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第3章
9 副作用
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あ……気持ち悪い。
ぐらぐらする。
「に、いさん……」
見慣れない天井……天井?室内にいるってこと?意識がはっきりしてきた。
「兄さん!!」思わず、起き上がろうとした。その途端に視界がぐにゃりと曲がる。思わず吐きそうになって、口元をおさえた。
「──無茶をしないで下さい」
寝かされていたみたいでベッドの上だった。上半身をゆっくりと起こして背中を支えてくれる。肩に頬を寄せると、柔らかい黒い髪の毛に触れた。
小さな手から優しい、魔力がゆっくりと流れこんで来た。不思議と胸の中の気持ち悪さが消えていく。
「あ、の」
「クロです。治癒を担当します」
大きな……ふかふかの兎の耳がピクピクと動く。兎の獣人なのかな。黒い目をクリクリとさせながら、名前を名乗ってくれた。俺と同じくらいの体格なのにビクともしないような体幹を感じる。顔は可愛らしくて憎めない感じだ。背中にクッションを置いて楽に座らせてくれた。ブランケットも素早くと整えてくれて、その後ベッド横の椅子に腰掛けた。
「主様に連絡しましたので、こちらに来るとは思うのですが……大変忙しい方なので」
申し訳なさそうに話ながら、テーブルの上にある器や液体を使って何か薬を調合しているみたいだ。
「──あの、何をしているのですか?」
「薬をね。調合しているんですよ。貴方は、オメガだから。あいつの粘液は不味いんです。今は治まってますが……多分、ヒートが早まります。それを少しでも抑える薬ですが……精を注がれるのが一番落ち着くんですけどね。番は、いないんですか?」
ヒートが早まる?
「いや、まだ全然先だから」
慌てて手を振って、大丈夫だと伝えてみる。
なのに、兎獣人は残念そうな目をして、ため息をついた。
「ダンジョンの中にいる魔獣です。人を狂わす粘液の持ち主ですよ?我々、魔族だって、弱いやつは溺れてしまうのです。それが、人があれだけ浴びたら……。主様が、多少は浄化してくれたんでしょうけど。魔族にそれは望まないでくださいね。そんなの、魔族が持てる力じゃ無いんですら。それと本当に奥まで犯されてたら、精神が壊される所でした。本当に人は弱くて面倒です」
「───そう、なんですね。あ、魔族……なんですか?俺をどうして助けてくれたのですか?」
「───まだ、助かってはいないよ」
空気が一瞬冷たく感じる。少し、張りつめた空気になって、背中に汗が流れて落ちていった。
「私は、主様の忠実な下僕なので。主様の言う事は、絶対です。でもね違う者もいる。人嫌いは多いです。簡単に信じないように。私と主様以外は、疑って下さいね」
「──はい。あ」
「ヒートが始まる前に薬を用意しますから、ちょっと大人しくして下さい」
ちょっと殺気立って、睨まれる。それでも、兄さんの他に誰かが来たような話をしていたと思う。
「兄さん!それに他にも誰かいたはずだから、無事かどうかだけでも分かりませんか?」
「主様が伝言してるはずです。人も馬鹿じゃないでしょう?人質の生命が惜しかったら、黙って待っててくれるでしょう。人が勝手に言ってるセーフティエリア……私は全然セーフティと思いませんが。そこで大人しくお茶でもしてるんじゃないかな」
それ、ダメなやつじゃないか?人質なんて言い方したら、兄さんは絶対動いてしまう。魔族の目的は、きっと俺なのに。
焦って考えがまとまらない。主様に会えばどうにかなるのだろうか?だんだん、お腹が疼き始める。身体の感覚が、どうにもおかしい。まさか、こんな時に?本当に?
