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64.聖騎士の耳飾り③
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抱っこしていたはずのクロが、カイル様に捕まった。
「カイル様?」
「だから、幻影兎は魔獣なんだから……甘やかし過ぎだ」
「クロに、皆を守ってってお願いしてみただけなので」
レノアが、まだ驚いたままなのでヨシヨシと撫でると力が抜けて擦り寄ってきた。
『レノア起こしてごめんね。ちゃんと回復するまで大人しく寝ててね』
『シェリル様……優しい……』
『いや、どう考えても俺よりレノアに甘すぎだ』
思わず、笑ってしまう。魔物でもこんなに優しくて可愛い。この子達みたいに分かり合えるならいいのに。
「コホン。し、白兎を抱えてるんだ。俺がこいつを預かっておく。ちゃんと躾ないと、お前が寂しがってる時に帰って来ないとか無いだろ」
「本当に、カイルは余裕がないな」
「勇者が幻影兎に嫉妬してる……でも、レノアたんは可愛いから甘やかしたくなるわよね」
「まだ出発しないのか?」
テオ様に言われて、皆笑った。
「覚悟して行こう。情報が分かっただけ対策が立てられる。皆で絶対に生きて帰る。キースが聖騎士の耳飾りを手に出来るように、行くぞ」
下層に向かって進み始めた。カイル様が黒兎を片腕で抱きかかえている姿が、アンバランス過ぎる。
──クロがジタバタしてる。勇者の願い石 の影響は無いのか不安になるけど……
「クロ? 平気かな……」
「シェリルは、何でそんなに心配するんだ?」
「クロは、魔獣なので聖遺物の影響が出ないか心配なんです。レノア……白兎は、マリア様の聖女の聖遺物の力が強すぎるみたいだから」
「シェリル、黒兎は普通の魔獣よりレベルが高くないか?幻影の能力も強い。臆病者の幻影兎って言われてあまり生体が分かってないが、実は能力が突出してる気がする。俺の持っている聖遺物がそんなに影響するとも思えない。それをティムしたシェリルは、すごいな」
(ティムした訳じゃないけど。カイル様にはクロが魔物だってバレてるのかも)
「クロが、平気なら良いんですが」
「黒兎、いいかシェリルの邪魔するなよ?」
またジタバタと暴れだして、短い手足を必死に動かしている。
背中にいるだけなので、邪魔になんてならないから。
思わず、手を伸ばす。
「カイル様。やっぱり、クロを返して下さい。おいでクロ」
ぴょーん跳ねて、肩のところから背中へ回る。
定位置にクロが戻って来た。
隣に来たカイル様が、顔を寄せてクロに向かって一言呟く。
「黒兎、俺の事はいい。シェリルを優先して守ってくれ」
その言葉に泣きそうになった。
「カイル様?」
「だから、幻影兎は魔獣なんだから……甘やかし過ぎだ」
「クロに、皆を守ってってお願いしてみただけなので」
レノアが、まだ驚いたままなのでヨシヨシと撫でると力が抜けて擦り寄ってきた。
『レノア起こしてごめんね。ちゃんと回復するまで大人しく寝ててね』
『シェリル様……優しい……』
『いや、どう考えても俺よりレノアに甘すぎだ』
思わず、笑ってしまう。魔物でもこんなに優しくて可愛い。この子達みたいに分かり合えるならいいのに。
「コホン。し、白兎を抱えてるんだ。俺がこいつを預かっておく。ちゃんと躾ないと、お前が寂しがってる時に帰って来ないとか無いだろ」
「本当に、カイルは余裕がないな」
「勇者が幻影兎に嫉妬してる……でも、レノアたんは可愛いから甘やかしたくなるわよね」
「まだ出発しないのか?」
テオ様に言われて、皆笑った。
「覚悟して行こう。情報が分かっただけ対策が立てられる。皆で絶対に生きて帰る。キースが聖騎士の耳飾りを手に出来るように、行くぞ」
下層に向かって進み始めた。カイル様が黒兎を片腕で抱きかかえている姿が、アンバランス過ぎる。
──クロがジタバタしてる。勇者の願い石 の影響は無いのか不安になるけど……
「クロ? 平気かな……」
「シェリルは、何でそんなに心配するんだ?」
「クロは、魔獣なので聖遺物の影響が出ないか心配なんです。レノア……白兎は、マリア様の聖女の聖遺物の力が強すぎるみたいだから」
「シェリル、黒兎は普通の魔獣よりレベルが高くないか?幻影の能力も強い。臆病者の幻影兎って言われてあまり生体が分かってないが、実は能力が突出してる気がする。俺の持っている聖遺物がそんなに影響するとも思えない。それをティムしたシェリルは、すごいな」
(ティムした訳じゃないけど。カイル様にはクロが魔物だってバレてるのかも)
「クロが、平気なら良いんですが」
「黒兎、いいかシェリルの邪魔するなよ?」
またジタバタと暴れだして、短い手足を必死に動かしている。
背中にいるだけなので、邪魔になんてならないから。
思わず、手を伸ばす。
「カイル様。やっぱり、クロを返して下さい。おいでクロ」
ぴょーん跳ねて、肩のところから背中へ回る。
定位置にクロが戻って来た。
隣に来たカイル様が、顔を寄せてクロに向かって一言呟く。
「黒兎、俺の事はいい。シェリルを優先して守ってくれ」
その言葉に泣きそうになった。
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