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66.聖騎士の耳飾り⑤
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マリア様が詠唱を始めた。
テオ様が、援護の為に連続で火属性の矢を射る。カイル様は双剣に、キース様も剣にアンデッド対策で魔法の炎をまとわせている。
翼はボロボロで今にも崩れてしまいそうなのに不死黒飛龍は、攻撃を躱してしまう。
(攻撃……効かないかも。急がなきゃ)
僕はドラゴンの巣へ向かう。ここにあると言ったクロを信じて進む。
炎の熱が、離れている僕にも届いた。
兎姿のクロが前を走り、その後を僕がついて行く。白兎が背中に張り付いてくれているので動きやすい。マリア様の回復でレノアも元気になっている。
クロが幻影で僕を守ってくれるから、ドラゴンがこちらに全く反応しないのだ。このままバレずに進みたい。聖遺物を回収出来れば無理して討伐しなくてもいいのだから。
『あんな所に巣があるの?』
クロがローブ姿の少年のようなサイズになって僕を抱きかかえた。
『簡単に巣に来られても困るだろ?』
そう言って、絶壁に近い崖をタンッタンッとリズム良く登っていく。
落とされないように抱きついて、崖の上まで登ると横穴が見えた。枝のようなものが巣を思わせる。
『あそこかな?』
ドォ───ン、ドォ───ンと響く攻撃音。熱風が届く。
急がないと、マリア様の詠唱の効果がどれ程かが、まだ分からないから怖い。
巣に近づいて行くと、何かの息使いが聞こえる。
ヒュ────、ヒュ────ゥゥ
金や銀細工、ティアラや金杯、キラキラのボトル等いわゆるお宝がドラゴンの巣の中にあった。
その中に戦闘しているドラゴンとは別の小型のドラゴンが苦しそうに丸まっていた。黒曜石みたいな綺麗な姿だった。
『──なんか、苦しそう』
『苦しいだろうな。呪具が足に巻きついてる』
『呪具?でも、一緒にあるのって耳飾りじゃ……』
『呪いを止めているみたいだな』
こちらに気がついて威嚇してきたが、弱々しい。
(痛そう)
『クロ待ってて、外してくる』
『シェリル?』
『レノアもクロと一緒にいて。来ちゃ駄目だよ』
じっとドラゴンを見つめて、そろりそろりと近づいていく。
『苦しいよね? 巻き付いてるの外してあげたいんだ……本当だよ。ただ、あのね。巻きついているのがどうしても欲しいから。僕が外したら、もらってもいいかな?』
話しかけながら、そばにいく。ドラゴンの咆哮にしては弱いブレスが僕の方へと向かってきた。指揮棒を胸に当ててゆっくりと相殺した。なるべく怖がらせないように。
『ごめんね。怖いよね?それを外したら痛くなくなるから。終わったら仲間と帰るから。攻撃も止めたいけど、不死黒飛竜が興奮してるから……その時は一緒に止めてくれる?』
近づいて、手を差し出すと口を大きく開けて鋭い牙で威嚇してくる。でも本気には見えなかった。
クロとレノアがそばに来たけど、手を出さないように止める。
『噛んでもいいよ。攻撃はしないよ』
目がクリクリしてて何か、可愛い。不思議と怖くない。
『──外したら、帰れ』
『ありがとう!』
急いでドラゴンの足元に近づき、呪具と巻き込んでいた耳飾りを握りしめた。呪いは既に発動している為、僕には影響がない。ふとバックの中に傷薬があるのを思い出す。
『ちょっとしみるけど……すぐ治るから』
───綺麗に傷が消えた。良かった。
『──名を教えてくれ』
ドラゴンとは別の低い声が頭の中に聞こえてきた。
『もしかして、聖騎士の?』
『君は、面白いな。そこの魔力の塊のような兎を使えばこのドラゴン位消せただろう』
『攻撃して来ない相手に、手を出したくないから』
『名は……?』
どうしよう、また変な事になったら嫌だ。キース様に渡したい。
『騎士の方が、貴方を必要としています!だから……あの』
『ただ、名を知りたいだけだ。きっとこの子もだ』
『──シェリル』
『シェリル、私の背に乗って。攻撃を止めて欲しい!』
クロが僕の背中に張り付いた。遅れてレノアもやって来た。皆でドラゴンの背に乗ると、崖の上から一気に降りていく。
その時、マリア様の細長杖から眩い光が放たれた。