「あ」
ドクンと心臓が跳ねる。下肢の間からどろりと溢れ伝ってしまいそうになりベッドを汚さないか心配してしまう。
残念そうな視線とガチりと合う。ため息をついた、クロの言葉にただ絶望していく。
「私は、特別じゃないから、君の匂いは感じないけど…頬が染まって扇情的な表情は隠した方がいいですね。オメガじゃなくても人は簡単に犯されますよ?魔族が優しいとか思わないで下さいね。匂いが外に漏れないといいのですが……」
どうにか、しないと……ジェイにしか、触られたくないのに。
誰か……
ぐらぐらする。
「に、いさん……」
見慣れない天井……天井?室内にいるってこと?意識がはっきりしてきた。
「兄さん!!」思わず、起き上がろうとした。その途端に視界がぐにゃりと曲がる。思わず吐きそうになって、口元をおさえた。
「──無茶をしないで下さい」
寝かされていたみたいでベッドの上だった。上半身をゆっくりと起こして背中を支えてくれる。肩に頬を寄せると、柔らかい黒い髪の毛に触れた。
小さな手から優しい、魔力がゆっくりと流れこんで来た。不思議と胸の中の気持ち悪さが消えていく。
「あ、の」
「クロです。治癒を担当します」
大きな……ふかふかの兎の耳がピクピクと動く。兎の獣人なのかな。黒い目をクリクリとさせながら、名前を名乗ってくれた。俺と同じくらいの体格なのにビクともしないような体幹を感じる。顔は可愛らしくて憎めない感じだ。背中にクッションを置いて楽に座らせてくれた。ブランケットも素早くと整えてくれて、その後ベッド横の椅子に腰掛けた。
「主様に連絡しましたので、こちらに来るとは思うのですが……大変忙しい方なので」
申し訳なさそうに話ながら、テーブルの上にある器や液体を使って何か薬を調合しているみたいだ。
「──あの、何をしているのですか?」
「薬をね。調合しているんですよ。貴方は、オメガだから。あいつの粘液は不味いんです。今は治まってますが……多分、ヒートが早まります。それを少しでも抑える薬ですが……精を注がれるのが一番落ち着くんですけどね。番は、いないんですか?」
ヒートが早まる?
「いや、まだ全然先だから」
慌てて手を振って、大丈夫だと伝えてみる。
なのに、兎獣人は残念そうな目をして、ため息をついた。
「ダンジョンの中にいる魔獣です。人を狂わす粘液の持ち主ですよ?我々、魔族だって、弱いやつは溺れてしまうのです。それが、人があれだけ浴びたら……。主様が、多少は浄化してくれたんでしょうけど。魔族にそれは望まないでくださいね。そんなの、魔族が持てる力じゃ無いんですら。それと本当に奥まで犯されてたら、精神が壊される所でした。本当に人は弱くて面倒です」
「───そう、なんですね。あ、魔族……なんですか?俺をどうして助けてくれたのですか?」
「───まだ、助かってはいないよ」
空気が一瞬冷たく感じる。少し、張りつめた空気になって、背中に汗が流れて落ちていった。
「私は、主様の忠実な下僕なので。主様の言う事は、絶対です。でもね違う者もいる。人嫌いは多いです。簡単に信じないように。私と主様以外は、疑って下さいね」
「──はい。あ」
「ヒートが始まる前に薬を用意しますから、ちょっと大人しくして下さい」
ちょっと殺気立って、睨まれる。それでも、兄さんの他に誰かが来たような話をしていたと思う。
「兄さん!それに他にも誰かいたはずだから、無事かどうかだけでも分かりませんか?」
「主様が伝言してるはずです。人も馬鹿じゃないでしょう?人質の生命が惜しかったら、黙って待っててくれるでしょう。人が勝手に言ってるセーフティエリア……私は全然セーフティと思いませんが。そこで大人しくお茶でもしてるんじゃないかな」
それ、ダメなやつじゃないか?人質なんて言い方したら、兄さんは絶対動いてしまう。魔族の目的は、きっと俺なのに。
焦って考えがまとまらない。主様に会えばどうにかなるのだろうか?だんだん、お腹が疼き始める。身体の感覚が、どうにもおかしい。まさか、こんな時に?本当に?
「あ」
ドクンと心臓が跳ねる。下肢の間からどろりと溢れ伝ってしまいそうになりベッドを汚さないか心配してしまう。
残念そうな視線とガチりと合う。ため息をついた、クロの言葉にただ絶望していく。
「私は、特別じゃないから、君の匂いは感じないけど…頬が染まって扇情的な表情は隠した方がいいですね。オメガじゃなくても人は簡単に犯されますよ?魔族が優しいとか思わないで下さいね。匂いが外に漏れないといいのですが……」
どうにか、しないと……ジェイにしか、触られたくないのに。
誰か……
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