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第2章
13親子会議①
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侯爵が真っ青な顔をして退席した。事務書記官は、作業机の方へ移動して書類を分類し始めた。
席に残ったのは、陛下と俺だけだ。
クリスタルの中に、青い石が埋め込まれた魔道具の一つを陛下が取り出した。テーブルの上に置くと、一瞬で半透明の防音壁が生成される。外に音も漏れない上に表情も隠してくれる優れものだ。
ニコニコと、笑ってこちらを伺ってくる。面白がっているに違いない。
「──それで、本当に運命だと言うのかい?」
「間違いなく、俺のオメガです」
「──なら、どうして項を噛まなかったんだ?番になってここに来れば、私に取られる心配もなかっただろう?それに、私には運命がいる。奪われそうな心配をするくらい美しい……のかな?」
面白い玩具を手に入れたみたいな、そんな感じだ。この人に見せたくない。
「その気もないのに、揶揄うのは止めて下さい。心配するなら、セディ……セドリックとロイドでしょうか?」
「セドリック?実の弟を心配するとは、随分狭量だな。威圧で抑えることなんて、簡単じゃないか。それよりロイドとは誰だ?」
ふむ……と、両手を組んで顎を乗せてじっと見つめてくる。全ての仕草が洗練されている。何時までも若々しく、他を圧倒する存在感だ。本当にこの人が、嫌になる。
「セドリックは、美人に目がないですからね。奪わせる気もないですが、一目惚れされたら面倒です。大切な人にちょっかいを掛けてきそうですから。ロイドは、彼の兄です」
「彼か……なるほどね。男のオメガか。実の兄に大切に護られているんだな」
「兄だけではありません。家族に大切にされています。彼らに認めて貰うためなら、何でもします」
「ふ~ん。お前も、運命が現れたら変わるものだな」
「そう、ですね。愛しくて……閉じ込めてしまいそうです」
自分がこんなにも、変わるなどと誰も思わなかっただろうな。泣かせたく無いのに閉じ込めて、誰にも見せたくないなんて……
トンっと指でテーブルを叩く音が聞こえて、我に返った。
「──早くしないと逃げられるんじゃないか?ここに連れて来れなかったのは、身分が違うんだろ?……男爵位?いや、平民かな?」
「……平民です」
「なら、諦めるのかい?」
「まさか。俺から手を離すことは有りません。いえ、逃がしません」
「爵位なら、なんとでも出来るよ。王子妃になるそれなりの覚悟をしてもらわないとね。頑張って説得しておいで……ジェイ。ただ侯爵には気を付けろ。貴重な男オメガだ誘拐されかねない。あれのことだ、探し出しかねない」
その一言で、一気に空気が変わった。奪われる事など……許すわけがない。
「──暫く、戻りませんが……私の代わりにセディを公務に引っ張り出して下さい」
陛下が頷き、手を振る。
防音壁が解除された。
待機していたレンドルと共に、急ぎライラの元へ戻る事となった。
席に残ったのは、陛下と俺だけだ。
クリスタルの中に、青い石が埋め込まれた魔道具の一つを陛下が取り出した。テーブルの上に置くと、一瞬で半透明の防音壁が生成される。外に音も漏れない上に表情も隠してくれる優れものだ。
ニコニコと、笑ってこちらを伺ってくる。面白がっているに違いない。
「──それで、本当に運命だと言うのかい?」
「間違いなく、俺のオメガです」
「──なら、どうして項を噛まなかったんだ?番になってここに来れば、私に取られる心配もなかっただろう?それに、私には運命がいる。奪われそうな心配をするくらい美しい……のかな?」
面白い玩具を手に入れたみたいな、そんな感じだ。この人に見せたくない。
「その気もないのに、揶揄うのは止めて下さい。心配するなら、セディ……セドリックとロイドでしょうか?」
「セドリック?実の弟を心配するとは、随分狭量だな。威圧で抑えることなんて、簡単じゃないか。それよりロイドとは誰だ?」
ふむ……と、両手を組んで顎を乗せてじっと見つめてくる。全ての仕草が洗練されている。何時までも若々しく、他を圧倒する存在感だ。本当にこの人が、嫌になる。
「セドリックは、美人に目がないですからね。奪わせる気もないですが、一目惚れされたら面倒です。大切な人にちょっかいを掛けてきそうですから。ロイドは、彼の兄です」
「彼か……なるほどね。男のオメガか。実の兄に大切に護られているんだな」
「兄だけではありません。家族に大切にされています。彼らに認めて貰うためなら、何でもします」
「ふ~ん。お前も、運命が現れたら変わるものだな」
「そう、ですね。愛しくて……閉じ込めてしまいそうです」
自分がこんなにも、変わるなどと誰も思わなかっただろうな。泣かせたく無いのに閉じ込めて、誰にも見せたくないなんて……
トンっと指でテーブルを叩く音が聞こえて、我に返った。
「──早くしないと逃げられるんじゃないか?ここに連れて来れなかったのは、身分が違うんだろ?……男爵位?いや、平民かな?」
「……平民です」
「なら、諦めるのかい?」
「まさか。俺から手を離すことは有りません。いえ、逃がしません」
「爵位なら、なんとでも出来るよ。王子妃になるそれなりの覚悟をしてもらわないとね。頑張って説得しておいで……ジェイ。ただ侯爵には気を付けろ。貴重な男オメガだ誘拐されかねない。あれのことだ、探し出しかねない」
その一言で、一気に空気が変わった。奪われる事など……許すわけがない。
「──暫く、戻りませんが……私の代わりにセディを公務に引っ張り出して下さい」
陛下が頷き、手を振る。
防音壁が解除された。
待機していたレンドルと共に、急ぎライラの元へ戻る事となった。
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