。大好き」

ハッとして一瞬驚いた様に見えたけど、少しかぶりを降って……兄さんが笑った。

「知ってる。ほら、薬飲んで」

その後は、高揚はしてるけど……目の前の人のことが理解できて、ただ抜きあいをするような形で何回かイッて、力尽きた。

それに薬の効果がすごい。なんでこんなにもに合うのか……魔族用だからかも知れない。

兄さんが傍にいてくれるのも、きっと大きい。

ただ安心して、意識を飛ばした。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...