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第3章
4 うさぎ亭にて
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店は、相変わらず賑わっていた。レンドルが扉を開けると、厨房の方から声が聞こえる。
「いらっしゃいませ。お2人ですね?奥の席でもいいですか?」
ライラの声がする。
良かった。そんなに簡単に誘拐されたりしないはずだ。ライラ自身が強い上に、家族も対応しているだろう。
ホッとしつつ、奥の席へと進む中で何か違和感を感じていく。
席に着いた後、ライラが別の席に食事を運んでいた。それからこちらに来る。何がどう違うのか、上手く言えない。言いあぐねていると……
俺より先にレンドルが、ライラに声をかけた。
「───マリナさんに、頼みたい事があるんだ。いつなら暇か教えて欲しい」
魔術の事か?だが。この違和感は、なんだ?ネックレスは、俺じゃないと外せないはずだ。それに外した場合、俺に伝わる。見た感じ偽物には、見えない。それなら、魔術を上書きしたのか?この家族ならそんな事が出来るのか?だが、あれは王家に伝わる遺物だ。そんな簡単に……
だが、嫌な感じがする。ライラの匂いがしない……?
「──ライラ、そのネックレスに何かしたのか?」
「これに?何かって……?」
この人は本当にライラなのか?
「話がしたい。食事の後に話せるか?」
ライラが、俺の耳元に顔を寄せて来た。
「───今は無理。お店が混んでるから、夜にして下さい」
また、距離を取る。
思わずその手を取ろうとしたら、パンッと払われた。
「───止めて下さい。食事の注文がないのなら、帰って下さい」
向きを変えて、歩いて行こうとする。
「ですから、マリナさんの都合を聞いてます」
レンドルの言葉に振り返ったライラが笑った。
「そんなに、暇そうに見えますか?」
違う。ライラじゃない。
「誰だ?」
髪をかきあげて、目を細めて笑った。
「あーもぅ。だから、夜にって言ってるのに」
パンッと何か乾いた音がして、視界から色が消えた。
「な……」
驚いていると、レンドルが俺の前に立った。
「やっぱり貴方は、マリナさんですね?」
「正解、こんなに早くバレちゃうか」
悪びれた雰囲気は無い。純粋にマリナも驚いているみたいだ。
だが、外せないはずのネックレスを何故身に付けられるのか?いや、それよりライラは、何処に行った。俺から逃げたのか?
「ちょっと、待って待って。王子様、顔怖いわよ。別に逃げた訳じゃなくて、立ち向かって行ってるのよ?」
「どう言う意味だ?」
「そのまんま。あの子の抱えてる問題を解決しないと前に進めないから」
気が付いてるんじゃないの?そう、口元が動いたように見える。
「全く、今お店忙しいのよ?夜に説明するって言ったのに」
「だったら何故、ネックレスを貴方は身に付けられるのですか?それは、俺じゃないと外せない」
「ん?これの事?思ったより簡単だったのよ。あの子には、特別な護りが付いてる。だから、あの子の願いを叶えてくれるの。貴方の護り?いや見張りよね……それを断ち切ったの。そして、私には魔女の血が流れてる。錬金出来るのよ。王子様……内緒にしてよ?私の力欲しがる奴もいるからね。上手く誤魔化せると思ったのに……運命は伊達じゃないわね。時間が足りなかったから仕方ないか」
クスクスと笑う。
「魔女とか錬金とか、おとぎ話では無いのですか?」
レンドルが、少し驚いている。
「なぜ?そう思うの?貴方達は、世界の全てを知っているの?地下迷宮の全てを把握しているかしら?───なら、あの栄華を誇った大国エーベルハルトが滅んだのはなぜ?」
ライラの、髪色。
「まさか、本当にライラは……」
紫銀色の髪色。
「やっぱり、見ちゃったかぁ。バレるのも時間の問題だものね」
「何の話ですか?ジェイは、何を知っているのですか?」
───やはり、ライラはエーベルハルトの末裔なのか。
「いらっしゃいませ。お2人ですね?奥の席でもいいですか?」
ライラの声がする。
良かった。そんなに簡単に誘拐されたりしないはずだ。ライラ自身が強い上に、家族も対応しているだろう。
ホッとしつつ、奥の席へと進む中で何か違和感を感じていく。
席に着いた後、ライラが別の席に食事を運んでいた。それからこちらに来る。何がどう違うのか、上手く言えない。言いあぐねていると……
俺より先にレンドルが、ライラに声をかけた。
「───マリナさんに、頼みたい事があるんだ。いつなら暇か教えて欲しい」
魔術の事か?だが。この違和感は、なんだ?ネックレスは、俺じゃないと外せないはずだ。それに外した場合、俺に伝わる。見た感じ偽物には、見えない。それなら、魔術を上書きしたのか?この家族ならそんな事が出来るのか?だが、あれは王家に伝わる遺物だ。そんな簡単に……
だが、嫌な感じがする。ライラの匂いがしない……?
