【完結】うさぎ亭の看板娘♂は、第1王子の運命の人。

Shizukuru

文字の大きさ
上 下
21 / 58
第2章

2ライラの目覚め①

しおりを挟む
なんだろう?
いい匂いがする。頭の芯が痺れているみたいだ。急に抱きかかえられたような……腕の中に収まっているような?肌色が視界に入ってきた。
夢?

「にぃ……さん?」
その言葉にびくりと、反応をする。違うのかな?えっと、何があったんだっけ?

更に抱き寄せられて、太ももの近くに何か熱い塊を感じる。片足を取られて、お尻の割れ目をなぞられた。

クチュリと音がした。クプックプッと何か……指が入り込んできた。

「え、なに?」
目線を上げると、金色の髪に美しいエメラルドの双眸がこちらを見ていた。

「まだ、ヒートは完全に終わってないから……辛いならもう一度しようか?」

指先がなぞるのは……嘘。グッと押し込まれる。その瞬間、軽くイッてしまった。なんで裸?ヒート?思わず首を確認するとネックガードがついている。これ、特注のだ。

「ちょっと、まって!何があったか教えて!」

地下迷宮ダンジョンで、ヒートを起こした。君が俺を運命って言ったんだよ。でも、よりによって、兄さんって呼ばれるとは……その理由もちゃんと聞かないとね」

「​───運命?誰と誰が?」

「俺……ジェイク・セリオライトとライラが」

「セリオライト……どこかで聞いたことあるけど?どこだっけ?」

「この国の名前だよ。セリオライト王国」

「あ、そっか。それそれ、王国の……名前って、は?どう言うこと」

「この国の第1王子ってこと」
だいいちおうじ……ってなんだっけ?
第、1……王子?

「は?なんで、え?誰」

「こうして3日も抱き合っているし、何度も俺の名前呼んでくれたよ?寝起きの呼びが気になるところだね」
美形の笑顔が眩しい。

あ、兄さん……地下迷宮ダンジョン触手魔獣ローパーは?どうしたんだろう?

「兄さんは無事?変異種みたいな触手魔獣ローパーはどうなったの?」

「​────だから」
ギュッと抱き寄せられて軽く唇が触れ合う。

「皆、無事だよ。ただ君は俺を運命と認めて、離れないって言ったんだ。君の大好きなが、離れろって言っても抱きついて離れない。ご両親に魔道具を付けられたけれど、効果は無くて……いや運命を引き離す事にはならなかったよ」


運命。この国の第1王子が俺の運命って何言ってるの?

「そんな、ヒート中の気の迷いっ」
唇が塞がれて舌で蹂躙されていく。奥をなぞられ、絡められるとドロリと何かが溢れていく。お腹がキュンとし始めて、軽くイッてしまった俺の中心が上を向く。王子だと言うこの人の熱いそれが擦り付けられると、もどかしくて腰が揺れる。
俺、どうしたんだろう?
欲しい​────って気持ちがむくむくと湧いてきて……擦り寄りそうになる。
落ち着け。キノマヨイこれは、気の迷いだ!

「やめて!」
グイッと押し返した胸板にドキリとしてしまう。何これ。なんでキュンってしてしまうんだろう?

「素直に閉まったけど?」
どこがって……考えてたら羞恥に染まる頬を撫でられる。そのまま、指が鎖骨をなぞり胸の尖りを転がしてくる。後ろと乳首をいじられれば、トロトロと恥ずかしいのに反応しているそこを腹筋が触れてきた。

「この!待ってって言ってるだろう!」
だいたい、平民のオメガが王子と運命とかある訳ないじゃん!監禁とか……されたくない。

「運命なんかない!ヒートに巻き込んだだけ……」

自称第1王子の顔が歪んだ。え?怒らせた?

「君の両親もお兄さんも、あれだけの魔道具を付けたのに、匂いを共有する俺達のこと認めたよ。不安も全部解消するから、待ってて欲しい。人から聞く話や噂に惑わされるな。俺がお前以外を選ぶ事はない」

そんな言葉に単純に反応してしまう。自分から発せられるフェロモンが濃くなったのが、きっとバレた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません

くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、 ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。 だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。 今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

処理中です...