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76.妖精の足飾り②
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無事に結界を通り抜けると、護衛の様な体格の良いエルフ数名が少し年配に見えるエルフの横に並び立っていた。
真ん中の人は長老……なのかな?長老と言うよりは、イケおじ位なんだけど。
軽く千年生きる彼らの見た目と年齢は全く分からない。
「テオ……久しいな」
「ご無沙汰しております」
「この度の勇者殿は、勇者として相応しいと思うか?」
「長老様なら、感じ取れるのでは?」
長老の視線は、カイル様の所で止まる。まるで見定めるかのように。口角が少し上がったように見えたが、それは一瞬でまた元に戻った。
笑顔は作り物のようで、歓迎されている様に思えない。
「そうか、テオは賢者の指輪 なのか」
「はい。一番私に欠けている力ですから」
長老は、最後に僕を見た。
スッと手を胸の高さまで上げたと同時に首にガチャリと何か金属が当たった。思わず手で触れると、金属製の首輪のような物がはめられていた。
「シェリル!!」
カイル様が僕のそばに来ようとした時、更にガシャンと音がした。一瞬、砂埃が舞って煙幕のように視界が閉ざされた。
視界がクリアになった時、それぞれが一人づつ鳥籠の様な檻の中にいた。
僕だけは、その外にいる。
カイル様が鳥籠の中に入っていて、檻に触れると指先に魔力が集まっていくのが分かった。
「カイル、駄目よ!」
マリア様が叫ぶ。
カイル様が、風魔法を使って檻を壊そうとした時、その風は僕を切りつけた。
血がシャツに染み込んでいく。
「な、シェリル!」
「冷静さに欠けている。この檻を壊そうとすれば、その子を攻撃する仕組みだよ。首輪を着けたからね」
「どうしてこんな事を!」
「落ち着きなさい。傷は今回だけは治そうか」
そう言ってそばに来た長老が、僕の手に触れると傷が消えてしまった。
「お前たちは、すでに聖遺物を手に入れている。なら、必要なのはその子だろう? 他の者は手助けをしてはいけない。一人で探し、そして聖遺物に選ばれる。それが決まりなのだから」
「長老様……お尋ねしますが、宜しいでしょうか?」
マリア様の声が凛と響く。
「かまわない」
「シェリルは、テイマーです。その力は使って良いのですよね? ティムしたもの達を使うのまで制限されたら、彼自身の身を守れません。私達なんて今までシェリルに助けられて聖遺物を手に入れました。それなのに、シェリルだけを手伝う事が出来ないとか。あんまりですわ。彼の能力まで使わせないなんて……そこまでエルフの方は、心が狭くはありませんよね?」
クロに、皆の視線が集まった。
「幻影兎ですか。あまり役に立ちそうもないですが……テイマーなら仕方がない。テイマーの力を使ってもかまいませんよ。許可します」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとう……ございます」
先にお礼を言ったのは、マリア様だ。
僕を見てニッコリと笑った。
「あの、皆を鳥籠から出して上げてください」
「大丈夫、鳥籠を見えなくするから。ここの邸内は自由に動ける。ただ君の助けに行けないだけだよ。魔力を使えば君が怪我するのは、そのままだからね」
手をかざすと、スッと鳥籠は消える。
「では、この先君が感じるままに進みなさい」
心配そうな顔をしているのはカイル様だけで、他の三人は何故か手を振っていた。
「さっさと戻って来てね」
「シェリル、任せたからな」
「君なら大丈夫ですね」
「──黒兎。ちゃんと、シェリルを守れよ」
カイル様の言葉に、なぜかホッとする。クロがそばに居てくれるのだ。そのクロを信じてくれる皆がいる。
「行ってきます」
クロが背中に張り付いた後、魔法陣が僕を包みこんだ。
真ん中の人は長老……なのかな?長老と言うよりは、イケおじ位なんだけど。
軽く千年生きる彼らの見た目と年齢は全く分からない。
「テオ……久しいな」
「ご無沙汰しております」
「この度の勇者殿は、勇者として相応しいと思うか?」
「長老様なら、感じ取れるのでは?」
長老の視線は、カイル様の所で止まる。まるで見定めるかのように。口角が少し上がったように見えたが、それは一瞬でまた元に戻った。
笑顔は作り物のようで、歓迎されている様に思えない。
「そうか、テオは賢者の指輪 なのか」
「はい。一番私に欠けている力ですから」
長老は、最後に僕を見た。
スッと手を胸の高さまで上げたと同時に首にガチャリと何か金属が当たった。思わず手で触れると、金属製の首輪のような物がはめられていた。
「シェリル!!」
カイル様が僕のそばに来ようとした時、更にガシャンと音がした。一瞬、砂埃が舞って煙幕のように視界が閉ざされた。
視界がクリアになった時、それぞれが一人づつ鳥籠の様な檻の中にいた。
僕だけは、その外にいる。
カイル様が鳥籠の中に入っていて、檻に触れると指先に魔力が集まっていくのが分かった。
「カイル、駄目よ!」
マリア様が叫ぶ。
カイル様が、風魔法を使って檻を壊そうとした時、その風は僕を切りつけた。
血がシャツに染み込んでいく。
「な、シェリル!」
「冷静さに欠けている。この檻を壊そうとすれば、その子を攻撃する仕組みだよ。首輪を着けたからね」
「どうしてこんな事を!」
「落ち着きなさい。傷は今回だけは治そうか」
そう言ってそばに来た長老が、僕の手に触れると傷が消えてしまった。
「お前たちは、すでに聖遺物を手に入れている。なら、必要なのはその子だろう? 他の者は手助けをしてはいけない。一人で探し、そして聖遺物に選ばれる。それが決まりなのだから」
「長老様……お尋ねしますが、宜しいでしょうか?」
マリア様の声が凛と響く。
「かまわない」
「シェリルは、テイマーです。その力は使って良いのですよね? ティムしたもの達を使うのまで制限されたら、彼自身の身を守れません。私達なんて今までシェリルに助けられて聖遺物を手に入れました。それなのに、シェリルだけを手伝う事が出来ないとか。あんまりですわ。彼の能力まで使わせないなんて……そこまでエルフの方は、心が狭くはありませんよね?」
クロに、皆の視線が集まった。
「幻影兎ですか。あまり役に立ちそうもないですが……テイマーなら仕方がない。テイマーの力を使ってもかまいませんよ。許可します」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとう……ございます」
先にお礼を言ったのは、マリア様だ。
僕を見てニッコリと笑った。
「あの、皆を鳥籠から出して上げてください」
「大丈夫、鳥籠を見えなくするから。ここの邸内は自由に動ける。ただ君の助けに行けないだけだよ。魔力を使えば君が怪我するのは、そのままだからね」
手をかざすと、スッと鳥籠は消える。
「では、この先君が感じるままに進みなさい」
心配そうな顔をしているのはカイル様だけで、他の三人は何故か手を振っていた。
「さっさと戻って来てね」
「シェリル、任せたからな」
「君なら大丈夫ですね」
「──黒兎。ちゃんと、シェリルを守れよ」
カイル様の言葉に、なぜかホッとする。クロがそばに居てくれるのだ。そのクロを信じてくれる皆がいる。
「行ってきます」
クロが背中に張り付いた後、魔法陣が僕を包みこんだ。
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