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61.黒兎と白兎
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目が覚めると、クロが黒兎に戻っていて胸の中で眠っていた。
「クロ……お帰り」
クロが人型に戻って、唇を合わせてくる。優しい魔力がゆっくりと体を巡っていった。
「昨日は、すまない。魔力が不足していたせいで……取り過ぎた」
「平気だよ。クロが、生きてて良かった」
腕を背中に回して、ギュッと強く抱きついた。
「勝手に、シェリルのポーションも使った。夜に魔力を少し返したんだ……」
いつの間に、そんな事をしてくれたのだろう?
「ありがと。じゃ、ポーションが減ったよね? すぐ補充するね」
「そんなに簡単に作れるのか? 回復も早いし、上級以上のポーションだと思うが……」
魔法も好きだけど、ポーションを作るのは楽しいのだ。何より、アルト様がずっと教えてくれた。 ポーションの効果で、生死が別れる事もある。 用心に越したことはない。 元気な時や余裕のある時に補充するように言われている。
「アルト様に色々教わったんだ。調剤の魔法を微調整出来るとね、ポーションを作るの早くなるんだ。誰かを助ける事に繋がる魔法って、嬉しいよね」
「シェリルお前は、本当に……自分以外を優先して助けようとするのだな」
「え?何? あ、もうそろそろ黒兎に戻ってて。もうすぐカイル様が来そうだから。最近過保護なんだ」
「俺が居ない間に何かあったか?」
「──うん。あのね」
カタンと音がした。顔を見合わせると、もう一度クロにキスされた。スッと姿が黒兎に変わった。両手を差し出すとクロが飛び込んでくる。
「シェリル? 起きてる?」
「マリア様? あ、もしかして白兎に何か?」
「何かね。この子、黒兎に会いたいみたいで……」
「入っていいですよ」
マリア様が抱えていた白兎が、ぴよ~んと跳ねて僕の腕に飛び込んできた。
目が潤んでいて……
「か、可愛い」
「シェリルもそう思う!? この子可愛いよね。 あのね名前を付けてもいい?」
『変な名前をつけられそうなのです。助けて下さい』
涙目で潤んだ瞳の白兎が、頭の中に話しかけて来た。
『え? 名前あるの?』
『あります! レノアです』
『レノアだね。分かった』
「マリア様。この子には、名前があります」
「は? 嘘」
「レノアです。だから他の名前は嫌だと言ってます」
「はぁ。そうなんだぁ。 ね、シェリルこの子……シェリルのティムした子?」
『シェリル様がいいです!助けて下さい』
『おい!』
『ま……おお、じゃなくて、クロフィス様、あの女がどれだけ恐ろしいか!私は……私……』
『泣かないでレノア。レノアも魔物だから、聖女の力のあるマリア様は苦手? だったら、僕の所が安心かな?』
『はいっ』
『おい! レノア!!』
『レノアは……まだ病み上がりだから、クロも心配でしょう?』
『く……』
腕の中の2匹が、じゃれているようにしか見えない。可愛い。
「マリア様。 僕のティムした子なので。魔獣の子なので、マリア様の聖なる力が強すぎて……少し辛いようです」
「そうなんだ……でも、でも……抱っこはたまにしてもいいかな?ね?」
「その位なら、でも嫌がった時は返してくださいね」
とりあえず、それで落ち着いた。
聖騎士の耳飾りを早く見つけて、ダンジョンから早く出ないと、もしかして魔王城で何か起きてるかも知れない。
なるべく早く……聖遺物を見つけないといけない。
「クロ……お帰り」
クロが人型に戻って、唇を合わせてくる。優しい魔力がゆっくりと体を巡っていった。
「昨日は、すまない。魔力が不足していたせいで……取り過ぎた」
「平気だよ。クロが、生きてて良かった」
腕を背中に回して、ギュッと強く抱きついた。
「勝手に、シェリルのポーションも使った。夜に魔力を少し返したんだ……」
いつの間に、そんな事をしてくれたのだろう?
「ありがと。じゃ、ポーションが減ったよね? すぐ補充するね」
「そんなに簡単に作れるのか? 回復も早いし、上級以上のポーションだと思うが……」
魔法も好きだけど、ポーションを作るのは楽しいのだ。何より、アルト様がずっと教えてくれた。 ポーションの効果で、生死が別れる事もある。 用心に越したことはない。 元気な時や余裕のある時に補充するように言われている。
「アルト様に色々教わったんだ。調剤の魔法を微調整出来るとね、ポーションを作るの早くなるんだ。誰かを助ける事に繋がる魔法って、嬉しいよね」
「シェリルお前は、本当に……自分以外を優先して助けようとするのだな」
「え?何? あ、もうそろそろ黒兎に戻ってて。もうすぐカイル様が来そうだから。最近過保護なんだ」
「俺が居ない間に何かあったか?」
「──うん。あのね」
カタンと音がした。顔を見合わせると、もう一度クロにキスされた。スッと姿が黒兎に変わった。両手を差し出すとクロが飛び込んでくる。
「シェリル? 起きてる?」
「マリア様? あ、もしかして白兎に何か?」
「何かね。この子、黒兎に会いたいみたいで……」
「入っていいですよ」
マリア様が抱えていた白兎が、ぴよ~んと跳ねて僕の腕に飛び込んできた。
目が潤んでいて……
「か、可愛い」
「シェリルもそう思う!? この子可愛いよね。 あのね名前を付けてもいい?」
『変な名前をつけられそうなのです。助けて下さい』
涙目で潤んだ瞳の白兎が、頭の中に話しかけて来た。
『え? 名前あるの?』
『あります! レノアです』
『レノアだね。分かった』
「マリア様。この子には、名前があります」
「は? 嘘」
「レノアです。だから他の名前は嫌だと言ってます」
「はぁ。そうなんだぁ。 ね、シェリルこの子……シェリルのティムした子?」
『シェリル様がいいです!助けて下さい』
『おい!』
『ま……おお、じゃなくて、クロフィス様、あの女がどれだけ恐ろしいか!私は……私……』
『泣かないでレノア。レノアも魔物だから、聖女の力のあるマリア様は苦手? だったら、僕の所が安心かな?』
『はいっ』
『おい! レノア!!』
『レノアは……まだ病み上がりだから、クロも心配でしょう?』
『く……』
腕の中の2匹が、じゃれているようにしか見えない。可愛い。
「マリア様。 僕のティムした子なので。魔獣の子なので、マリア様の聖なる力が強すぎて……少し辛いようです」
「そうなんだ……でも、でも……抱っこはたまにしてもいいかな?ね?」
「その位なら、でも嫌がった時は返してくださいね」
とりあえず、それで落ち着いた。
聖騎士の耳飾りを早く見つけて、ダンジョンから早く出ないと、もしかして魔王城で何か起きてるかも知れない。
なるべく早く……聖遺物を見つけないといけない。
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