「──ライラ、そのネックレスに何かしたのか?」
「これに?何かって……?」
この人は本当にライラなのか?
「話がしたい。食事の後に話せるか?」
ライラが、俺の耳元に顔を寄せて来た。
「───今は無理。お店が混んでるから、夜にして下さい」
また、距離を取る。
思わずその手を取ろうとしたら、パンッと払われた。
「───止めて下さい。食事の注文がないのなら、帰って下さい」
向きを変えて、歩いて行こうとする。
「ですから、マリナさんの都合を聞いてます」
レンドルの言葉に振り返ったライラが笑った。
「そんなに、暇そうに見えますか?」
違う。ライラじゃない。
「誰だ?」
髪をかきあげて、目を細めて笑った。
「あーもぅ。だから、夜にって言ってるのに」
パンッと何か乾いた音がして、視界から色が消えた。
「な……」
驚いていると、レンドルが俺の前に立った。
「やっぱり貴方は、マリナさんですね?」
「正解、こんなに早くバレちゃうか」
悪びれた雰囲気は無い。純粋にマリナも驚いているみたいだ。
だが、外せないはずのネックレスを何故身に付けられるのか?いや、それよりライラは、何処に行った。俺から逃げたのか?
「ちょっと、待って待って。王子様、顔怖いわよ。別に逃げた訳じゃなくて、立ち向かって行ってるのよ?」
「どう言う意味だ?」
「そのまんま。あの子の抱えてる問題を解決しないと前に進めないから」
気が付いてるんじゃないの?そう、口元が動いたように見える。
「全く、今お店忙しいのよ?夜に説明するって言ったのに」
「だったら何故、ネックレスを貴方は身に付けられるのですか?それは、俺じゃないと外せない」
「ん?これの事?思ったより簡単だったのよ。あの子には、特別な護りが付いてる。だから、あの子の願いを叶えてくれるの。貴方の護り?いや見張りよね……それを断ち切ったの。そして、私には魔女の血が流れてる。錬金出来るのよ。王子様……内緒にしてよ?私の力欲しがる奴もいるからね。上手く誤魔化せると思ったのに……運命は伊達じゃないわね。時間が足りなかったから仕方ないか」
クスクスと笑う。
「魔女とか錬金とか、おとぎ話では無いのですか?」
レンドルが、少し驚いている。
「なぜ?そう思うの?貴方達は、世界の全てを知っているの?地下迷宮の全てを把握しているかしら?───なら、あの栄華を誇った大国エーベルハルトが滅んだのはなぜ?」
ライラの、髪色。
「まさか、本当にライラは……」
紫銀色の髪色。
「やっぱり、見ちゃったかぁ。バレるのも時間の問題だものね」
「何の話ですか?ジェイは、何を知っているのですか?」
───やはり、ライラはエーベルハルトの末裔なのか。
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