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第3章
6 ダンジョン②
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誰かに名前を呼ばれている気がする。
薄らと目を開くとどこかの室内にいるみたいだ。
夢?
だって、ダンジョンの中にいたんだ。何かの罠?
「ライリオラ」
ライリオラ?それは、僕のこと?
だって、僕は……ライ…?
手が、小さい?声が出ない?
「ライラ……」
ギュッと抱きしめられた。やっぱり声が出ない。でも、この匂い。懐かしい……だってほら、髪の色……紫銀の。
「別れを済ますつもりか?」
もう一人いる。この人も知ってる気がする。黒髪……?
「──この子を救う為なら、なんでもします」
「後悔はしないのか?」
「──してどうするのですか?嘆くよりは、少しでもマシな選択をするだけです」
「ならライリオラと二人で生きることが出来るだろう?俺を殺せばいいことだ」
「───殺せと?」
「お前が生きてくれるなら本望だよ」
「そんなことをしたら貴方の種族が、王国を滅ぼしに来るでしょう。ましてこの子を見逃してくれるわけが無い。これがきっかけで人対魔族となってしまえば……世界の全てが壊れてしまう。王国だけでは収まらない。貴方が生きてこそ平和に繋がるのだから。私が毒を飲めば終わる。ライラの身代わりになる遺体も作って下さった」
「お前が、死んだら俺がこの国を」
「駄目です。それは絶対にしないで。仕方の無いことなのです。魔族のアルファと番った私はこの国で……今の世界で許されない。だから、王家は私と子供を病気で死んだことにしたいのです。人と魔族の間に生まれた子は、育たなかった事にしたいのですよ」
「俺から番を奪う───そいつを愛せる訳が無い」
冷たい視線が、僕の方へ向かってくる。
「お互いを憎んだ振りをして敵対している様に見せてくれたのは、この子を守るためでしょう?魔族と通じていると疑われないように。弱くて生きられない生き物だから、放っておく様にと指示があったのだと……本当に素直じゃない」
「───それでも、お前を失うなど!」
「何度も説明しました。もうこの身体はもたないのです。貴方が分けて下さった魔力がほんの少し生かしてくれただけ。それでも大切な我が子を授かったのです。幸せでした。どうか、ライラが目覚めるまでは、見守って下さい」
「その、変な力で未来が分かるのか?俺が、見守ると信じるのか?」
「ライラと貴方が生きる為ならそれに縋るだけです。どの先読みでも遅かれ早かれ王国は、滅びます。それは自業自得なのですから。ならばこの子が生きる可能性が高い方が良いのです。王国が滅んでも、人の世界さえあればいいのです。それに父親に故郷を奪われたなど、そんな思いだけはさせたくない」
「だが、お前は王なのだろう?」
「──お飾りの王でしかありません。アルファとして生まれる事が叶わなかった。必死にその振りをして生きて、生きて来た。オメガでも王になる為に尽くした結果が、魔性のオメガだと陵辱されかけた。あの時、貴方に助けられ無ければ……王国に、未練などない」
美しい青の瞳から、つたい落ちる涙。オメガ……だから?苦しかった?
「あの場で、お前はあれだけ傷つけられた。自ら生命を絶たなかった事だけは救いだった」
涙そっと触れる、その手が。お互いを想う感情が、溢れて伝わってくる。
「その責めを残忍な魔族だと……罪として擦り付けられたのに?」
「そうするしか、無かっただろう?お前を守りたかった。お前の体に触れた奴らは全員、処分したしな」
「魔族のくせに、優しすぎるのです」
種族を超えた二人は、運命の番だった?
「──俺を捨てる。お前を許せるものか」
「我儘なのです。王として最期は終わりたい。どうか、聞いてこの子には───」
「────」
お父さんたちの記憶を見せられてる?
僕は、2人に捨てられたんじゃない。
愛されてた?
でも国が滅んだのは、300年も前のはずなのに。
どうして───俺は生きているんだろう?
