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第2章
14親子会議②
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ライラをずっと守ってきたんだ。簡単にあのクソ王子に渡せるもんか。何が番だ。今のライラは平民だ。
「身分差がある。侯爵家が黙って認めるはずがない。平民のしかも男オメガなんか」
ガタン……背後の気配に気付き、振り向いた。真っ青な顔をしたライラがいた。
しまった……今の声に出てたか?
「──ライラ?いつからそこ、に」
すぐに向きを変えて、早歩きで部屋を出ていく。
「待って!」
急ぎ追いかける。ライラが自室のドアを閉める直前に足を差し込んだ。
バン!!
「ぐっ」
ドアノブからライラの手が離れる。
「あ……ごめ」
あーくそっ。泣かすつもりなんて、ないのに。
「謝るな。俺が、俺が全部悪いから」
腕の中に抱き締めた。
なんで、あいつを選ぶんだ。なんで、俺じゃないんだ。
ずっと、守るって約束しただろう?
「ごめんな」
「なんで、謝るの?本当の事だよ。平民で、しかも男のオメガだよ……家畜みたいなものだって」
「違う!!」
思わず、壁際に追い込む。閉じ込めてしまいたい。
「ライラは───おいてかないで。そう言ったんだ。その時にずっと守るって誓ったんだよ。それを、突然現れた奴に任せたく無いだけなんだ。俺がライラを守る役目を取られたくないんだ。だから、侯爵家や王家に反対されて……あいつの所に行けなくなれば良いって思っただけだ。ごめん」
ライラの涙があふれて止まらない。袖口で慌てて涙を拭き取るから、その腕を掴んだ。
「ちょっ、乱暴過ぎる。綺麗な顔が……」
「いーんだよ!綺麗とかどうでも良いし。どうせなら、ムキムキになって、父さんや兄さんみたいに格好良ければ、舐められたりしなかったんだ。自分で自分を守れたら、1人でも生きていけるのに……兄さんに迷惑なんてかけたくない。いくら、運命でも……平民なんだ。認められる分けない。ネックレスが、外れないとか信じられない」
「それだけ、あいつがお前に惚れたんだろ?離れて冷静になった時、ライラが逃げ出すんじゃないかって心配になったんだろ」
「隣国に……逃げてもダメかな?」
「もしそれで公開捜索されたら?まぁ、女として捜索させるだろうな。男オメガって公表は、婚約しない限りしないと思う。そんな事したら奴隷狩りみたいなヤツらがでてきそうだし」
「俺、ダンジョンに放置されて……死んでたら良かったのかな?捨てられたのに助けを求めたって、バカみたいだね。結局お荷物なんだ」
シンデタラヨカッタ……?
「ふざけるな!」
ライラの両腕を掴んで壁に押し当てる。
後悔の言葉を紡ぐ唇を塞ぐ為に、顔を寄せた。
触れる直前で止めた。王子を待っているライラに嫌われたくない。
びっくりした顔をして俺を見ている。やっぱり、兄でしかないんだよな。俺が……アルファだったらどんなに良かったか。
唇を諦めて、額に口付けた。
「分かってるだろ?俺や父さん達が、ずっと守って来たこと。一度でも家畜扱いしたか?女装させたのだって、逃げる時の為だし。髪色だって」
ライラの本来の紫銀の髪。
亡国の王族の色。平民じゃないんだよ。あの姿を見たら、王家どころか……隣国からも、求婚されるだろう。ライラは特別なんだ。争いが起きかねない。だから、強くなるって決めたのにな。
「──あんな色、嫌だよ。茶色でいいのに」
「一つだけ思うことがある」
「何?」
「捨てられていないと思うよ」
「どうして?」
「精霊達が守ってたんだ。あれは、守るように言いつけられていたと思う。事情があって、ライラを隠してたんだ。絶対に捨てられていない」
トントンとノックの音がする。振り返ると父さんと母さんが入って来た。
「お邪魔だったかしら?」
「邪魔じゃないよ?」
ライラが笑顔で答えた。
残念そうな母さんの顔。
「本当に、残念だわ。ま、いっか。ちょっと面白いもの見つけたの。ロ~イドこれ……試さない?」
ニコニコ笑う。母さんが不気味すぎる。
「きっと、ネックレス外せると思うわ」
その結果、とんでもないことが起きるとか……誰も想像しなかったはずだ。
「身分差がある。侯爵家が黙って認めるはずがない。平民のしかも男オメガなんか」
ガタン……背後の気配に気付き、振り向いた。真っ青な顔をしたライラがいた。
しまった……今の声に出てたか?
