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第3章
5ダンジョン①
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地下迷宮の奥へと兄と二人進んでいく。兄さんと二人だと慣れているせいか、連携して無駄がなく進んで行ける。進むスピードも早い。回復薬も充分ある。これなら、早くたどり着けるはずだ。
最近、魔獣に変異種が多く見られている。もしかしたら、クエストとの関係があるのかも知れない。
意味の分からない予言クエスト。行けば何かが起きるかも知れない。エーベルハルトの血が関係するのなら……もう、引き返す訳には行かないんだ。
こんな、髪色本当に迷惑だよ。
本当に王家の血なのかな?魔獣と同じで突然変異だったんじゃないのかな?だから捨てられたとか?
どっちにしろ、厄介者でしかない。オメガである以上……
突然、手を引っ張られて引き寄せられた。
我に帰ると、目の前に獅人魔獣がいた。岩陰に押され兄さんが黒剣を構えている。
「ぼんやりするな。そこで動くな見てるだけでいい」
あ。俺、馬鹿だ。気を張ってないといけないのに。
獅人魔獣は、毒を飛ばす。そして、何よりも人を好んで食す魔獣だ。大きさに差異は無さそうだから変異種には見えない。毒を避けないといけない俺も剣を──その空気が、兄さんに伝わったみたいだ。
「動くな。剣もそのままにしてそこにいろ」
《瞬間移動》
重量のある黒剣を片手に抱えたまま、軽く地面を蹴ったかと思った瞬間に姿が消える。何より俺の前に結界壁が同時に張られている。兄さんは、獅人魔獣の背後から現れて一突きで貫いた。そいつは、瞬時に霧散して消えていった。あっという間に消し去った。何の役にも立ってない。ただ残ったのは魔石だけ。何かに使えるかも知れないから、念の為に魔石は回収しておいた。
「ごめん」
ただ、それしか言えなかった。
剣を戻した兄さんが、俺の頭に手を置いてわしゃわしゃにしてきた。
「ちょっ」
頬に滑り落ちてきた手が、一瞬止まり、そして離れた。
「何が心配なんだ?母さん?それともアイツか?」
ジェイは、関係ない。
「母さんに決まってる。相手は王族だよ。万が一に、怒らせて何か罰とか与えられたら」
「──その時は堂々と王子を排除出来るな」
兄さんが冷たく言い放った。
「身内を傷付けられても、運命と結ばれたい?身分が対等になったら、アイツに恥じずに傍に行きたいか?」
「そんなんじゃない」
「───運命だから?それだけの理由で、離れられない?」
「違う」
じりじりと距離を縮められていく。壁に背中が当たり、これ以上は下がれなくなった。
「──兄さん。あの、俺」
さらに、近づいてきた兄さんが壁に片手をついて空いたもう片方の手が背中に周った。
「何?近いよ!どうしたの?」
「───ここに、通路がある」
え?ここに?でも、まだ先じゃないの?
「ここ違うんじゃないの?」
《空間移動》
兄さんか呟くと陣が光った。
「兄さん!!」
空間が開く。兄さんどうして?勝手なことをしたら危険なのに。キンと耳鳴りが始まった。
「つ……」思わずしがみつくと、片手で支えられていたはずなのに抱きしめられている。
「───こっちだって、呼ばれている。信じろライラ」
視界が真っ黒に染まっていく。
最近、魔獣に変異種が多く見られている。もしかしたら、クエストとの関係があるのかも知れない。
意味の分からない予言クエスト。行けば何かが起きるかも知れない。エーベルハルトの血が関係するのなら……もう、引き返す訳には行かないんだ。
こんな、髪色本当に迷惑だよ。
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あ。俺、馬鹿だ。気を張ってないといけないのに。
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重量のある黒剣を片手に抱えたまま、軽く地面を蹴ったかと思った瞬間に姿が消える。何より俺の前に結界壁が同時に張られている。兄さんは、獅人魔獣の背後から現れて一突きで貫いた。そいつは、瞬時に霧散して消えていった。あっという間に消し去った。何の役にも立ってない。ただ残ったのは魔石だけ。何かに使えるかも知れないから、念の為に魔石は回収しておいた。
「ごめん」
ただ、それしか言えなかった。
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「何が心配なんだ?母さん?それともアイツか?」
ジェイは、関係ない。
「母さんに決まってる。相手は王族だよ。万が一に、怒らせて何か罰とか与えられたら」
「──その時は堂々と王子を排除出来るな」
兄さんが冷たく言い放った。
「身内を傷付けられても、運命と結ばれたい?身分が対等になったら、アイツに恥じずに傍に行きたいか?」
「そんなんじゃない」
「───運命だから?それだけの理由で、離れられない?」
「違う」
じりじりと距離を縮められていく。壁に背中が当たり、これ以上は下がれなくなった。
「──兄さん。あの、俺」
さらに、近づいてきた兄さんが壁に片手をついて空いたもう片方の手が背中に周った。
「何?近いよ!どうしたの?」
「───ここに、通路がある」
え?ここに?でも、まだ先じゃないの?
「ここ違うんじゃないの?」
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兄さんか呟くと陣が光った。
「兄さん!!」
空間が開く。兄さんどうして?勝手なことをしたら危険なのに。キンと耳鳴りが始まった。
「つ……」思わずしがみつくと、片手で支えられていたはずなのに抱きしめられている。
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視界が真っ黒に染まっていく。
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