『呪具を光に向かって投げろ』
慌てて、呪具を投げたのだ。
テオ様が、援護の為に連続で火属性の矢を射る。カイル様は双剣に、キース様も剣にアンデッド対策で魔法の炎をまとわせている。
翼はボロボロで今にも崩れてしまいそうなのに不死黒飛龍は、攻撃を躱してしまう。
(攻撃……効かないかも。急がなきゃ)
僕はドラゴンの巣へ向かう。ここにあると言ったクロを信じて進む。
炎の熱が、離れている僕にも届いた。
兎姿のクロが前を走り、その後を僕がついて行く。白兎が背中に張り付いてくれているので動きやすい。マリア様の回復でレノアも元気になっている。
クロが幻影で僕を守ってくれるから、ドラゴンがこちらに全く反応しないのだ。このままバレずに進みたい。聖遺物を回収出来れば無理して討伐しなくてもいいのだから。
『あんな所に巣があるの?』
クロがローブ姿の少年のようなサイズになって僕を抱きかかえた。
『簡単に巣に来られても困るだろ?』
そう言って、絶壁に近い崖をタンッタンッとリズム良く登っていく。
落とされないように抱きついて、崖の上まで登ると横穴が見えた。枝のようなものが巣を思わせる。
『あそこかな?』
ドォ───ン、ドォ───ンと響く攻撃音。熱風が届く。
急がないと、マリア様の詠唱の効果がどれ程かが、まだ分からないから怖い。
巣に近づいて行くと、何かの息使いが聞こえる。
ヒュ────、ヒュ────ゥゥ
金や銀細工、ティアラや金杯、キラキラのボトル等いわゆるお宝がドラゴンの巣の中にあった。
その中に戦闘しているドラゴンとは別の小型のドラゴンが苦しそうに丸まっていた。黒曜石みたいな綺麗な姿だった。
『──なんか、苦しそう』
『苦しいだろうな。呪具が足に巻きついてる』
『呪具?でも、一緒にあるのって耳飾りじゃ……』
『呪いを止めているみたいだな』
こちらに気がついて威嚇してきたが、弱々しい。
(痛そう)
『クロ待ってて、外してくる』
『シェリル?』
『レノアもクロと一緒にいて。来ちゃ駄目だよ』
じっとドラゴンを見つめて、そろりそろりと近づいていく。
『苦しいよね? 巻き付いてるの外してあげたいんだ……本当だよ。ただ、あのね。巻きついているのがどうしても欲しいから。僕が外したら、もらってもいいかな?』
話しかけながら、そばにいく。ドラゴンの咆哮にしては弱いブレスが僕の方へと向かってきた。指揮棒を胸に当ててゆっくりと相殺した。なるべく怖がらせないように。
『ごめんね。怖いよね?それを外したら痛くなくなるから。終わったら仲間と帰るから。攻撃も止めたいけど、不死黒飛竜が興奮してるから……その時は一緒に止めてくれる?』
近づいて、手を差し出すと口を大きく開けて鋭い牙で威嚇してくる。でも本気には見えなかった。
クロとレノアがそばに来たけど、手を出さないように止める。
『噛んでもいいよ。攻撃はしないよ』
目がクリクリしてて何か、可愛い。不思議と怖くない。
『──外したら、帰れ』
『ありがとう!』
急いでドラゴンの足元に近づき、呪具と巻き込んでいた耳飾りを握りしめた。呪いは既に発動している為、僕には影響がない。ふとバックの中に傷薬があるのを思い出す。
『ちょっとしみるけど……すぐ治るから』
───綺麗に傷が消えた。良かった。
『──名を教えてくれ』
ドラゴンとは別の低い声が頭の中に聞こえてきた。
『もしかして、聖騎士の?』
『君は、面白いな。そこの魔力の塊のような兎を使えばこのドラゴン位消せただろう』
『攻撃して来ない相手に、手を出したくないから』
『名は……?』
どうしよう、また変な事になったら嫌だ。キース様に渡したい。
『騎士の方が、貴方を必要としています!だから……あの』
『ただ、名を知りたいだけだ。きっとこの子もだ』
『──シェリル』
『シェリル、私の背に乗って。攻撃を止めて欲しい!』
クロが僕の背中に張り付いた。遅れてレノアもやって来た。皆でドラゴンの背に乗ると、崖の上から一気に降りていく。
その時、マリア様の細長杖から眩い光が放たれた。
『呪具を光に向かって投げろ』
慌てて、呪具を投げたのだ。
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