【完結】うさぎ亭の看板娘♂は、第1王子の運命の人。

Shizukuru

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第1章

9 接近 ①

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あれから、かなりの執務をこなして来た。それに魔術も剣も鍛え直している。相手側がS級の集まりだから生半可では、認めてもらえないはずだ。

心配で王家の影に見張らせていたんだが…どうやら返り討ちに合っているみたいだ。

報告が皆同じなんだ。
「いつも通りのうさぎ亭でした」

冒険者相手で、いつも通りって訳ないだろう?

この目で確かめたい。彼女に会って話したい。


どうにか日程を確保した。クエストもこなさないときっと認めてもらえない。
ようやく彼女に会いに行ける。だからこそ、その前にレンドルと2人で冒険者ギルドに顔を出した。

腕が上がっているかも確かめたいからだ。その後にうさぎ亭に行く。


扉を開けてカウンターにいる受付嬢にA級に見合うものはないかと尋ねた。

彼女が困ったような顔をする。
「ランクAのジェイ様とレンドル様ですね。実はここ数日のクエストなんですが…軽めの雑用…じゃなくて、残っているのが初心者向けばかりなんですよ」


「BC(中級クエスト)ランクが人気で朝早くから無くなるのは分かります。SA(上級クエスト)がこの時間にないなんて…もしかして、どこかのパーティがレベル上げに来ているのでしょうか?」

至極当然な意見をレンドルが言っている。それに、何か魔術を唱えなかったか?

隣国からの強者がパーティを組んでいたら、手当たり次第のクエストに参加する事がある。ある意味無謀だが、知名度を上げる手段だ。

「隣国ではなく…ロイドさんです。知りませんか?うさぎ亭の息子さんです」

「いや、でも彼は魔道具師をメインに活躍されているのでは?」

「実験を兼ねてダンジョンに潜るんです。効果を確かめる為に」

「なるほど。お父様が元S級でしたね。一緒に地下へ?」

「いいえ。いつものバディの方ですよ。2人ともA級です。ロイドさんは本来S級レベル相当なのでバディのの訓練も兼ねているんでしょうね……あ、ごめんなさい。ついお話し過ぎました。レベル上げたいって言ってたから…内緒ですよ?」

「もう1つだけ。バディはどんな人ですか?」

「深くフードを被っているのでライセンスカードしか見たことがないんです。貴族のお忍びだからって言ってて詮索不要ってギルドマスターが言ってました」

パチンとレンドルが指を鳴らした。


「あら?ええっとどこまで話しましたっけ?今日のクエストはEランクの初心者向けしかないので、クエスト無しで訓練くらいになりますが、行かれますか?安全の為に魔鳥マトリを通信用に付けますか?」

「ありがとうございます。中級階層でレベル上げに行ってきます。自分の言の葉蝶アゲハがいますので心配されなくて大丈夫ですよ。ちゃんとは弁えていますから」


「気をつけて下さい。無事に戻られますように」


そして、俺達は地下迷宮ダンジョンの入口に向かった。





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