【完結】うさぎ亭の看板娘♂は、第1王子の運命の人。

Shizukuru

文字の大きさ
上 下
11 / 58
第1章

9 接近 ①

しおりを挟む
あれから、かなりの執務をこなして来た。それに魔術も剣も鍛え直している。相手側がS級の集まりだから生半可では、認めてもらえないはずだ。

心配で王家の影に見張らせていたんだが…どうやら返り討ちに合っているみたいだ。

報告が皆同じなんだ。
「いつも通りのうさぎ亭でした」

冒険者相手で、いつも通りって訳ないだろう?

この目で確かめたい。彼女に会って話したい。


どうにか日程を確保した。クエストもこなさないときっと認めてもらえない。
ようやく彼女に会いに行ける。だからこそ、その前にレンドルと2人で冒険者ギルドに顔を出した。

腕が上がっているかも確かめたいからだ。その後にうさぎ亭に行く。


扉を開けてカウンターにいる受付嬢にA級に見合うものはないかと尋ねた。

彼女が困ったような顔をする。
「ランクAのジェイ様とレンドル様ですね。実はここ数日のクエストなんですが…軽めの雑用…じゃなくて、残っているのが初心者向けばかりなんですよ」


「BC(中級クエスト)ランクが人気で朝早くから無くなるのは分かります。SA(上級クエスト)がこの時間にないなんて…もしかして、どこかのパーティがレベル上げに来ているのでしょうか?」

至極当然な意見をレンドルが言っている。それに、何か魔術を唱えなかったか?

隣国からの強者がパーティを組んでいたら、手当たり次第のクエストに参加する事がある。ある意味無謀だが、知名度を上げる手段だ。

「隣国ではなく…ロイドさんです。知りませんか?うさぎ亭の息子さんです」

「いや、でも彼は魔道具師をメインに活躍されているのでは?」

「実験を兼ねてダンジョンに潜るんです。効果を確かめる為に」

「なるほど。お父様が元S級でしたね。一緒に地下へ?」

「いいえ。いつものバディの方ですよ。2人ともA級です。ロイドさんは本来S級レベル相当なのでバディのの訓練も兼ねているんでしょうね……あ、ごめんなさい。ついお話し過ぎました。レベル上げたいって言ってたから…内緒ですよ?」

「もう1つだけ。バディはどんな人ですか?」

「深くフードを被っているのでライセンスカードしか見たことがないんです。貴族のお忍びだからって言ってて詮索不要ってギルドマスターが言ってました」

パチンとレンドルが指を鳴らした。


「あら?ええっとどこまで話しましたっけ?今日のクエストはEランクの初心者向けしかないので、クエスト無しで訓練くらいになりますが、行かれますか?安全の為に魔鳥マトリを通信用に付けますか?」

「ありがとうございます。中級階層でレベル上げに行ってきます。自分の言の葉蝶アゲハがいますので心配されなくて大丈夫ですよ。ちゃんとは弁えていますから」


「気をつけて下さい。無事に戻られますように」


そして、俺達は地下迷宮ダンジョンの入口に向かった。





しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...