14 / 58
第1章
12発情①
しおりを挟む
ドクンと心臓が跳ねる。
念の為の薬は飲んでる。
熱い……
触手魔獣の触手を思わず斬ってしまった。
核を狙わなきゃだめだったのに。
目の前に、近づいたら駄目なアイツがいるのに。
どうしたら、いいのか分からない。
まだ、触手魔獣が生きている。でも、足が震えて立っていられない。
変だ。お腹が疼き始めた。
兄さんって呼んだら、バレてしまう。今は男の格好もしてる。バレたくない。逃げないと駄目だ。
兄さんが黒剣を構えている。触手を避けながら核を狙っているみたいだ。こっちに来たそうだが、触手が邪魔して来れないみたいだ。
どうする?魔術の展開も、頭が回らない。
考えろ。
この辺りの魔獣が最近変異種になっていると聞いた。
冒険者が襲われて対応が難しいようだと、クエストが兄さんに来たんだ。
兄さんは強い。魔術も剣も魔道具も使える。だから、お願いしたんだ。
もっと鍛えてって。
まさか、アイツが来るとか。
「勘弁してよ」
思わず、呟く。
触手がこっちにきてる。だけど、剣を掴む手に力が上手く入らない。
駄目だ。間に合わない。
兄さんの叫んでる声が聞こえる。
目の前に何かが現れて何かに包まれる。
「我慢しろよ?」
あの男が、着ていたローブを俺に着せたみたいだ。
縦抱きに抱えられる。
バレたくないんだ。
「触るな」
「直接触らないように着せたんだ。この位我慢しろ」
フードまで被せられる。なんで?
何?この服……いい匂い。また、心臓が跳ねる。
この服……欲しい。
心臓が煩くて、でもこの中に居たくて。
この人の服が欲しくて堪らない。
な、何考えて…俺、変になった?
お腹が疼いてたのに今度は後ろからドロリと何か溢れてくるみたいだ。
体が変だ。
熱くて胸が苦しくなっていく。
「しっかり、しがみついてろ」
触手魔獣を避ける為に、アイツが移動を始める。
振り落とされないように首の所にしがみつく。
アイツの首元に顔を埋める形になって、直に皮膚と皮膚が触れ合った。
温かい。
兄さんとは、匂いが違う。思ったより胸板が厚い気がする。喉仏が、色っぽくて胸が苦しくなる。
素早く動いている筈なのに体幹がブレない。
めちゃくちゃ鍛えてる?俺抱えたままなのに縦横無尽に動いてる。
大丈夫、兄さんが触手魔獣をやっつけてくれる。
それに、魔術師っぽい人かなり凄そうだ。
悔しい。俺コイツに庇われてお荷物だ。
俺は、お荷物になんてなりたくない。
───────斬。
兄さん?
だめだっ意識が飛びそう。
体が熱くて、全部脱ぎ捨てたい。
脱いでしまいたい。
この人の匂いに包まれたい。
思わず、首筋を甘噛みしてしまう。
ビクンと、震えたのが伝わる。噛んだの分かった?
もっと、触れたい。
駄目だ。
これ以上は、駄目。
ドクン。
─────彼が欲しい。
「抱いて」
何を言ってるんだろう?
でも、彼が欲しくてたまらない。
念の為の薬は飲んでる。
熱い……
触手魔獣の触手を思わず斬ってしまった。
核を狙わなきゃだめだったのに。
目の前に、近づいたら駄目なアイツがいるのに。
どうしたら、いいのか分からない。
まだ、触手魔獣が生きている。でも、足が震えて立っていられない。
変だ。お腹が疼き始めた。
兄さんって呼んだら、バレてしまう。今は男の格好もしてる。バレたくない。逃げないと駄目だ。
兄さんが黒剣を構えている。触手を避けながら核を狙っているみたいだ。こっちに来たそうだが、触手が邪魔して来れないみたいだ。
どうする?魔術の展開も、頭が回らない。
考えろ。
この辺りの魔獣が最近変異種になっていると聞いた。
冒険者が襲われて対応が難しいようだと、クエストが兄さんに来たんだ。
兄さんは強い。魔術も剣も魔道具も使える。だから、お願いしたんだ。
もっと鍛えてって。
まさか、アイツが来るとか。
「勘弁してよ」
思わず、呟く。
触手がこっちにきてる。だけど、剣を掴む手に力が上手く入らない。
駄目だ。間に合わない。
兄さんの叫んでる声が聞こえる。
目の前に何かが現れて何かに包まれる。
「我慢しろよ?」
あの男が、着ていたローブを俺に着せたみたいだ。
縦抱きに抱えられる。
バレたくないんだ。
「触るな」
「直接触らないように着せたんだ。この位我慢しろ」
フードまで被せられる。なんで?
何?この服……いい匂い。また、心臓が跳ねる。
この服……欲しい。
心臓が煩くて、でもこの中に居たくて。
この人の服が欲しくて堪らない。
な、何考えて…俺、変になった?
お腹が疼いてたのに今度は後ろからドロリと何か溢れてくるみたいだ。
体が変だ。
熱くて胸が苦しくなっていく。
「しっかり、しがみついてろ」
触手魔獣を避ける為に、アイツが移動を始める。
振り落とされないように首の所にしがみつく。
アイツの首元に顔を埋める形になって、直に皮膚と皮膚が触れ合った。
温かい。
兄さんとは、匂いが違う。思ったより胸板が厚い気がする。喉仏が、色っぽくて胸が苦しくなる。
素早く動いている筈なのに体幹がブレない。
めちゃくちゃ鍛えてる?俺抱えたままなのに縦横無尽に動いてる。
大丈夫、兄さんが触手魔獣をやっつけてくれる。
それに、魔術師っぽい人かなり凄そうだ。
悔しい。俺コイツに庇われてお荷物だ。
俺は、お荷物になんてなりたくない。
───────斬。
兄さん?
だめだっ意識が飛びそう。
体が熱くて、全部脱ぎ捨てたい。
脱いでしまいたい。
この人の匂いに包まれたい。
思わず、首筋を甘噛みしてしまう。
ビクンと、震えたのが伝わる。噛んだの分かった?
もっと、触れたい。
駄目だ。
これ以上は、駄目。
ドクン。
─────彼が欲しい。
「抱いて」
何を言ってるんだろう?
でも、彼が欲しくてたまらない。
36
お気に入りに追加
404
あなたにおすすめの小説

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~
ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。
――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ!
※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。


転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる