【完結】うさぎ亭の看板娘♂は、第1王子の運命の人。

Shizukuru

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第2章

5 レンドルの考察

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さて、どうしたものか……
王子がここに籠って3日だ。もちろん定期的に、食事や果物、水を運んでいる。
奥の寝室で、ライラ様が眠りについた時にだけ、こちらの部屋に現れて、ワゴンを受け取って寝室に戻っていく。
5日後には城に戻り報告をするように陛下からの言の葉蝶アゲハが来ている。ライラ様の兄ロイドの言の葉蝶アゲハは、さらに頻繁に現れて、話が出来るようになったら即呼べと言うような内容が送られてくる。

いまだに、ライラ様の姿はおろか声も聞いていない。もちろん、防音もされているのだろう。
寝室以外の場所にフェロモンの香りが漏れないようにしているのも王子だ。

ランクSSのアルファである王子の魔力量は、多分王国内で1、2位を争うはずだ。

アルファが自身のオメガを逃がすはずがない。陛下の王妃に対する執着も相当だったと聞く。

「本当に2人が運命だとしても、皆に祝福されるかどうか……」
ライラ様は危険に晒されるはずだ。否応なしに身分の問題が取りだたされる。現王妃は、父親が貴族だ。男のオメガと言う点では同じでも、ライラ様は平民だ。例えベルグさんが、双剣の騎士だったとしても。その能力ゆえに、に嵌められたと影からの報告もある以上、波乱が起きるだろう。

「不味いな。宰相は、娘を婚約者にしたがっている。さらに父親同士は過去の因縁の相手だ。準備が何一つ出来ていないのに迎え入れる事が可能だろうか?」
​────最悪、ライラ様は、愛人にしろとの意見がでるだろう。

ライラ様側だって、魔道具師、薬師。S級の冒険者なのだ。
「下手をすれば、逃げられそうだな。王子がその気でも……ライラ様は、家族を優先するはずだ。王子に勝算があるのか?陛下は、アレで自分の力で解決しろってタイプだからね。協力的では、ないだろう。自分のオメガくらい自分で守れないなら、跡継ぎにしないといいそうだな」

魂の番、運命の相手。それと引替えに、ライラ様は失う物の方が多くないか?
離れて会えなくすれば、認識出来ないようにすれば……その方がお互いに幸せかも知れない。隣国へ行ってもらうか……

「あの、王子が離す分けないか」
男のオメガとバレてしまえば、皆に狙われる。女のオメガより、から。

まあ、あの家族がその扱いを許すとも思えないが。特に母親は、魔術師として相当なものだろな。

言の葉蝶アゲハが来た。
『ライラには、まだ会えないだろうか?』

魔力を乗せて恐ろしく美しい蝶が現れる。私には、分からないが……多分この蝶は、ライラ様を呼んでいるはずだ。ライラ様がヒートが終わっていたら、多分認識できる何かがあるはずだ。


『まだ、会えない』
その言葉を乗せると蝶は、直ぐに消えた。

「王子。そろそろロイドさんは、乗り込んで来そうだよ」
さて、いい加減……覚醒してくれてもいいのだけれど。



王子からの合図が来た。会えるのだろうか? いやまだだな。せいぜい声を聞かせてくれるだけだな。

「さて、ライラ様は……王子と婚姻をする気は、あるのだろうか?」

2人が運命なら、必ずその糸は絡んで行くのだろう。

「私が、優先すべきはジェイク様だけだ」

あの方が、望むなら……全てを優先するだけ……
この先は王子の御心のままに​──

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