薄らと目を開くとどこかの室内にいるみたいだ。
夢?
だって、ダンジョンの中にいたんだ。何かの罠?
「ライリオラ」
ライリオラ?それは、僕のこと?
だって、僕は……ライ…?
手が、小さい?声が出ない?
「ライラ……」
ギュッと抱きしめられた。やっぱり声が出ない。でも、この匂い。懐かしい……だってほら、髪の色……紫銀の。
「別れを済ますつもりか?」
もう一人いる。この人も知ってる気がする。黒髪……?
「──この子を救う為なら、なんでもします」
「後悔はしないのか?」
「──してどうするのですか?嘆くよりは、少しでもマシな選択をするだけです」
「ならライリオラと二人で生きることが出来るだろう?俺を殺せばいいことだ」
「───殺せと?」
「お前が生きてくれるなら本望だよ」
「そんなことをしたら貴方の種族が、王国を滅ぼしに来るでしょう。ましてこの子を見逃してくれるわけが無い。これがきっかけで人対魔族となってしまえば……世界の全てが壊れてしまう。王国だけでは収まらない。貴方が生きてこそ平和に繋がるのだから。私が毒を飲めば終わる。ライラの身代わりになる遺体も作って下さった」
「お前が、死んだら俺がこの国を」
「駄目です。それは絶対にしないで。仕方の無いことなのです。魔族のアルファと番った私はこの国で……今の世界で許されない。だから、王家は私と子供を病気で死んだことにしたいのです。人と魔族の間に生まれた子は、育たなかった事にしたいのですよ」
「俺から番を奪う───そいつを愛せる訳が無い」
冷たい視線が、僕の方へ向かってくる。
「お互いを憎んだ振りをして敵対している様に見せてくれたのは、この子を守るためでしょう?魔族と通じていると疑われないように。弱くて生きられない生き物だから、放っておく様にと指示があったのだと……本当に素直じゃない」
「───それでも、お前を失うなど!」
「何度も説明しました。もうこの身体はもたないのです。貴方が分けて下さった魔力がほんの少し生かしてくれただけ。それでも大切な我が子を授かったのです。幸せでした。どうか、ライラが目覚めるまでは、見守って下さい」
「その、変な力で未来が分かるのか?俺が、見守ると信じるのか?」
「ライラと貴方が生きる為ならそれに縋るだけです。どの先読みでも遅かれ早かれ王国は、滅びます。それは自業自得なのですから。ならばこの子が生きる可能性が高い方が良いのです。王国が滅んでも、人の世界さえあればいいのです。それに父親に故郷を奪われたなど、そんな思いだけはさせたくない」
「だが、お前は王なのだろう?」
「──お飾りの王でしかありません。アルファとして生まれる事が叶わなかった。必死にその振りをして生きて、生きて来た。オメガでも王になる為に尽くした結果が、魔性のオメガだと陵辱されかけた。あの時、貴方に助けられ無ければ……王国に、未練などない」
美しい青の瞳から、つたい落ちる涙。オメガ……だから?苦しかった?
「あの場で、お前はあれだけ傷つけられた。自ら生命を絶たなかった事だけは救いだった」
涙そっと触れる、その手が。お互いを想う感情が、溢れて伝わってくる。
「その責めを残忍な魔族だと……罪として擦り付けられたのに?」
「そうするしか、無かっただろう?お前を守りたかった。お前の体に触れた奴らは全員、処分したしな」
「魔族のくせに、優しすぎるのです」
種族を超えた二人は、運命の番だった?
「──俺を捨てる。お前を許せるものか」
「我儘なのです。王として最期は終わりたい。どうか、聞いてこの子には───」
「────」
お父さんたちの記憶を見せられてる?
僕は、2人に捨てられたんじゃない。
愛されてた?
でも国が滅んだのは、300年も前のはずなのに。
どうして───俺は生きているんだろう?
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