「──ライラ?いつからそこ、に」
すぐに向きを変えて、早歩きで部屋を出ていく。
「待って!」
急ぎ追いかける。ライラが自室のドアを閉める直前に足を差し込んだ。
バン!!
「ぐっ」
ドアノブからライラの手が離れる。
「あ……ごめ」
あーくそっ。泣かすつもりなんて、ないのに。
「謝るな。俺が、俺が全部悪いから」
腕の中に抱き締めた。
なんで、あいつを選ぶんだ。なんで、俺じゃないんだ。
ずっと、守るって約束しただろう?
「ごめんな」
「なんで、謝るの?本当の事だよ。平民で、しかも男のオメガだよ……家畜みたいなものだって」
「違う!!」
思わず、壁際に追い込む。閉じ込めてしまいたい。
「ライラは───おいてかないで。そう言ったんだ。その時にずっと守るって誓ったんだよ。それを、突然現れた奴に任せたく無いだけなんだ。俺がライラを守る役目を取られたくないんだ。だから、侯爵家や王家に反対されて……あいつの所に行けなくなれば良いって思っただけだ。ごめん」
ライラの涙があふれて止まらない。袖口で慌てて涙を拭き取るから、その腕を掴んだ。
「ちょっ、乱暴過ぎる。綺麗な顔が……」
「いーんだよ!綺麗とかどうでも良いし。どうせなら、ムキムキになって、父さんや兄さんみたいに格好良ければ、舐められたりしなかったんだ。自分で自分を守れたら、1人でも生きていけるのに……兄さんに迷惑なんてかけたくない。いくら、運命でも……平民なんだ。認められる分けない。ネックレスが、外れないとか信じられない」
「それだけ、あいつがお前に惚れたんだろ?離れて冷静になった時、ライラが逃げ出すんじゃないかって心配になったんだろ」
「隣国に……逃げてもダメかな?」
「もしそれで公開捜索されたら?まぁ、女として捜索させるだろうな。男オメガって公表は、婚約しない限りしないと思う。そんな事したら奴隷狩りみたいなヤツらがでてきそうだし」
「俺、ダンジョンに放置されて……死んでたら良かったのかな?捨てられたのに助けを求めたって、バカみたいだね。結局お荷物なんだ」
シンデタラヨカッタ……?
「ふざけるな!」
ライラの両腕を掴んで壁に押し当てる。
後悔の言葉を紡ぐ唇を塞ぐ為に、顔を寄せた。
触れる直前で止めた。王子を待っているライラに嫌われたくない。
びっくりした顔をして俺を見ている。やっぱり、兄でしかないんだよな。俺が……アルファだったらどんなに良かったか。
唇を諦めて、額に口付けた。
「分かってるだろ?俺や父さん達が、ずっと守って来たこと。一度でも家畜扱いしたか?女装させたのだって、逃げる時の為だし。髪色だって」
ライラの本来の紫銀の髪。
亡国の王族の色。平民じゃないんだよ。あの姿を見たら、王家どころか……隣国からも、求婚されるだろう。ライラは特別なんだ。争いが起きかねない。だから、強くなるって決めたのにな。
「──あんな色、嫌だよ。茶色でいいのに」
「一つだけ思うことがある」
「何?」
「捨てられていないと思うよ」
「どうして?」
「精霊達が守ってたんだ。あれは、守るように言いつけられていたと思う。事情があって、ライラを隠してたんだ。絶対に捨てられていない」
トントンとノックの音がする。振り返ると父さんと母さんが入って来た。
「お邪魔だったかしら?」
「邪魔じゃないよ?」
ライラが笑顔で答えた。
残念そうな母さんの顔。
「本当に、残念だわ。ま、いっか。ちょっと面白いもの見つけたの。ロ~イドこれ……試さない?」
ニコニコ笑う。母さんが不気味すぎる。
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その結果、とんでもないことが起きるとか……誰も想像しなかったはずだ。
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