【本編完結】 美形魔王の弱点は、僕。

Shizukuru

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95.魔王の弱点は僕(最終話)※

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 僕が連れてこられた最初の部屋は、見事に壊れたままだ。

壊したのは、僕とルルーだけど。
魔王の寝室なのかと思っていたけど、どうやら違うらしい。

   何となくだけど、ここで何があったのかを確認してる? そんな感じがしてクロの纏う空気が怖い。

古い塔のような所へ連れて行かれる。
クロが何か呪文を呟くと、扉が開く。

「え、何ここ?」
 広い。緑がいっぱいある。植物が溢れかえっていて、見た事もない花が咲き乱れている。

「もともとは、研究者だ」
「え? クロが育ててたの?」

「ああ。地下と三階に実験室。一、二階が植物の栽培用。あとは、図書室、魔道具用の工房、生活スペースとかだな」

「研究……とかが好きなの?」
「そうだな。なのに魔王になったからな。ダンジョンに行くのは、珍しい物が手に入るからだ」

「でも魔王だと後継ぎが、必要なんでしょ?」
「なぜ? 俺は血筋も何の関係も無く魔王になった。優秀でやる気のある奴にさせれば問題ない」

 怪我をしてるのは、クロなのに……縦抱きにされて、塔を登っていく。

「人族……精霊族かも知れないけど、一緒にいてもいいの? お、男だし」

「こんなにも、欲しいのはお前だけだ」

「皆納得してくれる?」

「勇者一行を従え、聖遺物レリックに支持され、黒飛竜ブラックドラゴンと契約して、俺に選ばれたお前を誰が否定する。それに……」

「それに?」

「神にも、愛されて加護がついてるとは」
「加護?」

「シェリルの指揮棒ワンドの魔力も、人の造りし物ではないな」

 そうなんだ。師匠が特別な物を僕にくれたんだ。

「シェリルは、カイルを選ばなくていいのか?俺の本当の姿は怖くないか?」

ギュッと抱きついた。
「クロがいい。クロは、ずっと僕を見ててくれたもの。駄目なところも、弱いところも。こんなに好きなのに離れたくない」

 魔王の寝室とは思えないくらいの、少しこじんまりとした部屋。本が沢山積み上げられていて、夜中まできっと本を読んだりしてるのだと想像してしまう。

 ──ベッドは、大きいけど。
なぜか、ベッドに押し倒されている。

「クロの手当が先だっ……て、あれ?」
「もう、あの程度は治療済みだ」

 傷跡がない。

「──な、なら、手当の必要なんてないのに。どうして?」

「ルシエラに、唇を奪われただろう?」
クロの顔が、怖い。

「ああ、角は隠しておこう。シェリルの肌に当たって傷を付けたら困るから」

「あ、うん」
「上書きして、他に触れられてたり、傷が付けられてないか確認するから。身を任せて」

「え? 確認って?」
 クロの綺麗な顔が近くにある。目を瞑ると、優しく触れてきた。

「クロのキス……嬉しい」
あの時、本当は怖くて気持ち悪くて、助けて欲しかった。

クロが離れて行くのが嫌で、抱きつく。

「もっとして」
優しいキスは、深く深く僕の中へ。舌を絡めて求める事の気持ちよさを教えてくれたのも全部、クロだ。
求めに応えているうちに、シャツは剥がされていく。

息が上がってきたところで解放されると「好きだ」
と耳元で囁かれた。
 輪郭から、鎖骨そして、胸へと流れるように舐められて、なぞられていく。
平らな胸の先端は指で弄られて、ぷくりと立ち上がっている。

 可愛いとか、食べたいとか……触られてないかとか……色々聞かれても、上手く答えられない。

「あ、やぁ、咥えたまま、話さ……ないでぇ」

強く吸われれば、何故か突き出すように背中を反ってしまう。

いつの間にか全部脱がされていて。クロは服を着たままだ。

「お願い、クロも脱いで。僕だけ恥ずかしい」

クロの動きが止まって、あっという間に全て脱いでしまった。

「なんで、そんなおっきぃ」

両足を拡げられて、綺麗な瓶の蓋が外されて液体を後孔へと馴染ませられていく。

クロを受け入れるには、ここを柔らかくする必要があるって言ってた。

グチュグチュと、聞こえる。いやらしい水音。
クロの長い指が、僕の弱いところを適確に当ててくるのだ。

「も、やだ。も……挿れて」
「まだ、駄目だ」
「だって、前」
「先に一度イかせるから。シェリルに傷を付けたくないんだ」

 グンと奥に入った指が、中を探る。ある一部分をここだと言わんばかりに擦ってきた。反応したせいで、何度も指があたる。

全身が痺れ、足先が丸まるようになって、太ももはもどかしく焦れていく。
「あッあああ……んう、あ」
お腹の上はベタベタなのに、それを嬉しそうに指に纏わせてまた、指が中を刺激する。

「クロ……挿れてくれないと、嫌いになるから」

なんか、傷ついた顔をするから焦っていると。

途端に荒々しく腰を引っ張られて、クロが押し入ってきた。

「ひぃ、やぁぁ……ん」

何度も何度も、揺さぶられて、何度求めあったのだろう。

 疲れ果てて、気がついたのは既に、翌日の昼を過ぎていた。

「動けない……」
「ああ、しばらく帰すつもりは無いから」

──しばらく? 皆待ってなかった?

「皆は、レノアが送り届けたよ」

「ええ?そんな。もう会えない?」
「顔見せくらいは、王国に連れていく。会いたい友もいるのだろう?」

「いいの?」

「シェリルの帰る場所が、俺のそばってだけだ」

 頭を撫でてくれる、優しい手が嬉しい。

「僕とずっと一緒にいてくれますか?」
「約束する。言っただろ?俺の弱点はシェリルなんだと」






 人族との平和を望み尽力した一人の魔王と、その伴侶によって大陸の和平条約は長く続く。そして異種族との交流をさらに深めた。

 そんな二人の出会いの物語。



 おわり


 ◆◆◆

 本編を最後までありがとうございました。約14万文字書きました。ここまでお付き合いして下さって、本当に幸せです。

今年のBL大賞も、がんばります☺️
そして、明日以降に少しだけ裏話を載せますね。


Shizukuru.

















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